2009-11-20 10:34 | カテゴリ:未分類

科学技術予算の「事業仕分け」の混沌

      

国家戦略目標が明確に定められていない状態での科学技術予算の「事業仕分け」は不可能であると思う。

     

国家戦略室はしっかりしてほしい。

           

政治主導が泣く。

           

新政権下での 総合科学技術会議の位置づけも未だ明確でないようだし。

           

(森敏)

   

 

付記:

1. これまでに開示されている総合科学技術会議の資源配分方針は以下に引用(1.)のとうりである。実に漠然としている。この方針にしたがって事業内容の正当性を官僚に説明せよ、と言っても、酷であろう。俄に寄せ集められた「仕分け人」も、この方針をよく理解してはいないのではないか。

 

2.さすがに「総合科学技術会議」のメンバーも、これまでの仕分けの展開に不安を覚えたのか、昨日緊急提言なるものを発信している。以下に引用(2.)のとうりである。

  

    

1.

平成22年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針(案)

  

~科学技術によって最適な生活環境を実現し、国際社会から信頼される国づくりを目指して~

平成21年10月8日

総合科学技術会議

  

I.基本的考え方

    

平成21年9月16日に鳩山内閣が発足し、今後の政権運営の基本方針(平成21年9月16日。以下、「新内閣の基本方針」という。)が示された。この新内閣の基本方針に掲げられた課題解決に最大限貢献すべく、我が国の科学技術政策も見直して推進する必要がある。

ただし、第3期科学技術基本計画に記載した基礎研究の推進、科学技術の振興のための基盤の強化ならびに人材育成について一貫して重要な位置づけを与えて長期的な戦略に基づき推進しており、この方針は改めて堅持することとする。

これらの考え方に立ち、平成22年度の科学技術・イノベーション施策においては、「新内閣の基本方針」、「平成22年度予算編成の方針について」(平成21年9月29日閣議決定)、「国連気候変動サミットにおける鳩山総理演説」を踏まえ、環境・エネルギー分野などの技術革新で世界をリードするという視点に重点をおき、予算等の資源を重点配分するものとする。また、新内閣の基本方針における4つの考え方に示された、「人の命を大切に」、「活力ある農山漁村の再生」、「医療・介護・環境など新たな分野における産業と雇用の創出による内需主導型の経済成長の実現」、「世界の平和と繁栄を実現」の課題解決に向けた科学技術施策についても重点的に推進し、これらの課題を解決することにより、我が国経済の中長期的な発展と国民生活の向上に資することとする。

なお、本年6月19日に総合科学技術会議が決定した資源配分方針は廃止することとする。

    

Ⅱ.経済と環境が両立する社会を目指すグリーンイノベーションの推進

     

 温室効果ガス25%削減に向けた革新的技術、新産業の創出-

「国連気候変動サミットにおける鳩山総理演説」で掲げられた「全ての主要国による意欲的な削減目標の合意を前提として、温室効果ガスを2020 年までに1990年比で25%削減する」という目標の達成を目指すためには、①既存のエネルギー効率の高い技術の世界的普及を促進すること、に加えて、②研究開発中の太陽電池、燃料電池、バイオマス、CO2回収・貯留(CCS)等の革新的技術の更なる加速、及び③新たな科学的・技術的知見の「発掘」と「統合」によるブレークスルー技術が必要であり、これらの革新的な環境・エネルギー技術で日本が世界をリードすることが極めて重要である。地球温暖化防止に向けた緩和策と適応策の両面からの研究開発の加速化・新技術創出のため、これらの施策を最重要政策課題と位置付け、資源を重点配分する。そして、その研究開発成果の実利用・普及を強力に推進するために社会システムの転換を図り、新産業の創造や国民生活の向上に資するグリーンイノベーションを推進し、我が国のみならず世界規模での経済と環境が両立した低炭素社会の構築に努める。

  

Ⅲ.重点的に推進すべき課題

  

○健康長寿社会の実現

 健康長寿社会のニーズに応えるため、革新的医薬品・医療機器等の開発を促進すると

ともに、革新的シーズの発掘に向けた基盤整備、レギュラトリーサイエンス等により質の高い医療サービスの提供に資するべく推進

  

○地域科学技術施策の推進

 地域活性化を図るため、多様性や国際競争力のある地域科学技術拠点群の形成、地域イノベーション人材力や地域の特性を活かした技術開発を強化。

   

○社会還元加速プロジェクトの推進

研究成果の社会還元を加速するため、実証研究と制度改革の一体的推進

   

○革新的技術の推進

他国の追随を許さない革新的技術を生み育てる取組を強力に推進し、イノベーションにつなげていく。その際、「革新的技術推進費」については、低炭素社会構築に資する革新的技術に重点を置いて活用

   

○科学技術外交の推進

科学技術外交の戦略的展開の観点から必要となる先端研究分野の国際協力、途上国・新興国との協力における重点課題への対応及び地域毎の特性に配慮した地域戦略に資する施策の推進

    

Ⅳ.最重要政策課題や重点的に推進すべき課題のための基盤的課題

    

我が国の国力の源泉である科学技術が将来にわたって発展していくためには、絶え間ないシーズが発掘されるよう基礎研究および国際競争を勝ち抜ける高度産業人材育成を強化するとともに、それらを担う科学技術人材確保に向け、小中高校における、より魅力ある理数教育への改善を含め、科学技術人材の育成強化を推進する。

