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2023-01-31 08:33 | カテゴリ:未分類
小生は先に

肥料・食料・原発でグテーレスがプーチンに翻弄されている

「活性汚泥」の活用はよいが、慎重に

と、2報をこのブログで述べておいた。ウクライナ戦争の故に輸入飼料ばかりでなく肥料価格の高騰が起こっており、日本の農業が危機にさらされている。

これまでも、下水汚泥の肥料資源化のためにはコストがかかりすぎて、輸入肥料に太刀打ちできない自治体が多かった。そのためにこの有効な資源を焼却埋め立てにまわされる部分が大きかった。

しかしリンやカリの価格が高騰して、活性汚泥として回収したカリやリンが、輸入肥料と戦える場面になってきた。ウクライナ戦争が収束したら、国際価格が低下してまた、元の木阿弥にならないように、今から長期対策を立てておくことが必要である。

日本の科学技術政策は、立ち上げる時は先行技術の開発に大いに貢献するのだが、国際情勢が変わると、すぐその技術を放棄して海外移転してしまう傾向がある。

その結果、また国際情勢が変化すると、今度はその技術が日本で継続して開発されて行かなかったがゆえに、周回遅れになって、日本が後進国になってしまう。ということを繰り返してきた。

石油危機の時の「サンシャイン計画」として大いに、開発に先鞭をつけた太陽電池や風力発電はその最たるものである。


以下はこの問題に関する国内外の推移を日経新聞が詳しく紹介しているので、以下に無断転載させていただきました。



肥料高騰、国産化支援へ 下水汚泥再生で自治体補助拡充
2023/1/17 18:15更新 日本経済新聞 電子版

ウクライナ危機などを背景にした世界的な肥料価格の高騰を受け、政府は国産肥料の拡大支援に乗り出す。農家の経営に影響するだけでなく、調達が滞れば収穫量にも響きかねない。主要原料の一つであるリンの輸入は9割を中国に依存し、経済安全保障の観点でも懸念がある。自治体への補助を拡充して下水汚泥を肥料に再生する施設を増やし国産化を進める。
肥料は窒素とリン、カリウムが主な3原料とされ、日本はほぼ全量を輸入している。世界的な穀物需要の増加にウクライナ危機による肥料の供給不安や円安が重なり、国内の肥料の物価指数は2022年11月に前年同月比40%上昇した。リンは主要な供給国である中国が21年10月から輸出を規制している。資源が偏在しているため代替調達も難しい。
肥料は国内の汚泥からもつくることができる。リンを使った化学肥料は20キログラム当たり平均2000~4000円を中心に販売されている。岐阜市は下水汚泥からつくる肥料を参考価格として約700円で売っている。大量生産が容易ではないといった課題はあるが輸入原料の高騰を受け、国産を見直す機運がある。
国産原料の拡大に向け、総務省は23年度から3年間、自治体がリンを回収する施設などを導入する際の支援を拡充する。自治体が資金調達に向けて起債すれば償還費の33~47%を普通交付税で手当てする。これまでは16~44%だった。地方債計画に、関連事業費として100億円程度を盛り込む。
リンの需要量は年約30万トンで、下水汚泥はその1~2割相当の量を含むとされる。回収施設の導入には10億円近くかかり、経費の高さが課題だ。政府は肥料に再生して使う堆肥や下水汚泥の量(リンベース)を21年の2.7万トンから30年に5.5万トンに倍増させる目標を掲げている。今後、輸入価格が下がった場合に国内外での生産のバランスをどうするかなどが課題となる。
汚泥を再生してつくる肥料の利用拡大にも取り組む。農林水産省と国土交通省は下水道事業者や肥料メーカー、農業者と協力する官民検討会を立ち上げた。有害物質を調査・分析した結果を公表するデータベースの整備を手がける。汚泥由来の肥料へのイメージ改善を狙う。
農水省は肥料の原料を供給できる畜産農家や下水事業者、肥料メーカー、農家をマッチングするサイトを開設する。22年度中の運用開始をめざす。研究開発や設備投資への支援も拡充する。農水省は100億円以上を確保し、堆肥づくりの施設整備や費用対効果が高い汚泥資源を原料とした肥料の生産方法開発などを後押しする。



(森敏)

追記:小生は以下のように、39年前に東京都の活性汚泥を用いて、熟度の測定をするための、ガスセンサーを開発している。
お時間があればご参照ください。

堆肥の熟度検定のためのガスセンサーの開発
森 敏, 木村 郁彦
日本土壌肥料学会誌 1984年55巻1号23ー28頁。
2021-01-25 16:37 | カテゴリ:未分類

