WINEPブログ
以前にも述べたが、羽山神社は原発から650m地点で山頂にあり、小さな神社周辺は住民が表土を除染しているが、それは山頂のごく一部に過ぎない。
その露出した地面に集団でセンブリが生えていた(図1)。(センブリは漢方でも有名な胃腸薬である)。ここのは栄養失調で背丈が15センチもない。
しかし見事に異常なくらい多くの花をつけていた(図2)。多分この花の生え方や背丈の短さや、分枝の仕方はいじけていて異常だと思う。放射線障害だろう。それを根から掘り起こして採取してきた。
オートラジオグラフに取ると花器の種子になる部分が濃く撮像されている(図3、図4)。この現象は他の植物と同様である。
8本の植物の撮像のされ方が少しずつ強弱が異なっている。それは同じ集団でも土壌に降下した放射能が均質ではなく、したがって土壌への収着の度合いも異なっていたためと思われる。
これまで、我々が調べた長靴や箒や洗剤の箱やTシャツなどの非生物の表面に付着した固形物は、不溶性の濃い大きな粒子と、その10分の一以下と思われる細かな粒子と、可溶性のイオン状のセシウムが見分けられる。
植物が吸収しているのは、可溶性(雨水に溶ける)セシウムイオンだけである。
表1に部位別放射能を示している。根は土壌が取り切れなく付着汚染しているので最も高い値である。しかし地上部は図3、図4から見ると、完全に内部汚染のみで外部汚染は全くない。これらのオートラジオグラフ画像からは、花器が非常に高く撮像されているが、この表1の放射能の乾物重あたりの実測値からすると、植物の地上部全体がほぼ均一に内部汚染していることがわかる。
こんなものは到底まだ漢方薬には使えない。
図1 センブリ
図2 図1の左下の植物の部分拡大 異常な数の花の付き方
表1 センブリの部位別放射能

注:図1の8本の植物を全部部位ごとに一緒にして測定した。
(森敏)