2016-07-25 08:52 | カテゴリ:未分類

「先輩、お久しぶりです」

 

『いや長生きしちゃったよ。こんなに長生きすると思わなかったもんね。昔は55才ぐらいまで生きれば御(おん)の字だと思っていたもんね』                                                                         

 

「今どきはなかなか簡単には死なせてくれないですよ。どうやってこっそり死のうかと、日々頭がいたいですね」

 

『ひとりが年間3500万円もするオプジーボで健康保険適用で肺がんの年寄りが長生きできるかもしれない時代になっちゃった。実際それで助かってる友人もいるんだ。そのおかげで95才が100才まで生きられる世の中なんて、むちゃくちゃ税金食っちゃってほんとに若い世代に悪いよなー。国家財政が破綻してしまう。いや、もう実態は破綻してるんだけどね』

 

「ほんとにね! 老人が近代医療で長生きするのが <気が引ける> 世の中になっちゃったですね。だから自分で安楽死の装置を操作しても良い、ということを真面目にオランダのように日本でも法律で認めるべきだと思うよ」

 

『いやー、おれも前立腺ガンなどやったのでいろいろ考えさせられてんだ。最近そんなんでなく、一銭もお金がかからない死に方ってあるんだと気づかされたよ』

 

「ほんとに? どんな?」

 

『実は話せば簡単なんだ。高齢な老人がまだ健全な意識のあるうちに20日以上水だけ飲んで断食するんだ。確実にハッピーに自然に死ねるんだそうだ。「鑑真和上(がんじんわじょう)」とか生き仏になった高僧はそうだったんじゃないか? 実は知人の知人が最近それを実践したんだという話だ。もちろん誰にもそんなこといっていないでだよ。きれいな死に顔だったそうだよ。苦しまなかったと言うことだ。 どうだ? 理想的な死に方と思わないか? 現状では医師がそれをやると自殺幇助になりかねないから、病院じゃ無理だけれどね』

 
「そうかぁ、それは考えなかったナー。しかしそういう死にざまを20日間も黙ってみていなければいけなかったご家族も、相当な覚悟が必要だったんじゃないですか。本人も悟りをひらかないとできないことだと思われますね。ぜひ断食による自然死の具体的な経過を、それを目撃したひとには勇気を持って世の中に紹介してもらいたいですね。<本人の堅い宗教的信念による断食> ということで、宗教家ならば「信教の自由」ということでいまでも許されていいのかもしれないですね」
 
「断食による自然死のすすめ」なんて本のタイトルで、後期高齢者には案外ベストセラーになるんじゃないか』

  
        
(喜憂)
追記1:1974年にノーベル生理学医学賞を「細胞の機能と構造に関する発見」で受賞したベルギーのクリスチャン・ド・デイユーブは、1917年に96才で子ども達に見とれながら安楽死したと報じられている。よくよく悩んだ末の大科学者らしい生き方だと思う。
 蛇足だが、クリスチャン・ド・デイユーブは動物の細胞内顆粒である「ライソゾーム」を発見した。その研究に触発されて1970年代後半に植物の液胞の徹底した電子顕微鏡による形態学研究で研究で、小生達(西澤直子・森敏)は植物の液胞形成がオートファジーとヘテロファジーによることを明らかにした。
(2017年2月8日 森敏記)
追記2:その後「わが死生観」というテーマで、宗教学者の山折哲雄氏(国際日本文化センター名誉教授)が話した内容が、学士会が発行するNU7という雑誌に掲載されている。そこでは高僧たちは「断食往生」していたと述べられている。「自然死」というよりはこの昔からある「断食往生」という言葉のほうがなんとなく解脱して死を選択する状況にふさわしいですね。(2017年7月6日 森敏記)

 

