2008-04-14 12:00 | カテゴリ:未分類

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原谷苑の垂れ桜

 

  京都で観光案内をしてくれる運転手に「しだれ桜を見たい」といったら直ちに、「第一に平安神宮、第二に原谷苑(はらだにえん)、第三に半井(なからい)の里です、どこに行きましょうか?」という。そこで毎年桜見学に通っている平安神宮の庭園を鑑賞したあと、原谷苑を訪れてみることにした。

 

原谷苑というところが桜の名所だということは京都の知人も知らない様子であったのだが、そのあたりは昔斎場であったということを知っている知人は行くのを嫌がった。車がなければなかなか行けないところである。運転手によれば、斎場は近くにあるが原谷苑自身は実は斎場ではなく、戦前は、雑木林であった。が、第2次大戦後に戦争から帰って来た人たちに行き場所が無くて、彼らに開拓民として無償で国が供与して切り開かれたものである。その後、その土地を大阪の織物問屋の豪商が買い占めて、庭園(現村岩農園)にしたものである、ということであった。

 

訪れてみると桜は谷間の急な斜面にあちこちに無造作に植えられており、しだれ枝がおそらく何の手入れもされずに(?)のび放題に伸ばされ、満開のピンクの桜花でむせかえっていた。枝のつっかい棒のやり方も素人っぽく全く無風流であった。歩く足の下に苔はなく、今朝降った雨で足下がおぼつかなく滑る感じであった。よく言えば苑全体が庶民的でまことに野性的であった。良く手入れされていて見る人の心が和む平安神宮のしだれ桜とは全く対照的であった。

 

平安の昔から排出され続けている斎場の煙に含まれた灰が降下して土壌の栄養分が豊かになったそのミネラルを十分に吸って、しだれ桜はいま思う存分花開いているように小生には感じられた。桜花は華麗なだけにどことなくその裏に人の死を連想させる。月並みだが、

 

願はくは花の下にて春死なん その如月の望月の頃  西行

 

(森敏)




秘密

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