- 2018/04/03 : 写真家加賀谷雅道さんの写真展『放射線像』が広島のテレビ局2局のニュースで紹介されました!
- 2018/03/26 : 水浸タンポポの高い内部被ばく
- 2018/03/19 : 帯化タンポポ 第一号を発見
- 2018/03/10 : 落ち葉層に根が入り組んだ単子葉植物は葉の放射能がいまだに高い
- 2018/03/01 : NHKスペシャル 『被曝の森2018』 見えてきた汚染循環 の予告です
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、目に見えない放射線を写し出した写真の展示会が広島市で開かれています。
展示会は原発事故の影響について考えてもらおうと開かれ、会場には、被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、放射線を写し出した「放射線像」と呼ばれる写真30点が展示されています。
写真家の加賀谷雅道さんが放射能汚染の実態を数値以外で表現しようと、放射線を白く写し出す装置を使って撮影したもので、より強い放射線はより白く写ります。
このうち、浪江町の公園にあったサッカーボールは、濃淡の異なる白い斑点のような模様に覆われ、放射能に汚染された状況をはっきりと写し出しています。
また、福島第一原発からおよそ9キロの場所にあった長靴も、白く写し出された放射線にびっしりと覆われています。
主催したグループの代表の西村恵美子さんは「震災から7年がたち広島に住む私たちにとって、福島の問題はどこか遠い話しになっているように思う。多くの人に見えない放射線を見てもらい福島で何が起きているのか少しでも知ってほしい」と話していました。
展示会は広島市中区の旧日本銀行広島支店で、4月5日まで開かれています。
原発事故から7年余り、目に見えない『放射線』を特殊な技術を使って撮り続けている写真家の作品展が、広島市で開かれています。
福島県浪江町の屋外に放置されていた長靴の写真には、特殊な技術を使い放射性物質が付着した部分が白く映しだされています。
広島市中区の旧日本銀行広島支店で開かれている写真展『放射線像』は、加賀谷雅道さんが東日本大震災発生の後、被災地で集めた生活用品や植物などの写真およそ30点が展示されています。
エックス線写真の原理を用い、目に見えない放射性物質の分布や強弱がわかるように工夫されていて、放射能汚染の現状を静かに訴えています。
【写真家・加賀谷雅道さん】
「忘れてもいいんですよ、考えなきゃいけないことは過去を思い出すときは思い出して、やっぱり未来だと思うんですね、子どもたち次世代のためにあの事故を教訓として何をすべきかという…」
写真展は、来月5日まで開かれています。
昨年(2017年)の春、帰還困難区域に指定されている浪江町津島地区で、車を転がしていると、道路端に水たまりがあり、そこにタンポポが生えていた。水に永く浸かると、たぶんタンポポは枯れると思われるのだが、ここは、雨が降った時は5センチぐらいの水たまりになり、天気になると、蒸発して水が引けるので、地面が乾湿を繰り返していると思われた。それゆえにタンポポ種子は、前年度の2016年の秋ごろに発芽後も、真冬を生きながらえて、何とか、けなげにも花が3輪咲くところまで生長していったのだと思われた。(図1)
タンポポを根の際で根を切断して地上部のみを採取して、新聞紙を何回も取り換えて、植物体を完全に乾かして、オートラジオグラフを撮像すると、高濃度に放射能が全身にいきわたっていた。採取時に根の部分を掘り出すのは困難だったので、根は写っていない。根のすぐ上の茎の付けねの部分は、20年ほど前に小生が高崎の原子力研究所で見出し discrimination center (デイスクリーミネイションセンター)と命名したのだが、オートラジオグラフではこの部分が非常に濃く撮像され(図2、図3)、泥のコンタミもあってか放射能が非常に高いことがわかる(表1)。