2016-04-23 11:03 | カテゴリ:未分類

BS1スペシャル「原発事故 5年目の記録」
5
1日(日)午後7時~「(前編)被曝(ばく)の森」
5
1日(日)午後8時~「(後編)無人の町は今」

今年3月放送し、大きな反響を得たNHKスペシャル「被曝(ひばく)の森」の大幅な拡大版。福島第一原発事故によって7万人の住民が避難を強いられ、生じた広大な無人地帯。広さは東京23区の1.5倍に及ぶ。人の姿が消えて5年、いま何が起きているのか―。世界中の科学者たちが調査を続けている。高濃度の放射性物質に汚染された“被曝(ばく)の森”。そこに生きる生物への影響は…?人が消えた町で大繁殖する野生動物。人を恐れぬ新しい世代の生態とは…?“知られざるFUKUSHIMA5年目の記録。前編は放射能影響の謎に迫り、後編は無人の町の今を見つめる。
【語り】礒野祐子

 


去る3月6日に放映されたNHKスペシャルに関しては20人以上の方から、メールと手紙で熱のこもった感想をいただきました。それらを個人情報を伏せて、NHKデイレクターに送りました。

  

今回のBS1スペシャルは、さまざまな視聴者からの意見を取り込んで前編と後編に分けて、前回の二倍量の2時間番組として作成しているようです。

 

小生(森敏)らが登場する部分は前回とあまり変わりばえがしないとのことです。なので、もし『放射線像』に関してさらに詳しいことがお知りになりたい方は、小生が先日文京区の学習会で講演した内容が以下のu-tubeで公開されていますので、お時間のある時にご笑覧ください。ただし全部で2時間半の長丁場です。

文京区アカデミー茗台学習室Aにて 13:25開会
動画(UPLAN提供)
 
    
映像:https://youtu.be/mih1FzATQco?t=30m20s

    

映像(質疑応答)

https://www.youtube.com/watch?v=DA778KBNj9o

  

        

 (森敏)

付記1: よろしければ、以上の情報をお知り合いに拡散してください。
 

 付記2:BS1の前宣伝のために5月1日までWINEPブログを休載いたします。

追記1: BS1スペシャル「原発事故5年目の記録」前・後編はその後 6月4日に BS1で再放映されたとのことです。(6月10日記)

 

2016-03-28 10:20 | カテゴリ:未分類

中西友子東大教授(農学生命科学研究科)が2016年度のヘベシー賞を受賞した。

「生物学分野でのラジオアイソトープ・イメージングの研究」と「東電福島原発の事故の農学関連への主導的役割」が授賞理由である。授賞式はハンガリーのブダペストで4月10日から15日に開催されるInternational Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry (RANC-2016)で行われる。

    

ヘベシー(Hevesy)はハンガリー出身の科学者で1943年ノーベル化学賞を受賞している。この賞は Hevesyの栄光を記念して1968年に創設されたものである。この賞はこれまで日本人としては Suzuki Nobuo氏 が受賞しているのみで、中西友子教授の受賞は2人目である。

   

私見では2つの授賞業績理由のうちの後者(社会貢献)に関しては下記の2冊をSpringer社から編集刊行し、これを無料でダウンロードできるようにしたことも大きい理由ではないかと思われる。世界のジャーナリズムや研究者がこれらの英文の著書を通じて、東電福島第一原発事故で飛散した放射能の農業へ影響の実情をまとまって知ることができる。他にこれまで膨大な数の原著論文が日本からは英文で発信されているが個々の専門的研究分野の雑誌に限定されているものが多い上に、事件発生当初は、緊急性にかんがみ、日本人に向けての日本語の論文が非常に多かったからである。
     
     

1.Agricultural Implications of the Fukushima Nuclear Accident .(Tomoko M Nakanishi, Keitaro Tanoi 編集.  Springer Open Access 全204) 2013年刊行

2.Agricultural Implications of the Fukushima Nuclear Accident. The first three years.(Tomoko M Nakanishi, Keitaro Tanoi 編集. Springer  Open Access 全203頁) 2016年刊行

     

実におめでたい。

 

   

(森敏)
 
付記1: 以下に学会事務局から広報されている。
 
ANNOUNCEMENT OF THE HEVESY MEDAL AWARDEE 2016

The Hevesy Medal Award Selection Panel 2016 (HMASP-16) is pleased to announce that Professor Tomoko M. NAKANISHI (atomoko@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp) of the Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo, Japan, has been selected to receive the Hevesy Medal Award 2016 (HMA-16) in recognition of her work in radioisotope imaging in botany and her leadership in the agricultural consequences of the Fukushima nuclear accident.