また、国際競争力の強化、科学技術振興を図るため、研究資源(人材や研究資金等)の投入効率が格段に向上するよう施策のPDCAサイクルを改善し、かつ必要な制度改革や知的財産が適切に保護・活用される環境の整備、規格・基準における国際標準化活動の推進等の施策を推進する。

      

Ⅴ.総合科学技術会議による効果的な優先度判定等

      

総合科学技術会議は、各府省に対し、最重要政策課題等に資源を重点化するように求める。その際、平成21年度補正予算の取組を踏まえつつ、既存施策についてはゼロベースで厳しく優先順位を見直し、例えば個別研究課題・研究者レベルでの不合理な重複を排除する等無駄を徹底的に排除するとともに、新規施策についても上記に示された考え方に照らして厳しく必要性を吟味すべきである。

      

また、各府省には、一層府省間の連携を強化し、府省横断的な研究プロジェクトの推進や、基礎研究と実用化の一体的推進を図るよう努めることをあわせて求める。

一方、科学技術政策担当大臣及び有識者議員は、平成22年度科学技術関係予算を国民の期待に応えるものとすべく、全体像の把握に務め、政策誘導を徹底する。

具体的にはグリーンイノベーションの推進など新内閣の基本方針等を踏まえ施策の相対的比較によりメリハリをつけて個別施策の優先度判定等を実施する。また、その結果を踏まえ、優先して取り組むべき効果的な施策に資源が適切に配分されるよう、総合科学技術会議の見解を取りまとめ、各府省に意見具申する。

 

 

 

2.

科学技術関係予算の確実な確保について(緊急提言)

平成21年11月19日

総合科学技術会議有識者議員

相澤益男

本庶 佑

奥村直樹

白石 隆

榊原定征

青木玲子

今榮東洋子

金澤一郎

 

今、我々は、21世紀の世界の中で、我々が日本という国をどういう国に作っていくか、という国のかたちそのものに関わる大問題に直面している。ここにおいて、科学技術は決定的な意義を持っている。科学技術は、我が国の経済成長や国民の健康で豊かな暮らしを支える基盤をなすばかりでなく、人類に新しい知見をもたらすものである。しかし、その成果が実社会で活用されるまでには長期間の継続した取組を要する。したがって、国としては、まさに国家百年の計の下、長期的な視点に立って、継続的かつ安定的に科学技術政策を実施していくことが極めて重要である。

 昨今、科学技術関係施策に対しても、ややもすると直ちに成果を求めるという短期的な視点にのみに立った評価がなされ、その成果の長期的な視点での効果を考慮しない議論がなされている嫌いがある。

総合科学技術会議有識者議員としては、昨今の厳しい財政事情を理解しつつも、前述のような議論は、我が国の科学技術の健全な発展を損ない、ひいては国家の土台を揺るがしかねないものと大いに危惧することから、以下の提言を行うものである。

 

I. 現状認識

平成22年度科学技術関係予算の概算要求額は3兆6,635億円で、対前年度比3.5%増となった。これは、この数年、概算要求段階で対前年比プラス20%程度の要求であったことと比較するとたいへん低い水準に留まっている。とりわけ、科学技術関係予算の骨幹をなす科学技術振興費については、1兆3,667億円、対前年度比マイナス0.8%となっている。対前年度マイナス要求となることは、総合科学技術会議の発足以来初めてのことであり、極めて異例の事態である。

 加えて、今般の行政刷新会議の事業仕分けにおいて、科学技術関係施策も対象になっているが、その議論において、短期的な費用対効果のみを求める議論がなされるなど、国として長期的視点から推進すべき科学技術に対しては必ずしも馴染まない部分があると懸念している。

科学技術関係予算については、従前より科学技術政策担当大臣・総合科学技術会議有識者議員が、主要な新規施策にかかる優先度判定、継続施策にかかる詳細な見解付け、改善見直し指摘(以下優先度判定等)を実施しているところであり、平成22年度概算要求に対しても、新内閣の政権運営の基本方針を踏まえ、新たに決定した「科学技術に関する予算等の資源配分の方針」に沿って、グリーンイノベーションの推進等に資源の重点化を図るとともに、メリハリのきいた科学技術予算編成に資するべく優先度判定等を実施している。

 

II. 提言

海外主要国は、熾烈な国際競争を勝ち抜くために科学技術関係予算を増額している。また、研究費総額に占める我が国の政府負担の割合は、海外主要国のうちで最低である。このような中で、我が国が科学技術予算を減額するようなことになれば、科学技術に対する国家の姿勢を問われることになり、鳩山総理が所信表明で示された「科学技術で世界をリードする」という方針を十分に実現することができないと言わざるを得ない。また、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するとの目標の達成のためには科学技術の果たす役割は極めて大きなものがあるが、そのためには25%という積極的な削減目標に匹敵するような大胆な科学技術への投資が必要である。

 科学技術の分野では、携わる人材に負うところが大きい。そのため、予算の減額となり計画が縮小して人材が散逸した場合には、仮に後年に予算額が復活したとしても、水準を元に戻すことは非常に難しい。

科学技術関係予算の編成に当たっては、科学技術の専門家の意見に十分配慮しながら進めることが必要である。短期的な視点で評価するのではなく、国家百年の計を図るとの認識を持って、科学技術関係の予算の拡充を強く求めるものである。

     

秘密

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