2017-06-06 09:08 | カテゴリ:未分類
   
今回は少し難解ですが重要な発明ですので、どうか我慢して読んであげてください。
   
以下農研機構のホームページからの転載です
 
放射性セシウムを吸収しにくい水稲の開発に成功

- コメの放射性セシウム低減対策の新戦力 -

情報公開日:2017年5月31日 (水曜日)

農研機構
岩手生物工学研究センター


  1. 農地土壌から作物への放射性セシウムの移行を低減するために、水稲では、カリ肥料の増肥が効果的な対策として実施されています。一方、長期にわたって、省力的かつ低コストで行える新たな低減対策も生産現場から求められています。
  2. そこで農研機構は、イオンビーム照射による突然変異法により、放射性セシウムを吸収しにくいコシヒカリ(Cs低吸収コシヒカリ)を開発しました。Cs低吸収コシヒカリを、放射性セシウムを含む水田で栽培した場合、コメの放射性セシウム濃度はコシヒカリの半分に減少しました。
  3. Cs低吸収コシヒカリにおいて、コメの放射性セシウム濃度が低下したキー(鍵)となる遺伝子を岩手生物工学研究センターとの共同研究で特定しました。この遺伝子は、イネ根のナトリウム排出に関与するタンパク質リン酸化酵素遺伝子(OsSOS2;オーエスエスオーエスツー)が変異したものです。この変異が原因で、Cs低吸収コシヒカリは根のセシウム吸収がコシヒカリに比べて、抑制されていました。
  4. Cs低吸収コシヒカリの生育特性や収量はコシヒカリとほぼ同等で、コシヒカリと同じ方法で栽培できます。また食味もコシヒカリとほぼ同等です。
  5. セシウム吸収を抑制する遺伝子(OsSOS2の変異)を簡易に検出できるDNAマーカーを開発しました。このDNAマーカーの活用により、コシヒカリ以外の品種にも放射性セシウムを吸収しにくい性質を効率良く付与することができます。
  6. 本成果は英国科学雑誌「Scientific Reports」(2017年5月25日発行)のオンライン版に掲載されました。
        
      低Csイネjpeg

      


ホームページは

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/075645.html



投稿原著論文は
Satoru Ishikawa, Shimpei Hayashi, Tadashi Abe, Masato Igura, Masato Kuramata, Hachidai Tanikawa, Manaka Iino, Takashi Saito, Yuji Ono, Tetsuya Ishikawa, Shigeto Fujimura, Akitoshi Goto & Hiroki Takagi (2017) Low-cesium rice: mutation in OsSOS2 reduces radiocesium in rice grains. Scientific Reports, 7, 2432.
doi:10.1038/s41598-017-02243-9


(森敏)


付記1:

この研究は福島第一原発事故後の2年後ぐらいから農研機構の石川覚グループで行われていたもので、まさに画期的な成果です。小生は福島第一原発事故後の学術会議主催のシンポジウムで2回にわたって水稲根のセシウムの細胞内への膜輸送にはカリウムのトランスポーターが使われている可能性が高いので、カリウムのトランスポーターが働かなくなったイネの量子ビーム変異株をスクリーニングして低セシウム吸収イネを作出すべきことを提案していました。当初は皆さん「またモリビンがほらを吹いている」という冷たい雰囲気でしたが、日本土壌肥料学会では、その後石川覚グループが量子ビーム育種で、秋田県立大では頼泰樹グループが変異原(アジ化ナトリウムやMNU)を用いてスクリーニングを行って該当遺伝子を同定しています(これらの遺伝子破壊株はカドミウムの場合のようにほぼ100%セシウムを吸収抑制するわけではないということですが)。今回の農研グループの成果はカリウムトランスポーターの破壊株に関する発表ではないですが、先駆的な新種の発明であることは間違いありません。今後、カリウムトランスポーターであるHAKやAKT1などの破壊株の低セシウムコシヒカリの発表が続くものと大いに期待されます。(森敏 記)

 

付記2:

小生は今回の福島第一原発事故後の研究者の在り方として、単にチェリノブイリ原発事故で世界の研究者が明らかにしてきた事の追試的な研究ばかりでなく、サイエンスとして新しい観点からの発明や発見があるべきだとずっと主張し続けてきました。今回の農研機構・岩手生物工学センター・福島県農業総合センターの共同研究の成果は、まさに小生の提案に沿う成果であり、高く評価したいと思います。
 
付記3:過去の農研機構・東大との共同研究による「量子ビーム変異を用いた低カドミウム米の開発に成功」は以下のWINEPホームページとWINEPブログを参照ください。

  WINEPホームページ: http://www.winep.jp/news/153.html

  WINEPブログ:2014/05/14 : 中国の広大なカドミウム汚染土壌に、日本の無・カドミウム米「コシヒカリ環1号」を


2017-05-26 11:32 | カテゴリ:未分類

反原発・細川牧場裁判支援の皆さんへ

くつざわ(支援する会事務局)

 

