2008-10-09 06:23 | カテゴリ:未分類

トルエンと酢酸エチル

  

 

名古屋で「マルワ食品」が中国から購入し、スーパーで売られていた “つぶあん”を食した人がめまいを訴え、名古屋市保険福祉局の検査でトルエンと酢酸エチルが検出されたという。これらはいずれも沸点の低い揮発性の化合物である。おそらく、防腐剤として使われたものであろう。

 

  通常、これらの化合物は天然物から物質を抽出するときに使われる溶剤である。抽出後、この中に溶けているものを濃縮するために、これらの溶剤は加温しながら減圧濃縮して、最終的にはすべてとばしてしまう。そのあとに残った成分をガスクロや質量分析にかけて、物質の同定を行うのである。

 

  であるから、“あんこ”の袋を開封した時点ではこれらの揮発性溶剤の強力な匂いがしたであろう。慣れない人は気分が悪くなったに違いない。しかし、これらの揮発性の溶剤は、少しでも有機化学を学んだ人なら、瞬時にかぎ分けられる匂いである。その性質上、開封後そのまましばらく置くと“あんこ”の表面から異臭がすべて揮散して、あたかも異物がなかったように感じられるかも知れない。

 

  先日のWINEPブログ(2008年9月20日 中国からの輸入「あんこ」の異臭 報道に思う)で取り上げた事件ののち、「二人の社員がこれを食して気分が悪くなって病院に駆け込んだのち、しばらく時間をおいてこの“あんこ”を他の社員が食しても何ら問題が無かった」という報道に接して、なぜなのかな?とずっと不思議に思っていた。その報道がぷっつりと消えたので、これもふしぎに思っていた。

 

  今回の報道で疑問が氷解した。常温で揮散しやすいというこれらの化合物の性質上、保健所などによる異物の同定がなかなか出来なかったのだろう。検査機関に“あんこ”を持っていくまでに時間が経過した段階で化合物が空気中に揮散して消えて無くなっていたのであろう。また、検査機関は、まさか既存の食品添加物や農薬ならまだしも、こんな有機溶剤があんこに入っているなんて、思いもしなかったのであろう。

 

  それにしても中国の食品業界は、これでもかこれでもかと、あの手この手の新手の化合物を食品添加物に使うものである。完全にたががはずれているとしか言いようがない。

   

   

(森敏)

秘密

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