 

    以下、先ほど、日経新聞が電子版で報じている。重要な情報なので、その一部を無断掲載した。

 

博士課程学生に生活費240万円 政府、7800人に支援

2021/1/25 11:00 日本経済新聞 電子版

 

政府は2021年度、博士課程に進学する学生の生活費を支援する新たな制度を設ける。大学を通じて1人当たり年240万円を支給する。7800人が対象になる。生活面から博士課程への進学を後押しし、日本の国際的な競争力の維持に欠かせない専門人材の育成につなげる。
 
各大学が学生を選び、国から大学に支援金を出す仕組みを整える。大学側が責任を持って対象者を選定するよう4分の1から3分の1程度は大学側にも負担を求める。
 
政府は博士課程への進学が国際競争力の維持に欠かせないとみる生活費を支援する博士課程の学生の一部には、研究費の支援も計画する。1人当たり年平均50万円ほどを見込む。制度を適用する大学は今後選ぶ。
 
人工知能(AI)や量子技術といった成長分野などに力をいれたり、就職支援を充実させたりする場合などを想定する。240万円は生活費を賄える額として設定した。政府は博士課程学生の生活を支えるために年180万~240万円が必要だと見積もる。18年度の日本学生支援機構(JASSO)の学生 調査で博士課程の生活費は平均230万円程度だった。
 
初年度の関連経費は230億円程度の予定だ。20年度第3次補正予算案に200億円、21年度 予算案には30億円をそれぞれ計上した。政府は大学の研究開発を後押しする10兆円規模の基金を官学で創設し、22年に運 用を始めると見込む。運用益が出始めれば支援金の原資に充てる。それまで政府が必要な予算を措置する方針だ。
 
博士課程の学生は日本全体でおよそ74000人いる。現在も支援策としてJASSO の奨学金などがあるが、生活費を満たす水準の枠は7500人にとどまる。政府は支援の拡大に力を注ぐ。年度内に21年度から5年間の科学技術政策の方針となる新たな科学技術イノベーション基本計画を決める。素案に生活費相当額の支給を受ける博士課程学生の比率を3割に高める目標を盛り込んだ。従来の計画は2割を目標値にしていた。今回の措置で達成する見込みがついたため、より高い目標を掲げて支援に力を入れる姿勢を打ち出す。
 
博士課程への進学を巡っては、経済面で行き詰まる可能性への不安感が根強いとみられる。 科学技術政策研究所(現在の科学技術・学術政策研究所)は08年に理系修士学生への調査を実施した。博士課程への進学検討に関し「一番重要」な項目の上位に「経済的支援の拡 充」(23.6%)や「民間の雇用」(21.6%)があがった。 博士課程への進学の後押しは日本の国際競争力を維持する観点からも重要だ。博士課程で専門分野の知見を深める学生が少なくなれば、先端分野などの研究を支える担い手も減るためだ。
 
日本は00年に修士課程の修了者の16.7%が博士課程に進んでいたが、18年には9.3%まで 落ち込んだ。国際比較でも00年度の人口100万人あたり博士号取得者数は日本が127人、米国が141人、韓国が131人でほぼ同水準だった。ところが15年度は米国は259人、韓国は256人と増加したのに対し、日本が118人にとどまった。
      
   
 (森敏)

 付記:以下に、「放射線像」の YouTubeを継続発信しております。ご笑覧ください。

 https://www.youtube.com/channel/UCoxOKSbRGkZSNR7no2-7U9g

2018-03-31 10:49 | カテゴリ:未分類

「博士」でも任期付き若手研究者の雇用厳しく

20180301 1433分 読売

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学院の博士課程を修了して大学や研究機関に就職した若手研究者らの半数以上が、3年半後も任期付き雇用にとどまっているとの調査結果を発表した。

 同研究所は、2012年度に博士課程を修了した2614人について、3年半後の生活状況などをアンケートで調べた。60%が大学や国の研究機関などに就職していたが、そのうち52%は任期付きの不安定なポストにあることがわかった。

 また、15年度に博士課程を修了した人への別の調査では、4922人の回答者のうち、38%が返済義務のある奨学金などの借金を負っていることもわかった。

 若手研究者が厳しい環境に置かれていることから、文科省は、大学で若手にポストを用意できるような人事システムの改革など、若手研究者を育てるための新計画を6月末をめどに取りまとめる方針だ。

