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2023-03-08 01:07 | カテゴリ:未分類
小生は以下の論文にアクセスできていないのだが、ChatGPTが読んでくれたところによれば、

自尊心、エネルギッシュな性格、社交的な傾向などの強い人は認知症の進行が比較的遅くなるとのこと。

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性格と認知症の関係 米国心理学会が新たに行った研究によって、一定の性格特性が、高齢者の認知機能低下に影響を及ぼすが明らかになった。この研究論文は『ジャーナル・オブ・パーソナリティ・アンド・ソーシャルサイコロジー』誌で公開されている。(本日3月7日のネットニュース)

この研究によれば、高齢者の中には、神経細胞の減少が進む前から、ある種の性格特性を持っていることが明らかになっています。特に、神経細胞の減少が進んでいる高齢者において、ネガティブな性格特性がより強く見られる傾向があることが示唆されました。このような性格特性を持つ高齢者は、認知症の発症リスクが高くなる可能性があると考えられます。

一方で、ポジティブな性格特性(自尊心、エネルギッシュな性格、社交的な傾向など)を持つ高齢者は、神経細胞の減少が進んでいるにもかかわらず、認知機能の低下が比較的遅くなる可能性があることが示唆されています。

これらの結果は、認知症の予防や治療において、個人の性格特性を考慮することが重要であることを示唆しています。また、高齢者の生活環境や社会的支援、ストレス管理などの面でも、性格特性を考慮したアプローチが必要であることが示唆されています。


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(森敏)

付記: 認知症予防に関する疫学的論文は世界中にごまんと出ているらしいが、どれもこれも研究費狙いが主で、あまり信用できないと、小生は思っている。この論文によれば、小生のように疑い深い人物は、たぶん確実に認知症が急速に進行するのだろう。

それが証拠に、最近、会話の中で、西郷吉之助の名前はすぐ出てきたが、大久保利通の名が数時間出てこなかった。言問い通りの一乗寺の境内で花手水〈はなちょうず〉を鑑賞しているときに、そこのお墓に「大久保なにがし」のお墓があったので、やっと、「そうだ、大久保利通だ!」とやっと思い出した次第です。情けないことです。

スライド1

スライド3

スライド2



2022-06-18 15:59 | カテゴリ:未分類


ムーンショット

      
  すでに1か月前のことになるが、地方各紙が上記のような記事を掲載している。(ダブルクリックして拡大して読んでください)。
      
  文科省所轄の新しく始まる大型プロジェクトでは「ムーンショット型研究開発制度」と称して、年間800億円が計上されているようだ。それに応募してこれまでに採択された324人の研究者に対して、財務省が調べたところ。一人で掛け持ちする研究課題が10件以上の研究者が全体の6%、30件を超える研究者は2%もいるとのことである。
      
  6%ということは19名いるということであり、一人で平均して年間2.5億円もの多額の研究費を受け取るということである。もちろん彼/彼女の研究班の中には、他の研究組織などからの共同研究者が金魚のふんのように何名かが集っているはずだから、一人でこのお金を使うわけではないだろう。しかし掛け持ちしている他の9件からの研究費からも、彼/彼女にはお金が入るから、特定の個人に対して潤沢すぎるお金が入ってくることになる。一人で何人のポスドクを抱えるつもりか知らないが、面倒みられるのかねと、他人事ながら心配だ。
   
  当人は大学内外行政や授業や、講演や論文執筆やでほとんど時間がとられて、ポスドクや学生との交流に時間はほとんど得られないはずだ。週一回のゼミのための時間確保もママならないかもしれない。ましてや自分自身が実験に専念できる時間は皆無だろうと想像する。
    
  小生の知人では、、国立大学でも年間数十万円しか自由に使えるお金がないという嘆きも聞かれる。あまりのも極端な研究費の偏在である。
  
  「お前が無能であほだから仕方がないだろう!」
   
  と言われれば引き下がるしかないのかもしれないが、 研究者としての気力がそがれるほどの富の偏在が同じ職場で存在することは互いの精神衛生上甚だよろしくないことだと思う。
    
