2008-08-19 07:07 | カテゴリ:未分類

リタイアすることの難しさ

 

北京オリンピックで、試合が始まってすぐに故障してリタイアする選手がいる。女子マラソンの土佐玲子選手や110メートル障害の劉翔選手が典型だ。本人が故障であることが分かっていても、試合が始まるまで本人はもとより監督やコーチはそれを明かすことができない。

 

人間の身体も、使い続ければ物理的な摩耗故障が少しずつ起こっているので、必ずある時点で、物理学で言う <弾性疲労の限界> がやって来る。そして、それはあたかも“事故 (accident) が起こった”かのようにみえる。しかしこれは起こるべくして起こった“不可避の事象”なので出来事(incident)と呼ぶべきものである。

 

名選手が、無理に出場して公衆の面前でaccidentが起こったように倒れ込む姿は、痛々しい。しかしそういう姿を実際に見せないと、大衆は納得しないのだろう。そうしてやっと彼/彼女がリタイアする時期を迎えたのだなと言うことを大衆は理解するのである。

 

現在のほとんどのオリンピック出場選手はスポンサーが付いているので、また国による支援も受けているので、オリンピックで金や銀や銅のメダルを取っても、なかなかやめさせてもらえない。そこで「次回開催国のロンドンも出場するつもりか」と聞かれると、どの選手からも「自分で決められることではないので。。。」という返事が返ってくる。

 

自分ではオリンピックに向けて最高の体調に調整して来ての結果であるので、また次のオリンピック出場を狙いたい、等と言うことはふつう考えられないだろう。リタイアするのが当然であろう。「また挑戦したい」と言える選手は、全力を出し切れなかった調整不良の不完全燃焼であった選手か、まだまだ伸び盛りを自認する選手なのであろう。あるいは冷たい言い方になるが、自己の実力の限界をいつまで経っても理解できない選手だろう。

 

(森敏)

 

追記:この記事を書いたその後、本日、土佐玲子選手はマラソンから引退することを表明した。(2008.8.28.記)

秘密

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