2007-11-21 20:20 | カテゴリ:未分類
この訳文は、2006年以降向こう15年間の中国に科学技術の政策を示した綱領である。発表されて一年がたつが、この全文はあまり日本の科学技術政策研究者などにも行き渡っていないと思われる。近年の中国は着実に綱領を実行する国である。綱要の第4項農業に関しては日本の農業白書の構成に似ているが、大いに参考になると思われる。原文を必要とされる方はCDで提供いたしますので、森敏(winep@bird.ocn.ne.jp)までご連絡ください。暇なときにお読みください。なかなかおもしろいですよ!


国家中長期科学技術発展規画綱要(全文)


全面的に小康社会を建設して社会主義現代化建設を加速する全体の局面から国家の科学技術長期発展規画の制定を求める第16回党大会の要求に基づき、国務院はここに本綱要を制定する。


一、序言

新中国成立以降、特に改革開放以降、我が国の社会主義現代化建設は驚嘆に値する偉大な業績を得ることができた。同時に、我が国は、現在そしてこれからもまだ長い期間、社会主義の初級段階にあることを冷静に理解する必要がある。全面的小康社会を建設する過程では、歴史上の得難い機会に恵まれることもあれば、また一連の厳しい挑戦に直面することもある。経済成長は過度にエネルギー及び資源の消費に依存しており、環境汚染問題は深刻となっている。経済構造は不合理であり、農業の基礎は貧弱で、ハイテク産業と近代的なサービス業の発展は停滞している。自主創新の能力は弱く、企業の競争力も強くなく、経済効率を更に高める必要がある。雇用問題の解決、分配関係の調整、健康保障の提供、国家安全保障等の面においても、早急に解決を要する困難と問題が多くある。国際的には、我が国は長期にわたり先進国による経済、科学技術等の面における巨大な圧力に直面している。チャンスをしっかり掴み、挑戦を迎えいれるため、我々は多方面における努力を必要としており、全体が発展するように統率し、体制改革を深化させ、民主的な法律を整備し、社会管理を強化すること等が必要である。同時に、我々は如何なる時にも、さらに科学技術の進歩と創新を通じて、生産力を本質的に飛躍させ、経済社会の全体的、調和的、持続可能な発展を推進することが必要である。
科学技術は第一の生産力であり、先進的な生産力を体現したシンボルである。21世紀に入ってから、新たな科学技術革命が急激に進展しており、新しい重大なブレークスルーが生まれており、経済社会の様相は大きく変革を遂げている。情報に関する科学技術が勢い良く進展しており、依然として経済成長を主導する力となっている。生命科学とバイオテクノロジーは急激に発展し、人間の生活の質を高めることに重要な作用を発揮している。エネルギーに関する科学技術は再びブームとなり、世界的なエネルギー環境の問題を解決する新しい道を切り開きつつある。ナノに関する科学技術はブレークスルーを次々と達成し、本質的な技術革命をもたらしている。基礎研究での重大なブレークスルーは技術と経済の発展に新たな将来性をもたらしている。科学技術の実用化の速度は不断に加速しており、新たなチャレンジと飛躍の機会をもたらしている。このため、我々は時代の先端に立って、世界的な観点から、新科学技術革命によってもたらされるチャンスと挑戦を迎えいれることが必要である。地球上を見渡すと、多くの国家は科学技術の創新を強化することを国家戦略としており、科学技術に戦略的な投資を行っている。科学技術への投入を大幅に増加し、ハイテクと戦略産業を育成し発展させ、重大な科学技術計画を実施し、国家の創新能力と国際競争力の強化に力を入れている。このような新たな国際的な情勢に対し、我々は強い責任感と緊迫感を持って、科学技術の進歩が経済社会の発展の最重要な推進力であることについての自覚と信念を確固たるものとし、自主創造能力を高めることによって経済構造を調整し、成長方式を変革し、国家競争力の源泉を高めて、創新型国家の建設を今後の重大な戦略として選択することが必要である。
新中国成立後50数年になるが、この間の数世代に渡る苦難の奮闘を通じて、我が国の科学技術事業は鼓舞できるほどの大きな成就を達成した。「両弾一星」(注:原爆、水爆、衛星。水爆の代わりにミサイルとする説もある。)、有人宇宙飛行、交雑水稲、陸相成油理論と応用、高性能コンピュータ等を初めとする多くの重大な科学技術の成就を通じて、我が国の総合的国力は大きく増強され、我が国の国際的地位を高め、我々の民族精神を奮い立たせた。しかし、同時に、我が国の科学技術全体のレベルは、先進国と比較してまだ大きな差があることをも認識する必要がある。キーテクノロジーに関する自主開発の割合は低く、発明特許が少ない。いくつかの地域、特に中西部の農村において、技術レベルは依然として立ち後れている。科学の研究の質はあまり高くなく、抜き出た人材が不足している。また、科学技術への投入が不足しており、体制上の欠陥が多く存在している。現在、我が国は経済大国ではあるが、未だ経済強国とは言えない。その根本的な原因は、創新能力が薄弱であることにある。
21世紀において、我が国は発展中の大国であり、科学技術の発展を加速し、先進国との差を縮小する必要があり、引き続き比較的に長い時期にわたる厳しい努力が必要であるが、同時に多くの有利な条件も持っている。1、我が国の経済の持続的な高度成長と社会の進歩は、科学技術の発展に対する大きなニーズを生んでおり、科学技術の発展の堅固な基礎となっている。2、我が国では、既に整った学科体系を作り上げており、また豊富な人材資源を持っており、一部の重要領域における研究開発能力は既に世界のトップレベルに達しており、科学技術の発展に対する基礎と能力を備えている。3、対外開放を堅持しながら、日に日に活発化する科学技術分野における国際的な交流と協力を通じて、新しい科学技術革命の成果を共有することができる。4、社会主義の制度を堅持し、重要事業に集中力を発揮する政治的な優位と資源の効率的な配分を可能とする市場メカニズムとを結合することにより、科学技術事業が繁栄・発展するため重要な制度上の保証を提供することができる。5、中華民族は5000年の文明史を持っており、中華文化は学識が広く、深くかつ寛容であり、更に独特な創新の文化を形成することができる。我々は民族の自信心を強め、科学的発展観を徹底的に実行し、科教興国(注:科学技術の進歩と教育(労働者の素質向上)によって国の振興を図る)戦略と人材強国戦略を実施して、奮い立って追いかけ、先頭に追いつく努力をし、15年又は更に長い時間どこまでも耐え抜く刻苦奮闘をすれば、必ず時代に恥じない光り輝く科学技術の業績を創造することができるだろう。


二、指導方針、発展目標と全体計画

1.指導方針

今世紀はじめの20年は、我が国の経済社会発展の重要なチャンスの時期であり、また、科学技術発展の重要なチャンスの時期である。小平理論と「三つの代表」重要思想を指導理念とし、科学的発展観を全面・貫徹して確実なものにし、全面的に科教興国戦略と人材強国戦略を実施し、国情に立脚し、人を基本にし、改革を深め、開放規模を拡大し、我が国の科学技術事業の発展を強力に推進して、全面的小康社会の目標、調和のとれた社会主義の社会建設の実現のため、科学技術による支援を強力に提供する。

今後15年、科学技術に対する指導方針は次の通り:自主創新、重点跨越、支掌発展、引領未来(注:順に、自主創新、重点飛躍、発展支援、未来を導く)。自主創新とは、すなわち国家創新能力を増強することであり、また原始創新、集成創新を強化し、技術を導入し、消化し、吸収し、再創新することを強化することである。重点跨越とは、「為す所あり、為さざる所あり」を堅持し、一定の基礎と優勢を備えているもの、国の経済及び人民の生活や国家安全に関係のある重要領域を選択し、力を集中し、重点突破し、乗越え式の発展を実現することである。支掌発展とは、現実の緊迫したニーズから出発し、重大なキーテクノロジーや共通性技術の突破に力を入れ、経済社会の全面協調による持続可能な発展を支えることである。引領未来とは、長期を見て、予め基礎研究及び先端技術を手配し、新しい市場ニーズを創造し、新型産業を養育し、未来の経済社会の発展を導くことである。この方針は我が国の半世紀あまりを重ねた科学技術の実践経験の総括であり、未来に向け中華民族の偉大な復興を実現させるための重要な選択である。