   
  さて、それはそれとして、

これを書いていてて、思いついたのだが、当面の喫緊の研究課題として
     
『ウクライナを勝たせるために、日本はどう貢献すべきか』
      
というテーマで、向こう5年間でいいから、全学問分野横断のプロジェクトを、文科省には起ち上げてもらえないだろうか? 毎年10億円、5年間で50億円もあれば、多くの研究者が参集出来て、活発な議論が出来て、素晴らしい政策提言が出てくることと思われる。
   
  あくまで学問的な議論だから、現今の週刊誌や月刊誌やテレビや、インターネットで、好き勝手な議論がなされているのを、根拠のある実証的な議論としてまとめ上げて、ウクライナ戦争の時々刻々の政策提言が出来ればいいのではないだろうか?(甘いかな)
      
  小生は昔、『高度技術社会のパースペクテイブ』(竹内啓研究統括)に参加させていただき、文理融合の科学技術論争を喧々諤々聞かせていただいた。この研究班からは、現在活躍されている多彩な有能な研究者が数多く輩出したと思う。

  しかし、この研究班の中でも、狂犬プーチンが唱えるような「核を使える」戦争の時代が来るということはだれも予測できていなかった。平和ボケの時代だったね。
   
  差し迫った核戦争のシミュレーションは誰がどれだけできているんだろうか?
  
  

  
(森敏)
追記:年間10億円は高いと思うかもしれないが、実はそうでもないのである。
前述の『高度技術社会のパースペクテイブ』プロジェクトでは、年間約2億円で3年間であったが、班員は公募で募り、総数50名に上っていた。文系の人には年間100-200万円を配布し、理系には200万円から500万円を配布していた。
 
小生が提案する上記『ウクライナを勝たせるためには、日本はどう貢献すべきか』(略称「ウクライナ戦争プロジェクト」と呼称したい)では。20年前よりも物価が上昇しているし、文系が使用する情報入手関連の電子機器も高額化している。たとえば人工衛星からの画像の入手や、ウクライナやロシアからの情報交信には、かなりの金額が必要である。総勢50人体制で組織するとなると、年間10億円では足りないかもしれない。




2021-10-13 11:29 | カテゴリ:未分類
 以下の内容は、小生の知るところ 大紀元(Epock Times)のみがネットで報じている。
  
この情報は単なる自民党政権の 選挙対策 のブラフか?
  
きちんと情報を追えていないので、この情報源の確信が持てないでいる。
  
甘利幹事長の意気込みの構想はいいし、大学人にとってはとても励みになる話だが、こういう構想はこれまで実現したためしがない。
 

   
  
  
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10兆円ファンドで大学研究活性化「夢のサービス、日本から湧き出てくる」甘利明自民党幹事長が意気込み

20211012 2036

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政府は大学による次世代技術研究の活性化のために、10兆円の大学支援ファンドを創設している。菅政権時代に公表された計画では年数千億円の運用益を見込んで、研究費や人材育成に充て、安定投資を実現する。

この計画について、11日、甘利自民党幹事長がソーシャルメディアで紹介した3Dプリンターや量子コンピュータの発明が日本発だったと強調し、「次の時代を担う夢の製品やサービスはどんどん日本から湧き出てくるようにしたい」と意気込みを語った。

「原理や発明は日本初。でもビジネスでは欧米に負ける。日本の負のお家芸だ」と自虐的に語る甘利氏は、日本の研究分野には将来的に高い価値を持っている研究が多いと強調。こうした研究を商業化・産業化に結びつけていくため、大学研究ファンドを創設すると述べた。

このファンドは、文部科学省所管の国立研究開発法人である科学技術振興機構(JST)に設置される。政府出資、財政融資、民間投資を受けて、運用益を大学に配分する。

8月、内閣府と文部科学省は、2022年度の概算要求で、大学ファンド5兆円規模の予算を盛り込むことを決めた。ファンドは将来的に10兆円規模に広げる。

内閣府が立ち上げたワーキンググループの座長を務めるコロンビア大学の伊藤隆敏教授は、年間3000億円の支援実現のために、長期支出(ペイアウト)目標を3%、これに加え長期物価上昇率1.38%以上とする取りまとめ案を報告した。つまり、10兆円規模のファンドの運用益3000億円を対象の大学に配分する。

