2007-12-24 13:48 | カテゴリ:未分類

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  ジャンボタニシの産卵直後の卵塊

  (ただし実験室での養殖タニシが

  透明プラスチックの壁に産んだもの)

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延々とコンクリートの畦に産み落とされた

   ジャンボタニシの卵塊

 白い卵塊はすでに孵化したものである

  (2008年8月22日撮影)

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穂孕み期のイネに生み付けられたジャンボタニシの卵

     2008年9月2日撮影

 

 

 ジャンボタニシ考

 

外来生物として、ジャワマングース、セイヨウオオマルハナバチ、オオクチバス、ミドリガメ、ブラックバスなどが問題になっている昨今、農家の協力を得た現地試験水田で、ジャンボタニシに大遭遇した。コンクリートのあぜの壁面や実験区を仕切っているプラスチックの波板に、びっしりと、ピンク色の数百の卵の固まりが縦3 cm、横2 cmの大きさで楕円に盛りあがって付着している。つぶしてみると,産みたてのものは内側から真っ赤なヒルのような繊維状のものが流れ出てくる。日が経ったものは、乾燥して全体に白色になっている。それが、1ヶ月前に移植したばかりの稲の苗にも茎に巻きつくようにこびりついている。

 

収穫に影響はないと現地の農家は言っているが試験圃場としての管理上見栄えも悪いので、10アールあたり数百の固まりをすべて、畦から田面に竹べらでそぎ落とした。落としたら卵は水中で死ぬということなので。。。田面水中の直径約3-4 cmの成虫のジャンボタニシは、目を凝らしてみるとその5分の1ぐらいがペアで組んずほぐれつの交合の盛りである。タニシの採取はあきらめてその日は作業を終わって引き上げた。

 

ところが驚いたことに、翌朝6時には、またまた、コンクリートの畦の壁面に、ぽつぽつと産卵されているではないか。驚くべき繁殖力である。35℃のかんかん照りの暑さの中でこれらを水中に再びそぎ落としながら、この作業の終わりの頃は気持ちが悪くなって思わず胸があげそうになった。この卵はどんな野鳥も食べたくないような薄気味悪いピンク色である。

このジャンボタニシの異常繁殖という農業問題が南九州で発生して以来10年以上になるのに、なぜジャンボタニシを水田から駆逐できないのであろうか?

 

そこでインターネットで調べてみた。有効な農薬としてキタジン-Pがあるが、これはもともと「いもち病菌」対策のものが、使われているうちに殺ジャンボタニシ効果が見いだされたもので、効果はあるが農家にとってはお金がかかる。 一方、“椿(つばき)油かす”は主として中国からの輸入品で安価であり、サポニン含量が高く、これがジャンボタニシには抜群の効果がある。しかしこれを投与した水田から流れ出た水が下流の河川の淡水の巻貝類を死滅させるので、国では農薬としては許可していないし、鹿児島県などでは使用が禁止されているらしい。しかし土壌改良材としては全国的に認可されているようである。

 

こんなに有効な天然の薬剤がありながら、それをうまく利用できていないのは、非常にもったいないことと筆者には思える。変な合成試薬を開発するよりは、徹底した用水系ごとの“椿油かす”の使用管理規定を法律で定めて、生態系を保護しながらの有効利用を図るべきではなかろうか。それをしないからかえって“椿油かす”は秘密に乱用されているようである。椿油かすの作用効果は、おそらくサポニンの界面活性力によるものであろう。現状では、だれも何の手も打たずにジャンボタニシの異常拡散を放置している。ジャンボタニシは大阪以北にも北上し続けているようである。

 

そこで、夏の盛りに作業員に手伝ってもらってタニシの徹底的な駆除を試みた。なんと10 aあたり約60 kgもの収穫であった(このタニシは元々食用にブラジルから輸入された物が拡散していった、と言うことであるが、あの不気味な卵の色を想像すると、誰も食べる気がしないであろう)。 これだけでもイネの籾収量の一割の重量を占めることになる。タニシも身や殻の形成に水田から多大な量の養分を収奪するのである。このまま放置しておけば2-3割の減収を覚悟しなければならないだろうと思った。事実そのせいか、最終的なこの試験水田でのデータは非常にばらついて、精度が落ちたものになってしまった。予期しなかった自然の撹乱要因の登場に、現地試験の難しさを今回もいやというほど痛感させられた。(2006.10.20.記。森敏)

 

追記:2009年10月1日(木)朝日新聞の記事に「ジャンボタニシ田に異変」という記事がのっている。千葉県九十九里町周辺の田んぼでジャンボタニシが増殖しているとの記事が載った。30年ほど前に一部の農家が缶詰用に養殖を試みたものが、広がったとある。起源は本当にそうだろうか? このブログの読者が危惧しているように、誰かが意識的に全国の水田にジャンボタニシをまき散らしていなければよいのだがだが。

秘密

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