WINEPブログ
以下、先ほど、日経新聞が電子版で報じている。重要な情報なので、その一部を無断掲載した。
博士課程学生に生活費240万円 政府、7800人に支援
2021/1/25 11:00 日本経済新聞 電子版
政府は2021年度、博士課程に進学する学生の生活費を支援する新たな制度を設ける。大学を通じて1人当たり年240万円を支給する。7800人が対象になる。生活面から博士課程への進学を後押しし、日本の国際的な競争力の維持に欠かせない専門人材の育成につなげる。
各大学が学生を選び、国から大学に支援金を出す仕組みを整える。大学側が責任を持って対象者を選定するよう4分の1から3分の1程度は大学側にも負担を求める。
政府は博士課程への進学が国際競争力の維持に欠かせないとみる生活費を支援する博士課程の学生の一部には、研究費の支援も計画する。1人当たり年平均50万円ほどを見込む。制度を適用する大学は今後選ぶ。
人工知能(AI)や量子技術といった成長分野などに力をいれたり、就職支援を充実させたりする場合などを想定する。240万円は生活費を賄える額として設定した。政府は博士課程学生の生活を支えるために年180万~240万円が必要だと見積もる。18年度の日本学生支援機構(JASSO)の学生 調査で博士課程の生活費は平均230万円程度だった。
初年度の関連経費は230億円程度の予定だ。20年度第3次補正予算案に200億円、21年度 予算案には30億円をそれぞれ計上した。政府は大学の研究開発を後押しする10兆円規模の基金を官学で創設し、22年に運 用を始めると見込む。運用益が出始めれば支援金の原資に充てる。それまで政府が必要な予算を措置する方針だ。
博士課程の学生は日本全体でおよそ7万4000人いる。現在も支援策としてJASSO の奨学金などがあるが、生活費を満たす水準の枠は7500人にとどまる。政府は支援の拡大に力を注ぐ。年度内に21年度から5年間の科学技術政策の方針となる新たな科学技術イノベーション基本計画を決める。素案に生活費相当額の支給を受ける博士課程学生の比率を3割に高める目標を盛り込んだ。従来の計画は2割を目標値にしていた。今回の措置で達成する見込みがついたため、より高い目標を掲げて支援に力を入れる姿勢を打ち出す。
博士課程への進学を巡っては、経済面で行き詰まる可能性への不安感が根強いとみられる。 科学技術政策研究所(現在の科学技術・学術政策研究所)は08年に理系修士学生への調査を実施した。博士課程への進学検討に関し「一番重要」な項目の上位に「経済的支援の拡 充」(23.6%)や「民間の雇用」(21.6%)があがった。 博士課程への進学の後押しは日本の国際競争力を維持する観点からも重要だ。博士課程で専門分野の知見を深める学生が少なくなれば、先端分野などの研究を支える担い手も減るためだ。
日本は00年に修士課程の修了者の16.7%が博士課程に進んでいたが、18年には9.3%まで 落ち込んだ。国際比較でも00年度の人口100万人あたり博士号取得者数は日本が127人、米国が141人、韓国が131人でほぼ同水準だった。ところが15年度は米国は259人、韓国は256人と増加したのに対し、日本が118人にとどまった。
(森敏)
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