自主創新能力の向上は、全ての科学技術関係の政策のトップに置かれるべきである。党と政府はかねてから自主創新を重視し提唱している。対外開放の条件下で社会主義現代化建設を進めるには、人類の優秀で文明的な成果を真剣に参考にすることが必要である。改革開放後の20数年来、我が国は大量の技術と設備を導入して、産業の技術レベルの向上、経済発展促進に対し重要な役割を果たした。しかし、技術の消化、吸収及び再創新を重視することなく技術導入のみを行うことは、自主的な研究開発の能力を弱め、世界の先進レベルとの差を拡大させる結果となるということを、冷静に理解することが必要である。事実、国民の経済の生命線や国家の安全に関係する重要領域において、本当の重要技術を買うことはできない。我が国が激烈な国際競争の中で主導権を持つには、自主創造能力を高めることが必須である。また、いくつかの重要な領域でいくつかの重要技術を掌握して、いくつかの自主的な知的所有権を持って、いくつかの国際競争力を持つ企業を育成しなければならない。要するに、自主創造能力を高めることを国家戦略にし、それを現代化建設の全ての局面において徹底し、また各産業、各業界及び各地域まで徹底して、国家の競争力を大幅に向上させる必要がある。

科学技術人材は、自主創造能力を高める上で鍵となる存在である。良好な環境と条件を整備し、各類の科学技術人材、特に優秀な人材を育成することは最も重要である。科学技術者の積極性と創造性を最大限に引き出し、科学技術上の重要任務を遂行させるとともに、人材の輩出、能力の発揮し、能力の活用が十分に行われる良好な仕組みの構築に向けて努力をしなければならない。経済社会の発展と国防の建設とが相互に適用できる領域を拡大すること、及び高素質の科学技術人材の一群を合理的な編成することに努め、我が国の科学技術の発展のために十分な人材上の支援と知力の保証とを提供する。

2.発展目標

2020年までの、我が国の科学技術の発展の全体目標は次の通り:自主創新能力を顕著に高め、科学技術によって経済社会の発展と国の安全保障の能力を顕著に高め、小康社会の全面的な建設における力強い支柱とする。基礎科学と先端技術分野の研究における総合的実力を顕著に高め、世界に重大な影響をもたらす研究成果を複数上げ、創新型国家の仲間入りをし、今世紀中頃に世界の科学技術強国になるための基盤を固める。
15年間の努力によって実現すべき我が国の科学技術上の重要目標は次のとおり:1、国家の競争力に関わる設備製造業と情報産業の重要技術を掌握し、製造業と情報産業の技術レベルが世界のトップレベルになる。2、農業分野での科学技術の総合実力が世界のトップレベル入りし、農業の総合生産能力の向上を促進して、効果的に国家の食糧安全を保障する。

3、エネルギーの開発、省エネ技術、クリーンエネルギー技術等においてブレークスルーを果たし、エネルギー構造の最適化を促進し、主要工業製品のエネルギー消費指標が世界の先進レベルを達成するか又は接近する。4、重点業界や重点都市において循環経済型の技術発展モデルを構築し、資源節約型・環境友好型社会を構築するための科学技術上の支援を提供する。5、重大な疾病の予防と治療レベルを著しく向上させる。エイズ、肝炎等の重大な疾病が抑制され、新しい薬の開発と重要な医療器械の開発にブレークスルーを果たし、産業として発展するよう技術力を備える。6、国防科学技術が近代的武器の自主的開発と情報装備化のニーズを基本的に満たし、国家安全保障の提供を支える。7、世界レベルの科学者と研究チームが絶えず輩出され、科学の発展上の主流において大きな影響がある創新の成果を獲得し、情報、バイオテクノロジー、材料及び宇宙等の領域の先端技術が世界的先進レベルを達成する。8、世界で一流の科学研究機構と大学、及び国際競争力ある企業研究開発機関を設立し、中国の特色のある国家創新体系を形成する。
2020年までに次を達成する。国全体の研究開発投入の対GDP比率を2.5%以上、科学技術進歩貢献率を60%以上、対外技術依存度を30%以下、発明特許件数及び国際科学論文の被引用件数の両方で世界5位以内。

3.全体計画

今後の15年間における我が国の科学技術の発展の全体計画は次の通り:1、我が国の国情とニーズに立脚して、重点分野を定め、重大なコア技術を獲得し、科学技術サポート能力を全面的に高める。本綱要では、11の国民経済社会の発展に関わる重点領域を確定しており、その中から任務を明確にした上で、近い将来に技術のブレークスルーの実現が可能な68項の優先的なテーマを重点的に掲げる。2、国家目標に狙いを定め、重大特定プロジェクトを実施し、飛躍的な発展を実現し、空白を埋める。本綱要では、16項目の重大特定プロジェクトを掲げる。3、将来の課題に対応し、先端技術と基礎研究を前倒しして計画し、持続的な創新能力を高め、経済と社会の発展を導く。本綱要は8件の技術領域の27項の先端技術、18項の基礎科学課題、4項の重大科学研究計画に重点をおく。4、制度改革を深化し、政策措置を整え、科学技術投資を増やし、人材育成を強化し、国家創新体系の構築を推進し、創新型国家入りに向けた万全の保障を整える。
全面的小康社会を建設するための喫緊のニーズ、世界の科学技術の発展の趨勢及び我が国の国力に基づき、次の科学技術の発展のための戦略的重点を確実に実行する。1、エネルギー、水資源及び環境の保護技術の発展を優先課題とし、経済社会の発展を制約する重大なボトルネックの問題を解決する。2、今後、情報技術のモデルチェンジと新しい材料技術の急激な発展の貴重なチャンスを把握して、設備製造業及び情報産業の重要技術について自主知財権を獲得することを、我が国の産業競争力向上の突破口とする。3、バイオテクノロジーを未来のハイテク産業としてトップレベル到達を目指すこととし、農業、工業、人口及び健康等の領域での応用を強化する。4、航空、宇宙及び海洋技術の発展を加速する。5、基礎科学及び先端技術研究を強化する。特に学際的な分野の研究を強化する。


三、重点領域及び優先テーマ

我が国の科学技術の発展、全体的なバランス及び整合的な推進を基礎として、重点領域と優先的なテーマに関する計画と配置を行い、経済社会の発展上の問題を解決し、全面的かつ強力なサポートを提供する。
重点領域とは、国民経済、社会発展及び国防安全において、重点的な発展が必要とされるもの、並びに科学技術による支援が必要とされる産業及び業種のことを指す。優先的なテーマとは、重点領域の中で発展を必要とし、任務が明確であり、良好な技術的基礎があり、近い将来に技術的ブレークスルーが予想される技術群を指す。優先的なテーマの選定基準:1、ボトルネックの制約を解決し、経済の持続的な発展能力に有利。2、重要技術と共通性技術を掌握し、産業のコア競争力を高めることに有利。3、重大な公益性科学技術の問題を解決し、公共サービスの能力を高めることに有利。4、軍民両用の技術を発展し、国家の安全保障能力を高めることに有利。

1.エネルギー

 エネルギーは国民経済の中でとても重要な戦略的な地位を持つ。我が国では、現在、エネルギーの供給と需要の対立は先鋭になっており、構造も不合理である。すなわち、エネルギー利用の効率性が低い。一次エネルギー消費は石炭を主としており、化石エネルギーの大量消費により、深刻な環境汚染をもたらされている。今後15年、高度成長を持続するのに必要となるエネルギー需要を満たし、エネルギーのクリーンかつ高効率な利用を可能とすることは、エネルギー科学技術の発展にとって重大な挑戦である。

◆発展構想:
(1)省エネ、エネルギー消費量の低減を優先的な地位に置く。主要省エネ領域における重要な技術を把握するために、積極的に省エネ技術を発展させ、一次エネルギーの利用効率と最終利用効率を向上させる。
(2)エネルギー構造の多元化を進めて、エネルギーの供給を増加する。石油・天然ガスの開発利用及び水道、電気の技術レベルを高めると同時に、強力に原子力の技術の発展を図ることで、原子力発電の自主創新能力を形成する。風力エネルギー、太陽エネルギー、バイオマスエネルギー等再利用可能なエネルギー技術のブレークスルーを得て、更に大規模化の応用を実現することができる。
(3)石炭のクリーンかつ高効率の利用を進め、環境汚染を下げる。強力に石炭のクリーン、高効率、安全開発と利用技術を発展させ、国際的な先進水準を達成することを図る。
(4)エネルギー設備の技術導入、消化、吸収と再創新の力を強める。先進的な石炭発電、原子力発電等の重大な設備製造の重要技術を把握することを図る。
(5)エネルギーの区域最適化配置技術の能力を高める。安全、信頼的、かつ先進的な電力送電技術を開発することに重点を置き、大容量、遠距離、高効率の電力輸送を実現する。