108日の内閣府の会議資料では、この計画に参画する大学の数は8校程度、日本の大学が持つ研究力の強みとしては物理学、化学、臨床医学があげられ、投資分野の有力候補になっている。

ファンド運用には「先駆技術の研究に取り組む優秀人材の確保が必須」と資料にある。そして、利益配分や資本拠出に関わる大学は、世界のトップ研究大学に相応する制度改革、大学改革に協力姿勢が求められる。

しかし、大学や技術漏洩防止の意識の低さも、先の調査で露呈している。9月の経済産業省と文部科学省による共同報告によれば、日本に留学する外国人学生に対して「安全保障に関わる技術の持ち出しを禁止する」との注意喚起を行なっていない大学は6割に上ることが明らかになった。

この報道をうけて、小林鷹之・経済安全保障担当大臣は、機微技術の流出防止は「政府・企業のみならず、アカデミアの経済安保に関する意識向上と体制強化は必須」との考えを示した。

国も技術安全保障の強化を進めている。文部科学省は「科学研究費助成事業(科研費)」について、2021年度以降は申請者が外国の研究資金を受けている場合、その申告を義務化する。これは中国共産党の海外人材招聘計画を念頭にしているとされる。(佐渡道世)

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財務次官、モノ申す 
「このままでは国家財政は破綻する」


  矢野康治(財務事務次官)が 文芸春秋 で上記のタイトルで、

すでに国の長期債務は973兆円、地方の債務を合わせると1166兆円に上ります。GDPの2.2倍であり、先進国でずば抜けて大きな借金を抱えている。それなのに、さらに財政赤字を膨らませる話ばかりが飛び交っているのです。云々。。。
   
  と、10ページにわたるデータを駆使した、政府の放漫バラマキ財政に憂国の警告を発している。
   
  彼は、最近まれにみる気骨の筋の通った官僚だと思う。
   
  問題は国の財源をどう増やすかである。
     
      
  だれがどう考えても、甘利氏の云うように、長期的に見た日本国家の財源の増強は、大学の優秀な人材の育成と、若い彼らの発想による科学技術の発展にしかありえない。
   
  過去20年にわたって、その循環がおこらず日本は劣化し続けてきた。国立大学はいろんな意味での財政難で沈没寸前だ。
  
  まずやるべきことは、若い研究者にパーマネントポジションを飛躍的に増やしてもらいたいものだ。
  
  以上のことはこのブログでも何度も繰り返して主張してきたことですから、いささかつかれましたが。
  
     
(森敏)
  



2021-01-25 16:37 | カテゴリ:未分類

 

    以下、先ほど、日経新聞が電子版で報じている。重要な情報なので、その一部を無断掲載した。

 

博士課程学生に生活費240万円 政府、7800人に支援

2021/1/25 11:00 日本経済新聞 電子版

 

政府は2021年度、博士課程に進学する学生の生活費を支援する新たな制度を設ける。大学を通じて1人当たり年240万円を支給する。7800人が対象になる。生活面から博士課程への進学を後押しし、日本の国際的な競争力の維持に欠かせない専門人材の育成につなげる。
 
各大学が学生を選び、国から大学に支援金を出す仕組みを整える。大学側が責任を持って対象者を選定するよう4分の1から3分の1程度は大学側にも負担を求める。
 
政府は博士課程への進学が国際競争力の維持に欠かせないとみる生活費を支援する博士課程の学生の一部には、研究費の支援も計画する。1人当たり年平均50万円ほどを見込む。制度を適用する大学は今後選ぶ。
 
人工知能(AI)や量子技術といった成長分野などに力をいれたり、就職支援を充実させたりする場合などを想定する。240万円は生活費を賄える額として設定した。政府は博士課程学生の生活を支えるために年180万~240万円が必要だと見積もる。18年度の日本学生支援機構(JASSO)の学生 調査で博士課程の生活費は平均230万円程度だった。
 
