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WINEPブログ内で「 植物 」を含む記事

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2018-07-12 17:13 | カテゴリ:未分類

  福島県双葉町の道沿いには、なぜか榧(カヤ)の木の幼木が多い所がある(図1)。カヤノキの実生が発芽して以来、土壌の腐葉土からくる高放射線量(毎時10-30 Sv)による外部被曝の故か、矮性で生育のいじけたものも多い。ここに示すのは、正常な形態のものである。しかし放射能を測ると、結構高い。放射性セシウム汚染腐葉土からの直接経根吸収による内部被ばくも、激しいことがわかる。
   
  オートラジオグラフでも、明らかなように、枝の先の新陳代謝の激しい、Kの要求量が大きい新芽の部分と、3つ叉にわかれている枝の節目(師管と導管が入り組んだ部位)が放射能が高いことがわかる。これまで幾たびとなく述べてきたように、カリウムの代わりに周期律表上の同じ系列の放射性セシウムも積極的に植物体内を移行分布しているからである。
 

 
 
 

 
榧木jpeg  

図1.榧木(カヤノキノ)の枝葉







スライド2 


図2.図1のオートラジオグラフ


 
 
 
 
 
 
スライド3  
3.図2のネガテイブ画像



 
 表1.カヤの木の部位別放射能
kaya no housyanou jpeg 

 
 
(森敏)

付記:台東区の蔵前というバス停の前には「榧木寺」という、珍しい名前のお寺がある。由来は以下のとおりである。寺の中には現在も4本ばかりの大きな、青々とした新鮮な榧の木がある。

:::::「榧木寺」の現存する4点の縁起によれば、「かつて境内に樹齢千年の榧の大木が立っていましたが、当地が火災に見舞われた際には、榧の木から水を発し、たくさんの町民・本尊ほか多くの寺宝を火災から守ったとあり、現在、本尊の右に安置する秋葉権現像は300年程前この榧木で造像したもので、江戸の大火事から人々を守り、火防せの信仰をうけていたと記されています。:::::::」ということです。

2018-07-04 13:18 | カテゴリ:未分類

双葉町で樹に絡みつく「キズタ」(ウコギ科キズタ属)は、あまりにもがっしりと木の樹皮に張り付いているので、指では引っぺがしにくく、部分的にハサミで切断して、小片にして回収するしか仕方がなかったツル性植物である(図1)。

   
オートラジオグラフに撮ると、やはり樹皮にしがみつく、キズタの節位ごとに発生している不定根の部分が最も強く放射能汚染していることがわかった(図2、図3)。葉などには放射能がほとんど付着していないので、これは完全にキズタの内部被ばくと思われる。


   
この不定根の部分の、他の部位よりもけた違いに強い放射能汚染は(表1)、肉眼では見えないが、根の周りには寄生菌類が多様に繁殖していて、不定根や寄生菌は樹皮(セルロース、リグニンなどの高分子多糖類で構成されている)の分解に関わる酵素を放出して、これらの成分を低分子化して、有機栄養源として吸収して生長しており、また不定根は師管や導管に食い込んで、放射性セシウムもカリウムと混同して無機イオンとしても吸収しているものと思われる。寄生菌はそれをガンガンため込んでいるのではないだろうか。したがって不定根が一見放射能の塊のように撮像されているのではないだろうか。
  
   以上の仮説の子細な証明のためには、不定根を樹脂で固定して顕微鏡的オートラジオグラフを撮るべきだが、残念ながら今はその余裕がありません。どなたかやってみてくれませんか?
     


 


スライド1 
図1 樹から引っぺがしたキズタの切断片

 


 
スライド2
図2 図1のオートラジオグラフ 


 


スライド3 
図3.図2のネガテイブ画像

 

表1.キズタの放射能
キズタjpeg 
 

(森敏)
付記:過去の以下の記事もご参照ください
アイビーはなぜ石塀に強く接着できるのか

2018-06-22 04:08 | カテゴリ:未分類
 

ススキは、原発爆発当初から注目して、福島県の各地でサンプリングし、放射能を測定してきたが、2011年秋に開花したススキは、あまり放射能が高くなかった。その後もあまり高くなかった。福島第一原発が暴発した時にはススキはまだ芽が地中にあり直接被曝したわけではなかったので、その後に穂が出ていてもこれはほとんどオートラジオグラフに感光しなかったのである。だから毎年ススキは穂が出るのだが、あまり関心がなかった。しかし小生がサンプリングしてきたススキはことごとく道端の畑状態に群生しているものであった。大体福島の農家の人々は結構潔癖好きで、この雑草を疎ましく思うのか、毎年根際から刈り倒しているので道端のススキの地上部には、あまり経年変化立ち枯れした古いものはないのである。

   

しかし今回(2017年晩秋)、久しぶりに試しに双葉町の水田のあちこちに生えているススキの穂を、サンプリングしてきた。これらのススキはすでに穂の種子の「もみ殻」に汚くカビが生えていた(図1、図2)。

   

