2018-05-11 22:27 | カテゴリ:未分類

  昨年双葉町の民家の庭で奇形ツバキを観察したので、これが日本では普通に存在している奇形ツバキなのがずっと気になっていた。あちこちでツバキを観察しているのだが、ツバキの奇形は結構あるようだ。しかし、今回ここに紹介するツバキの花は尋常な奇形ではない。ツバキの育種家に言わせればきっと「そんなの普通だよ」と言われそうだが、小生にはとても興味深いので紹介する。
     

  京都三条通を散策していると、三条大橋のたもとに「浄土宗だん王」という大きな石碑が立っているお寺があった。正式名は檀王法林寺(だんのうほうりんじ)と門柱には書かれていた。中に入ってみると狭い構内の両脇の塀沿いに合計10本ばかりツバキの木が何種類か品種が異なるものが植えられていた(図1)。敷地の奥は幼稚園かなにかになっているようだ。
     
  ツバキの花が満開を過ぎて落下し始めたころであった。どのツバキの木も何らかの奇形花が観察された。よく見ると、そのうちの一つの木は全部が奇形花であった。全方位対称形の花が見当たらなかった。以下の写真に示す如くである(図2~図9)。残念ながら高いところの花は撮影できなかったのだが、この木にはさらに多様な奇形花があるものと思われた。まったく飽きが来ない遺伝子変異の想像力を喚起する奇形であった。
 
  拡大してよく眺めると、花の中に花がありまたその中に花がありとか、複数の花が一つの花に入っていたりとか、一枝の先に3つの花がついていたりとか、とても花の発生学的に興味深い変異です。眺めていて飽きがこない。この一つとして同じ花がない、多様な変異が、一本の椿の木の中で、あちこちの枝で発生していることや、花弁の赤い色が白く抜けて色がまだらなものもあることことなどは、多分トランスポゾン遺伝子の仕業だろうと思われます。この木ばかりでなくこのお寺のほかの種類のツバキの木の花も何となく変な花が多いです。昆虫を媒介して花粉を通じて遺伝子の水平移動が起こっているのかもしれません。花への発生分化の段階でトランスポゾンが動きやすくなる周囲の環境(電磁波や排気ガスや農薬散布など)があるのかもしれません。
 
  小生がここ数年追い続けている「帯化タンポポ」の発生機序にもどこか似ているような気もしています。
 
  こんなツバキを植えて愛でる昔のここのお寺の和尚さんは、多分奇矯な粋人であったと思われます。
        
  こんな偶然の発見があるので、歴史のある京都は、ただ歩いているだけで楽しい。

                     
   

だん王jpeg 
図1. 
        
 
スライド1 
 図2.かべんのなかに花花花
               
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 図3.花弁のなかにまだらな花花花
       
 
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 図4.花の中に4頭?のまだらな花
              
 
スライド4 
 図5.枝の先端に3頭の花が合体。花弁のマダラは少ない。雌しべや雄しべがない。
分化の異常で全部花びらになっちゃったのだろう。

        
       
スライド5 
図6.花弁のなかにいくつかのぐちゃぐちゃの花
      
            
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図7.ぐちゃぐちゃ
         
         
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図8。おしべの並びが直線状でがおかしい。
       
   
スライド9 
 図9.ぐちゃぐちゃ
    
   
 
(森敏)
 
 
 

 



2018-03-31 10:49 | カテゴリ:未分類

「博士」でも任期付き若手研究者の雇用厳しく

20180301 1433分 読売

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学院の博士課程を修了して大学や研究機関に就職した若手研究者らの半数以上が、3年半後も任期付き雇用にとどまっているとの調査結果を発表した。

 同研究所は、2012年度に博士課程を修了した2614人について、3年半後の生活状況などをアンケートで調べた。60%が大学や国の研究機関などに就職していたが、そのうち52%は任期付きの不安定なポストにあることがわかった。

 また、15年度に博士課程を修了した人への別の調査では、4922人の回答者のうち、38%が返済義務のある奨学金などの借金を負っていることもわかった。

 若手研究者が厳しい環境に置かれていることから、文科省は、大学で若手にポストを用意できるような人事システムの改革など、若手研究者を育てるための新計画を6月末をめどに取りまとめる方針だ。

