2009-08-12 14:48 | カテゴリ:未分類

全盲の人の感覚

 

1.

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人として初めて優勝した辻井伸行さんの母、辻井いつ子さんが述べている(「全盲のピアニスト」と呼ばないで 文芸春秋8月)。

     

伸行は一度泣き出したら止まらなくなる赤ん坊でした。特に嫌いな音には敏感に反応しました。掃除機や洗濯機、電子レンジの音、スーパーの「いらっしゃいませ」という電気的な音声を聞くと、火がついたように泣きだして困らせました。

    

    これまでも、何人かの作曲家や演奏家が、街や喫茶店での好きでもないBMG(バックグラウンドミュージック)に関して、それは<苦痛を伴う不快な騒音公害である>と指摘している。しかし音痴の小生は、これは単に曲目による趣味の問題かと思っていた。しかしこの辻井さんの指摘で、われわれは現代文明の発する「電気的な音」が無意識のうちに、我々の聴覚を破壊しているのだということに、気づくべきなのであろう。

    

    鋭い聴覚を維持するには、かわいい孫や小さな子供たちが家にいる時には、洗濯機や、電子レンジや、掃除機の音を控えたほうがいいのだろう。こどもたちを引き連れて電気製品や広告の呼びかけで満ち溢れている、商店街や電気館などをほっつき歩くことも控えたほうがいいのだろう。

    

    便利さとひきかえに、ゲーム機のキンキンする機械的な音は、多分、子ども達の聴覚を無意識のうちにむしばんでいるのだろう。

     

2.

タオルの生地メーカーが、全盲の人々に、新しく織ったタオル地に手触りで感触を確かめてもらう、という手法を用いて、新しいタオルの開発を進めている、というテレビ報道を見て、痛く感心した。

     

    全盲の人は、目が見えない分、その不便を補うために、健常者よりも、はるかに指先の触覚を発達させているだろう。つまり物理的なセンサーが発達しているだろう。だから普段我々が感じていない微妙な“気持ちよさ”(あるいは“気持ち悪さ”)の違いを識別出来るのだろう。

   

    以上の1,2の点は、要するに、その裏をかえせば、<健常者は五感に鈍感である> ということなのであろう。

        

(森敏)

 

 

秘密

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