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2021-11-15 06:44 | カテゴリ:未分類
  水戸市在住の写真家である関根学氏は、いまだに飯舘村の帰還困難区域である長泥地区で、原発事故以来、定点観測写真を撮影して風景の変遷を内外の写真誌で発信しておられる。

  それと同時に2013年以来、長泥地区の各地に巣箱を設置して、シジュウガラや、ヤマガラの巣材を、小生のところに送って、放射能の測定依頼をして来ている。

  今年も送って来たので、それを関根氏の同意を得て、以下に紹介した。
  
  今回送付していただいた2つの巣材は主がシジュウガラかヤマガラか不明であるが、長泥地区でも空間線量が高い飯館村に近い高台の民家(長泥ー1)と低い地区(長泥ー2)だということである。両者ともに周辺の林縁などは昨年から今年にかけておおがかりな除染をおこなっていたとのことです。
 
 関根氏のホームページでは巣材の小鳥の動画が掲載されているのでぜひ見てあげてください。

  https://www.manabusekine.com/portfolio2
  
  
  


スライド1



図1。長泥ー1の鳥の巣材 台座は親鳥の羽毛が敷かれてくぼんでいる。主成分はほとんどがコケである。




スライド2


 
図2.図1のオートラジオグラフ。図1と比べて図2の放射能の濃い汚染物質がどれがどれとは同定できないが、粒状に分布しているので、根についた汚染土の成分と思われる。ぼやけた部分がコケの本体。拡大すると繊維状にも見えるところがある。台座の部分はくぼんでいるので、強く圧着してもIPプレートから少し浮いているので、薄く写っている。


スライド3


 図3。図2のネガテイブ画像







スライド4
 
 

 
図4。長泥ー2の鳥の巣材 台座は少しくぼんでいる。主成分はコケと樹皮を解体した繊維成分である。



スライド5

 
 図5。図4のオートラジオグラフ。画像の解釈は図2に同じ。図2と比較して放射能は約3分の一である。表1を参照ください。
 
 
スライド6

 図6。図5のネガテイブ画像
 
 
 
 
 
 


 表1。図1と図4に示す長泥地区の異なる2か所の巣材の放射能

鳥の巣長泥関根さん


  ちなみに2013年に関根学氏から送られてきたシジュウガラの巣材の測定データは

Cs-134      511,000  (Bq/kg乾物重)
Cs-137   1,057,000    (Bq/kg乾物重)


と、べらぼーに高かった。このCs-137値を表1の 長泥ー1 の巣材のCs-137の放射能と子細に比較してみると、今年の巣材の放射能は、2013年当時の約10分の1強にまで減少していることがわかる。放射性セシウムの半減期減衰による効果と、道路端除染による効果の両者によるものと思われる。

  除染すればそこのコケなどの植生の放射能はゼロにならなければならないが、表1の今年の巣材のコケ類はそうなっていないので、この巣材に使われた苔の一部は未除染の森林から運ばれてきたものであることが明らかである。


 
   
  
 
 (森敏)
秘密

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