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  こういう若手研究者の深刻な身分の不安定さは、インパクトファクターの高い論文への掲載を狙った若手の研究者によるデータの偽造(フェイクデータ)の、温床になっている。、結果的に日本発の研究論文の信用の失墜に確実につながる可能性が非常に高い。実際論文の被引用度でもボデイーブローのように効いてきているのではないか。
           
  話が横道にそれるが、先日某国立大学の研究者に会って久しぶりに話を聞いていたら、この大学ではすでに研究者一人当たりの光熱水料を差し引いた研究費は年間たった10万円だということで、これには心底驚愕した。
          
  科学技術の人材育成と財政支援の両面が国立大学では崩壊しつつある。
 
   

論文の引用件数や、専門分野ごとの上位1%に入る重要論文の件数が、日本が米、中国、EU諸国にもおいぬかれて、ここ数年にわたって確実に低下しているという指摘が各種の調査機関でなされている。また、日本では国立大学よりも、国立研究法人(理化学研究所、物質材料研究所、生理学研究所、原子力機構などなど)のほうが質の良い論文を出している、などとも報道されている。後者の方が投入予算に対する研究成果が高い、すなわち投資効率が高い、との指摘もなされている。「国立大学は研究マネージメントが悪い」、と日経連や経済同友会に集まる民間会社の社長クラスが国の科学技術政策を論じる会議に参加してしきりにのたまう。
  

しかしこれらの指摘は、大学の有する特質を無視しているものと言わざるを得ない。大学は研究ばかりでなく教育の場である。国立大学の教員が有する教育の負担は甚大なものがある。研究ということがどういうことなのかに全くと言ってよいぐらい無知な新入生を一人前の研究者に人格的にも研究能力的にも気合を入れて真面目に育する苦労は筆舌に尽くしがたい。
  

極論すれば、上記の国立研究機関は、国立大学の教員たちが苦労して育て上げた研究者たちを、ポスドクなどの有給で雇用して、彼らの能力を研究成果として短期間で搾り取る(収奪する)機関なのである。苦労した学生たちを送り出す大学教員たちには、何の見返りもないと言っていいだろう。また、優秀な大学生を就職時に雇用する民間会社も、優秀な学生を育てろと大学側に文句はつけても、教員たちに対する研究資金面での見返りは、多くの場合、何もない。それどころか国立大学は毎年文科省からの「運営費交付金」を減額され続けている。国立大学の教員たちは、研究費を教育費に転用しないと真面目な教育ができない状態に貶められている。だからすでに述べたように教員一人頭10万円しか研究費がないという国立大学の研究室も出てきているのである。
  

大学では自分たちが育てた優秀な修士や博士研究者をポスドクやパーマネントの助教などに継続して昇格雇用できるシステムがいまでは壊滅的に崩壊している。ごくごく少数の有名教授たちが外部資金の大金を獲得して、それらの恩恵に浴しているにすぎない。そのためにほかの零細分野の多くの教員たちはますます研究費が細り、毎日が金欠病でひーひー言っている。研究室間での貧富の差が激しくなっている。好き勝手にやる、数十年後には、ブレークスルーに結び付く研究の種(構想)が貧困化している。本当に危機だと思う。
  

こんなことを言うと「それはお前が無能だからだ」という声が直ちに返ってくるだろう。無能だからかもしれないけれど、最低限の研究費は保証して下さいよ、と現役の研究者を代弁していいたい。年間10万円の研究費で何ができますか? 
    
       
(森敏)
付記:「日本の大学は、一見して企業投資を喚起するような革新をもたらす魅力的な構想がかけているため、日本の大企業が米国の大学に投資をしている。」(科学新聞 3月30日号 「日本の研究力低下に歯止め」 ピーターグル―ス沖縄科学技術大学院大学学長 談)。日本の企業は大学から優秀な人材だけをかっさらって、日本の大学の研究はだめだからと言って、アメリカの大学に研究投資して、そこで得られた特許を、商品として世界中に売りまくる、という資産運用循環を形成しているわけだ。これが企業のグローバル化の実態だ。日本の国立大学の育成人材の活躍の成果である企業の儲けが日本の大学の研究者に還流していない。あったとしても微々たるものだ。


