2008-10-09 21:37 | カテゴリ:未分類

機内のイヤホーン

 

  

最近の国内線の飛行機のイヤホーンは非常に聞きづらいものが多い。もともとエコノミークラスのものは筒(つつ)のようなもので音響がひどく悪い。また、ANAのプレミアムシートでも、JALのJシートでも、まともなイヤホーンに当たったことがない。明らかにシートのジャック(穴)の側かイヤホーンそのものかの品質管理に手抜きが行われている。きっとコストダウンのためなんだろうと思う。

 

で、どうせろくな聞こえ方しかしないだろうと、今回も気まぐれにイヤホーンを耳にかけてシートのジャックに差し込んでみた。そしてダイアルを回すと、いきなり、実になつかしいメロデイーが聞こえてきた。

 

月に吠えよか淋しさを

どこへも捨て場のない身には

暗い灯かげをさまよいながら

女が鳴らす口笛は

恋の終わりの東京ブルース

 

この歌「東京ブルース」自体が小生には懐かしかったのであるが、実はこれを歌っている西田佐知子の声から、彼女のヒット曲である「アカシアの雨がやむとき」を思い出し、宴席でこの歌をいつも歌っていた先代の恩師の顔をとっさに懐かしく思い出したのであった。

 

アカシアの雨にうたれて

このまま死んでしまいたい

夜が明ける 日がのぼる

朝の光のその中で

冷たくなった私を見つけて

あの人は

涙を流してくれるでしょうか

 

と、マイクを持ってこの歌を歌うとき、恩師はいつも目をつぶって実にしみじみと情感を込めて歌うのであった。

 

夜が明ける 日がのぼる

の歌詞を息をつかせず歌うところなんぞは、西田佐知子の完璧な模倣であった。

 

この歌は3番まであるのだが、いつも一番だけで歌い終わるのであった。小生は陶酔境の恩師の顔を見ながら、先生はいったいどういう情景を思い浮かべながらこの歌を歌っているのだろうかと、いつもいぶかっていた。

 

小生の経験からも、多分、人は歌を歌うときはその歌を歌いながらいつも同じ光景を思い浮かべているものと思う。口に出して歌えば歌うほどその情景はますます頭の記憶回路の基底領域に刷り込まれていくのではないだろうか。もちろんテープやCDでその曲をくり返し聴けば聴くほどに。

 

恩師の影響のためなのか、小生も若いころは西田佐知子が好きになった。テープがたわんですり切れるほど聴いている。そのいくつかの曲を聞くと、いつも踊り子が曲にあわせて服を脱いでいく姿を連想する。自分でもなぜだかわからない。

 

(森敏)

 

追記1:今週号の週刊文春で「関口宏の 新・家の履歴書」を何気なく読んでいると、なんと西田佐知子が関口宏の奥さんであることを知った。彼女は歌謡界の舞台から突然消えたと思ったら、彼と結婚していたんだ。その息子の関口智宏くんのNHKで何回かにわたって放映された「中国紀行」はなかなか彼独特の和(なご)む雰囲気があって日本人の中国人に対する偏見を変えるものがあったと思う。西田佐知子の“和む遺伝子”が引き継がれているのだろう。いま流行の <癒し> の家系とでも言うべきか。

 

追記2:先日、北京からの帰国の飛行機JL780に乗った。ビニール袋を破ってイヤホーンを取り出すと、何とはなしにコードの巻き方がきれいでないので不吉な予感がした。ジャックに差し込むと案の定、右耳の方が全く聞こえない。早速「これ、右が聴こえないですよ」とスチュワーデスに告げたら、「あ、誠に申し訳ございません」と恐縮した様子で、すぐに新しいのを持ってきた。さっそくビニール袋から取り出すと、実にていねいにコードが巻かれていた。こちらの方は非常に音質がよく両耳ともよく聴こえた。この経験から乗客からのクレームを待ってからイヤホーンを修理(または廃棄?)に出しているものと思われる。であるから、たとえ不良品でも客が聴かなかったイヤホーンは(または客が不良品でもガマンして聴いて、交換の要求をしなかったイヤホーンは)修理や廃棄に廻されないことになっているものと思われる。そういうぐあいにいわば<客に負担をかける品質管理のしかた> をしているんだろう。不良イヤホーンに当たる確率が高い所以である。

 ちなみに北京行きの便JL781便にくらべてこのJL780便はビジネス便での椅子の作りにも格段の差があった。詳細は省くが、こんなに差があっても同じ料金体系とは全く解せない! いつも失念していて、乗ってから気が付くのだが、海外旅行便に乗るときはその機種のサービスをよく理解しておく必要があるように思う。(2008.10.17.記)

 

追記3:ところで、JR東海のグリーン車両にはイヤホーン用のジャックがあるが、こちらは飛行機と違ってイヤホーンが付いていない。「聴きたければ自分で持参せよ」と言うことなのだろう。小生は仕方がないのでiPod用の細くて軽いイヤホーンを持ちこんんで聴いている。このJR車両の方はジャックの本体側の方が雑音が高くて非常に聴きづらいものが多い。しかし、昨日岡山から乗った最新型の車両は非常に音質がよく聴けた。JRも少しずつ進化しているが、乗客としてはいつも新機種へのバージョンアップのために実験されている、しかもそのために高額のお金を払わされているような気がしている。(2008.10.18.記)

秘密

トラックバックURL
→http://moribin.blog114.fc2.com/tb.php/296-a8ac6cf2