2008-10-21 04:01 | カテゴリ:未分類

血痕 

         左足裏からの血痕

     

  

低血圧の早朝の動作はきわめて危険

 

外が薄明かりの朝まだき時間に起きたので、コーヒーでも飲みながら、テレビニュースでも見ようと思った。

 

ガスでお湯を沸かしている間に、右手を挙げてコーヒーカップを棚の上から取ろうとして、少しよろめいた。いつもの朝の低血圧による貧血である。そのとき、右手の甲の付け根が同じ高さの棚においてあったガラスのコップを少し後ろにはじいたので、ガラスのコップが頸(うなじ)の後ろから背中側に落下した。とっさに、そのままフローリングの床に落ちると大破する、と思ったので、左足を後ろに上げて、足にワンクッションさせようと思った。その動作でまたまた右手が激しく動いて他のガラスのコップに触ってしまった。そしてあと2つのコップを落としてしまった。

 

がちゃっんがちゃんがちゃんと、3つのコップたちは派手に床に落ちて炸裂した。多分四方八方に飛び散った、と思われた。思わず上げていた左足を床に着いてしまった。そのとたんに左足の裏に激痛を感じた。

 

「しまった!」と思った。思わず足を上げたが、たらたらと鮮血が台所の床に飛び散った。1センチ長、深さ5ミリぐらいにガラスの破片が足裏に刺さっており、それを急いで右手で慎重に引き抜いた。血の吹き出る切り口の中にガラスの破片が未だ残ってないかどうかゆっくりと確かめたのち、「はやくテイシュペーパーを!」と大声で女房に呼んだ。

 

未だ寝ていた女房は、何事かと起きてきたが、ガラスの散乱する床を見て、「まず掃除しなけりゃあ私がケガするじゃないの。そうでなきゃあなたに近づけないわよ!」とのたまう。もっともである。仕方なくしばらく右手を血まみれにしながら足裏の傷口を右手の親指できっちりと押さえ込んで出血を止めようとした。

 

手持ちの卓上式の掃除機を持ってきてガラスの破片を慎重に吸引しながらやっと女房が小生に接近してきてテイッシュペーパーを渡してくれた。それを傷口に当ててもどんどん血がにじんできた。鋭利なガラスが足底静脈を切ったらしい。「エーイ出るだけ出やがれ!」という気落ちになって、「タイガー!」と叫んで、何に効くのか成分がわからないのだが感染予防のためにいつも傷口に刷り込む常備薬を持ってくるように女房に頼んだ。

 

それを未だ血が止まらない傷口にこってりとすり込んでテイッシュペーパーを20枚ぐらいに重ねて、伸縮する包帯でぐるぐる巻きにした。

 

結局この傷では医者にかからなかったが、約1ヶ月間家の内外で杖をつきながら行動せざるを得なかった。また、何よりも入浴には苦労した。この間国内旅行と外国旅行をしたので本当に往生した。どんなに左足首から先が濡れないように浴槽への入り方を工夫しても、浴槽を出て立ち上がったり、シャワーを浴びると、体の表面の水はすべて足に流れていくので、傷口に到達する。これは傷口からの感染防止のためには極めて危険なことので、入浴の動作が非常に難しかったのである。その所作はとても人には見せられない。たかが足裏の傷、されど足裏の傷であった。

 

(森敏)

付記:向田邦子のドラマの演出で有名であった久世光彦 は、二度寝のくせがあった。、ある時夜中の台所で 「がたん!」 と言う異常な音がしたので、奥さんが不審に思って、二階から駆け下りていくと、久世氏が台所に倒れており、そのまま救急車で病院に運ばれて帰らぬ人となった。明け方に誰もいない台所で、何らかの理由で倒れると、打ち所が悪い場合は、そのまま<あの世>行きとなる。

秘密

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