2018-03-01 16:34 | カテゴリ:未分類

NHKスペシャル 「被曝の森2018」見えてきた汚染循環

2018年3月7日(水)

午後10時25分〜11時15分  50分番組 NHK総合 (全国放送)

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180307

 

 東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放射性物質で汚染された区域はこの先どうなっていくのか? 2016年3月に放送した「被曝の森~原発事故5年目の記録~」では、急速に家々を覆っていく植物や、昼間から住宅地に出現するイノシシなど、無人の町が野生に侵食されつつある衝撃の実態を明らかにした。放射性物質の生物影響に関する様々な研究報告も伝え、低線量被曝の謎に迫った。今回の番組はその続編。
 去年の春、被災地は新たな局面を迎えた。国による計画除染が終わり、広い範囲で一斉に避難指示が解除された一方で、山間部を中心に「帰還困難区域」として取り残される地域が生まれたのだ。その面積は340km2(東京23区の約半分)。対象となる住民は2万4千人に及ぶ。そうした「帰還困難区域」で、放射性物質はどのような影響をもたらしているのか? 科学者による研究は、より深く、より多角化している。これまで調査されてこなかった高線量の森に踏み込み、生態系の中で放射性物質がどのように移動・残留しているのか、解明が進んでいる。科学者たちの挑戦や住民の思いを追いながら、その実態を記録する。

 

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ということだそうです。


(森敏)

小生らの放射線像も何枚か登場するはずです。放映は遅い時間帯ですが、番組向上のためにも、ぜひ御視聴いただき、後に批判的感想を「NHK 科学環境番組部」に寄せてあげてください。
 
 
追記:
速報!
NHKスペシャル 「被曝の森2018」見えてきた汚染循環」
再放送は深夜です。

再放送は
2018年3月10日(土) 午前0時55分〜(50分)
つまり、金曜の25時55分から
ということです。

録画しなかった方は、ぜひ再視聴ください。

 
追記2:以下のホームページでも見られます。
http://www.dailymotion.com/video/x6fu0tm

2018-02-27 06:45 | カテゴリ:未分類

  以下の調査では現在の日本の大学生の過半数が本を読まない。これは恐るべき数字だと思う。読書や作文の習慣は、義務教育の期間につけるものである。大学に来てからはすでに遅い。この結果は過去の20年間ぐらいの日本の義務教育制度の欠陥が明快に示されたものだと思う。大学入試では国語の比重を飛躍的に高め、さらに長文の読解力の比重をさらに強化すべきだと思う。

  オリンピックで金を取るスポーツ選手(羽生や小平)や囲碁・将棋の名人など、いわゆるアカデミーの世界に属さないトップクラスの人材の発言を聴いていても、どん底や窮地に落ち入った時の起死回生の発想を得るのに必要なことは自己洞察力すなわち教養だと皆さんが自覚している。教養を高めるには、本人の直接的な体験からだけではだめで、読書を通じた二次(疑似)体験の集積が絶対に必要である。乱読でいいのだ。


  
    
  

大学生の5割超、読書時間がゼロ 実態調査で初、「本離れ」が顕著

2018226 2111

  
 全国大学生協連(東京)は26日、1日の読書時間について大学生の53%が「ゼロ」と回答したとの調査結果を発表した。半数を超えたのは、調査に読書時間の項目が入った2004年以降初めて。「本離れ」が若い世代で進行している実態が明確になり、アルバイトをする学生に読書時間ゼロが多いとの結果も出た。

 調査結果の分析を担当した浜嶋幸司同志社大准教授(学習支援)は、「高校までの読書習慣が全体的に身に付いていないことの影響が大きい」と指摘する。

 この調査は「第53回学生生活実態調査」。大学生の1日の読書時間は平均23・6分。ゼロと答えた学生は53・1%。
    

(共同)

 大学生本を読まない 

 
(森敏)
追記1:「小学生に英語教えて国滅ぶ」というタイトルで数学者の藤原正彦氏が、文芸春秋の 総力特集「日本の教育を建て直せ」で力説しているのは、「小学校では、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下」と。また、
 ”教養がないと、大局観を持てません。大局観を持たない人間は物事の本質をとらえることができず、対処療法に走りがちで、重要な局面で間違った道を選び、国を誤らせ、国民を不幸にしてしまう”
と述べている。きわめて古典的な教育観だが至言だと思う。