The Hevesy Medal and a Scroll will be presented to Professor NAKANISHI at the International Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry (RANC-2016) to be held in Budapest, Hungary during 2016 April 10-15.

::::::

The George Hevesy Medal Award is the premier international award of excellence in radioanalytical and nuclear chemistry. It is named after George de HEVESY (1885-1966) who received the Nobel Prize for Chemistry in 1943 for his work on the use of isotopes as tracers in the study of chemical processes. The George Hevesy Medal is awarded to an individual in recognition of excellence through outstanding, sustained career achievements in the fields of pure as well as applied nuclear and radiochemistry, in particular applications to nuclear analytical chemistry. Established originally in 1968 by Professor Tibor BRAUN, Editor-in-Chief of the Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry (JRNC), the Hevesy Medal Award was given 19 times during 1968-86. This Award was reactivated in 2000 by Professors BRAUN and CHATT. It is sponsored by JRNC, administered as well as adjudicated by the JRNC Board of the Hevesy Award. The Award has no monetary value. The George Hevesy Medal Award comprises an engraved bronze medal in a presentation case and an ornamental scroll, which are presented at a major international radiochemical conference being held in the year of the award.

 

付記2:中西友子教授は今年3月末で定年退職される。 

付記3:みなさま、タンポポの奇形観察お忘れなく。
2016/03/10 :
タンポポの奇形をお見逃しなく :観察次第ご連絡ください (クリックどうぞ)

 

2016-03-22 21:10 | カテゴリ:未分類

裁判官らが避難区域3町で検証 「生業を返せ」福島原発訴訟
          

 東京電力福島第1原発事故による県内外の被災者約4000人が、国と東電に原状回復や慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟で、福島地裁の金沢秀樹裁判長らは17日、全域が避難区域となっている浪江、双葉、富岡の3町を訪れ、被害の現状を検証した。原告側弁護団によると、全国の20を超える地裁で起こされている原発事故をめぐる訴訟で現地で検証が行われるのは初めて。

 検証は審理の一環として行われ、金沢裁判長と裁判官2人を含む計約80人が参加した。この日の検証の結果は証拠として扱われ、判決に向けた判断材料となる。原告側が「現場に行き、被害を五官で感じることが必要」として地裁に検証の実施を求めていた

 金沢裁判長らは川俣町山木屋地区を経由して浪江町に入った。

 全身を覆う防護服に着替えた後、居住制限区域の同町立野にある、畜産業の原告の自宅を訪れ、動物の侵入や雨風によって荒れ果てた住宅や、震災当時150頭の牛がいたという牛舎を見て回った。

 双葉町では、JR双葉駅から荒廃した店が並ぶ商店街を歩き、帰還困難区域の原告宅を訪れた。第1原発から北西約4キロの位置にあり、自営業を営んでいた双葉町長塚の福田祐司さん(67)の自宅前に近づくと、裁判官らが持っていた線量計の警戒音が一斉に鳴り始めた。その中で福田さんは、自慢だった庭園や、動物に荒らされた自宅の様子を説明した。裁判官らは放射線量が高く、原則立ち入り禁止となっている住宅内部の被害状況などを確認した。

 富岡町では道路1本を境に、帰還困難区域と日中の立ち入りができる居住制限区域に分けられた現状を見た。

 検証には国、東電側の代理人らも同行した。

 原告側は福島市の仮設住宅など中通りでの検証も求めており、次回5月17日の口頭弁論で実施が正式決定する見通し。
20160318 0810分 (福島民友)
   
  

上記、福島民友(福島民報にも同じ記事が掲載されている)に、原発訴訟で担当裁判官が放射能汚染現場にでかけて実況見分を行っているという記事が出ている。線量計を持って防護服を着ての、実地検証ということである。現場を訪れて、その場の4次元の空気(雰囲気)を五感で感じ取り、測定計器でその場で定量的な値を得るということは、科学者ならあたりまえのことである。ところが実に不思議なことであるが、日本の裁判官は、「書面審査」と「証拠物件」と、「証人尋問」で最初から最後まで貫き通すことがほとんどである。小生のこれまでのいくつかの公害裁判にかかわった経験からの感想では、裁判官が現場検証をあまりしたがらないのは「現場に出かけて稚拙な質問をして恥をかきたくない」という間違ったエリート意識からくるもではないかと思われる。

