2008-03-27 12:20 | カテゴリ:未分類

大学に「機器分析のオペレーター」を大幅に増やすべきである

 

公務員の定員削減が大学にも適用されて20年ぐらい経過したと思う。大学側はその対応策としてまず定年で辞めていく用務員を不補充にした。次に定年で辞めていく技官職を不補充にした。彼らは直接学生を相手に教育研究にたずさわっているわけではないので、教員職を定員削減するよりも教育研究に対する支障が比較的少ないだろうというのが主要な理由であった(工学系では直接工作機械の操作を教える技官は残しているが)。現在では、さらに定年で辞めていく教員のポジションを不補充にして行って、定員削減の数値あわせを行っている。やめていく用務員の替わりにほとんどの大学では民間の警備保障会社に委託(アウトソーシング)している。あるいは建物の出入りをカード化した。

 

しかし、技官職が激減された影響は大学での学問の進展にいま大きな陰を投げかけている。大学の学部内でいくつかの研究室が団結して大型予算を取得して何千万円もの大型機器を購入することが出来たとしよう。当初予算では、ポスドクなどの人件費がつくので、彼にその機械の保守点検や委託測定などが可能な場合があるが、2-3年でそのような予算は切れるので、大型機器のみが残ることになる。ポスドクもどこかに就職したりして、いなくなってしまう。そこで誰がその機械の保守点検(メンテ)の作業をするのかという問題に必ずぶち当たる。だいたいその役割を担わされるのは、助教(旧助手)である。現在ではどこかの助教かどこかの研究室に所属のポスドク(ほかの研究資金で雇われている)がどれかの大型機器に張り付かされている。

 

学部内での共通機器は特定の研究室が占有するわけにはいかないので、使いたい研究者には使わせなければならない。ところが初めて使う研究者はだいたい乱暴な使い方をするので、機器を壊してしまう。そうすると、助教では必ずしも十分な修理が出来ないので、業者を呼ぶハメになる。それが意外と高くつく。メーカー派遣の修理専門家がちょっと来てたった1時間ぐらいいても数万円を要求される。部品の交換が必要であるとなると、数十万円を要求される。東京から北海道や九州への派遣となると交通費だけでも馬鹿にならない。もし、機器に張り付いている助教がその機器を使いたい研究者の代わりに試料を測定してやれば、素人の誤操作による大型機器の破損をはるかに免れることが出来るはずである。しかし助教は教育職でもあり研究職でもあるので(この機器のオペレーターではないので)、そんなサービスはやっておれない。助教は若いのでまだまだ自分自身の業績を積まねばならないので、自分の名前が載らない論文の研究の手助けなんかやっている余裕がない。

 

したがってこの問題の解決策は昔のようにオペレーターを全大学の機器分析室に配置することである。ただし、これまでの技官職のように、給与が50才ぐらいで頭打ちになって、これ以上いくら働いても出世もしない、という制度を破棄して技官職のために定年までがんばれるインセンテイブを与える制度に給与体系を変更する必要がある。技官職でも教授並みの給与体系で退職金も相当のものが支払われるとすべきである。当然業績評価を導入する。その際先駆性や独創性という研究業績評価の指標を使うべきではなく、測定委託件数、その分析収入とか、機器分析性能の改良法の検討とかの多角的業務評価によって、大学の研究教育行政への貢献度を判定し、それを給与に反映するのである。

 

そうすれば、さまざまな機器に習熟したポスドク(つまり博士の称号を持つ)で、就職難にさらされている人材がわんさと駆けつけてくるのではないだろうか。レベルの高い技官は、レベルの高い研究を支えてくれるだろう。結局ひとなのである。人を大事にしなければならない。画一的な定員削減は日本の大学の研究を危機に陥れている。

 

 

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/74-dbf13c73