初年度の関連経費は230億円程度の予定だ。20年度第3次補正予算案に200億円、21年度 予算案には30億円をそれぞれ計上した。政府は大学の研究開発を後押しする10兆円規模の基金を官学で創設し、22年に運 用を始めると見込む。運用益が出始めれば支援金の原資に充てる。それまで政府が必要な予算を措置する方針だ。
 
博士課程の学生は日本全体でおよそ74000人いる。現在も支援策としてJASSO の奨学金などがあるが、生活費を満たす水準の枠は7500人にとどまる。政府は支援の拡大に力を注ぐ。年度内に21年度から5年間の科学技術政策の方針となる新たな科学技術イノベーション基本計画を決める。素案に生活費相当額の支給を受ける博士課程学生の比率を3割に高める目標を盛り込んだ。従来の計画は2割を目標値にしていた。今回の措置で達成する見込みがついたため、より高い目標を掲げて支援に力を入れる姿勢を打ち出す。
 
博士課程への進学を巡っては、経済面で行き詰まる可能性への不安感が根強いとみられる。 科学技術政策研究所(現在の科学技術・学術政策研究所)は08年に理系修士学生への調査を実施した。博士課程への進学検討に関し「一番重要」な項目の上位に「経済的支援の拡 充」(23.6%)や「民間の雇用」(21.6%)があがった。 博士課程への進学の後押しは日本の国際競争力を維持する観点からも重要だ。博士課程で専門分野の知見を深める学生が少なくなれば、先端分野などの研究を支える担い手も減るためだ。
 
日本は00年に修士課程の修了者の16.7%が博士課程に進んでいたが、18年には9.3%まで 落ち込んだ。国際比較でも00年度の人口100万人あたり博士号取得者数は日本が127人、米国が141人、韓国が131人でほぼ同水準だった。ところが15年度は米国は259人、韓国は256人と増加したのに対し、日本が118人にとどまった。
      
   
 (森敏)

 付記:以下に、「放射線像」の YouTubeを継続発信しております。ご笑覧ください。

 https://www.youtube.com/channel/UCoxOKSbRGkZSNR7no2-7U9g

2019-12-19 06:23 | カテゴリ:未分類
  以下の日経新聞と朝日新聞と毎日新聞の記事は、日本の「研究者育成政策」の現状を紹介したものだが、危機的状況であることがわかる。
    
  毎年のノーベル賞受賞者などが、日本の研究者育成政策が危機的状況であることをいくら叫んでも、なぜかそれが政策に遅々としてしか反映されてこなかった。なぜそうなのかを、大学人、経済界、政治家はこの際根本的によく考えるべきだと思う。政治家がよく使う、言語明瞭意味不明瞭な言葉「抜本的」政策ではだめな状況に追い込まれているのである。
      
  以前にも(10年以上前から)このブログでも同じことを口を酸っぱくして、何回か述べてきた。

  

          2019/04/18 : 1兆2180億円の戦闘機投資
     
          2018/01/11 : 地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基の値段2000億円は、日本の文科省の科学研究費(日本の全大学の研究者の生命線!)と同額

         2018/03/31 : 何をいまさら! 国の科学技術人材育成に対するたとえようもない鈍感さ

         2016/10/04 : 大隅良典先生おめでとうございます
            
          2013/12/15 : 先端技術と民生技術





だが、事態はさらに悪化する一方である。以下の記事からも、連動して科学研究成果の生産が急速に低下していることがわかる。



   


 

 

博士生かせぬ日本企業 取得者10年で16%減

 

    世界は新たな「学歴社会」に突入している。経営の第一線やデジタル分野では高度な知識や技能の証明が求められ、修士・博士号の取得が加速する。主な国では過去10年で博士号の取得者が急増したのと対照的に、日本は1割以上減った。専門性よりも人柄を重視する雇用慣行を維持したままでは、世界の人材獲得競争に取り残されかねない。

    「日本人だけでは定員を埋められない。経済学の修士課程は7割が留学生だ」。データ分析を駆使したミクロ経済学を研究する、東京大学の渡辺安虎教授は危機感を募らせる。今夏までアマゾン・ドット・コム日本法人で経済学部門長を務めた経験から「社会的なニーズは必ずある」と断言するが、日本人の大学院への進学意欲は乏しい。