図1.水浸タンポポ

図2.図1のオートラジオグラフ

図3.図2のネガテイブ画像 花器の基部の種子が形成されつつある部分が強く写っているように見える。
表1.水浸タンポポの放射能

(森敏)
付記:Discrimination Center (D.C.)は師管と導管が複雑に入り組んでおり、この部分で、根で吸収された必須元素が、いったんとどまっていろいろな地上部の組織に分配移行する。また、光合成産物は、この部分にいったん転流してきて、ほかの部分に分配(discriminate)されていく。このD.C.という、小生の発明した生理学的「機能」を意味する造語は、残念ながら最近では、その複雑な微細形態学的な「構造」がポピュラーになったので、植物関連の論文では使われなくなったようだ。
図2.開花した東大農学部のシロバナタンポポ
図3 右の部分に帯化タンポポが湾曲して見える。極端に倭化した西洋タンポポである。
図4.図3の拡大図
図3.帯化タンポポを根元からむしり取った。まだ完全に開花していない。
文京区では東大農学部の南面石垣下の言問い通り側の道路沿いに、3月11日にタンポポの開花が認められた。この場所は、南に面していて石垣で温められるためか、いつも西洋タンポポの開花が早い。今年は例年になく開花が早かった(図1)
この日は詳細に観察すると農学部構内でもシロバナタンポポが開花し始めていた。(図2)
そこで、3月18日に、さっそく6時に起きて某所にタンポポの観察に出かけた。早朝にはあまり咲いていなかったのだが昼頃になると次々と咲き始めたので少し慌てた。
そして早くも今年の第一号の帯化タンポポを見つけた。(図3、図4、図5)。
WINEPの読者には毎年呼び掛けておりますが、身近に帯化タンポポを見つけたら、
あてに、発見場所、発見日、帯化タンポポや付近の写真を添付でお送りいただければ幸いです。心からお待ちしております。
タンポポといえども汲みつくせないものがあります。たかがタンポポ、されどタンポポ。
(森敏)
追記:タンポポの帯化(たいか)奇形については、もちろん放射線の影響かどうかを考えて、長期の観察を続けているものです。小生たちは、タンポポの帯化がエピジェネテイックな変異で次世代にも遺伝することを確かめて、一昨年の日本土壌肥料学会ですでに報告しております。
タンポポの帯化遺伝子は次世代に遺伝する
森敏・中西板井玲子・安彦友美・森淳・山川隆・丹羽勝・中西啓仁
土肥要旨集 第62集(2016)p151.
過去の以下のWINEPブログの記事をクリックしてご参照ください。
- 2017/04/27 : 二本松市の2箇所でタンポポの奇形集団を発見した
- 16/05/28 : 今年飯舘村で遭遇した奇形タンポポの群生地
- 2015/04/14 : 宇治平等院付近を散策した
- 2014/09/20 : 巨大イチゴと巨大タンポポは同じ機作の変異であると思われる
- 2014/06/10 : 読者による奇形タンポポ調査
- 2014/05/27 : 奇形タンポポの異常に高い発生率
- 2014/04/17 : 今年も東京でみられはじめた奇形タンポポ
- 2013/07/27 : ”ひまわる”と奇形タンポポの類似性
- 2013/06/17 : タンポポの不思議
- 2013/06/02 : (続報)東京の異常タンポポから福島の多様な奇形タンポポ発生の機序を考察する
- 2013/05/26 : タンポポの多様な奇形花房発見!! :植物に対する放射線の影響(II)
- 2011/05/17 : 放射能汚染タンポポの葉の放射線像
浪江町の大柿ダムの周辺は冬枯れでツバキなど以外は灌木の葉が散って枯れていたが、ダム周辺の道路の斜面には、寒さに強いのかリュウノヒゲに似た単子葉の草のみが生えていた(正式な名前は不明)。 斜面は、付近の住民が避難しているので、落ち葉掻きなどに数年間は人の手が入っていないので、10センチぐらいの厚さに落ち葉がふさふさと堆積していたままであった。だからこの草は根を痛めないで割合簡単にずぼっと引き抜くことができた。ほとんどの根は、落ち葉層や腐葉土にあって、まだ粘土層にはあまり到達していないかのごとくであった。
絡みついた落ち葉を払って植物を大学に持ち帰った。実験室ではさらにこれ以上は無理というぐらいに丁寧に細かく落ち葉と腐葉土を払い取って、オートラジオグラフを撮像した。 葉の部分は、単子葉植物としては非常に放射能が高かったのだが、根の方はその20倍もの放射能値を示した。
落ち葉に絡まった根が雨によって落ち葉から溶け出てくる放射性セシウムと、落ち葉が徐々に微生物分解されて、その微生物が死んで溶けてでてくる放射性セシウムを、根は直接吸収しているのだろう。つまり、この根は落ち葉層や有機物層にトラップされて、まだ粘土層に固着していないでいる根に吸収されやすいセシウムを吸収し続けているものと思われる。
林内でセシウムが循環しているのである。
表1.根とそれに絡まって取りきれない腐葉土の合量 は 葉のみ の約20倍。
(森敏)
NHKスペシャル 「被曝の森2018」見えてきた汚染循環
2018年3月7日(水)
午後10時25分〜11時15分 50分番組 NHK総合 (全国放送)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180307
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放射性物質で汚染された区域はこの先どうなっていくのか? 2016年3月に放送した「被曝の森~原発事故5年目の記録~」では、急速に家々を覆っていく植物や、昼間から住宅地に出現するイノシシなど、無人の町が野生に侵食されつつある衝撃の実態を明らかにした。放射性物質の生物影響に関する様々な研究報告も伝え、低線量被曝の謎に迫った。今回の番組はその続編。
去年の春、被災地は新たな局面を迎えた。国による計画除染が終わり、広い範囲で一斉に避難指示が解除された一方で、山間部を中心に「帰還困難区域」として取り残される地域が生まれたのだ。その面積は340km2(東京23区の約半分)。対象となる住民は2万4千人に及ぶ。そうした「帰還困難区域」で、放射性物質はどのような影響をもたらしているのか? 科学者による研究は、より深く、より多角化している。これまで調査されてこなかった高線量の森に踏み込み、生態系の中で放射性物質がどのように移動・残留しているのか、解明が進んでいる。科学者たちの挑戦や住民の思いを追いながら、その実態を記録する。
ということだそうです。
(森敏)
小生らの放射線像も何枚か登場するはずです。放映は遅い時間帯ですが、番組向上のためにも、ぜひ御視聴いただき、後に批判的感想を「NHK 科学環境番組部」に寄せてあげてください。
追記:速報!
NHKスペシャル 「被曝の森2018」見えてきた汚染循環」
の再放送は深夜です。
再放送は
2018年3月10日(土) 午前0時55分〜(50分)
つまり、金曜の25時55分から
ということです。
録画しなかった方は、ぜひ再視聴ください。
追記2:以下のホームページでも見られます。
http://www.dailymotion.com/video/x6fu0tm