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2018-08-07 14:56 | カテゴリ:未分類

本職がカキ・ホタテ養殖業を営む漁師である畠山重篤さんが「森は海の恋人」という運動を始めて30年目に 『人の心に木を植える』(講談社)という本を今般出版された。この本は全文漢字にはルビがふられている上に、随所に絵本作家であるスギヤマカナヨさんによるほほえましいプランクトンや海藻や魚や樹木のイラストがちりばめられているので、小学生高学年でも十分に理解できるように工夫されている。
     
  また、この本と同時に絵本作家であるスギヤマカナヨさんが畠山さん原作の『フェルムは魔法使い』(小学館)という絵本を出版された。
          
  いずれの本も地球環境生態における「鉄」という元素の重要性を実に楽しく分かりやすく説き起こしてくれている。それがこの2冊の本の共通の通奏音である。
      
  『人の心に木を植える』を一気に読了して、この本は畠山氏がホタテ・カキの養殖業者として、72年の苦節の人生を歩んで来られた自叙伝とも言うべきもので、全編を一人称でつづられており、誰の物まねでもない自分自身の体験(オジナリテイー)を強く打ち出すことを意識された本だと、実感した。
    
  特に東日本大震災によって壊滅させられたカキの養殖の詳細な再生物語の記述は圧巻である。
      
  小生は随所で涙なしに読めなかった。だから、この本の読者にも深く琴線に触れるところがあると思う。子供はもとより、すべての世代の大人にも。
      
  気持ちが洗われた。

      
     
 
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(森敏)
付記:フェルムとは「鉄元素」の事です。

2018-06-30 07:19 | カテゴリ:未分類

        年を取ると自分の体で毎日生体実験をしているような自覚がある。

 

尿が細くなってきた小生は、尿管の拡張作用があるということで、NO(一酸化窒素)発生剤を処方してもらっている。それを服用していて気が付いたのだが、この薬剤は本来が末梢血管の血流を促す(勃起誘起剤)として開発されたのであるから、血流が悪い足指の先端の血流を促すのに著効があることが分かってきた。もちろん血管が拡張して血圧が急激に低下するので、用量は慎重に極めなければならない。実は小生はいまだに適量を定めかねている。案外多くの臨床の医者は足指の先端の血流を促す作用のことには興味がないようである。

 

小生の足指の先端のしびれは、脚のしびれにまで部位が上昇してきた。しびれはもうすでに3年ほど続いているのだがだんだんひどくなってきた。あちこちの医者にかかったのだが、診断がつかなかった。最近テレビを見ていて、ハタと気が付いたのだが、小生のは神経根型の「脊柱管狭窄症」にぴったりの症状で、間違いはなさそうである。そのテレビの画面では血流促進剤として経口プロスタグランジンE1誘導体製剤が紹介されていた。NO剤は紹介されていなかった。重症化すると手術を薦めていた。

 

一方で、一酸化窒素(NO)1987Palmerらによって内皮由来血管弛緩因子の一つとして報告されて以来多くの研究がなされてきたことはこの世界では周知のことである。血管系におけるシグナル分子としてのNOの発見に対して、1998年に3名のアメリカの研究者にノーベル医学生理学賞が授与されている。(望月精一 生体医工学43:32-35,2005)。NOはヒトのさまざまな組織(気道,消化管や尿管など)L-アルギニンを基質としてNO合成酵素(NOS)の作用により生成される。NOは血管拡張作用、神経伝達作用、生体防御作用などを持ち、広く生体内で働いていることが明らかにされている。NOは呼吸器においては肺上皮細胞、肺胞マクロファージ、血管内皮細胞,鼻腔粘膜上皮細胞など種々の細胞から産生され、動物やヒトの呼気中に存在することが確認されており、大部分が鼻副鼻腔由来であると言われている。(宮崎由紀子 目耳鼻102,1318-1325,1999

 

このように、人間は自分自身でNOを体内で発生させているのだから、本来ならば、自力で血管拡張を活性化させて血圧を維持する事にも貢献しているのだろう。このNO合成酵素遺伝子(NOS)には恒常的な遺伝子発現をするeNOS型と環境因子誘導型のiNOSがあるとのことである。研究者は誰も断言していないが、私見では老化してくると恒常的な発現そのものも低下してくるのではないだろうか。老人になるとインポテンツになるというではないか。

 

昨晩足がしびれて脚の筋肉がけいれんして止まらないので目が覚めた。筋肉や血管が部分的に冷えたか、寝相が悪くて脊髄の神経が圧迫されて、血流が悪くなったのだと解釈した。そこで、痙攣する痛い脚膝を少し立てて、マスクをしたまま鼻からゆっくり深呼吸してみた。16秒ぐらいかかって肺の奥深くまで鼻から空気を吸い、3秒ぐらいで鼻から吐き出した。口呼吸はしなかった。吐き出す呼気の中にもNOがあるはずなので、それを少しでも回収しようという魂胆なのであった。それを、15分ぐらい続けたら、なんと足指の先端が少しポカポカしてきたではないか。血流が徐々に回復して、酸素が筋肉のミトコンドリアまで供給され始めたのだろう、と思った。ベッドからゆっくり降りて立ち上がると、脚の痙攣は収まっていた。足指のしびれは完全には収まっていないのだが。ともかく自力で、痙攣が収まったのだ。そこでまた水を飲んで、眠りについた。