    科学技術・学術政策研究所によると、欧米各国では2016年までの10年間に博士号の取得者が2ケタ増えた。修士号でも傾向は同じだ。企業などで上級ポストを射止めるには、高度な学位が必要だ。

    グーグルなど米IT大手に先端分野の技術者として入社するには、修士・博士号が最低条件だ。中国は自 国での育成に加え年5000人超が渡米して博士号を取得。帰国した人は「海亀族」と呼ばれ民間企業などで活躍する。

    一方、日本の博士号取得者は16年に15000人と10年間で16%減った。少子化は関係ない。この間に4年制大学の入学者は一貫して増えている。学生が専門課程への進学をためらい、日本は世界の中で相対的な「低学歴化」に沈んでいるのが実情だ。

大学などの研究者の収入が不安定な面は否めないが、企業の機能不全も深刻だ。

博士課程でAIを専攻した大山純さん(仮名)は今、国内電機大手でインフラ分野の営業と開発に従事する。採用面接では専門知識はほぼ問われず、逆にこう求められた。「学位取得より入社を優先してほしい」。結局、博士号は取らなかった。

    経団連は毎年、加盟各社が「選考時に重視した点」を調べている。上位を占めるのは「専門性」ではなく、「コミュニケーション能力」など人柄に関する項目ばかり。

    入社後も専門性は評価されにくい。30歳前後の平均年収を比べると、日本の学部卒人材が418万円なのに対し、修士・博士の大学院卒は524万円。その差は1.25倍だ。米国の修士の平均年収は763万円で、学部卒の1.4倍を稼ぐ。博士では915万円と1.68倍まで開く。

    高学歴者に高収入で報いるのは、世界の常識だ。社会学者の小熊英二・慶応義塾大学教授は「グローバルの人材評価基準から日本市場は隔絶されている」と指摘する。倍以上の年収で外資に転じる博士が後を絶たないのは、国内企業の待遇の悪さの裏返しだ。

    「社会」に出ても稼げないため、日本の博士号保持者の75%は大学など研究機関に所属する。日本では1990年代に政府主導で博士を増やしたが、民間で受け入れられずに雇用が不安定なポスドク問題の温床となった。科学技術振興機構の永野博研究主幹は「採用されるような人材を、大学側が育ててこなかった面もある」と振り返る。

    米国では博士の4割が企業で働き、イノベーションの原動力になっている。高度人材の育成と確保は、国家の競争力も左右する。雇用慣行と教育現場。2つのアプローチで改革を急ぐ必要がある。(北爪匡、小河愛実、生川暁。 NIKKEI)

    

40歳までの研究者に年700万円 政府支援へ

20191242155

 政府は若手研究者に最長10年間、年700万円の支援にのりだす。検討中の経済対策に盛り込む方針。任期付きの雇用が多い若手研究者が長期間、研究に専念できる環境づくりをめざす。

 500億円規模の基金を新設し、40歳までを目安に対象とする。数年間で最大700人を選び、追加で所属する大学や研究機関での研究環境の整備費用なども上乗せされる。期間は原則7年間だが、最大3年間の延長もできるようにするという。

 日本の研究環境をめぐっては、注目度の高い論文数の世界シェアはこの10年間で4位から9位に落ちた。40歳未満の国立大学の教員のうち、任期付きの人の割合は2007年の38・8%から17年は64・2%に増加。士課程から博士課程への進学率も減少傾向で、研究力の強化には、若手研究者の支援が不可欠だという意見が出ていた。(合田禄 。朝日新聞)

 


自民党内で「企業優遇丸もうけ」批判、センセイ大丈夫? そして結果は

毎日新聞20191212 1320(最終更新 1212 1523)

深津誠

 

 124日、自民党税制調査会の「平場(ひらば)」と言われる、議員なら誰でも参加できる小委員会。この日は、「マル政」と呼ばれる案件を議論する日だった。「マル政」とは、政治の「政」を「○」で囲った記号のこと。政治決着が必要な案件を指しており、この審議で税制改正項目が最終的に絞り込まれる。いつものように審議を取材しようと自民党本部9階の廊下で待っていると、「自民党らしからぬ」発言が耳に入った。

