2010-02-13 11:06 | カテゴリ:未分類

ベドウイン族のロバ

   

  奈良の観光宣伝が盛んである。残念ながら京都に比べれば奈良は訪問する機会が非常に少ない。小学校や中学校の遠足では芦屋から毎年のように行っていたのだが、18才で東京に出てからは5年に一回ぐらいの頻度であろうか。

    

  もし奈良駅が新幹線の途中にあれば、きっと今でも京都駅ぐらいの頻度で所用のついでに時間があったら寄っていこうと降り立とうと思うだろうが。

    

  仮に降り立っても、奈良は何よりもあちこちの名所旧跡に行く交通手段が非常に不便である。奈良は京都に比べればおもてなしの精神が格段に低いと言わざるを得ない。営業努力しなくても観光客がきてくれる、という長い間の悪しき伝統があるように思う。今になってキャラクターの“せんとくん”をたてて営業努力を始めたようだが。

    

  奈良といえば放し飼いにしている鹿である。これが又なかなかのくせ者で、餌用のせんべいを持っていると、どこまでもしつこく追いかけてくる。彼らにとっては、まさに死にものぐるいなんだろうから、体当たりしてでも、せんべいをぶんどりたいのであろう。その執念には恐怖さえ抱かせられる。子ども達にとっては危険ですらある。

    

  せっかくの芝生が一面鹿の糞でまだら模様である。春先には糞の所は栄養があるので真緑であるが他はまだ色が載っていない。

    

  せっかくの公園の樹木が鹿に樹皮を食べられる被害が多いらしくて、ほとんどの木が2メートルぐらいの高さまで鉄骨で覆われて保護されているのも景観を殺ぐ。

    

  この鹿に体当たりされながら思い出したことがある。

    

  20年ぐらい前に、イスラエルでの国際学会のエクスカーションにエルサレムからバスに延々と乗って死海を訪問した。途中で峻険な渓谷があり、渓谷に湧き水のあるところがわずかにぽつぽつと木が生えて緑で、それまで見たことがないそれなりに美しい風景であった。

      

  壮大な砂漠の全貌を眺めるために、途中でバスを降りて、皆で小高い丘に登ることにした。

    

  そこは観光用の定点観測点であるらしく、ベドウインの子ども達がロバに乗って、何かわめきながら絵はがきなどを持って、丘の方から近寄ってきた。

     

  蒼空をバックにその姿が小生にとって非常に異国風であったので、珍しさも手伝って、カメラを向けてシャッターを切った。

     

  すると写された少年がロバに乗りながら小生にロバをぶつけてきた。多分「撮影料を払え」と叫んでいるのだろうが、無視して歩いていると、何度もロバをぶつけてきた。こうなったら根比べであるが、当時パレスチナ問題など、日本に居ては理解不能な問題も報じられていたので、一切言葉では応答しないで、逃げ回ることにした。

     

  少年は結局あきらめて行ったが、この少年の行動は観光客に因縁をつけて金銭をかすめ取ろうとする「すれっからし」という言葉がぴったりの振る舞いだと思った。

  

  奈良の鹿はまさしく「すれっからし」である。どうか飼い犬のように幼鹿の段階で一度調教してから、礼儀をわきまえた鹿として、野に放つてもらいたいものだ。そうすれば観光客も安心して鹿と接することが出来るだろう。笑止千万の無知な要求だとは重々承知で言うのだが。

       

(森敏)

 

秘密

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