 

と、また1時間半後に、先ほどと同じ右脚に痙攣としびれがやってきて、目が覚めた。:::::

       

(森敏)

2018-06-12 20:26 | カテゴリ:未分類
BS1版 「被曝の森2018」が放映されます。
       

今年3月に放送され、好評を博した「NHKスペシャル」をベースに、紹介しきれなかった最新の科学的研究を加え、住民の心情もさらに奥深く紹介するなど、内容を倍増させた“保存版”です。2部構成で、あいだに10分間のニュースをはさみ、合計99分です。

     

6月17日(日) NHK BS1 全国放送22:00〜23:50 

BS1スペシャル 被曝の森2018 

前編 見えてきた“汚染循環”

後編 “汚染循環”は何をもたらすのか

   

http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2018-06-17/11/33879/3115409/

 

       

JPEGBS1スペシャル 被爆の森  
       


ということです。深夜の100分間の長丁場ですが、ぜひご覧になって、番組向上のために、批判的感想文などNHK科学環境番組部あてに寄せてあげてください。
    

 
(森敏)
2018-05-11 22:27 | カテゴリ:未分類

  昨年双葉町の民家の庭で奇形ツバキを観察したので、これが日本では普通に存在している奇形ツバキなのがずっと気になっていた。あちこちでツバキを観察しているのだが、ツバキの奇形は結構あるようだ。しかし、今回ここに紹介するツバキの花は尋常な奇形ではない。ツバキの育種家に言わせればきっと「そんなの普通だよ」と言われそうだが、小生にはとても興味深いので紹介する。
     

  京都三条通を散策していると、三条大橋のたもとに「浄土宗だん王」という大きな石碑が立っているお寺があった。正式名は檀王法林寺(だんのうほうりんじ)と門柱には書かれていた。中に入ってみると狭い構内の両脇の塀沿いに合計10本ばかりツバキの木が何種類か品種が異なるものが植えられていた(図1)。敷地の奥は幼稚園かなにかになっているようだ。
     
  ツバキの花が満開を過ぎて落下し始めたころであった。どのツバキの木も何らかの奇形花が観察された。よく見ると、そのうちの一つの木は全部が奇形花であった。全方位対称形の花が見当たらなかった。以下の写真に示す如くである(図2~図9)。残念ながら高いところの花は撮影できなかったのだが、この木にはさらに多様な奇形花があるものと思われた。まったく飽きが来ない遺伝子変異の想像力を喚起する奇形であった。
 
  拡大してよく眺めると、花の中に花がありまたその中に花がありとか、複数の花が一つの花に入っていたりとか、一枝の先に3つの花がついていたりとか、とても花の発生学的に興味深い変異です。眺めていて飽きがこない。この一つとして同じ花がない、多様な変異が、一本の椿の木の中で、あちこちの枝で発生していることや、花弁の赤い色が白く抜けて色がまだらなものもあることことなどは、多分トランスポゾン遺伝子の仕業だろうと思われます。この木ばかりでなくこのお寺のほかの種類のツバキの木の花も何となく変な花が多いです。昆虫を媒介して花粉を通じて遺伝子の水平移動が起こっているのかもしれません。花への発生分化の段階でトランスポゾンが動きやすくなる周囲の環境(電磁波や排気ガスや農薬散布など)があるのかもしれません。
 
  小生がここ数年追い続けている「帯化タンポポ」の発生機序にもどこか似ているような気もしています。
 
  こんなツバキを植えて愛でる昔のここのお寺の和尚さんは、多分奇矯な粋人であったと思われます。
        
  こんな偶然の発見があるので、歴史のある京都は、ただ歩いているだけで楽しい。

                     
   

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図1. 
        
 
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 図2.かべんのなかに花花花
               
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 図3.花弁のなかにまだらな花花花
       
 
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 図4.花の中に4頭?のまだらな花
              
 
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 図5.枝の先端に3頭の花が合体。花弁のマダラは少ない。雌しべや雄しべがない。
分化の異常で全部花びらになっちゃったのだろう。

        
       
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図6.花弁のなかにいくつかのぐちゃぐちゃの花
      
            
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図7.ぐちゃぐちゃ
         
         
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図8。おしべの並びが直線状でがおかしい。
       
   
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 図9.ぐちゃぐちゃ
    
   
 
(森敏)
 
 
 

 



2018-03-31 10:49 | カテゴリ:未分類

「博士」でも任期付き若手研究者の雇用厳しく

20180301 1433分 読売

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学院の博士課程を修了して大学や研究機関に就職した若手研究者らの半数以上が、3年半後も任期付き雇用にとどまっているとの調査結果を発表した。