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  こういう若手研究者の深刻な身分の不安定さは、インパクトファクターの高い論文への掲載を狙った若手の研究者によるデータの偽造(フェイクデータ)の、温床になっている。、結果的に日本発の研究論文の信用の失墜に確実につながる可能性が非常に高い。実際論文の被引用度でもボデイーブローのように効いてきているのではないか。
           
  話が横道にそれるが、先日某国立大学の研究者に会って久しぶりに話を聞いていたら、この大学ではすでに研究者一人当たりの光熱水料を差し引いた研究費は年間たった10万円だということで、これには心底驚愕した。
          
  科学技術の人材育成と財政支援の両面が国立大学では崩壊しつつある。
 
   

論文の引用件数や、専門分野ごとの上位1%に入る重要論文の件数が、日本が米、中国、EU諸国にもおいぬかれて、ここ数年にわたって確実に低下しているという指摘が各種の調査機関でなされている。また、日本では国立大学よりも、国立研究法人(理化学研究所、物質材料研究所、生理学研究所、原子力機構などなど)のほうが質の良い論文を出している、などとも報道されている。後者の方が投入予算に対する研究成果が高い、すなわち投資効率が高い、との指摘もなされている。「国立大学は研究マネージメントが悪い」、と日経連や経済同友会に集まる民間会社の社長クラスが国の科学技術政策を論じる会議に参加してしきりにのたまう。
  

しかしこれらの指摘は、大学の有する特質を無視しているものと言わざるを得ない。大学は研究ばかりでなく教育の場である。国立大学の教員が有する教育の負担は甚大なものがある。研究ということがどういうことなのかに全くと言ってよいぐらい無知な新入生を一人前の研究者に人格的にも研究能力的にも気合を入れて真面目に育する苦労は筆舌に尽くしがたい。
  

極論すれば、上記の国立研究機関は、国立大学の教員たちが苦労して育て上げた研究者たちを、ポスドクなどの有給で雇用して、彼らの能力を研究成果として短期間で搾り取る(収奪する)機関なのである。苦労した学生たちを送り出す大学教員たちには、何の見返りもないと言っていいだろう。また、優秀な大学生を就職時に雇用する民間会社も、優秀な学生を育てろと大学側に文句はつけても、教員たちに対する研究資金面での見返りは、多くの場合、何もない。それどころか国立大学は毎年文科省からの「運営費交付金」を減額され続けている。国立大学の教員たちは、研究費を教育費に転用しないと真面目な教育ができない状態に貶められている。だからすでに述べたように教員一人頭10万円しか研究費がないという国立大学の研究室も出てきているのである。
  

大学では自分たちが育てた優秀な修士や博士研究者をポスドクやパーマネントの助教などに継続して昇格雇用できるシステムがいまでは壊滅的に崩壊している。ごくごく少数の有名教授たちが外部資金の大金を獲得して、それらの恩恵に浴しているにすぎない。そのためにほかの零細分野の多くの教員たちはますます研究費が細り、毎日が金欠病でひーひー言っている。研究室間での貧富の差が激しくなっている。好き勝手にやる、数十年後には、ブレークスルーに結び付く研究の種(構想)が貧困化している。本当に危機だと思う。
  

こんなことを言うと「それはお前が無能だからだ」という声が直ちに返ってくるだろう。無能だからかもしれないけれど、最低限の研究費は保証して下さいよ、と現役の研究者を代弁していいたい。年間10万円の研究費で何ができますか? 
    
       
(森敏)
付記:「日本の大学は、一見して企業投資を喚起するような革新をもたらす魅力的な構想がかけているため、日本の大企業が米国の大学に投資をしている。」(科学新聞 3月30日号 「日本の研究力低下に歯止め」 ピーターグル―ス沖縄科学技術大学院大学学長 談)。日本の企業は大学から優秀な人材だけをかっさらって、日本の大学の研究はだめだからと言って、アメリカの大学に研究投資して、そこで得られた特許を、商品として世界中に売りまくる、という資産運用循環を形成しているわけだ。これが企業のグローバル化の実態だ。日本の国立大学の育成人材の活躍の成果である企業の儲けが日本の大学の研究者に還流していない。あったとしても微々たるものだ。


2013-12-15 07:13 | カテゴリ:未分類

中国が無人月面着陸に成功した。これは米ソに次ぐ3番目だそうである。これは日本政府が費用効果でメリットがないとあきらめた目標であると数年前に宇宙開発研究者に聞いたことがある。
 

