2008-11-28 04:14 | カテゴリ:未分類

立原道造(たちはらみちぞお)記念館

 

入場券が手に入ったので、この記念館を初めて訪れた。東大の裏門である弥生門のすぐ前にあり、すぐ横に竹久夢二弥生美術館がある。立原道造は弱冠25才で夭折した東大生で工学部建築学科が出自の文筆家である。この記念館の横を通るたびに小生は長い間気にはかけていたのだが、なぜかあまり積極的に入ろうという気乗りがしなかったのである。

 

『風立ちぬ』で有名な軽井沢の小説家堀辰雄に師事しており、展示品を見ていて笑ってしまったのは、筆の字がどんどん堀辰雄のはがきのふにゃふにゃのペン字の書体に似てきていることであった。私淑するときっと無意識のうちにそうなるのだろうと思ったことである。

 

立原道造は酒屋の息子として生まれ、経済的にあまり苦労しなくてもいい時代に才能を見いだされて、これから才能がどう展開するか大いに楽しみ、という、文筆家として未熟な段階で人生が閉じられたので、彼の遺作にはいわば萌芽的な良い面ばかりが残されているという感想を持った。

 

この立原道造もそうだし、萩原朔太郎、石川啄木など短詩型をものする作家はなぜこのように短命であるのだろうか。

 

思うにあまりにも早く才能が開花すると、人生経験の仕込みが少ないので、資産(ストック)を使い尽くしてしまうので、書くことが無くなってしまうのではなかろうか。

 

太宰治のように大地主の息子に生まれて、若くして才能を発揮して、すこし永く生きても、才能が行き詰まって、自殺に追い込まれていくケースもある。芥川龍之介もしかりである。

 

立原道造の14行のソネット(14行から成るヨーロッパ定型詩)形式の詩文が小生には非常に新鮮に思えた。あまりこのような詩形を継承した作家は日本ではいないのではないだろうか。

 

とにかく、まだ若い若いロマンが伝わってくる展示である。

 

今回の展示は「書簡を中心として[前記]」ということなので、来年初頭から始まるという[後期]の展示を見ると、また違った感想を持つのかもしれない。少し楽しみである。

 

(森敏)

 

 

秘密

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