2008-10-20 06:46 | カテゴリ:未分類

「未来館」を全国自治体に設置せよ

 

 

日本人の物理と化学の計4人のノーベル賞受賞者が決まるまえのことであるが、以下の記事が報道された。

 

理科教師の75%「自腹切った」=実験用備品が不足-公立中調査・教育政策研など

1041456分配信 時事通信

 

 公立中学校の理科教師の75%が実験、観察の教材を自費負担した経験があることが、科学技術振興機構と国立教育政策研究所の調査で分かった。6割強の教師が各学級で週1回以上、実験などを行う一方、多くは「設備、備品が不足している」と訴えている。(-略-)
 理科に充てられる今年度の学校予算(公費)を集計すると、設備備品費は生徒1人当たり453円、消耗品費は同341円。それぞれ「ゼロ」だった学校は17%、2%あった。公費以外では、教師の75%が教材費を自分で負担したことがあると回答。生徒から徴収した教師も24%いた。 

 

日本はこんなにも理科教師の自己犠牲に依存した貧困な中学の理科教育をやりながら、一方では <科学技術創造立国> でノーベル賞を2050年までに30人を目指している。少年期の科学技術への動機付けは日本の科学技術人口の底上げに決定的なものがあると思う。が、このような日本の公教育での理科教育の現状はノーベル賞もへったくれもないだろう。

 

以前に、アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙博物館(Space Museum)を見学したことがある。そこにはアメリカの全国から多数の少年少女が学校のクラス単位で行列をなして参加していて(おそらく修学旅行を兼ねてのことだろうと思うが)、思う存分喜々として宇宙体験を行っていた。現行の東京の未来館はそれの模倣である。土日はこども達であふれかえっているという(このWINEPブログ「未来館」を参照ください)。このJST(科学技術振興機構)による「未来館」の企画は成功していると言えよう。

 

現状のように全国の小中学校に均一な理科の実験施設や器具を設置できないのであれば、東京の未来館のような施設を全国の自治体に最低1施設ぐらいずつ設置して、そこにクラス毎に輪番制で出かけていって教科書に従った体系的な実験を行う、というような工夫をしたらいかがかと思う。10年計画ぐらいのつもりで本腰をいれたら? 

 

その未来館の実験指導者に若手の博士号をとってもパーマネントの職場がないいわゆる <ポスドク崩れ> の人材を大量に採用すれば、国にとっても<公教育のレベルアップ>と<若手研究者の就職先の確保> という一挙両得の政策ではないだろうか。10年間で1兆円ぐらい必要だろうが、科学技術への未来投資としては全く安いものだろう。

  

(森敏)

追記:この記事を書いたあと、大分に向かう飛行機の中で読んだ読売新聞の記事(2008年10月24日朝刊)に「科学館授業興味を刺激」というタイトルで、島根県出雲市の出雲科学館で9月8日に行われた中学一年生への授業の取材記事が載っていた。この科学館以外に、福島県須賀川市福島森の科学体験センター、栃木県真岡市科学教育センター、京都市青少年科学センターなどで理科授業が行われていると紹介されている。

要するに、早急にこういう先駆的試みをさらに全国規模で発展させるべきなのである。

 

秘密

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