こんなにお金をかけて、なお高度な先端技術を持ちながら、いっぽうで、中国では国内の土壌・水・空気の汚染という公害は日増しに厳しさを増し、人民の体をむしばんでいる。マスクをするぐらいしかこの10年間何ら有効な対策が打たれていないと報道されている。
 

日本の住民が1960年-70年代に塗炭の苦しみをなめた公害が中国では現在最も深刻に進行形である。過去10年もあれば公害防止技術は中国の先端科学技術力なら、日本企業の先例を忠実に学べば独自の技術開発が可能であったはずである。公害行政も学べたはずである。風下の日本は汚染空気を受けているので大気汚染については本当に他人事ではない。

 

中国はまだ世界への中国国民の「威信」を示すことばかりに力を入れて、先端技術の民生化技術への転換がうまくいっていない。その気になれば公害防止技術の開発は数年で達成可能だろう。当面の応急的措置としては日本が過去に独自に開発してきた高性能の公害防止製品を直接購入すればいいのだが、それがすんなりいかないところが、この国の度し難い政治の問題である。中国共産党も背に腹は代えられず、すでにその技術交流の動きは出てきているようだが。

 

一方で、日本では原発事故で過去半世紀にわたるエネルギー政策の破たんが証明された「原子力エネルギー」にいまだに固執・復活をかけている産業界がいる。ほとんどの大学人が期待する先端技術を駆使した「自然再生エネルギー」への全面的な科学技術政策転換がうまく作動していない。これも実に度し難い日本の利権政治の問題である。

 

だから、日本人は隣国ばかりを笑ってはおれない。
 

    

(管窺)

 

付記:

中国探査機が月面着陸=3カ国目、無人車搭載

 【北京時事】月面探査のため中国が打ち上げた無人探査機「嫦娥3号」は14日午後9時10分(日本時間同10時10分)すぎ、月面に軟着陸した。機器に異常がなければ、搭載している探査車「玉兎号」を降ろし、さまざまな観測を実施する計画。着陸は、旧ソ連、米国に次ぎ世界で3カ国目となる。

 

 月探査は、2020年ごろの建設を目指す独自の宇宙ステーション計画と並ぶ中国の宇宙開発の柱。
 習近平政権は宇宙への進出で米国などを追い、国力や科学技術力を誇示。国威発揚を図るとともに、「宇宙大国」として地位を確立したい考えだ。
 新華社電などによると、嫦娥3号は2日に打ち上げられた後、順調に飛行、月の周回軌道に入り、10日にはより高度の低い楕円(だえん)軌道に移った。14日夜に着陸予定地の「月の入り江」を目指し降下を開始した。玉兎号は15日に着陸機を離れ、自走しながら約3カ月かけ地形や地質構造、資源調査などを進める。着陸機の設計寿命は約1年で、地球のプラズマ圏や天体観測に当たる。
 月面探査では米国が1960年代から70年代にかけてのアポロ計画で有人の月面着陸を重ねた。旧ソ連は無人による探査を続け、月面着陸は76年のルナ24号以来、37年ぶり。
 中国は嫦娥3号が成功した場合、2018年ごろに月の土壌や岩石を持ち帰る探査機を打ち上げる予定。(2013/12/15-00:26

 

 

 

2012-11-29 12:18 | カテゴリ:未分類

「東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと」 菅直人 幻冬社新書

「原発危機 官邸からの証言」 福山哲朗  ちくま新書

 

を読みました。東電福島第一原発事故当時、菅氏は首相として、福山氏は官房副長官として、官邸中枢で実践指揮にたずさわった当事者たちです。醒めた目で良く書けていると思います。

 

 あらためて、昨年の未曾有の大震災に伴う,未曾有の東電福島第一原子力発電所メルトダウン事故時の、これらの行政官として前例のない事態に対する、官邸内や東電内部でのあわてふためきぶりが、あらためてよくわかりました。この2冊の本は政府事故調・国会事故調・民間事故調による第3者による外在的な客観的な評価書よりも体温が感じられて、はるかに迫力を感じました。

 

 ですが,衆知のように、その後の危機管理のための法整備、原発廃炉、放射能除染、避難住民対策は今だに日暮れて道遠しです。

 

 ここに来て総選挙に向けての政治家たちの離合集散がじつにあわただしいです。むろん政治家やそれを目指す人物たちにとっても多分選挙は財産と生命を賭けての真剣な戦いだと思います。ですから、庶民があまり大きな口を叩くのもはばかれます。

 