 
追記2: その後鳥取県での読書調査のより詳しい記事が毎日新聞に出ている。
    

鳥取

子どもの読書離れ深刻 高校・大学生は「月にゼロ」

毎日新聞2018514 0943(最終更新 514 0943)

高校生や大学生の3人に1人は1カ月に全く本を読まない--。子どもの読書環境を調べた鳥取県教委の2017年度のアンケートで、子どもの本離れが進んでいる実態が改めて浮き彫りになった。「読みたい本がない」との回答が目立ち、県教委は本を手に取るきっかけづくりに力を入れる。

 アンケート(選択式)は09、12年に続く3回目。県内の幼稚園や保育園、認定こども園の年長児の保護者▽小学3年▽小学6年▽中学3年▽高校2年▽大学生-を対象に実施し、計2942人から回答を得た。

 読書習慣を尋ねる質問では、不読率(1カ月に1冊も本を読まない人の割合)が、大学生35.8%(前回24.4%)▽高校2年29.3%(同21.3%)▽小学3年4.5%(同3.2%)--とそれぞれ増加した。

 読まない理由として、習い事やアルバイトを挙げた人が一定数いた一方で「本を読みたいと思わない」を選んだのが中学3年では最多の41.2%▽小学6年22.6%▽高校2年26.6%。本そのものに魅力を感じていない児童生徒が多かった。

 一方で、年長児の保護者が家で読み聞かせをしない割合が5.8%(前回10.4%)と前回調査よりほぼ半減した。

 今年度は県が策定する「県子どもの読書活動推進ビジョン第3次計画」の最終年度だが、読書時間などの数値目標を達成できない見込みだ。県教委は、本への関心を高めてもらうための取り組みを継続。書店に置くポップ広告作品を募集する「中学生ポップコンテスト」を開いたり、生徒同士で書評合戦をする「ビブリオバトル」の支援事業を展開したりするという。

 県教委社会教育課は「生涯学習としての読書習慣を子どものうちに身につけてもらえるよう、継続して取り組みたい」としている。【小野まなみ】

 

2017-12-23 06:34 | カテゴリ:未分類
 
   以下に示すのは、現在双葉町の、住民が避難して耕作放棄している水田に繁茂するセイタカアワダチソウの群落から、ためしに頭のほうから40センチばかりを切り取ったものである(図1)。
 
  実験室に持ち帰って、ガイガーカウンターで表面を軽くサーベイしても、毎分443カウントという異常に高い値であった。
         
  水田土壌の表面の土をえぐり取る除染をしないと、原発事故6年半たっても強度に内部汚染が続いているということである(図2、図3、表1)。
 
  この放射線像には一切外部被ばくが認められないので、全身の放射能はすべて根から吸収されて移行して来たものである。
  
  葉ばかりでなく花器も激しく内部被ばく汚染していることがわかる。
    
   


       

 
スライド1 
 
 図1.原発事故6年半後のセイタカアワダチソウ (双葉町)


 

 
スライド2 
 図2.図1のオートラジオグラフ
 
   

 
 
スライド3 


図3.図2のネガテイブ画像
 
   

   
 
 表1.セイタカアワダチソウの放射能
 
セイタカアワダチソウの放射能jpeg 
 
 
 
(森敏)
追記: 双葉町の除染が始まった。
   

復興拠点の整備へ、除染を開始 全町避難続く福島・双葉町

20171225 1202

 

 環境省は25日、東京電力福島第1原発事故で立ち入りが制限されている福島県双葉町の帰還困難区域で、住民が再び住めるようにする「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)の整備に向け、除染と建物解体の工事を始めた。

 政府が認定した復興拠点の整備計画に基づく初の除染作業となる。県内7市町村に残る帰還困難区域の復興への第一歩だが、住民の帰還目標は「2022年春ごろまで」とまだ遠い。

 今回の工事は来年7月までの予定で、JR双葉駅周辺の約7ヘクタールで表土のはぎ取りや草刈りなどの除染と、約55軒の住宅や公共施設を解体。今後、範囲を徐々に広げる。

(共同)

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