      

現場検証では、文字化されたり図面化されたり、写真にとられたりして、人為加工処理された(なんらかのフィルターにかけられた)裁判用の原告や被告から提出された証拠類では、本当に明らかにされていない事象が浮かび上がってくる可能性が大いにある。なので、本来ならばどんな裁判でも、裁判官自身による「現場検証」は必須であると思う。

   

今回原発裁判では初めて現場検証が行われたとのことである。この報道を聞いて小生には「原発裁判もやっとここまで来たか」と感慨新たなるものがある。

     

ここからは蛇足で、私事になるが、小生は15年前ごろ、東京理科大学の専門職大学院(MOT)で2年間客員教授を務めたことがある。ここでは社会人が多額の年間授業料を払って、仕事がはねてから午後6時から午後9時までの授業を各人がパソコンを持ち込んで熱心に聴講していた。その中に、女性の司法研修生がいた。小生の授業は主として土壌・食料・健康・環境などに関してであったのだが、若いころいくつかの公害裁判にかかわった経験から、ダイオキシン、水俣病、催涙ガス、カドミウム中毒、DNA鑑定、農薬汚染、放射能汚染などの公害問題も講義した。理系の知識が必要であったが、彼女はよく食いついてきていたと思う。現代裁判は理系の知識がなくては判断ができない場合が多いので、極力若い時に裁判官候補生は機会をとらえて、自然科学的知識を積極的に取り込んでおくべきだ、裁判官自身による現場検証が非常に重要である、ということを彼女には強調したつもりである。

    

最近、テレビや新聞では科学鑑定を争う裁判にも陪席裁判官や裁判長に女性が起用されている場合が多くなっている。名前と顔をすっかり忘れたが、そのうちの誰かは当時の彼女であるかもしれないと思うことがある。
    
(森敏)


付記:みなさま、タンポポの奇形観察お忘れなく。
2016/03/10 : タンポポの奇形をお見逃しなく :観察次第ご連絡ください

 


2015-10-07 23:10 | カテゴリ:未分類

今回の大村智先生のノーベル賞受賞のインパクトは、生物界における土の「微生物」の存在の重要さを、人々に再確認させたことだと思う。学校教育での中でも病原菌の事は取り扱われているが、地球上の生物界には「動物」「植物」「微生物」があることをきちんと教えているところは皆無だろう。小生が農芸化学科に進学して、当時の1年半に渡る学生実験で一番印象的であったのは『微生物実験』であった。坂口謹一郎先生や有馬啓先生によって編集されたといわれる実験書はいまでも実用書として使える。無菌操作、各種の菌の分類と分離同定法、菌の培養法、カップ法による放線菌のペニシリンの力価(りきか)の測定法など3か月を掛けた微生物実験はたなかなか充実していた。

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以下大村語録です。

ヒトのマネをするとその人をこえることは絶対あり得ない」(科学新聞10月6日号)
 

「自分の能力が人より劣っているとは思わなかったです。普通東大を出れば、大学院に行って5年も経てばドクターを取る。私は5年もかかってマスター(さらに5年後に薬学博士、7年後に理学博士)。この遅れを取り戻そうという気持ちはいまだにありますよ。::::::33歳で北里大薬学部の助教授に。だが、一段落すると研究が手につかない日が続いた。『負けない、負けない』の一心で、ちょっとおかしくなっちゃったんだよな。眠れない、目まいがする。そうしたら家内がわたしを精神科へ連れて行った。おいしゃさんが『これは仕事のしすぎです。パチンコかゴルフ、どちらかをやりなさい』と。それでゴルフを始めました。(週刊文春10月22日号)



私は微生物がやってくれた仕事を整理しただけです」 (2015.10.5.記者会見)

   

「微生物と付き合っていくと、まだまだいろんなことがわかる。微生物は人類に様々な良いことを提供してくれると思う。」(読売新聞2015.10.6.)