研究室に持ち帰ってガイガーカウンターを充てると150cpmばかりあった。この放射線量は、これまでの経験と異なり明らかに有意であった。

    

オートラジオグラフを取ると黒カビで汚染している種皮が顕著に放射能汚染していた(図3、図4)。すべての種皮が比較的均等に汚染しているので、これは外部に放射能が付着しているのではなく、種子の栄養をカビが摂取して種皮が放射能で表面汚染しているように見えるのではないかと思われた。

 

穂軸と種子に分けて測定するとほぼ同等の汚染度であった(表1)。今回のように野生のイネ科植物といえども原発事故以来一度も耕作したことがない放棄水田の中に定着したものは、この原発事故以降直近までの数年の内に、何度も乾湿を繰り返す土壌条件の中では、湛水還元状態のときに溶解してくる放射性セシウムイオンを吸収する機会が多くなる。だから、野山の陸地(畑:酸化)状態の、大部分が土壌に固着しているセシウムを吸うのとは訳が違うのかもしれない。
     
  このWINEPブログの過去のどこかで紹介したことがあるが、春先のフキノトウでこのことはすでに証明されている。今回の多年生のススキの種皮の放射能汚染は外部飛来付着ではなく、全部根から吸収して茎を転流してきて種子に蓄積した放射性セシウムを種皮に付着したカビがカリウムの代わりに栄養源として濃縮したことよる内部被ばくと思われる。

 

イネとおなじくススキも生息地が湿地か陸地かによって、セシウムの吸収量が異なるわけである。

 

  

                                                                             



 
スライド1 
 
図1 水田に生えていたススキの穂
 
 
  
 
 
 
 
スライド2
 図2. 図1のオートラジオグラフ
 
   
  

 

 
スライド3 
 
 図3.図2のネガテイブ画像
 
 
 
 
 
 スライド4
図4.図3の拡大図
 
 
 



スライド5  

 図5.図4のオートラジオグラフ
 
 
 

 
 
 表1. ススキの穂の放射能

 すすきjpeg
 
 

(森敏)
2018-06-05 05:21 | カテゴリ:未分類
  昨年秋 双葉町の空間線量が毎時9.5マイクロシーベルトの民家の庭に群生していた可憐な花を採取してきた。専門家に鑑定してもらったらカントウヨメナという野草だということである(図1)。
           
  全身が内部被ばくである(図2、図3)。しかも放射性セシウム含量がいまだに非常に高い。普段は一年生植物は花器の放射能が一番高いのだが、この植物は生殖器である青色の花の部分よりも葉の放射能がべらぼうに高い(表1)。好セシウム性植物かもしれない。
           
  この家は家の内部までイノシシやおそらくハクビシンなどの侵入により荒れ果てており、住民は全く帰還した様子がない。
         
  少しでも庭の土壌の放射能を除染した形跡がない。
         
  であるからこの一年生雑草は原発事故7年後でもいまだに土壌に固定され切っていない、植物が吸収可能なセシウムを吸っては枯れ、次世代の種子が発芽して、また吸っては枯れ、という循環を繰り返して群生しているのである。
      
  全部刈り取ってきて詳細に観察すれば、形態学的な異常も発見されるのかもしれない。
        
  タンポポの「帯化」奇形調査の場合はタンポポに絞り込んでやっているのだが、そういうことを高放射線量下で他の植物でも徹底的にやる時間的な余裕がないのが残念である。たとえばいつも気になっているのだが、真面目に調べればクローバーなどはかなりの形態的変異があるものと思われる。

         
 
 
 
 
スライド3 
 図1. カントウヨメナ
     
 
 
スライド1 
図2. 図1のオートラジオグラフ 
      
 
 
スライド2  
図3.図2のネガテイブ画像 
      
     
表1. カントウヨメナの放射能
カントウヨメナの放射能jpeg 
    
    
    

 
(森敏)





2018-05-17 04:23 | カテゴリ:未分類


  浪江町の避難困難区域にはバスが通っていないので、バスの屋根付きの停留所には外壁や地面にツタが生えたりしている。それを手繰って2メートルばかり採取してきた(図1)。

  さすがにあちこちの汚染土壌の上をこのつたは這いずり回って成長してきたためか、葉の部分は多分土埃による外部放射能汚染がひどかった(図2、図3)。
 
  対称形に葉が生えている節位は時折何かにつかまるための小さなツルが生えているのだが、そこの節位が一番内部被ばくが高いようだ(特に図3、表1)。いつも言うように植物の節位は導管と師管が複雑に入り組んでいるから放射能が滞留しているようにオートラジオグラフでも濃く撮像されるのである。
   
    こういう濃厚汚染した「つる」なども、汚染を知らない鳥や小動物の格好の丈夫な「巣材」に使われているのではないだろうか? そこで幼い嬰児が被曝しながら育てられているのかもしれない。
      
    
 
スライド2  
図1 オオカモメヅル

 
 
 
スライド3 

 図2 上記の植物のオートラジオグラフ

 

 
 
スライド4  
 図3.図2のネガテイブ画像
  
 

 
 表1 オオカモメヅルの放射能
スライド1 
 

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