2009-11-02 13:01 | カテゴリ:未分類

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 銭学森博士を表敬訪問する温家宝首相(ネットからのパクリです)

     

銭学森博士の死に思う

    

  銭学森博士の技術科学(山田慶児訳)は非常に明解で、小生の大学院生のときに強い影響を受けた。その後いつも気になっていたのは、1960年代後半から1970年代前半まで続いた文化大革命の時に彼が他のインテリと同様に農村などに「下放」させられたのかどうか、であった。が、今回の新聞記事からの情報では、当時周恩来の計らいで、紅衛兵などから保護されていたということで、初めて疑問がとけた。文化大革命は国家主席である劉少奇を失脚させるための毛沢東による陰謀であった(というのが現在の定説のようである)のだが、当時周恩来は何とか毛沢東を説き伏せてこの銭学森という中国人科学技術者としての最高の頭脳を無知な紅衛兵から保護させたのであろう。それがなければ、その後の中国の科学技術の発展はとうていあり得なかったであろうと思われる。

 

     

(以下は、昨日のサーチナ、毎日新聞、産経新聞、朝日新聞、から小生が集約した記事です)

   

中国宇宙開発の父・銭学森(チエン・シュエセン)氏が死去―97歳、北京市内で 

   

「中国宇宙開発の父」、「中国誘導弾(ミサイル)の父」と呼ばれる銭学森氏が1031日、北京市内で死去した。97歳だった。
  
 銭氏は19111211
浙江省杭州市生まれ。上海交通大学で学んだ後、1935年に米国に留学し、カリフォルニア工科大学で博士号を取得。同大学で助教授・教授を務めた。現在のアメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所の設立に尽力し、49年から55年まで同研究所で教授職にあった。
  
 米国籍を取得したが、55年に帰国。米国では1950年ごろからマッカーシズムが始まり、社会全体が「赤狩り」に狂奔(きょうほん)。銭氏は1930年代に中国共産党に入党していたため、米国の軍事秘密を中国に伝えた疑いが持たれた。銭氏は約5年間の間、自宅に軟禁状態で、研究活動はできなかったという。銭氏に対する疑いの真偽は不明。ただし、マッカーシズムでは証拠のでっちあげや偽証などが横行したことが知られている。米中の外向的な取引で55年に帰国が認められた。
銭氏の帰国問題は一時、米中間の最も重要な外交問題の一つとなった。55年8月、スイスのジュネーブで行われた第5回大使級交渉で米国はようやく同意したが、朝鮮戦争で中国側の捕虜となった米兵11人の釈放が交換条件だった。 
  
 銭氏は帰国後、毛沢東主席と会見した際、「あなたの力は5個師団よりも大きい」といわれたことは有名だ。特例として解放軍中将の階級が与えられ、ミサイル開発の責任者に就任した。銭氏は中国科学院力学研究所を創設し、所長としてミサイル・ロケットの開発に従事し、戦略ミサイルや人工衛星の開発を進めた。「中国宇宙開発の父」と呼ばれる。

   

1959年には中国共産党に再入党。1970年には、中国初の人工衛星「東方紅1号」の軌道投入に成功した。文化大革命期には迫害の危険にさらされたが、周恩来首相が保護した。
  
 銭学森氏は、科学技術では世界最高レベルにある米国で第1級の専門家として評価され、帰国後は母国の発展のために献身したとの理由で、中国では「国民的英雄」として尊敬されている。各メディアも同氏の死を大きく伝えた。
生涯、数多くの賞を受賞し、1957年には中国科学院自然科学1等賞、1979年には米カリフォルニア工科大学優秀校友賞を受賞。2006年には中国宇宙事業50年最高栄誉賞が授与された。共産党中央候補委員、中国人民政治協商会議副主席なども歴任した。

 2008年には胡錦濤国家主席が自宅を表敬訪問。建国60周年の今年86日には温家宝首相の訪問を受けた。胡錦濤や温家宝は理系の出自の首脳であるので、きちんと銭学森氏の業績を評価したのであろう。

      

   2008年にノーベル化学賞を受賞した銭永健氏は、銭学森氏のおい。米国で生まれた。

        

 晩年の銭氏は超能力現象や気功を熱心に研究するようになり、共産党指導部と距離を置き始めた。気功の普及に積極的な役割を果たし、その影響もあって1990年代には全土で気功ブームが起き、法輪功など民間の気功団体が拡大、反政府デモなどにもつながった。法輪功が当局から違法団体と指定された99年以降、中国公式メディアでも銭氏を名指しで批判する記事が見られるようになり、高齢の銭氏は表舞台からほぼ姿を消した。晩年は超能力や気功の研究に没頭したことで批判もされた。政治に翻弄(ほんろう)された人生だった、という指摘もある。

    

(森敏)

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