●優先的なテーマ

(1)工業における省エネ

冶金、化学工業等の工業プロセス及び交通運輸業等の主要なエネルギー消費領域における省エネ技術と設備、機械・電力設備の省エネ技術、高効率の省エネ、長寿命の半導体照明製品、エネルギーレベルの総合利用の技術に重点を置く。

(2) 石炭のクリーンかつ高効率な開発利用、液化及び複合利用

石炭の高効率採掘技術及び関連設備、大型ガス・タービン、IGCC、高いパラメーターを搭載した超臨界ユニット、超臨界の大型循環工作機械等高効率発電技術と設備を開発することに取り組み、石炭の液化とガス化、石炭化学工業等の転化技術、及びガスを基礎とする多様化生産のシステム技術、石炭を燃料とする総合利用・制御技術と設備を強力に開発する。

(3)複雑な地質における石油天然ガス資源の探査及び開発利用

複雑な環境と岩性の地層類石油天然ガス資源の探査技術を開発し、大規模石油天然ガス資源の高効率開発技術、油田の実収率を大幅に向上させて、深層石油天然ガス資源の採掘技術を開発することに取り組む。

(4)再生可能なエネルギーの低コストかつ大規模化なの開発利用

大規模の風力発電設備を研究・開発することに重点を置く。沿海と陸地風電場と西部の風力エネルギー資源の密集している地域の建設技術と設備、高い価格性能比がある太陽光電池と利用技術、太陽エネルギーによる発電技術、太陽エネルギー建物の一体化技術、バイオマスエネルギーと地熱エネルギー等の開発利用の技術を開発する。

(5)超大規模の配電及び電力網の安全確保

大容量、遠距離の直流送電技術及び超高圧送電技術と設備、間歇式の電源及びその配電技術、電気エネルギーの品質測定と制御技術、大規模の電力網の安全保障技術、西部の電力を東部に伝送する工事における重要な技術、電力網調整の自動化の技術、高効率の配電と給電管理情報技術とシステムを研究開発することに重点を置く。

2.水資源及び鉱物資源

水と鉱物資源は経済と社会の持続的発展を可能にすることに重要な基礎物質である。我が国の水資源と鉱物資源は、非常に不足している;資源の総合利用率が低い、鉱物資源の総合利用率、農業灌漑水の利用率も世界の先進水準より立ち遅れている;地質条件の複雑化のため、資源探査に困難がますます大きくなっている。資源探査、開発利用技術を研究開発すること、更に資源の利用率を向上させることに、早急に取り組む必要がある。

◆発展構想:
(1)資源節約を優先する。農業の高効率節水と都市の水循環利用の技術を重点的に研究して、多流域にまたがって水を調達、雨洪の利用と海水の淡泊化等の水資源開発技術を発展させる。
(2)複雑な地質条件の制限をブレークスルーし、既存資源の埋蔵量を拡大する。地質の成鉱規則を重点的に研究して、鉱山の深辺部評価と高効率探査技術を発展させ、チベット高原等の複雑な条件下における鉱物を急速に調査測量して、大規模な予備資源の基地を探り、資源の供給量を増やす;鉱物資源の高効率採掘と総合利用技術を開発し、水と鉱物資源の総合利用率を高める。
(3)積極的に非伝統資源を開発する。石炭層のガスと海洋鉱物等の新型資源に対する開発力、利用力を把握し、新型資源の利用技術の研究能力を高める。
(4)資源探査の開発、設備の創新を強化する。積極的に高い精度の油田掘削の設備、大規模の鉱山機械、海洋開発プラットフォーム等の技術を開発することで、資源探査設備を国際的な先進水準に到達させる。

●優先的なテーマ

(6)水資源の最適化配置及び総合開発利用
大気の水、地表にある水、土壌水分と地下水の転化構造と最適化配置技術、汚水、洪水を資源化し利用する技術、人工雨の技術、長江、黄河等の重大な河川に対する総合的管理と南水北調等流域を跨る重大な水利工事の整備と開発における重要な技術等を重点的に開発する。

(7)総合的な節水
工業用水の循環利用技術及び節水型生産プロセスを重点的に開発する;節水灌漑、日照り節水と生物節水を組み合わせる技術を開発して、精量の灌漑技術、インテリジェント化の農業用水管理技術と設備を重点的にブレークスルーする;生活上の節水技術と器具の開発力を強化する。

(8)海水の淡水化
海水の前処理技術、原子力エネルギー連結とコージェネレーション(電水聯産熱法)、膜法による低コストの淡水化技術とキーとなる材料、濃い塩水の総合利用技術等を重点的に開発する;大規模の海水淡水化技術、海水の熱エネルギー設備、海水淡水化設備及び多重結合のキーとなる設備を開発する。

(9)資源探査、確認埋蔵量の増加
鉱物資源の成鉱の規則と予測技術を重点的に研究。宇宙航空技術に基づく地球物理への調査測量技術を発展し、3次元の高い解像度の地震、高い精度の地磁気及び地球化学等が高速で、総合な、大きい深さ探査技術を開発する。

(10)鉱物資源の高効率の開発及び利用
深層と複雑な鉱床の採鉱技術及び廃棄物無し採掘技術、高効率で自動化の選別新しい技術と大規模の設備を重点的に研究し、低品位、複雑な資源処理技術と高効率の利用技術、鉱物資源の総合利用技術を開発する。

(11)海洋資源の高効率の開発及び利用
浅海に隠れる石油天然ガスに対する探査技術及び濃密な石油がある油田における実収率を向上させる総合技術を重点的に研究して、海洋生物資源保護と高効率の利用技術を開発して、海水の直接利用技術と海水の化学資源の総合利用の技術を発展させる。

(12)総合的な資源利用のための地域計画
水・土資源と農業生産、生態と環境保護の総合的な最適化配置技術を重点的に研究して、我が国の水・土資源の地域空間の分布に適合する多変量による大区域資源の配置・分析技術を展開し、異なる地域に適用可能な水・土資源の発展最適化のための技術予測・決定モデルを構築する。

3.環境

生態と環境を改善するのは、経済社会の持続可能な発展と人民生活の質の向上にとって重大な問題である。我が国の環境汚染は深刻である;生態システムの退化は激化している;汚染物の無害化の処理能力も低いレベルにある;全世界の環境問題は既に国際社会の関心を持つ焦点になっており、我が国が全世界の環境変化協力に参加する能力を早急に向上する必要がある。経済の持続的な高度成長のためには、全体の環境の状況が一定程度改善することが前提条件であり、環境の科学技術の創新には、戦略的な重大な要請がある。

◆発展構想:(1)循環経済の発展を引導し支援する。大汚染を発生させている業界向けに、クリーン化の統合技術を強力に発展させ、廃棄物の減量化、資源化利用及び安全処置を強化するとともに、循環経済の共通的な技術の研究を進める。(2)地域環境の総合的管理を実施する。流域内の水環境及び地域の大気環境汚染の総合的管理、典型的な生態機能の退化地域への総合的修復技術の展開及びモデル構築、飲用水の安全確保技術及び生態と環境の観測・警報技術を開発し、環境の質の改善に対する科学技術の支援力を大幅に向上させる。(3)環境保護産業の発展を促進する。我が国の国情に適する重大な環境保護の設備・器具を重点的に研究して、国産の環境保護製品の市場占有率を増大して、環境保護の設備と技術レベルを高める。(4)積極的に国際環境協力活動に参加する。地球環境条約の履行対策、気候変動科学の不確定性及びその影響に対する研究を強化し、地球環境変動の観測と温暖化ガスの排出抑制技術を開発し、環境変化への対応力及び条約履行能力を向上させる。

●優先的なテーマ

(13)総合的な汚染対策及び廃棄物の循環利用
地域環境の観測・警報技術を重点的に開発し、都市の大気汚染制御等のための重要技術を開発し、従来にない汚染物の制御技術、廃棄物等の資源化利用技術、汚染程度が大きい業種におけるクリーンな生産技術を開発し、循環経済の模範となる技術モデルを構築する。

(14)脆弱な生態区域における生態システムの機能回復
カルスト地域、チベット高原、長江・黄河中上流、黄土高原、砂漠及び砂漠化の地域、農業と畜産業が混在する地域、鉱物採掘地地域等の典型的な脆弱な生態区域における生態システムのダイナミックな監視技術、草原退化及び鼠害の予防・対処技術、退化した生態システムの回復・修復のための技術、三峡ダム、チベット鉄道等の重大事業の周辺及び複雑な鉱山開発区の生態の保護・回復の技術、異なるタイプの生態システムの機能回復と持続的な改善のための技術支援モデルを開発し、生態システムの機能の総合評価・技術評価の体系を構築する。

