2008-11-15 07:26 | カテゴリ:未分類

中国メラミン混入事件の謎を追う なぜ、だれが入れたのか- 露呈した中国ビジネスの陥穽

    

興梠(こうろぎ)一郎 神田外語大学教授が、12月号の『文藝春秋』で上記のタイトルでメラミン事件を取材している。現時点では渾身の取材であるという感想を持った。

   

内容が充実しているので大いに参考になった。その一方で、小生はこの取材がどういう情報源によるのかに、大いに興味を持った。共産党支配の言論統制の厳しい国であるから、現地に入って、メラミン被害者と直接接触することはほとんど不可能ではないかと思われたが、やはりそういうことを行った形跡はない。しかし、だれがメラミンを混入したのかに関しては、現地に入らなければ分からないような情報が記されている。

   

  文章にしたがって取材源を順に追っていくと、中国衛生省発表、ロイター通信、国家発展改革委員会発表、国家品質監督検査検疫総局発表、経済誌『財経』、新華社発行『瞭望東方周刊』、中国共産党中央機関紙『人民日報』、中央テレビ、甘粛省衛生庁(?)、広東『東方周末』の記者傅剣鋒のブログ、『ニューヨークタイムズ』〔電子版〕、英紙『デイリーテレグラフ』、上海『東方早報』、『南方周末〔電子版〕』、『南方都市報』、香港『大公報』、『ニュージーランドヘラルド』紙、米紙「USニューズ&ワールドレポート」、英誌『エコノミスト』

   

と実に多彩であるが、これらはすべて二次情報である。

   

  興梠氏は自らこの記事の中で、

「政府筋の情報だから」とか「大手の提携先の話だから」といった思いこみは危険である。彼らはむしろ問題が起きたら隠蔽する立場だ。三鹿(註:今回のメラミン入り粉ミルク提供企業)は、地元政府にとって守るべき大事な収入源なのであり、両者は一枚岩である。提携先や政府の情報を鵜呑みにせず、自ら現場を調べる必要がある。もちろん、正面玄関からの「視察」や「検査」はだめだ。非正規のルートで情報を得る必要がある。農民、記者、業界筋など、現場をよく知る情報源を活用すべきだ。

 

とジャーナリストとしての取材の基本精神を記している。

 

  今回興梠氏は現地に入って取材したのかも知れないが、その生の情報源を相手の立場を考慮して、この論文では開示することが出来なかったものと解釈した。しかし残念ながら粉ミルクの被害者や家族自身にインタビューした形跡はない。現下の言論統制下の中国で外国人が被害者と対面取材することはほとんど不可能なことなのだろう。

    

(森敏)

 

付記:小生は1970年代の米軍占領下の沖縄で、米運がベトナム戦で使わなくなったPCP(ペンタクロロフェノール)入りナパーム弾を大量に牧港発電所で廃棄処分したり、ガバス(註:サトウキビ滓)廃棄場にしみこませて廃棄したりした事実について、身に危険を感じながら現場を取材したことがある。牧港発電所での焼却では多大なダイオキシンを放出した可能性を指摘した。またガバスへの廃棄では実際に上水道がPCPで汚染し被害を出した。

    現地を走りまわって『琉球新報』や『沖縄タイムズ』よりも科学的取材をしたつもりである。この記事は当時宇井純氏が主催する「自主講座」に載せた。

秘密

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