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2021-04-17 06:47 | カテゴリ:未分類

  東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部では退職教員に「弥生」という冊子を時々自宅宛てに送ってくれている。そこでは実に多角的な記事が掲載されている。

 

  今回目に留まったのは、1978年京都市生まれで、修士課程を修了された松山大耕さんという、2007年より臨済宗妙心寺退蔵院副住職を務めておられる人物のことである。

 

 「松山さんの目に農学の未来はどのように映っていますか?」というインタビューの質問に対して

「これまでの20年を情報科学の時代だとすれば、これからの未来は間違いなく生命科学の時代でしょう。たとえば、発酵やバイオの分野は日本が世界の最先端にあり、まさに農学の領域です。そして、農学においても大事なのは気づきです。ネット検索やアルゴリズムに慣れてしまうと、人間の気づく力は鈍ります。仏教に「冷暖自知」という言葉がありますが、これは冷たい暖かいは自分で体験してみてはじめてわかるということ。つまり、何事も実践し自分の感性を磨くことこそ本物の知識なのだという教えです。疑問があれば実際に試し、そこで何かを感じる。これは学問の基本であるだけでなく、豊かな未来を切り拓くための鍵です。農学部はそのような感性を磨くことができる場所なのです。」

と述べている。彼には著書に「こころを映す 京都、禅の庭めぐり」(PHP研究所)があるということである。

 

  先日、仁和寺と天龍寺と建仁寺の建物の内側からの方丈の庭を早足に鑑賞した。石庭の石の配置や白砂や苔の新芽が美しかったのだが、襖絵や天井画ばかりに目を奪われていて、いまひとつ庭の鑑賞に今回は神経が集中できなかった。このままでは、よくないので、松山さんの本をよく読んで次回の参考にしようと思った。

 

  京都観光の最後に立ち寄った西本願寺での案内係の住職の話では、西本願寺の管主(?)は法政大学出身で、東本願寺の管主はブラジルから帰還した人物だということである。いつか永平寺で修行している坊主が東北大学物理学科の出身だという放送番組があった。お寺も多様な人材を後継者として、おのずから新陳代謝が行われているわけである。  

  
     
(森敏)
追記:「こころを映す 京都、禅の庭めぐり」(PHP研究所)はなぜか、絶版になっているようだ。

秘密

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