 「(企業の)内部留保が積み上がったのは、過去に法人税を下げたからだ。法人税を下げても給料や設備投資に回らないと証明されている。そのうえ、ベンチャーへの投資を減税したら企業が丸もうけになる」

 歴代自民党政権は、消費税率を引き上げた一方で法人税を減税してきたため、「企業優遇」という批判が野党側にある。そんな野党に似た発言が自民党の議員から出るとは正直、驚いた。

 議員が言及したのは、減税をテコに企業の内部留保をベンチャー投資に向かわせて共同研究開発を促す「オープンイノベーション税制」のことで、今年の税制改正の目玉のひとつだ。企業の内部留保のうち現預金は240兆円に膨れ上がっている。これを吐き出させれば経済全体の活性化につながる――との考えから、大企業なら1億円以上を設立後10年未満のベンチャー企業に投資すれば、投資額の一定割合を控除して法人税負担を軽くする。

 要望した経済産業省が議員に配った資料には、「自前主義では新たなビジネスの芽は生み出せない」「240兆円を解放し経済成長に回す。今が最後のチャンス」といったやや扇動的な文言が並ぶ。資料でオープンイノベーションの成功例として挙げられているのは、ソニー、富士フイルム、トヨタ自動車。なるほど、新税制の恩恵を受けるのは、こうした大企業なのだろう。昨年は研究開発減税を拡充して自前の研究開発を優遇し、今年は自前主義の限界を示唆――。矛盾しているようにみえるが、大企業にあの手この手で助け舟を出すという点で首尾一貫していると感じる。平場の議論では、賛成多数だ。

 この日の小委員会の審議では、元財務政務官の大岡敏孝衆院議員(47)も「オープンイノベーション税制」に反対の論陣を張った。「四面楚歌(そか)、多勢に無勢だが反対。(企業が)損したら税金で補塡(ほてん)し、得しても税金で追い銭がある。ベンチャーへの大企業支配が強まる」と訴えた。

 自民税調の「甘利明会長肝いり」(ある議員)とされるこの税制に、真っ向から反対する…


(森敏)
付記:

以下小生の独断と偏見です。

 受験産業界の連中や経団連などの企業人が、文科省の大臣や官僚とつるんで、小、中、高、大学への受験制度をいじくりまわして、「グローバルに活躍できる人材育成を」と大学に迫って、産業競争力の強化のための教育改革を狙っている。実にばかげたことである。
藤原正彦氏は、雑誌文芸春秋で、最近の文科省の英語教育改革について
・英語教育が国を亡ぼす
・英語教育は国民のエネルギーの壮大な無駄
・語学ができるほどだんだん馬鹿になる(英文学者中野好夫の言)
・英語、IT、プレゼンは小手先技術
と徹底的にこき下ろしている。
   

  大企業はリーマンショック以降につぶした自前の研究所を、本気で復活して大学からの博士課程卒業者を優先的に積極的に受け入れるべきである。大学に金を出さず口だけ出すなと言いたい。いつまで企業人は「会社では博士出身者は融通性がなくて使い勝手が悪い」と言い続けるのだろうか? 今日、多様な個性を生かせないのは、会社の上層部の指導能力の欠如のせいだろう。

  博士課程に学生が進学してこなくなっているので、日本の大学のほぼ全分野で戦力が低下して、大学発の先端的研究成果の発出力が低下し続けていることは明々白々である。

  科学技術という抽象的な課題は国民うけがいまひとつなので「選挙の時の票に結びつかない」と国会議員選挙の候補者は考えているのだろう。研究者育成推進のみを選挙のスローガンにワンイッシューとして掲げる候補者が出ないだろうか。大学は危機である。大学人は団結すべきである。自衛隊は団結して国会議員佐藤正久 1等陸佐 (参21回(比例区)、参23回(比例区)、当選2回)を当選させているではないか。大学人は自衛隊の結束力に学ぼう。




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