2009-10-04 17:27 | カテゴリ:未分類

「村官」制度に思う

   

先日のNHKでの中国革命60周年記念特集で、中国の僻地の農村では若者が居着かなくて、都市に出たまま帰ってこなくなったので、ますます村の若い優秀な人材不足が困じて、村の経済やインフラの劣化が加速度的に進んでいるということであった。

 

現在、中国の農村住民と都市住民の所得比が1:10で有り、ところによっては1:50のところもある。我が輩の知人の経済学者によれば、所得比が1:50を超えると、いつどこで何時(なんどき)に暴動が起こっても不思議ではないとのご託宣である。中国のあちこちで年間二十万件以上の暴動が起こっているという。真に宜なるかなである。

  

中国共産党にとっては内政は大いなる危機であろう。

  

この傾向を食い止めるために、胡錦濤政権は、都市で学んだ学生を、奨励金をつけて地方に数年間出向させて、そこで数年間行政に携わらせて、優秀な業績を上げたら正規の公務員として採用する、という「村官」という方策を考えて実施し始めているとのことである。昔、文化大革命の時の「下放」に似ているが、今回は「中央政府が資金を供与して」農村に人材を送り込むので、この送り込まれた若い人材の育成に農村側の資金的な負担はない、というわけである。

  

そこで思い出し出したのだが、中国でも、北朝鮮でも社会科学院みたいな研究組織があって、この機構は権威としては科学技術院よりも上位にあって結構な権力を持っているようである。彼らは共産党イデオロギーの普及活動以外に一体どういう研究活動をしているのかいつも不思議であった。

  

今回上記の「村官」のアイデアはなかなか結構だと思う。たぶん社会科学院などが考えたことだと思う。

    

日本でも、農村集落での若い人材の払底は起こっている。若い優秀な人材に国が奨学金をつけて、地方に積極的に送り込んで、そこで業績を上げたら、地方公務員や、国家公務員への受験資格を与える、とかいう行政官になるための通過義務を与えれば、地方も活性化するだろう。ただ単に筆記試験だけが強い人材ではない、もっと真剣な公務員が生まれるのではないだろうか。

  

今は昔の話かも知れないが、長野県では信州方式(?)といって、「新規採用された教師は率先して僻地の小中学校に赴任させて、真の教育とはなんぞやを学ばせているんだ」というようなことを、昔中学校の先生から聞いたことがある。村官の制度はこれと似たようなところがある。

    

ただし日本ではこの方式は自然科学系の就職活動に関しては、すでにポスドク制度で定着している。非常に残念なことに、現状では、ポスドクののちに正規の職を得るのは30人に1人ぐらいの割合である。このあまりにも劣悪なチャンスの低さが、逆に高齢のポスドク研究者の志気を急速に低下させる原因となっている。そして彼らは定職を得られずに無職の浪々の身となっていく。今の日本の科学技術行政は失意の研究者を著しく増産している。本当に何とかしなくては!

    

(管窺)

秘密

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