2009-11-13 11:33 | カテゴリ:未分類

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  吉永小百合    新珠三千代

   

「斜陽のおもかげ」

       

  「神保町シアター」という100名しか座席がないが近代的な映画館が、東京の神保町にある。そこで、本当になん年ぶりかで本格的に映画館での映画を見た。 太宰治の娘である太田治子原作、 斎藤光正監督、 吉永小百合・新珠三千代などの出演の『斜陽のおもかげ』という作品である。1967年に上映された映画ということであった。

     

  映画は非常によくできていて、太宰が太田静子の日記を基にして『斜陽』を上梓して、数ヶ月後に玉川上水で入水自殺したゆえんに関する疑問が、太田静子・治子親子の対話を通してたいへん興味深く展開されていた。(それがこの映画の主題ではないのだが)

        

  一時代前には「さゆりすと」という映画ファンのカテゴリーがあったようであるが(いまでもあるのかな?)、太田治子を演ずる吉永小百合が実に初々しい。映画館の観客はその「さゆりすと」と思われる世代がほとんどであった。

    

  ところで、太宰治は小生が中学校の時に強烈に影響を受けた作家であった。太宰の作品は芦屋市の図書館で借りて全部読破した。おまけに、小説の中の感動した文章を全部ノートに書き写すという懲りようでもあった。太宰の文章が面白くて面白くて仕方がなかったのだ。

     

      今から考えると、内容に関しては全く末梢的なことしか理解できていなかったであろうことは明らかである。しかし、その後はなぜか一切彼の作品を再読する気になれない。当時から、太宰のファンであった中学校の某先生は「太宰は一度は誰もが“かぶれる”作家だ」と言っていたのを憶えている。  

    

  この『斜陽のおもかげ』という映画は、そのような小生の個人的な事情で興味があったのである。

         

    

(森敏)

           

付記:この映画の原作と思われる『心映えの記』(太田治子著 中公文庫)を図書館から借りてきて読んだ。太宰と太田静子の子であった太田治子の屈折した心理が実によく描かれている。少女の実録成長小説である。実は映画を見ながらも、この本を読みながらも、太宰と別れて恵まれることの無かった太田静子(新珠三千代主演)がたどった命運には不覚にも涙が出てきた。

    

 

 

 

  

秘密

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