 

:::::::

微生物探しに何かコツがありますか。

「無いね。そんなのあったらもっと見つけてるよ。ただね、10カ所で土を取ってくるとする。求めていない人はその辺で適当に土を取ってくる。やる気がある人は、ちょっとでも環境の違いそうな場所から集めてくる。その違い。」:::::(世界救う発見「求めなければ授からない」 (大村さんノーベル医学生理学賞 一年前本紙に語った理念 東京新聞2015.10.7.)

 

農家の長男出身と問われて

農業は科学者がするものです。温度を測ったり、お天気を調べたり。。。だから

(有用物質探索のために)土を採取する私の研究は農業の延長線上のものです。」

(NHK「クローズアップ現代」2015.10.7.)

 

信条はと問われて

幸運は強い意志を好む」(英語でどういったのか早口で聞き取れなかった)

NHK「クローズアップ現代」2015.10.7.

 

「成功した人は失敗をなかなか言わないが、人よりヘマをしていると思う。やりたいことをやりなさい」(2015.10.8.記者会見)

 

やっぱりチャレンジ精神ですね。「これをやってみたいな」と思ったら、失敗を恐れないこと。私なんか、はるかに失敗したことの方が多い。失敗は論文には書けない。成功しか書けないです。でも失敗が重なって成功が現れるのです。恐れてはだめです。(読売新聞利根川氏との電話対談 読売新聞 2015.10.6.)

 

小さなことでもよいので、人のためになることは素晴らしいことだと学んでほしいと思います。なんでもよいので、人のためになることが自分の幸せだと思ってもらいたいですね。(読売新聞利根川氏との電話対談 読売新聞 2015.10.6.)

 

「本業は科学だが、滅入った時には絵があった。私の中では、美術と科学は補完し合っていた」(毎日新聞2015.10.6.)


「大村先生は「科学も芸術も感性の世界だ」と言っていました」 富士吉田市吉田の画家 桜井孝美さんの伝。桜井さんの絵を10枚買い上げて病院に飾っている(読売新聞山梨版)とか。。
 
山梨科学アカデミーを創立支援している意図について
「たとえてみれば、山梨県からビル・ゲイツが一人でればいいんですよ
        NHKローズアップ現代 2015.10.9.


(野依・大村の2人が対面するのは)受賞決定後初めてで、野依さんが「先生は多くの人を感染症から救い、人類に幅広く貢献した。医学生理学賞を超えて平和賞がふさわしい」とたたえると、大村さんはアフリカでほぼ全員が熱帯病に感染している村を訪問した話を紹介。「平和賞ものだと思った」と冗談交じりに当時の感動を打ち明けた。(201510.10.共同)
   

――――――――――――――――――――――

ついでに、

 

 かたえくぼ

「ノーベル医学生理学賞」

土遊び させます

-教育ママ

(福岡・ぶらジッジ。朝日新聞2015.10.7.)

 

何気なく 踏んでた土に 触れてみる

千葉県 白井幸男 (朝日新聞2015.10.7.)

 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(森敏)
 
付記1:今年2015年は今後100年に一回と回ってこない国連が決めた「国際土壌年」である。増大する人口や科学技術の発展が土壌に過剰なストレスを与え続けており、土壌が持つ緩衝能をはなはだしく劣化させている。近未来の食糧・健康・環境の崩壊(カタストロフィー)が危惧されているからこの「国際土壌年」がわざわざ国連で定められたのである。大村智先生のノーベル賞受賞は、微生物学や天然物化学からすればきわめてオーソドックスな手法の成果であるが、改めて、土壌が有用微生物の宝庫であるこということを大衆ばかりでなく、われわれ農学者にとっても再認識させる機会となった。上掲の川柳 「なに気なく 踏んでた土に 触れてみる」 は大村智先生の精神を凝縮して表現したものだと思う、と同時に「国際土壌年」のキャッチフレーズにしてもいいくらいの名文句であると思う。
   