いよいよ614に原告本人を含め4人の方の証人尋問が行われます。

 

日時場所:614(水)午後1:30から430 東京地方裁判所806号法廷

 

証人は、馬場さん(獣医学者として馬の価値など)、庄司さん(元農協職員として細川牧場の馬の頭数など)、齋藤さん(福島のにぐらや牧場経営者、当時の被害、細川牧場の馬の価値など)、細川さん原告の順で尋問です。

 

1年ちかく和解協議を続けてきましたが、被告東京電力が馬の価値を認めず賠償額を極めて低くするかたくなな態度をつづけたため、決裂。公開の法廷で、証人調べにより、損害の立証をすすめ判決を取りに行くしかなくなりました。

 

飯舘村は、高線量にもかかわらず避難地域解除=帰還強要=被ばく強要がすすめられ、これを安倍政権は「復興」と称して原発被害を過小評価しています。今も続く原発被害を明らかにし、細川さんの正当な損害賠償を認めるとともに、すべての原発被災者の要求実現をめざしましょう。

 

傍聴席を埋めることで、細川さんを励まし、支援しましょう。お誘いあわせの上、ご参加、お願いします。

 

   

(森敏)
孤高な裁判闘争を余儀なくされている細川さんの、「馬の大量死」に関する過去のWINEPブログの関連記事は以下の通りです。


 

2017-04-05 08:30 | カテゴリ:未分類
1.

以下のようにわれわれの放射線像がフランスのル・モンド紙に掲載されました。ル・モンドの電子版にはもっと詳しい画像が載っています。

 
rumonndo.jpg 



写真の説明文は:

日本人フォトグラファー加賀谷は2011年から福島第一原発から半径40キロ以内の飯舘村や浪江町を調査している。2011年3月11日に起きた大災害の後、このゾーンは政府の指示により完全に避難区域となっていた。東京大学の生物学者森敏とともに、オートラジオグラフィーと呼ばれる技術を発展させ、現地調査で集めた汚染された植物、動物、様々な日用品から環境中の”目に見えない”放射性物質を可視化している。オートラジオグラフィーは放射線を発する物質から、光学的なプロセスによってその放射線を白と黒で浮かび上がらせる映像技術である。



2.

また、加賀谷雅道カメラマンは現在イギリスでの ”FORMAT国際写真祭” に参加して「放射線像」の展示を行っています。

写真展は次のような日程になっております。
FORMAT international photo festival
www.formatfestival.com
24 March - 23 April 2017
Derby UK

igirisu.jpg 加賀谷氏の作品展示の様子
2017-03-26 21:56 | カテゴリ:未分類
原発事故で住民が避難したあとの民家の庭には、観賞用の草花の種が毎年稔っては散り、稔っては散り、雑草も交えていろいろな草花が繁茂している。その内の一つにコスモスがある(図1)。

 

       コスモスを刈り取ってきて、放射能を測ってみると、意外に花の部分にも強い放射能が検出された。そこでオートラジオグラフをとってみたら、見事に全身の放射能が撮像された(図2,図3)。コスモスの葉の幅はわずか2-3ミリと細いのだが、くっきりと写しだされた。
 
スライド1 
図1.民家の庭のコスモス 黄色い紙の上はこぼれ落ちたコスモスの種をセロテープに貼り付けたもの

 

       スライド1 
 
 
   
 
図2.図1のオートラジオグラフ。
赤丸内部は、落ちこぼれた種子をかき集めてセロテープに貼り付けたもの。

  
    
  

  
スライド2 
 
図3.コスモスのオートラジオブラフ。図1のネガテイブ像
 

 
 

 
 
表1。コスモスの部位別放射能濃度 
コスモス放射能jpeg  

 
   
  少し細かく組織をわけて放射能を測定したら、細い葉が一番強く汚染しているのだが、種子も茎と同ていどに高濃度に汚染されていた。図2や図3で、どの株も花の部分が強く汚染しているように見えるのは、花器には種子がごっちょりとついて放射線(ベータ線)が重なって撮像されているからである。図2と図3の左下に赤丸で囲んでいるのは、一つ一つの種子である。これら一粒ずつがくっきりと感光していることがわかる。つまり、これまでもこのWINEPぶろぐでも幾度となく述べてきたように、セシウムは次世代に移行する。
 
       現在 住民が避難して居ないので、コスモスは原発事故以来毎年タネを付けてはそれを周辺土壌に落下させて、また翌年に発芽させてきたことになる。コスモスは栽培種であるので、根からの養分吸収力(吸肥力)がつよく、根が浅いので絶えず表層の放射能汚染土壌から放射性セシウムを容易に吸収してきたものと思われる。避難する前の住民がカリを含む肥料をこの庭土に撒いていたとしても、5年間もこの庭で草花が生々流転(吸収枯死分解)を繰り返せば、すでにカリの効果も少なくなって野生に近い土壌条件になってきているのだろう。
 