 しかし、原発問題だけは命を生み出し育む女性の観点から判断したい。
 

 脱原発でしょうが、卒原発でしょうが、即原発廃止でしょうが、原発ゼロでしょうが、それらの政策を第一に掲げる女性の政界進出を加速する政党を支持したいです。
 
 女性国会議員が増えれば、自ずと再生エネルギーに日本のエネルギー政策は転換せざるを得ないでしょう。政党よりも当選した<女性議員連盟>が政策主導権を持つ時代が来ることを強く望みたいと思います。

 

 女性国会議員による科学技術政策の再構築が必須だと思うからです。主として男性国会議員が推し進めてきた戦後の科学技術政策は、日本ではこのままでは迅速に方向転換できないのではないかと思うからです。

   

 たとえば、去る2012年11月13日に開かれた大畠章宏(衆議院議員:民主党)と細田博之(衆議院議員:自民党)が共同代表を務める超党派の議員連盟「科学技術の会」で 
 

<細田氏は原発再稼働の問題を取り上げ「これについては学会がきちんとした対応すべき時期に入ったと思う」と述べ、「すべての活断層を解明しなければ稼働させないというような現在の議論はすべきでないとした。「どのような大きな地震が起きても大丈夫だという安心を科学技術的に専門家が立証して示し、だから稼働させても大丈夫という議論をすべき時期になっている」と述べた。> (科学新聞11月23日)

と報道されています。男性国会議員はいまだにこんな程度の科学技術にたいする楽観的な認識です。科学新聞のこの会議の写真には女性国会議員の姿は1人も映っていません。

    
  

 昨年ドイツのメンケル首相が日本の東電福島第一原発事故後に、<2020年までにドイツの全原発廃止> を決断したのは、たぶん彼女が女性でありかつ物理学専攻出身であったからだと思います。以下に一年半前のメンケル首相のドイツのツアイト紙に対するインタビューの発言の一部翻訳をブログ(八百八町2011.5.25.)から無断引用させて頂きました(翻訳上のわかりにくい表現は想像して語句を勝手に書き換えました)。

 

 「フクシマはいまだにスケールが分かりかねない恐ろしい事件であって、思いがけない境遇に立たされました。今は、必要な措置を講じることによって、今まで対立していた方がたは近付き合って、社会にコンセンスが生まれるチャンスが来ました。もちろん、意見の違いは多少残るでしょうけど。
  
今までは理論上にしか存在していないから責任を追うことが不可能であるリスク、つまり、今まではあり得ないリスクとみなされていた事が実際に起こったことは、個人的には思いがけないことでした。
  
その上に、この事件が起こったのは技術能力、秩序、法律の点でドイツ何一つも劣らない日本でした。こういう事件が日本のような社会の根底をゆるがす、国民がこういった状態に陥るなんて思いがけないことでした。これは今回の震災の深刻なできごとでした。
  
もちろん、こういう危険があると、警告した人がいたとは充分に承知しております。少し前までは、高い安全基準、高度技術のある国に、こういうことが起こることを生きて迎えるとは思いもしませんでした。
  
原子力というリスクは、自分の世代を超える、自分の国境を越える、つまり時間的・空間的に(巨大な影響を及ぼす)リスクです。
  
発生確率が非常に低いと思ったことが実際に起こると、やはりリスクは違いますね。(
  
人間の判断に事故は絶対に起こらないという確信がある前提で、原子力の残存リスクを受け入れることは可能である。しかし、「原子力の残存リスクを負わなくても、別の選択肢があるのではないか」という質問はフクシマの結果として優勢を占めるようになりました。
  
当然、(津波と地震という)全く同じようなことはドイツで同時に起こることはありません。日本は地震の危険にさらされているのは、ご存知だと思いますが、ドイツには地震はほとんどありません。海岸地方は特に危険に晒されているのはわかっていたにもかかわらず、日本は原子力発電所を作りました。
   
日本の大災害と全く同じようなことが起こるという心配は当然ドイツではありません。しかし、文明上のリスク(記者クララのコメント: これはおそらく設計による故障だと思います)が、自然災害と重なって長期停電となることはどうでしょう? つまり今までは推定及び発生確率計算で除外されていた様々な不幸な事情が重なり合うこと。こういう大事件が絶対に起こらない信じる充分な根拠がありません。
   
ポイントは、ここでは確率解析とリスクの想定の信頼性が問われるということです。
   
こういう理由から、全原子力発電所の安全審査を指令しました。
   
フクシマのような巨大な事故をみて、今までは理論上のみ考慮したリスクの重なり合いを、私にはもはや「こんなじゃ関係ない」と排除できる立場にありません。。。。。。。。。。」


           

(Erika)

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