2009-09-05 12:12 | カテゴリ:未分類

最先端研究開発支援プログラム 選定結果について思う

     

昨日発表された

最先端研究開発支援プログラム : 「中心研究者及び研究課題」の選定結果

http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/senteikekka.pdf

に開示されている。

       

機関毎の獲得件数を数えてみると、

東大11,京大2,阪大2、東北大2,九大1,筑波大1,北大1,東工大1,慶応大2,東京女子医大1,テキサス大1,国立情報研1,日立製作所1,島津製作所1,富士通1,東レ1

           

である。相も変わらず東大がダントツで3割強を占めている。他の大学も何とか最低一件ずつ採択している。採択されなかった早稲田大学は悔やんでいるだろう。このような一見平等な気配りは明らかに文科省の政策的誘導によるものであることが分かる。

    

東大の研究者だけで約90x11=990億円、即ち1千億円稼ぐことになる。笑いが止まらないだろう。

    

採択された研究内容は工学と、医工連携がほとんどである。

      

一方、植物関連では誰も選抜されていない。優秀な人材がいないというのだろうか?

   

民間企業ではノーベル賞の島津の田中氏と文化功労者の日立の外村氏である。論功賞のような選抜である。

             

笑ってしまったのは、応募要件で要求されているキーワードである国際標準化活動実績という言葉を「研究課題の概要」にまじめに使っているのは、京都大学のiP細胞の中山伸弥教授だけである。つまり彼には確実に予算をつけることを大前提に、この大型プロジェクトは立ち上げられたのだろう。

      

相も変わらぬ工学系研究者のいまにも産業化が可能であるかのごとき法螺(ほら)に、審査員はまどわされたと言うべきであろう。そもそも審査基準も何も決まっていないから、アドバルーンの高さを競っているようなものである。

  

さて、

         

民主党の岡田克也幹事長は「政権移行期に駆け込み的にやることには問題がある。政権がスタートすれば精査の対象にし、場合によっては凍結することは当然ある」とのべ、選考に関しても「違和感を覚えないわけではない。十分審議が尽くされたものかも分からない」と述べ、選考結果をそのまま容認できないとの考えを示した。(本日朝日新聞朝刊)。予算の執行停止を期待したいものだ。

        

国立大学の運営費交付金は2005年から1%削減を続けてきた、自民党政権下での文科省のこの愚策に対して、この2700億円を過去の損失の補償に使ったり、女性研究者の子育て支援に振り向ければ、痛めつけられてきた国立大学法人は泣いて喜ぶだろう。活力が再生してやる気を起こすだろう。

   

民主党新政権にはそれぐらいの大胆な見直しをしてもらいたい。

          

これまでの、文科省・財務省主導の学術行政を、この際徹底的に精査して、ひっくり返すことが必要である。

             

(管窺)

  

付記:以下に毎日新聞記事も付しておく。

   

<最先端研究開発支援>対象に山中教授ら 民主「凍結も」

9月4日22時21分配信 毎日新聞

 政府は4日、「世界トップ」の研究者に総額2700億円の研究費を分配する「最先端研究開発支援プログラム」の対象者30人を発表した。1件あたり3~5年間で30億~150億円が助成される。プログラムは民主党が見直しを進めている46の基金の一つ。政権交代に伴い今後、凍結を含めプログラム内容が変わる可能性もある。

 対象研究者には、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェロー、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授ら国内の著名研究者が名を連ねた。

 プログラムは、緊急経済対策を主眼とした09年度補正予算に盛り込まれた施策で、565件の応募があった。日本経団連の産業技術委員会が4月にまとめた提言がベースになったとされる。麻生太郎首相は当初から「(配分先は)自分が決める」と在任中の選定に意欲を見せ、約1カ月半の間に10回も会議が開かれるなど急ピッチで審査が進んだ。

 審査した委員からは「資料が段ボール2箱もある。(短期間では)不可能だ」「金額が大きいだけに、もっと時間をかけるべきだ」との意見も出たが、事務局の内閣府は「選定に時間をかければ、研究をする期間が短くなる」と押し切った。

 落選した基礎科学系のある研究者は「ヒアリングは説明10分、質疑10分。専門分野でない審査員も多く、これで何が判断できるのか。今決める必要はなく、拙速に過ぎる」と疑問を呈した。

 一方、民主党は補正予算の執行を一部停止する方針を打ち出している。岡田克也幹事長は4日の記者会見で「この時期に決まることに違和感を覚えないわけではない。場合によっては凍結することは当然ある」と含みを持たせた。

 採択された研究者からは不安の声も漏れる。ある工学系の研究者は「選ばれてうれしいが、(民主党の考えが分からず)中途半端で戸惑いもある。しかし、鳩山由紀夫代表は工学系出身で科学技術にも理解があり、このまま採用されることを期待したい」と話した。

 科学技術政策に詳しい角南篤・政策研究大学院大准教授は「若い研究者ら『将来の芽』にもう少しお金が回るよう、制度設計にもっと時間をかけるべきだった。民主党も基金の設置法案には賛成しており、配分先が決まったものを凍結するのは難しいだろう。新政権は早く態勢を整え、金額や運用方法などを柔軟に検討してほしい」と注文をつけた。【奧野敦史、西川拓、河内敏康】
  

 追記1:本日(9月6日)読売新聞社説は、「先端研究助成 科学技術を政争の具にするな」 という一見もっともらしい論陣を張っている。

しかし、研究者にとって、こんな法螺のふきあいで大金儲けが出来れば、そんな安易なことはない。

すばらしい発見は、この支援資金受領者の中からは、けっしてでてこないだろう。発見は、目指せば出来るものではないからである。

  

追記2: このような2700億円という放漫財政にあきれかえっている大学人の、誰しもが今思っていることは、定員削減が続いている大学の教員のポジションの早急な回復である。

  

能力がありながら不安定な生活を強いられている、ポスドクなどを助教に定員化することが、もっとも将来に対するポテンシャルの高い効率的な投資であることは言を待たない。人が研究するのであって、機械や設備が研究するのではない。

秘密

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