(15)海洋生態と環境保護
海洋の生態と環境の観測技術・設備を重点的に開発し、海洋の生態と環境の保護技術の研究を強化し、近海海域の生態と環境の保護・修復及び海上突発事故の応急処理技術を開発し、高精度の海洋の動態環境の数値予報技術を開発する。

(16)地球規模の環境変化の監測及び対策
大スケールの環境変化の正確な観測技術を重点的に開発し、主要な業種における二酸化炭素、メタン等の温暖化ガスの排出制御と処理・利用技術、生物による炭素固定技術及び炭素固定エンジニアリング技術、気候変動、生物多様性の保護、オゾン層の保護、残留性の有機汚染物の制御等の対策のための研究を行う。


4.農業


農業は国民経済の基礎である。我が国の自然資源の制約は常に厳しく、1人当たり耕地面積、水資源は世界の平均的水準より低い。食糧、綿等主要な農産物のニーズは増加しつつあり、農業の増産、農民の収益増加と農産物の競争力強化という課題が長期にわたって存在している。農業の構造は不合理で、産業化の発展水準と農産物の付加価値は低い。生態と環境の状況は依然として厳しく、農業の持続可能な発展を深刻に制約している。食品の安全、生態の安全問題は突出した問題である。我が国の基本的な国情及び直面する厳しい挑戦を考慮に入れ、科学技術の進歩を“3農”問題解決のための一つの根本的な措置とし、農業の科学技術レベルを強力に高めて、先進的な技術の適用性と普及を拡大し、資源の制約を突破し、持続的に農業の総合生産能力を向上し、近代的農業の構築を加速する。

◆発展構想:

(1)ハイテクにより従来の農業技術の向上を促進し、農業の総合生産能力を持続的に向上させる。バイオテクノロジーの応用研究を重点的に展開して、農業技術の統合化及び組み合わせを強化するとともに、主要な農作物の育種と高効率生産、牧畜・水産の育種と健康な飼養と疫病制御の重点技術を研究し、農業の多角経営と複合経営を発展させ、生産高の持続的増加を確保すると同時に、農産物の品質を高める。

(2)農業の産業チェーンを延長することにより、農業産業化レベルと農業の総合的効率性を全面的に向上させる。農産物の精密加工、生産後の損失減少とグリーン供給チェーンの産業化の重点となる技術、農産物加工の先進的な装置と安全な観測技術を重点的に開発して、健康食品を初めとする農産物加工業と近代的な流通業を発展させるとともに、農民の収入増加の余地を拡大する。

(3)農林業の生態に関する技術を総合開発することで、農林業の生態の安全を確保する。環境保護型の肥料、農薬の創製技術及び高精度の作業設備を重点的に開発し、農林業の余剰物の資源化の利用技術、及び農業環境の総合的改善技術を発展させ、農業に係る新興産業の発展を促進して、農林業の生態環境の質を高める。

(4)積極的に農業の工場化を発展させ、農業労働生産率を高める。重点的に農業の環境制御を研究して、高生産・高効率栽培等の施設農業に係る技術を開発し、近代的な多機能農業用機械を開発し、農業への情報技術の応用を加速する。

●優先的なテーマ

(17)種苗資源の発掘、保存及び創新並びに新品種に応じた育成技術
主要な農作物、林草、牧畜と水産の優れている優良品種の種苗資源の発掘と創製技術、種苗資源の分子評価技術、動植物の分子の育種技術と専門交雑育種の技術、大規模化の種子制作、繁殖と育成技術と種の総合加工技術を重点的に開発する。

(18)家畜・水産の健康な飼養及び疫病予防
安全で優良品質の高効率の飼料と大規模化する健康な飼養技術と施設を重点的に開発・研究して、高効率の特異性ワクチン、高効率の安全型獣薬及び機械を研究し、動物の疫病と動物に由来する人畜共通流行病学の警報及び監視、検疫・診断、免疫及び予防・治療、区域の浄化と根絶技術を開発し、近海の砂浜、浅海の水域養殖と淡水養殖の技術を開発し、遠洋漁業と海上貯蔵加工技術を発展させる。

(19)農産物の高度加工及び近代的な貯蔵及び運輸
主要な農産物、農林業の特産物資源を対象とする生態型の加工技術と設備を重点的に研究し、食糧と食用油の産後損失減少と環境調和型の貯蔵と運輸の技術と施設、生鮮農産物の鮮度保持及び物流配送、低温貯蔵運輸システム技術を開発する。

(20)農林業バイオマスの総合開発利用
高効率、低コスト、大規模な農林バイオマスの育成、収集及び転換に必要となる重要技術を重点的に研究し、メタンガス、固体・液体燃料等のバイオマスエネルギー及びバイオマスを基にする新材料と化工製品等の生産に必要となる重要技術、農村ごみと汚水の資源化利用技術、自主的な知的所有権を持つメタンガス発電所施設、バイオマスを基にする新材料の設備等を開発する。

(21)農林業の生態安全及び近代的な林業
農林の生態システムの構築技術、林草の生態システムの総合制御技術、森林と草原の火災、農林業の病虫害、特に外来の生物侵入等生態災害と気象災害に対する監視と予防・対策技術、生態型林業の経済的・持続可能な経営技術、人工的な草地の高効率育成技術と優良品質の牧草の生産技術、環境保護型の竹・木を基とした複合材料の技術を重点的に開発する。

(22)環境保護型の肥料、農薬の開発及び生態農業
環境保護型の肥料、農薬開発に必要となる重要技術を重点的に研究開発する。専用複合型の緩効肥料及び施肥技術、関連設備、更に総合的、高効率、持続的、安全な有害生物への総合予防・対策技術を開発し、有害生物の早期警報と検査・測定技術及び外来の有害生物への侵入対策を検討する。土壌の肥沃度を向上させ、土壌汚染、水土流失の減少、牧草地帯の機能回復を主とする生態農業技術を開発する。

(23)多機能の農業設備及び施設
我が国の農業の特徴に最適な多機能作業が可能な設備、経済型農林業の動力機械、自動化機械と健康な飼養設備、保護性の耕作機械と技術、温室施設及び組み合わせ技術装置を重点的に研究開発する。

(24)農作業の精度向上及び情報化
動植物の生長と生態環境情報のデジタル採集技術、リアルタイムな土壌・水肥・光熱の測定技術、正確作業と管理技術システム、農村の長距離デジタル化、可視化の情報サービス技術と設備、農林業の生態システムの観測及び仮想農業技術を重点的に開発する。

(25)近代的な乳業
優良品質の雄牛育成及び乳牛の胚胎の産業化のための快速繁殖技術、乳牛の専用飼料、牧草の栽培と高効率利用、疾病予防及び大規模飼養の管理技術、乳製品の高度加工技術・設備を重点的に開発する。


5.製造業

製造業は国民経済の主要な支柱である。我が国は、世界でも製造大国であるが、製造の強国ではない。製造技術の基礎は脆弱で、創新能力は高くない。製品は低級品を主としている。製造工程における資源、エネルギー浪費が大きく、環境汚染が深刻である。
◆発展構想:(1)装置の設計、製造、統合能力を高める。企業による技術創新を突破口として、技術上の難度の高い課題を克服し、高度なデジタル制御機械、工作機械、重大ユニット技術装置及び重要材料と重要部品の自前の製造・設計を基本的に実現する。(2)積極的に製造のグリーン化という理念を発展させる。材料と製品開発設計、製造加工、販売サービス、回収利用等の関連技術の製品のライフサイクル全般への応用を加速して、高効率、省エネ、環境保護と循環可能な新型の製造技術を形成する。製造業の資源消耗及び環境負荷のレベルを国際的トップ水準とする。(3)ハイテクにより製造業の改造、高度化を図る。製造業の情報化を強力に進めて、基礎となる原材料を積極的に開発して、製品のグレード、技術的価値、付加価値を大幅に向上させて、全面的に製造業の技術レベルを向上させる。