付記2:東大の肥料学研究室(現在は植物栄養・肥料学研究室)出身の大先輩である太田道雄先生は山梨大学教授の時に山梨大学付属小学校の校長も務めておられた。先生は土壌学と肥料学の権威であられたが、小学校の朝礼では、一握りの土を高く掲げて 「皆さん、この一グラムの土の中にいったいどれくらいの微生物が生きていると思いますか?」 という設問を生徒達に投げかけて、フレミングがペニシリンをワックスマンがストレプトマイシンを土の微生物から分離し結核を退治したことなどを話し、子供たちに土は生きているという事を身近に感じてもらっていたということであった。今回、大村智先生が山梨大学出身と知って、直ちにこの太田先生直伝の話を思い出した。太田先生は大村先生が得意とするスキーのベテランでもあった。山梨大学学芸学部生時代や後の助手時代の大村氏と太田道雄教授の接点があったかどうかは知らないが。
 ちなみに太田道夫先生は山梨大学教授時代に、山梨県の富士見土壌の水田で「水稲の珪酸欠乏症」を世界に先がけて発見し、「珪酸肥料」を開発し、日本の水稲の収量水準を大幅に向上させた偉大なる人物です。現在では珪酸肥料の施用は世界の水稲栽培では必須です。このことは以前にも述べたことがあります。桂化木からの断想 (どうぞクリックしてください)
 
追記1:以下に農芸化学会から大村智先生関連論文のネットアドレスが送られてきた。大村先生は農芸化学会の名誉会員です。これらにアクセスすると多少専門的になりますが、大村先生グループの多角的・体系的研究展開の内容がよくわかります。
(2015.10.10. 記)

日本農芸化学会誌 71巻 530頁~534頁(1997)
抗HIV活性を有するgp 120-CD 4結合阻害剤
田中晴雄、松崎桂一、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/71/5/71_5_530/_article/-char/ja/
 
化学と生物 8巻 139頁~150頁(1970)
微生物の生産する大環ラクトン化合物? マクロライド (Macrolide)
大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/8/3/8_3_139/_article/-char/ja/
 
化学と生物 12巻 787頁~794頁(1974)
抗生物質セルレニンの脂質代謝阻害作用
大村智、栗谷寿一
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/12/11/12_11_787/_article/-char/ja/
 
化学と生物 15巻 309頁~315頁(1977)
マクロライド抗生物質の生合成 (1)
大村智、竹嶋秀雄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/15/5/15_5_309/_article/-char/ja/
 
化学と生物 15巻 381頁~386頁(1977)
マクロライド抗生物質の生合成 (2)
大村智、竹嶋秀雄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/15/6/15_6_381/_article/-char/ja/
 
化学と生物 15巻 447頁~453頁(1977)
マクロライド抗生物質の生合成 (3)
大村智、竹嶋秀雄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/15/7/15_7_447/_article/-char/ja/
 
化学と生物 23巻 379頁~385頁(1985)
抗ウイルス抗生物質スクリーニングの展望
岩井譲、志水秀樹、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/23/6/23_6_379/_article/-char/ja/
 
化学と生物 32巻 463頁~469頁(1994)
微生物の生産するインドロカルバゾールアルカロイドスタウロスポリンを中心に
岩井譲、李卓栄、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/32/7/32_7_463/_article/-char/ja/
 
化学と生物 34巻 761頁~771頁(1996)
微生物2次代謝産物生合成の機能的改変による有用物質の生産
池田治生、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/34/11/34_11_761/_article/-char/ja/
 
化学と生物 40巻 694頁~700頁(2002)
放線菌
池田治生、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/40/10/40_10_694/_article/-char/ja/
 
化学と生物 44巻 391頁~398頁(2006)
放線菌ゲノム解析を応用した有用物質生産系の構築
池田治生、大村智
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/44/6/44_6_391/_article/-char/ja/
 

追記2:老人には、エバーメクチン、イベルメクチン、メクチザン、オンコセルカ症などと専門用語を覚えるのが大変だ。
 
追記3:どこかの川柳選考会で
  
おれよりも役に立ってる微生物
というのが選ばれていた。シャイな微生物が表舞台に出てきたのは非常によかったと思う。これからは教科書でも、大村先生をきっかけにした題材で、微生物の項目を入れてもらいたいものだ。(2016年2月21日記)

 

 

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