2010-05-20 14:52 | カテゴリ:未分類

宮崎県の口蹄疫に思う

      

    宮崎県の口蹄疫の集団発生は殺処分対象牛が12万頭に及んで、まだ止まる気配がない。

    

  このニュースを聞きながら、1972-3年に亘って日本で大流行した牛の早流死産、奇形発生のことを思い出した。このときも全国で数万頭の子牛が早・流・死産・奇形であったと記憶する。

     

  ちょうど、大学の学園闘争の収束する頃であったが、小生は、植物ホルモンの研究を行っており、研究の流れから必然的にベトナム戦争で使われている2,4,5TやPCPの枯れ葉剤の催奇性成分であるダイオキシンの研究をおこなっていた。

    

  日本ではこのころでもまだ、2,4,5TやPCP以外にも2,4Dが水田除草剤に使われており、これら3者の有機塩素系農薬には相当高濃度のダイオキシンが混在していた。

    

  したがって、茨城、千葉、宮崎、鹿児島などの乳牛産地を襲ったこの激甚の流行病の原因が、何らかの農薬などによるものではないかという疑いで、その原因を探るべく、この4県の調査を車で約2週間かけて行った。

    

  各地の家畜衛生試験場で次々と揚がってくる統計データーをいただき、それを整理すると、特定の地域では早産、流産、死産、奇形の出産の順序で発生していることがきれいに描かれた。

    

  つまり、全国でだらだらと慢性的な障害が起こっているのではないので、当初疑われた特定の農薬などが原因ではなく、一過性の強烈なインパクトが与えられた結果、集団に症状が発生したものであると思われた。

    

  その後、農水省の研究により、これがアカバネウイルス(現在ではウシヌカ蚊(Culicoides oxstoma)がベクターであると考えられているようである)が原因であると認定されている。

    

  当時、病理解剖の材料として茨城県での起立不能の奇形子牛の脳のサンプルを獣医師さんのお世話でいただくことになったのだが、目の前でとさつ人が牛刀を子牛の心臓部に差し込んで、殺したときは少しひるんだ。

  
  獣医師さんは、私は牛の命を助ける職業をしているので、とても耐えられない、と絶句していた。

      

  現在の、口蹄疫牛の殺処分をどこでどなたがやっているのか知らないが、牛の持ち主も、殺す方も、埋却する方も、言いようのない悔しさと悲しみの気持ちであろうと察している。

          

(森敏)

 
追記1:この当時の小生の調査内容に関しては以下に掲載されている。

  
森敏 牛の流死産奇形の発生状況について 協同組合研究月報 No.23871-80(1973)

  
追記2:本日(5月21日)の朝のニュースでは、日本全国から大勢の獣医師達が、牛やブタの処分と防疫(ワクチン接種?)に宮崎県に動員されている。 もし牛や豚の命を救うべき医師が屠殺のために動員させられているとすれば、なにおかいわんや!
    
追記3.本日の記事によれば、やはり全国から集められている獣医師達が豚や牛の薬殺業務をやらされているようである。大動物を注射で薬殺するにしても、大動物たちの血管の在処が、素人には分からないからだということである。その業務のための獣医師達がまだまだ足りないということである。(5月24日) 
  

秘密

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