2008-02-09 15:20 | カテゴリ:未分類

百家争鳴の場

 

WINEPのホームページでも紹介したが、最近東京大学農学部・植物栄養・肥料学研究室が「東大植物栄養・肥料学の流れ-戦後半世紀の歩みの中で-」という同窓会の出版を行った。この研究室の同窓生がA4紙1-2枚の原稿を寄稿した物を綴ったものである。小生も末席を汚している。

 

これをざっと読んでの感想は、多くの卒業生が、研究室での食卓での歓談を懐かしんでいることである。大部屋と呼ばれる実験室の隅には長四角のテーブルが置いてあり、午後5時が過ぎると(時には真っ昼間からでも)、そこで何となくみんなが集まって、上・下・男・女のわけへだてなく、飲んだり食ったりの会話を楽しんだのであった。その内容は政治・経済・科学・技術・恋愛・食欲・酒などすべてに及んでいた。時には猥談も。ここでの教授や助教授たちの人生観が後輩に強い印象を残していることがわかる。

 

社会に出ての研究課題などは、ほったらかされてもみんななんとか自力でやってこなしていけたのだろうが、物事の考え方などはやはり、ここでの百家争鳴が人生の基盤になっているような実感をもっている同窓生が多いようである。特に短期に滞在した企業や試験研究機関からの派遣研究生ほどここへの在籍時の影響が強かったであったようである。いま思うにこの食卓は一種のよい意味での ”キチガイ部落”であったのかもしれない。

 

顧みるに、現在の大学の研究室運営はかなり窮屈で、毎日のように皆が集まって大声で飲み食いする場所(スペース)そのものが無くなっており、一研究室あたりの教員の数が少なくなっているので、世代間の胸襟を開いた濃密な交流がきわめて少なくなっていると思われる。

 

学内的にもアカハラやセクハラなどの規制が厳しくなっているので、教員は酔っぱらって(はいけないし)も言葉つかいにも気を付けなければならなくなっている。であるから、自らの本音の会話がなかなか出来にくくなっているように思われる。こんなに大学人が紳士・淑女ばかりになっていいのだろうか? 

こういうことをいうと「おまえは旧い!」とすぐに民主主義者に反論されそうだが。

(森敏)

(用語解説)アカハラ:アカデミックハラスメントの略称。大学などの研究・教育機関において、上司がその権力を濫用して学生や配下の職員に対して行う嫌がらせ、またはその行為。上下関係を利用した嫌がらせ。

秘密

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