●優先的なテーマ
(26)基礎部品及び共通部品
重要設備に必要な重要な基礎部品件及び共通部品の設計、製造、量産に必要な技術を重点的に開発する。大型・特殊部品の成型及び加工技術、共通部品の設計製造技術及び高精度検査器具を開発する。
(27)デジタル化及びインテリジェント化による設計製造
デジタル設計製造技術を重点的に開発する。いくつかの業種の製品のデジタル化とインテリジェント化のための設計プラットフォームを構築する。製品のトータルライフサイクル管理、ネットワーク環境下でのデジタル化、インテリジェント化に向けたの創新的な設計方法・技術、CAEによる設計技術及び設計・製造・管理の統合化技術を開発する。
(28)工業プロセスのグリーン化、自動化及び設備
製造プロセスのグリーン化技術、資源を高効率・クリーン・徹底的利用する加工、プロセス及び設備、対応するプロセス拡大技術、 生態工業概念のシステムインテグレーションと自動化の技術、工業プロセスに必要なセンサー、インテリジェント検知制御技術、設備及び制御システムを重点的に開発する。大型の分留炉技術、大規模の水蒸気分解によるエチレン生産技術及び関連設備、大規模な化学肥料生産の省エネプロセス及び設備を開発する。
(29)循環可能な鋼鉄プロセス技術及び設備
溶融還元と資源の最適化利用を基礎として、製品の製造、エネルギー転換と廃棄物の再利用の三大機能を一体化した新世代の循環可能な鋼鉄プロセスを重点的に開発し、循環式経済の典型的なモデルとする。2次資源リサイクルの技術を開発して、冶金工程におけるガス発電と低熱量水蒸気のカスケード利用技術、高効率・低コストのクリーンな鉄鋼生産技術、非粘石炭コークス製造技術、大型板材の連続鋳造機及び連続圧延機の統合的な設計、製造及びカップリングの技術等を開発する。
(30)大規模の海洋工事技術及び設備
(31)基礎原材料
国民経済の基礎産業の発展ニーズを満足する高性能の複合材料と大型、超大型の複合構造を持つ部品の製造技術、高性能のエンジニアリングプラスチック、軽量で優れた強度がある金属と無機非金属構造材料、高純度材料、希土類材料、石油化学工業、ファインケミカルと触媒、分離材料、軽工業と紡織工業の材料と応用技術、環境保護と健康な機能を持つグリーン材料を重点的に開発する。
(32)新世代の情報機能材料及びデバイス
(33)軍需産業に関連する重要材料及びエンジニアリング

6.交通運輸業

交通運輸は国民経済の最も重要なものである。当面、我が国の主要な運輸の設備・重要技術のレベルと世界的先進レベルとの間には、大きな開きが存在する。運輸の供給能力は不足している。総合交通体系の建設が立ち遅れ、各種の交通手段の間に、総合的な協調が不足している。交通におけるエネルギー消費と環境汚染問題が深刻である。全面的小康社会を建設するには、交通運輸に期待されるところは大きく、交通科学技術には重大な戦略的ニーズがある。
◆発展構想:(1)飛行機、自動車、船舶、軌道交通設備等の自主創新能力を高める。(2)順調で、利便性の高い人間的な交通運輸サービスを重視することとし、統合的な計画手配の能力を強化し、交通システムの情報化とインテリジェント化の技術を開発するとともに、安全かつ高速な交通運輸の技術により、運営能力及び運輸効率を向上させ、交通情報の共有化と各種の交通方式間を有効に結合することにより、交通の管理・運営の技術レベルを向上させて、交通運輸を総合的に発展させる。(3)交通運輸における省エネ、環境保護、一層の安全確保の発展を促進する。交通運輸の安全の確保、資源の節約化と環境保護等の方面における重要技術の大きな進展を得て、広く普及する。(4)国家の重大な交通インフラ建設をめぐって、建設と補修に関する重要な技術を開発し、建設の品質を高める同時に、タイフタイムコストを下げる。
●優先的なテーマ
(34)交通運輸のインフラ建設・保守技術及び設備
軌道交通、海湾をまたがる通路、オフショアの深水港、大規模の空港、大規模の橋梁とトンネル、総合立体交通中枢、深海の石油天然ガスのパイプライン等高難度の交通運輸のインフラ建設及び保守技術と設備を重点的に開発する。
(35)高速軌道交通システム
高速の軌道交通の制御と調整システム、車両の製造、線路建設とシステムインテグレーション等の重要技術を重点的に開発し、システムのパッケージ技術を構築する。モデルプロジェクトを実施し、運営・制御技術、線路建設技術とシステムインテグレーション技術を把握する。
(36)低燃費、新エネルギーの自動車
ハイブリッド自動車、代替燃料自動車と燃料電池の車体設計、統合、製造技術、動力システムの統合と制御技術、自動車の計算プラットフォーム技術、高効率かつ低公害の内燃機関、燃料電池発電機、動力バッテリー、モーター等の重要な部品技術、新エネルギー自動車テストとインフラ技術等を重点的に開発する。
(37)高効率の運輸技術と設備
重積載物に対応可能な列車、大馬力の機関車、特殊大型の車両、都市軌道交通、大規模のハイテク船舶、大規模の遠洋漁業船舶と海洋科学研究用の船等、並びに低空・多用途の民生用の飛行機、高粘性原油及び多相流のパイプライン輸送システム等の新型の運搬技術を重点的に開発する。
(38)ITS
交通運輸の総合情報プラットフォームと情報の共有のための技術、近代的な物流技術、都市の交通管理システム、自動車のインテリジェント化技術と次世代の空中交通管理システムを重点的に開発する。
(39)交通運輸の安全及び応急対策
交通事故の早期警報、応急処理技術、輸送手段の能動・受動安全技術、交通運輸の事故再生技術、交通の応急反応システムと迅速な救援技術等を重点的に開発する。

7.情報産業と近代的なサービス業

情報産業と近代的なサービス業の発展は、新型の工業化を進める上での重要課題である。国民経済社会の情報化、近代的なサービス業の迅速な発展に伴い、情報技術の発展に対し、期待されるところは一層の大きくなっている。
◆発展構想:(1)情報産業の発展を制約してきた重要技術のブレークスルーを達成し、ICと重要な部品、大規模のソフトウェア、高性能コンピュータ、ブロードバンド無線通信による移動通信、次世代のネットワーク等の重要技術を掌握することにより、自主創新能力と全体の技術レベルを向上させる。(2)情報技術製品に関する創新を強化し、設計製造の水準を向上させ、情報産業技術製品の拡張性、使い易さ、低コスト化等の問題を解決し、新技術と新ビジネスを育成し、情報産業の競争力を高める。(3)ニーズを先導役として、全体の創新を重視し強化して、近代的なサービス業の発展を支える技術と重要な製品を開発し、在来の産業の改造と技術の向上を促進する。(4)高い信頼性を持つネットワークを重点に置き、ネットワーク情報のセキュリティー技術及び関連製品を開発して、情報セキュリティーの技術的な確保体制を構築し、各種の情報に関する突発事件への対応力を備える。
●優先的なテーマ
(40)近代的なサービス業の情報支援技術及び大規模のアプリケーションソフト
金融、物流、オンライン教育、マスコミ、医療、旅行、電子政府と電子商取引等の近代的なサービス業の発展に必要な高い信頼性を持つネットワーク・ソフトウェア・プラットフォームと大規模の応用支援ソフトウェア、ミドルウエア、組み込み式ソフトウェア、ネットワーク計算プラットフォームとインフラ、ソフトウェア・システムインテグレーション等の重要な技術を重点的に開発し、トータルソリューションを提供する。
(41)次世代ネットワークの重要技術及びサービス
高性能の重要ネットワーク設備及び伝送設備、接続設備、拡張性を持つセキュリティー技術、モバイル技術、サービスの質、運営管理等に関する重要な技術を重点的に研究開発し、信頼性の高いネットワーク管理体系を作り上げて、知能化端末と家庭ネットワーク等の設備とシステムを開発して、マルチメディア、ネットワークコンピュータ等のブロードバンド、安全、汎在の多種類の新ビジネスや応用を支援する。
(42)高効率で信頼性の高いコンピュータ
先進的な概念を持つ計算方法と理論を重点的に開発し、新しい概念を基礎にして1秒で千兆回の浮動小数計算能力を持つ高効率・高信頼性のスーパーコンピュータシステム、新世代のサーバーシステムを開発し、新しい体系構造、大容量メモリー技術、システム間違い許容等の重要な技術を開発する。
(43)センサーネットワーク及びインテリジェント情報処理
多種で新型のセンサーと先進的なバーコード識別、無線ICタグ(RFID)、多種のセンサー情報を基にするインテリジェント情報処理技術を開発して、低コストのセンサーネットワークとリアルタイム情報処理システムを発展させ、より便利で高機能の情報サービスのプラットフォームと環境を提供する。
(44)デジタルメディア・プラットフォーム
文化・娯楽の消費市場とラジオ・テレビの事業に向け、開発を進める。オーディオ、ビデオ情報サービスを主体とするデジタルメディアコンテンツの処理技術、交換しやすく、著作権保護機能が搭載し、管理における利便性が高い近代的なマスコミ情報の総合内容プラットフォームを開発する。
(45)高解像度の大スクリーン薄型ディスプレイ
高い解析度の大ディスプレイ製品を重点的に開発し、有機ELデスプレイ、プラズマデスプレイ等の各種の薄型ディスプレイ技術を開発し、薄型ディスプレイ用の材料とデバイスの産業チェーンを構築する。
(46)重要システム向けの情報安全
国家の基礎情報ネットワークと重要情報システムの中の安全保障技術を重点的に開発し、複雑で大規模のシステムにおけるネットワークの生存、自発的なリアルタイムで防護、セキュリティーなメモリー、ウィルス防止、悪意攻撃の防止、ネットワークの信用体系と新しいパスワード技術等を開発する。