 同研究所は、2012年度に博士課程を修了した2614人について、3年半後の生活状況などをアンケートで調べた。60%が大学や国の研究機関などに就職していたが、そのうち52%は任期付きの不安定なポストにあることがわかった。

 また、15年度に博士課程を修了した人への別の調査では、4922人の回答者のうち、38%が返済義務のある奨学金などの借金を負っていることもわかった。

 若手研究者が厳しい環境に置かれていることから、文科省は、大学で若手にポストを用意できるような人事システムの改革など、若手研究者を育てるための新計画を6月末をめどに取りまとめる方針だ。

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  こういう若手研究者の深刻な身分の不安定さは、インパクトファクターの高い論文への掲載を狙った若手の研究者によるデータの偽造(フェイクデータ)の、温床になっている。、結果的に日本発の研究論文の信用の失墜に確実につながる可能性が非常に高い。実際論文の被引用度でもボデイーブローのように効いてきているのではないか。
           
  話が横道にそれるが、先日某国立大学の研究者に会って久しぶりに話を聞いていたら、この大学ではすでに研究者一人当たりの光熱水料を差し引いた研究費は年間たった10万円だということで、これには心底驚愕した。
          
  科学技術の人材育成と財政支援の両面が国立大学では崩壊しつつある。
 
   

論文の引用件数や、専門分野ごとの上位1%に入る重要論文の件数が、日本が米、中国、EU諸国にもおいぬかれて、ここ数年にわたって確実に低下しているという指摘が各種の調査機関でなされている。また、日本では国立大学よりも、国立研究法人(理化学研究所、物質材料研究所、生理学研究所、原子力機構などなど)のほうが質の良い論文を出している、などとも報道されている。後者の方が投入予算に対する研究成果が高い、すなわち投資効率が高い、との指摘もなされている。「国立大学は研究マネージメントが悪い」、と日経連や経済同友会に集まる民間会社の社長クラスが国の科学技術政策を論じる会議に参加してしきりにのたまう。
  

しかしこれらの指摘は、大学の有する特質を無視しているものと言わざるを得ない。大学は研究ばかりでなく教育の場である。国立大学の教員が有する教育の負担は甚大なものがある。研究ということがどういうことなのかに全くと言ってよいぐらい無知な新入生を一人前の研究者に人格的にも研究能力的にも気合を入れて真面目に育する苦労は筆舌に尽くしがたい。
  

極論すれば、上記の国立研究機関は、国立大学の教員たちが苦労して育て上げた研究者たちを、ポスドクなどの有給で雇用して、彼らの能力を研究成果として短期間で搾り取る(収奪する)機関なのである。苦労した学生たちを送り出す大学教員たちには、何の見返りもないと言っていいだろう。また、優秀な大学生を就職時に雇用する民間会社も、優秀な学生を育てろと大学側に文句はつけても、教員たちに対する研究資金面での見返りは、多くの場合、何もない。それどころか国立大学は毎年文科省からの「運営費交付金」を減額され続けている。国立大学の教員たちは、研究費を教育費に転用しないと真面目な教育ができない状態に貶められている。だからすでに述べたように教員一人頭10万円しか研究費がないという国立大学の研究室も出てきているのである。
  

大学では自分たちが育てた優秀な修士や博士研究者をポスドクやパーマネントの助教などに継続して昇格雇用できるシステムがいまでは壊滅的に崩壊している。ごくごく少数の有名教授たちが外部資金の大金を獲得して、それらの恩恵に浴しているにすぎない。そのためにほかの零細分野の多くの教員たちはますます研究費が細り、毎日が金欠病でひーひー言っている。研究室間での貧富の差が激しくなっている。好き勝手にやる、数十年後には、ブレークスルーに結び付く研究の種(構想)が貧困化している。本当に危機だと思う。
  

こんなことを言うと「それはお前が無能だからだ」という声が直ちに返ってくるだろう。無能だからかもしれないけれど、最低限の研究費は保証して下さいよ、と現役の研究者を代弁していいたい。年間10万円の研究費で何ができますか? 
    
       
(森敏)
付記:「日本の大学は、一見して企業投資を喚起するような革新をもたらす魅力的な構想がかけているため、日本の大企業が米国の大学に投資をしている。」(科学新聞 3月30日号 「日本の研究力低下に歯止め」 ピーターグル―ス沖縄科学技術大学院大学学長 談)。日本の企業は大学から優秀な人材だけをかっさらって、日本の大学の研究はだめだからと言って、アメリカの大学に研究投資して、そこで得られた特許を、商品として世界中に売りまくる、という資産運用循環を形成しているわけだ。これが企業のグローバル化の実態だ。日本の国立大学の育成人材の活躍の成果である企業の儲けが日本の大学の研究者に還流していない。あったとしても微々たるものだ。


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