 子細に見ればコスモスはいろいろ形態的な変異を起こしているに違いないのだが、いかんせん普段の正常な姿が小生の頭にはないので、異常かどうかがわからないのが、我ながら情けない。

 
       
(森敏)

2017-03-20 08:02 | カテゴリ:未分類
3月11日と12日に浪江町に調査に入った。以下はその寸景である。



スライド2
 

図1.今はせせらぎが枯れている民家の池に建つビーナス像。 全身に放射能を浴びたまま。津島地区。
 


スライド4 

図2.民家のガラス戸にやるせない怒りと、東電(TEPCO)に対する皮肉の抗議の張り紙。文面を書き写すと以下の内容が読み取れた。津島地区。


今年は梅の花はまだ開花せず

「主なしとて

春を忘れるな」

平成二十四年四月一日  
      一時帰宅

 

 

お盆墓参り
 暮れてなほ

  命のかぎり

   蝉しぐれ

平成二十四年八月十四日

   一時帰宅

TEPCO(東電)のどくろマークの幽霊の絵)

 

 

I Shall Return !!

老兵は死なず。
いつの日か必ず
この地に帰る。
放射能如きに
負けてたまるか。

 平成25年3,3 一時帰宅

 
 

 

今日も暮れゆく

 仮設の村で
友もつらかろ

せつなかろ
いつか帰る日を想い

   一時帰宅

  平成二十五年五月

 

 

二本松八時出発

ここはお国の何十里

離れて遠き二本松

開戦記念 平成二十五年十二月八日 
  一時帰宅

まもなく三年

来年は良い年であるように

 

 

内部被ばくの「ヘビ」

法により食する事を禁ず

     環境(庁)省

(この窓ガラスの内側下に3匹の蛇のおもちゃを設置)

 

 

放射能体験ツアー

大募集中!!

楽しいホットスポット巡り
     東電セシウム観光

 

 

まもなく3

大雪里帰して

帰りたい残念

泣くな嘆くな

男じゃないか 
  平成二十六年三月九日

同行甲田新聞

谷記者隈崎カメラマン

 

 

津島の山も今日かぎり 
国をすて家も
すて、
愛しき皆々様とも

別ればなれとなる

門出だ

 平成二十八年十一日(五年)

 津島の事は次世代べ

 

 

仮設でパソコンできるのも

東電さんの

おかげです

仮設で涙流すのも 
東電さんのおかげです

東電さんありがとう

十二月十二日


     
 
スライド1  

図3.雪解けの春。いのししの足跡。 
   
 
スライド9 

図4.6年間で一面に繁茂した牧草地の「おのえやなぎ」の冬枯れのすがた。除染企画書どおりに、道路肩から20メートルだけ切り倒した跡 
    

   

スライド7 

図5.イノシシが跋扈して掘り繰り返した厩舎横の牧草地  
    
 
 
スライド2 

図6.放置された厩舎。 右上の添付のかこい写真は温度計。正常に室温7度を示していた。


   
スライド8 

図7.なぜかマツの木のみが倒れて散乱している。放射能の空間線量は毎時9.5マイクロシーベルト。
放射能雲(プルーム)はこの山にもろにぶつかったと思われる(小丸地区)

    

 
 
スライド3

図8.静謐な濃紺の水をたたえた大柿ダムの湖面。道路橋から望む。向こうの湖畔中央部に白馬がいれば、まさに東山魁夷の日本画の世界。手前の湖底は沈下橋。湖岸は毎時2.7~5マイクロシーベルト。 
  

 
スライド10 
 
図9.道路の暖かい南斜面に、早くも咲き始めたフキノトウ。春はすぐそこだが。。。。。地表面は毎時8マイクロシーベルト。
  
  
  
    
(森敏)
 
追記:読者から図7について、なぜマツがやられているのかについて、
  
「放射性物質が大木を枯らすというのは大変なことだと思います。どのようなメカニズムが考えられるでしょうか。」
というご質問をいただきました。
   
この点に関しては、ずっと小生も疑問を抱いてきたところです。これまでも以下のブログでいくつかの現象的な事例を枚挙してきました。
   
日本のガンマフィールドの研究者からマツは、ほかの木本よりも細胞の核が大きいので染色体が放射線によるダメージをうける確率が高いという説が有力なようです。
    
放射線影響を否定したがる研究者からは、マツノザイセンチュウの影響だろうという反論がいつも直ちに出されます。
放射線で細胞が弱体化して環境ストレスに対して抵抗力が低下しており、マツノザイセンチュウにやられやすくなっており、このセンチュウの寄生によって、導管がふさがれて、水分の吸い上げができなくなり頂点から枯れていく、最後に倒木する、という流れも否定できません。しかし林業研究者で放射線量が高い場所で、松の倒木が集団で起こっているところのマツのセンチュウやその媒介昆虫の生息数を数えるような、奇特な研究者はいないようです。
    
なお、倒木前のマツは概して多くの松かさをつけるようです。擬人的に考えれば、枯死する前に急いで子孫を残そうとしている適応現象なのかもしれません。
  



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