8.人口と健康

低出産水準に安定化し、生まれる人間の素質を高めて、効果的に重大な疾病を予防・治療することは、調和がとれている社会を建設するには必然的な要求である。人口の数量を制御して、人口の素質と国民全体の健康レベルを高めるために、科学技術による支援が切実に期待されている。
◆発展構想:(1)人口の誕生数量を制御して、新生児の素質を高める。出産の観測、生殖健康等の重要な技術を重点的に発展させて、一連の生殖医薬、器械と保健製品を開発することにより、人口の数量を15億人以内に、出生欠陥率を3%以内に制御させるために、有効な科学技術による保証を提供する。(2)疾病の予防と治療の重点を前に移して、予防を主とし、健康と病気の予防・治療との結合という方針を堅持する。予防と初期診断技術を研究して、重大な疾病の診断と予防治療能力を著しく高める。(3)漢方医薬の継承と創新を強化して、漢方医薬の現代化と国際化を進める。漢方医薬の理論の伝承と発展を基礎にして、新技術の開発と多くの学術分野の融合を通して、漢方医薬の理論を充実、発展させて、漢方医薬の特徴に適合する技術方法と標準体系を確立し、臨床の治療効果を高めて、中医薬産業の健全な発展を促進する。(4)重要な新薬と先進的な医療設備を開発する。新薬、大規模の医療機器、医用材料と薬調合システムにおける重要技術を開発し、国の医薬の創新のプラットフォームの構築速度を加速し、重要な新薬と医療機器の自主創新を進める。
●優先的なテーマ:
(47)安全避妊・産児制限及び出生欠陥予防・治療
安全、効果的な避妊・産児制限の新技術と製品及び予防性と治療性を両立する避妊の新技術を重点的に研究開発し、誕生欠陥を高効率かつ早期に検出し、診断する技術、遺伝疾病の生物治療技術等を開発する。
(48)心・脳血管病、腫瘍等重大な非伝染疾病の予防及び治療
心・脳血管病、腫瘍等の重大な疾病の早期警報と診断、疾病の危険な要素の早期関与等の重要技術を重点的に研究開発し、治療に関する重要技術・解決方案の規範化、個性化、総合化を研究する。
(49)都市と農村でよくある多発病の予防・治療
よくある多発病に対する監視・制御、予防、診療と回復の技術、小型式の医療と移動式医療サービス設備、長距離診療と技術サービスシステムを重点的に開発する。
(50)漢方医薬の伝承及び創新・発展
漢方医の基礎理論の創新と漢方医の経験の伝承と検討を重点的に展開する。漢方医薬の診療、評価技術と標準を研究して、近代的な漢方薬の開発技術と生産技術を発展して、効果的、合理的に漢方薬資源を利用して、漢方医薬の知的所有権の保護研究と国際協力プラットフォームの構築を強化する。
(51)先進的な医療設備及び生物医用材料
新型の治療と通常の診療設備、デジタル化の医療技術、個体化の医療プロセス技術・設備、ナノ生物医薬品の釈放システム及びティッシュエンジニアリング等の技術、人体組織器官の代用品等の新型の生物医用材料を重点的に開発する。

9.都市化及び都市発展

我が国は既に都市化が急速に進展する時期に入った。都市化と都市が歩調を合わせて発展することを実現するために、科学技術に期待されるところは大きい。
◆発展構想:(1)都市についての科学的な都市計画を重点にして、都市と農村の合理的な配置と科学的な発展を促進する。近代的な都市計画の重要な技術と動態の観測・制御技術を発展させることで、都市の発展計画と地域の経済計画との有機的に結合し、地域における資源・環境に関する受容力との調和を実現する。(2)省エネ、節水を主要手段として、資源節約型の都市を目標に発展を図る。都市の総合省エネと新エネルギーの合理的な開発利用技術を解決し、資源節約型、高耐久性のグリーン建築材料を開発して、都市の資源・エネルギーの利用効率を高める。(3)情報技術の応用度合いを拡大して、都市の総合管理水準を高める。都市のデジタルによる一体化管理技術を開発して、都市の高効率、多機能、一体化が実現できる総合管理技術体系を構築する。(4)都市生態、人間居住環境及び建築のグリーン化の発展を図る。都市の汚水、ごみ等の廃棄物に対する無害化処理と再資源化技術の発展を図るとともに、都市の居住区と室内環境の改善技術を開発することにより、都市の人間居住環境の質を著しい向上を図る。
●優先的なテーマ
(52)都市計画及び動態的な観測
各地域における都市の空間配置計画とシステム設計技術、都市の地区インフラと公共サービス施設の企画・設計、一体化配置技術と共有技術、都市の地区計画と人口、資源、環境、経済発展とを相互に連動させ、動態的な観測技術とシミュレーション予測技術等を重点的に開発する。
(53)都市機能の向上及び空間の節約利用
都市総合交通、都市公共交通の自動化管理、都市インフラ、災害の防止・減少等の総合機能を向上させる技術、都市の「ヒートアイランド」現象の防止のための規制と人工制御技術、土地の調査・測量及び資源節約の利用技術、都市発展と空間形態の変化のシミュレーション予測技術、都市の地下空間の開発利用技術等の重点的な発展を図る。
(54)建物の省エネ及び建築のグリーン化
建築のグリーン化のための設計技術、省エネ技術・設備、再生利用可能エネルギーの装置と建築一体化のための応用技術、精致な建築と建築のグリーン化のための施工技術・設備、省エネ型建築材料とグリーン建築材料、建物の省エネに係る技術標準を重点的に研究開発する。
(55)都市の生態居住環境条件の確保
室内汚染物質の検出と浄化技術を重点的に研究開発し、都市の生態環境の制御・調整技術、都市ごみの再資源化・利用技術、都市の水循環の利用技術・設備、都市群の汚染防止・制御技術、居住区からの環境汚染物質の排出を極小化する技術、生態居住区のインテリジェント化管理技術の発展を図る。
(56)都市の情報プラットフォーム
都市のネットワーク化に係る基礎情報の共有技術、都市の基礎データ獲得と更新技術、都市の多元データの整合技術、都市の多次元モデルの設定とシミュレーション予測技術、都市の動態的な観測・運用に関わる重要技術、都市ネットワークの情報共有のための標準、都市の緊急対策と関連するサービスの重要技術を重点的に研究開発する。

