2009-05-09 13:59 | カテゴリ:未分類

足利事件の「DNA鑑定」に思う

 

1990年に起こった4歳幼児殺害事件では、幼児の下着に付着していた精液から採取されたDNAが当時の警察庁科学警察研究所の鑑定により、被告人菅家利和のDNAと一致したという点を有力な科学的証拠として有罪が確定し、現在被告は無期懲役に服役している。 

 

これに対し佐藤博史弁護士は独自の鑑定証拠を持って、2002年12月宇都宮地裁に再審請求したが却下され、2008年2月東京高裁に即時抗告し、高裁が再鑑定を決定し、2009年5月8日の弁護側の記者会見では「検察側の鑑定医と弁護側の鑑定医が共に、「遺留体液のDNA型と菅家受刑者のDNA型が一致しない」とする関係書を東京高裁に提出した」ということである。本件は冤罪の可能性が極めて高くなったといえるだろう。

  

小生も10年以上にわたって農薬被害者の裁判を支援してきた(当時のことは、このWINEPブログの「ジクロルボス(DDVP)に思う守住正昭さんのこと」(08/02/07)に記した経験から、この間の15年以上にわたる弁護士の努力には本当に頭が下がる思いである。

 

    今回のことでは、これまでも何回となく言われてきたことであるがいくつかの法制上の教訓を汲むことが出来る。

 

1.DNAが腐敗菌によって分解されないように、初動捜査での証拠物件は「マイナス80℃」に凍結保存されるべきである。「アメリカでは連邦法で、再鑑定を不可能にしてしまう証拠資料の破壊(全量消費)をした場合は罰則もあり、原則的に冷凍保存している」と報じられている。(毎日新聞5月9日)。

 

2.無実を訴える人のためには、常に再鑑定できる仕組みを保証してもらいたい。(佐藤博史弁護士)

 

3.冤罪事件では検察当局による自白のデッチアゲが多いので、被告の自白に至る取り調べ現場の映像を記録保全しておくこと。

 

 

    日本では以上の3点が未だ法制化されていないので冤罪事件がまだまだ続くものと思われる。

   

(森敏)

秘密

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