2008-01-02 20:32 | カテゴリ:未分類

箱根駅伝と「環境・LCA」

 

「1月2日の箱根駅伝からサッポロビールの企業広告(環境・LCA編)に出ることになりました。」という年賀状を元旦に研究室の修士課程を20年以上前に卒業生したH.M.君からもらった。そのためにこれまであまり真剣に全行程を通して見たことがなかった「箱根駅伝」を食い入るように見ることになった。H.M.君の企業広告内での雄姿を記念にデジカメで撮影するためである。

 

レースの放映の合間にほんの数秒から数十秒の一瞬に企業広告がはさまれるので、いつ彼の像が現れるか全く分からなかった。時々所用で席を外したので、正確ではないがH.M.君は最低3回はテレビに登場したのではないかと思う。テレビに向けてデジカメをいつもONにしておくとバッテリーが干上がってしまうので、彼の像がテレビに現れてからカメラをONにしたら、撮影が間に合わなかった。というわけで、結局最初の1回しかカメラに納めることができなかった。おまけに連続的にマニュアルでシャッターを押すのに忙しくって、広告の中身を正確に記憶していない。

 

学生時代と変わらぬ几帳面で端正な顔つきの彼が、明るい庭のテーブルに座ってビールのジョッキを右手で持ちあげたあと、「サッポロビールはビールの生産の全工程で排出される炭酸ガスを徹底的に算出し、その排出削減に努力しております」、すなわち環境に易しいビールつくりを行っている、ということをしゃべっていたようである。

 

ところで、約20年前から小生は東大農学部農芸化学科(現在は生命化学・工学専修という)の3年生の「環境科学」という授業でオムニバス形式の授業を統括していた。その時に、その15回の講義のうち2回分を慶応大学産業研究所の吉岡完治教授や早見均助教授(現商学部教授)に「産業連関表を用いた環境ライフサイクルアセッスメント(LCA)」というタイトルで、約10年間にわたって引受けていただいた。H.M.君の年賀状にあるLCA(Life Cycle Assessment)という言葉は、そのときから世の中に少しずつ知られ始めた言葉である。H.M.君がこの講義を受けていた世代であるかどうかは定かではないのだが。

 

当時はおそらく慶応大学商学部と小生の授業でしかこの授業は行われていなかったと思う。両先生は『産業連関表』を用いて、ひとつの製品が産出されるまでにどれだけ炭酸ガス(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)を環境中に放出することになるのかなどを、詳細にコンピューターで算出してつぎつぎと発表するという極めて先駆的な仕事をされていた。環境省や通産省はその後大々的にこのLCAプロジェクトを立ち上げたが、日本での元祖は彼ら慶応大学のグループにある。

 

いまではこのLCAという言葉がマスコミにも使われて、「環境家計簿」(これも吉岡完治教授の造語である)などという言葉が意識ある市民の間では常識になりつつあることは素晴らしいことだと思う。

 

今や企業人がLCAやCDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)を語り、それを企業イメージの向上や、実際の商売(炭素の排出権取引)に結びつけるようになっている。だがしかし、残念なことにまだまだ日本では法律による政策誘導が極めて緩慢で、環境保全・自然エネルギー開発を中心に経済が回るような仕組みになっているとはとても思えない。ドイツなどに比べて5年以上の開きがあるように思われる。

 

H.M.君にはこれからも頻繁にビールの広告でお目にかかれることを願っている。

 

(森敏)

 

付記:小生の各文章は「むつかしい」という声を聞きました。まことに申し訳ございません。したがってこれからは時々用語解説を入れたいと思います。

早速ですが用語解説です

産業連関表:経済活動は、産業相互間、あるいは産業と家計などの間で密接に結びつき、互いに影響を及ぼし合っており、このような各産業の投入と産出に関する経済取引を特定の1年間について一覧表にしたものです。5年ごとに集計して発表します。 (すみません、かえってわかりにくくなったかも?)

 

 

秘密

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