10.公共の安全

公共の安全は安全国家と安定な社会の基礎となる。我が国は、公共安全面において、厳しい試練に直面し、科学技術面においての戦略的な対応が求められている。
◆発展構想:(1)非常事態に速やかに対応・対処できるための技術的なサポートを強化する。情報化・知能化技術の利用を中心とし、多機能的、一体化した緊急安全確保技術を発展させ、科学的な予測、有効な予防、効率的な緊急対応のできる安全確保技術システムを目指す。(2)早期発見と未然防止の能力を高める。特に、炭鉱等の現場事故、社会安全の非常事態、自然災害また核の安全とバイオセーフティ等の監視・事前感知警報・予防面の技術研究に力を入れる。(3)非常事態における対処・救助等の全面的な対応能力を高める。特に、炭鉱事故、火災、突発的な自然災害、有害化学物の漏洩、多発食品中毒等への対処・救助面の技術研究に力を入れる。(4)安全設備の近代化を進める。作業現場の安全、食品安全、バイオセーフティ及び社会治安等の確保に必要な設備と予防・保護用製品を開発し、関係産業の発展を促進する。
●優先的なテーマ
(57)国家公共安全のための緊急情報プラットフォーム
危険源の特定・監視、正確な位置測定と情報獲得、また動的情報の多角的な分析・処理、最適対策の決定方法、公共安全に係る緊急時の対策を決定し指揮を国家により一体的に行うためのプラットフォーム等の技術研究に重きを置き、公共の安全に関する早期探知・迅速な警報と効率的な対処の一体化した緊急対応の緊急対策の決定・指揮のためのプラットフォームを構築する。
(58)重大な労働災害の早期警報及び救援
鉱山現場のガス・水等の漏れによる事故に対する事前警報と予防・制御の技術研究、また、火災、爆発、有害物質の漏洩等による工業現場事故への予防策・救助技術の研究と関連設備の開発を行う。
(59)食品安全及び出入国の検疫
食品安全と出入国検査検疫のリスク評価、汚染の原因究明、安全基準の制定、有効的な監視・検査等の重要技術の研究、また、食品汚染予防のインテリジェント化技術及び検査検疫の高処理化の安全監視技術の研究を行う。
(60)非常事態に対する予防及び迅速対処
バイオメトリクス認証、物的証拠による原因究明、早期特定、実証技術及びシミュレーション予測技術、位置検知、リアルタイム・モニタリング、非接触での検出、早期対処技術・設備、高層ビルと地下建物の消防技術・設備、爆発物・麻薬等携帯禁止品又は安全を脅かす可能性のある核・生物・化学物質に対する遠隔探査技術・設備、事後の現場処置技術・設備等の研究を行う。
(61)バイオセーフティー
迅速かつ敏感な特別モニター・探索技術、有害化学物質の人体内での代謝の検査技術、高効率の消毒剤及び消毒技術、有害物質からの保護技術、伝播媒介物の確認とその対応技術の研究、また、生物学的侵入についての防止保護技術、突発的な衛生事態においてのワクチン及び免疫強化剤(免疫アジュバント)、抗毒素及び医薬品等の研究開発を行う。
(62)重大な自然災害の監視及び予防
地震、台風、暴雨、洪水、地質災害等への監視・事前警報・緊急対応の技術、また、森林火災、堤防決壊等の事故災害への監視・事前警報技術及び重大自然災害の総合的なリスク評価技術を研究する。

11.国防


四.重大特定プロジェクト


これまで、「両弾一星」、有人宇宙飛行、ハイブリッド米(交雑水稲)等を代表とする重要プロジェクトが我が国の総合的な国力向上に貢献してきた。米国、欧州、日本、韓国等も、国家競争力の向上のために、重大特定プロジェクトを国家目標として実施している。
本綱要は、重要分野における優先課題を決めると同時に、国の目標に向け、特に重点を置いて、重要な戦略的製品、重要基盤技術又は重要エンジニアリングについて、重大特定プロジェクトとして実施する。全国的な協力ができるという社会主義制度の強みと市場メカニズムの役割を十分に発揮し、ブレークスルーを成し遂げ、科学技術の発展を生産力の飛躍的発展の牽引力とし、国家戦略の空白を埋めることを目指す。重大特定プロジェクトの選定基準:一、経済社会の発展の必要に応えるとともに、重要技術の自主知財権の形成につながり、企業の自主創新能力の向上の推進力となる戦略的な産業であること。二、産業競争力の全体的な向上に強く影響する重要基盤技術であること。三、経済社会発展の重大なボトルネックを解決する課題であること。四、軍民結合、軍民転換を実現し、国家安全保障と総合国力の向上にとって重大な戦略的意義を有する。五、我が国の国情に適合し、国力に見合ったものであること。以上の原則に基づき、ハイテク産業の成長、伝統産業の向上、国民経済発展のネックとなる課題、国民の健康レベルの向上及び国家安全保障等の各分野を対象に、重大特定プロジェクトを選定した。実施に当たっては、国家の発展上のニーズと実施環境の成熟度を勘案しつつ、一つ一つ論証を行う。また、国の戦略的なニーズと発展状況の変化に応じ、プロジェクトの進捗を臨機応変に調整し、段階的に進める。戦略的製品を対象となるプロジェクトは、研究開発と資本投入において企業が主体的役割を十分に発揮するようにし、重要設備の研究開発を企業の技術創新の契機とし、科学技術資源の配分に当たって市場メカニズムを有効に利用し、国家資金は主に重要技術の開発に用いることとする。
重大特定プロジェクトは、国家目標を実現し、重要技術のブレークスルーと資源の集中を達成し、一定期間期間内に重要戦略的製品、重要基盤技術、重要エンジニアリングを完成させるものであり、我が国の科学技術発展にとって、重要課題中の最重要なものである。本「綱要」では、情報、バイオテクノロジー等の戦略的産業分野、エネルギー資源・環境及び国民衛生等の緊急課題、軍民両用技術及び国防技術等他分野にわたる次の16項目を重大特定プロジェクトとして選定する。①重要電子部品、②ハイエンド汎用チップ及び基礎ソフトウェア、③超大規模集積回路製造技術、④次世代ブロードバンド・モバイル通信、⑤ハイグレードNC工作機械及び基盤製造技術、⑥大型油田、ガス田及び炭層ガスの開発、⑦大型先進加圧水型炉及び高温ガス冷却炉原子力発電所、⑧水系汚染の抑制と管理、⑨遺伝子組換え生物新品種の育成、⑩重要新薬の開発、⑪エイズやウイルス性肝炎等の伝染病の予防・治療、⑫大型航空機、⑬高解像度地球観測システム、⑭有人宇宙飛行及び月面探査事業、等。


五、先端技術


先端技術とは、ハイテク分野において先見性、先導性、探求性を有する重要技術を指し、次世代のハイテク及び新興産業の発展の重要な基礎となり、国のハイテク創新能力を総合的に体現するものである。先端技術の選定基準:一、世界的に最も進んだハイテクの前進方向と一致するもの。二、我が国の今後の新興産業の成長の牽引力となるもの。三、産業技術の更新にプラスに働くもの。四、人材が揃い、研究開発の基礎条件が整えているものである。この基準に基づき、早期に進んだ先端技術への取組みを初め、将来の発展における科学技術の指導的な役割を発揮し、我が国のハイテク研究能力と産業の国際競争力を高める。


1.バイオテクノロジー

バイオテクノロジーと生命科学はやがて21世紀の科学技術革命の牽引役となり、ゲノム学(Genomics)とプロテオミクス( Proteomics)の研究が、バイオテクノロジーの系統的な研究を促進している。ゲノム配列解析と遺伝子構造解析は、既に機能ゲノムの研究と機能遺伝子の発見・利用の段階に達している。医薬品や動植物品種の分子の指向性設計と構築は既に種質と医薬品研究の中心的な方向となっている。バイオ・チップや幹細胞とティッシュエンジニアリング等の先端技術の研究とその利用は診断・治療又は再生医学の飛躍的な進歩をもたらすに違いない。我が国も、機能ゲノムやプロテオーム、幹細胞、治療クローニング、ティッシュエンジニアリング、また、生体触媒及び生体反応技術等の面において、成果をあげなければならない。

★先端技術

(1)標的分子の発見・同定技術
標的分子の発見・同定は新規医薬品の開発や生物学的診断・治療技術に大いに関連している。特に、生理と病理のプロセスにおいて、中心的遺伝子の機能と遺伝子制御ネットワークの解明、疾病に関係する遺伝子機能の解明、遺伝子発現制御、標的分子の絞込み及び実証技術、また、「遺伝子から医薬品へ」の新しい医薬品の開発・生産技術等の研究を行う。

(2)動植物品種及び医薬品の分子設計技術
動植物品種と医薬品の分子設計は、生体巨大分子の三次元構造に基づく分子接合、分子シミュレーション及び分子設計技術のことである。特に、蛋白質と細胞の動的プロセスの生物情報分析・統合・シミュレーション技術、動植物品種と医薬品の仮想設計技術、動植物品種の発育と医薬品の代謝工程のシミュレーション技術、コンピュータによる化合物データベース設計・合成・スクリーニング等の技術を研究する。

(3)遺伝子操作及び蛋白質工学技術
遺伝子操作技術は遺伝子資源を使用する際の中心技術であり、蛋白質工学は遺伝子産物を効率的に利用するための重要ルートである。特に、遺伝子の効果的な発見とその制御技術、染色体の構造と統合技術、遺伝子蛋白質コードの人工設計と改造技術、蛋白質のペプチド結合の修正及び構造変更技術、蛋白質構造解析技術、蛋白質の量的な分離・精製技術を重点的に研究する。

(4)幹細胞を基礎とするヒト・ティッシュエンジニアリング技術
幹細胞技術は、人体外で幹細胞を培養し、指向性分化させ、臨床治療のために組織細胞を提供したり、人体外で人間の器官を作り、再生治療に使ったりする技術である。特に、治療クローニング技術、幹細胞の人体外での増殖と分化技術、人体外のヒト組織の再生と大量培養技術、ヒトの多細胞組織の再生と一部修復技術及び生物再生技術を研究する。

