2010-11-28 11:18 | カテゴリ:未分類

“事業仕分け”に怒り心頭の「科学新聞」

    
   

科学新聞11月26日(3318号)は、珍しく民主党政権の科学技術に対する事業仕分けに、明確な批判を展開している。日頃は物静かなこの新聞が、これ以上黙っておれない、という雰囲気が伝わってくる一面トップ記事である。以下の大小の見出しである。

  

事業仕分け第3弾後半

宇宙関係予算以外は厳しい結果。

  

文部省関連

競争的資金など対象

若手研究者に不安拡大

  

解説

振興調整費がやり玉に。

  

全文で24000字の記事であるが、例示として、以下に本文の一部を引用する。
   

・・・・・大学関連事業では、7事業が対象になり、いずれの事業も厳しい評価結果になった。7000人が雇用されているグローバルCOEプログラムは、3分の一縮減という第1回事業仕分けの結果を着実に実施するよう求めた。もし仮に実施されれば、所信表明演説で「雇用」「雇用」と訴えていた菅総理が新たな失業者を生み出すことになる。・・・・

・・・大学関係予算は、自民党政権で厳しい状況にあったため、民主党政権では充実するのではという期待が高まっていたが、それだけにこうした判定への大学関係者の不信感は大きい。

     

  

思うに、大学関係者は構成員の意見が“百花争鳴”で、特定のイデオロギーで団結した宗教団体や共通の利益を追求する業界団体とは異なって、「大学人という一色の圧力団体」にはなかなかなり得ない。したがって政党人は大学関連予算の増額にあまりシンパシーを抱いて、努力くれないのである。

      

つまり、仮にある議員が大学関連予算獲得に頑張っても、それが自分や党の票に結びついていないと思っているのである。であるから、事業仕分け人にとって、マスコミにたえず派手なパフォーマンスを行っている科学技術部門にお金を付けるぐらいしかしか、予算の査定の判断基準がないのではないかと思いたくなる。

         

  学術に対する長期展望を失った、こういう微分的なパフォーマンス政策を続けていくうちに、日本の科学技術は確実にやせ細っていくだろう。
     
    
  この同じ「科学新聞」の最終面には連載で
科学技術振興機構顧問 中国総合研究センター上席フェロー である沖村憲樹氏が
    

脅威の躍進 中国の科学技術」 というタイトルで紙面の4分の一を使ったコラム記事を書いている。この記事を読むと、中国が長期計画に沿って大学を中心とした国際的な人材獲得と産・官・学が共同で科学技術のレベルアップに全力疾走していることが、明らかである。
   
    ひるがえって我が国を見ると、政権や内閣がころころ変わるうちに、予算が削減され、日本の大学の質の向上が維持できなくなり、国際的に取り残されて行く様子が深刻である。

       

      

(森敏)

                

付記:躍進する中国の大学の「大学評価システム」に関しては以下の拙文を御参照ください。「大学評価・学位授与機構」のホームページから入っていけます。
       

「中国の大学評価」訪問記  森 敏 p145-188 大学の諸活動に関する測定指標の調査研究報告書 所収 (2006 年3月独立行政法人大学評価・学位授与機構 大学の諸活動に関する測定指標調査研究会)

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