(5)次世代の工業バイオテクノロジー
生体触媒と生体反応は次*世代の工業バイオテクノロジーの主たる内容である。特に、機能性細菌の大量選別技術、生体触媒の指向性進化技術、生体触媒の工業量産への応用技術、環境触媒浄化剤の開発・製造技術及びその工業生産の工程技術を研究する。


2.情報技術

情報技術は、引続き高パフォーマンス・低コスト、普及力のあるコンピューティングと知能化等の方向を辿っている。今後の情報技術分野においては、新たな計算・処理の方式とその具体的実現が課題となるだろう。ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、又は認知科学等の各分野間の交流により、生物特性に基づき、画像と自然言語への理解を基礎とする「人間中心」の情報技術が更に発展し、各分野における創新が更に促進されると思われる。特に、低コストの自己組織ネットワークや個性的な知能ロボット、人間とコンピュータの相互作用(HCI)、柔軟性が高く不正侵入防止機能の強いデータネットワークと先進的な情報セキュリティーシステムを研究する。

★先端技術

(6)インテリジェント・センシング技術
特に、生物学的特徴に基づき、自然言語と動的画像への理解を基礎とする「人間中心」の情報の知能的処理と制御技術、中国語情報処理、また、バイオメトリクス認証と高度道路交通システム(ITS)等の関係分野の系統的な技術を研究する。
(7)自己組織ネットワーク技術
特に、MANET、Self-organized Computing Network、SAN(Storage Area Network)、無線センサーネットワーク等の技術研究、低コストの情報のリアルタイム処理システム、多数の探査情報の融合技術、個性的な人間とコンピュータの相互作用(HCI)技術、また、柔軟性が高く不正侵入防止機能の強いデータネットと先進的な情報セキュリティーシステム、自己組織知能システムと個人的知能システムの研究を行う。
(8)バーチャルリアリティー技術
特に、電子学、心理学、制御学、コンピュータグラフィックス学、データベース設計、リアルタイム分布システムとマルチメディア技術等の多分野融合の技術の研究、また、医学、娯楽、芸術と教育、軍事及び工業生産管理等の数多くの関連分野のVR技術とシステムの研究を行う。


3.新材料技術

新素材技術は、材料の構造・機能の複合化、機能材料の知能化、材料と部品との集積化、調製と使用過程のエコ化等を実現していくだろう。特に、近代的な材料の設計・評価・特徴表現と先端てきな調製・加工等の技術をブレークスルーし、ナノテクノロジーの研究を基礎に、ナノ素材と素子を研究し、超導体素材や知能素材またエネルギー材料等特別な機能の持つ材料を開発し、スーパー構造材、新世代光電子装置用材料等の新素材を開発する。

★先端技術

(9)インテリジェント材料・構造の技術
知能化素材・構造とは、センサー・制御・駆動(実行)等の機能を一体にした知能化構造システムである。特に、知能化素材の調製・加工技術、知能化構造の設計と調製の技術、中心設備の制御と寿命制御の技術等を研究する。
(10)高温超伝導技術
特に、高温超伝導材料とその調製技術、超伝導ケーブル、超伝導電機、超伝導電力部品等の研究、また、超伝導生物医学部品、高温超伝導フィルタ、高温超伝導非破壊検査装置と走査型磁気力顕微鏡等高感度センサーの研究を行う。
(11)高効率エネンルギ材料技術
特に太陽電池関係の材料とその中心技術、燃焼電池の中心素材の技術、大容量の水素貯蔵材料の技術、高効率な二次電池用材料とその中心技術、スーパーコンデンサーの要となる重要な材料と調製の技術、高効率なエネンルギ転換・エネルギー貯蔵材料等の研究を行う。

4.先進製造技術

先端製造技術は、いよいよ情報化・極限化・エコ化という方向に行き、将来的に製造業の維持とその持続可能の発展の基礎となるだろう。特に、極限製造(Extreme manufacturing)、システムの集積と協同の技術、知能化生産と応用技術、ユニット設備とシステムの設計検証技術、信憑性の高い大型で複雑なシステムと設備を基盤としたシステム設計技術の研究に取り組む。
 
★先端技術

(12)極限製造技術
極限製造とは、極限の条件や環境の下に、極限の寸法(極めて大きな、または極めて小さい寸法)や超高機能な部品またはファンクションシステムを構築することを指す。特に、マイクロ電子機械システム(MEMS)、マイクロ・ナノ加工、超精密加工、スーパーシステムの実現と強磁場での加工関係の設計や製造工程と検査技術を研究する。
(13)知的サービスロボット
知的サービスロボットは、非構造環境において、人間に必要なサービスを行う多数の先端技術の集積から出来た知能化設備である。特に、サービスロボットと極限作業ロボットの実用ニーズを中心に、設計方法や製造工程、知能制御、アプリケーションシステム集積等の基盤技術を研究する。
(14)重大な製品及び重大な施設の寿命予測技術
重要製品と重要設備の寿命予測技術は稼動の信頼性・安全性・管理性を高める中心的技術である。特に、部品素材の成分設計や成型加工の予測制御と最適化技術を研究し、成型製造プロセスのモデリングとシミュレーション予測技術、製造プロセスにおいての現場検査・評価技術、部品寿命予測技術、重要製品や複雑システムと重要設備の信頼性・安全性・寿命予測技術を研究する。

5.先進エネルギー技術

エネルギーの将来的な課題は経済的・効率的・クリーンな利用と新エネルギーの開発にある。第四代原子エネルギーシステム、核燃料サイクルと核融合エネルギー等の技術の開発がますます注目され;多ルート入手可能の理想的なエネルギーキャリアーとして、水素はエネルギーのクリーン利用に新たな変革をもたらし、クリーンで弾力性が強いといった特徴を持つ燃料電池動力と分散型エネルギーシステムは最終エネルギー利用の新たな方式となるだろう。特に、水素エネルギーの量的利用と分散型エネルギーシステム、原子エネルギーと核燃料サイクル技術を研究し、二酸化炭素の排出がゼロに近い効率的・クリーンな化石燃料の開発利用技術、低コスト・高効率の再生可能エネルギーの技術を開発する。

★先端技術

(15)水素エネルギー及び燃料電池技術
特に、コストパフォーマンスの高い化石燃料と再生可能エネルギーからの水素製造技術、経済的で高効率な水素の貯蔵と輸送技術、燃料電池の基盤となる触媒の調製及びスタック集積技術、燃料電池の発電及び自動車の動力システム集積技術、水素エネルギーと燃料電池の技術規則・基準を作成する。
(16)分散型エネルギー技術
分散型エネルギーシステムは最終利用者に弾力的で省エネ型の総合的なエネルギーのサービスを行う重要ルートである。特に化石燃料を基盤とするマイクロタービン及び新熱エネルギー・リサイクル等の最終的なエネルギー転換技術、エネルギー貯蔵技術、冷暖同時コージェネ(CCHP)技術、再生可能燃料と化石燃料の相互補完と中心とするマイクロタービンと燃料電池を融合した分散型エネルギーシステム。
(17)高速中性子炉の技術
高速中性子炉とは高速中性子による核分裂の連鎖反応を起こし、核増殖を実現する原子炉であり、ウラン資源の十分利用を確保し、原子力発電所からの長寿命放射性固体廃棄物を処分することもできる。高速中性子炉の設計とその重要技術、関係原子力燃料と構造材料の技術を研究し、ナトリウムのリサイクル等要となる技術をブレークスルーし、65MW高速中性子炉実験装置を構築、臨界と系統連系型発電を実現する。
(18)磁場閉じ込め式核融合
国際熱核融合実験炉の建設と研究を契機に特に、大型磁性超伝導体技術、マイクロ波の加熱と駆動技術、中性粒子入射加熱法、ブランケットの技術、トリチウムのリアルタイムの分離精製技術、ダイバータ技術、数値シミュレーション予測、プラズマの制御と診断技術、デモ炉に必要された重要材料の技術、また、超高温プラズマの物理学的研究とエネルギーを目標とする非トカマク方式の探索研究を行う。

6.海洋技術

機能・パラメーターの多様化と作業の長時間化を持ち合わせた総合的な海洋開発技術を重要視し、深海作業の総合的な技術力を高めて行く。特に、天然ガスハイドレートの探査・開発技術や海洋鉱物資源の海底採取と輸送技術、現場での効率的な抽出技術、海洋工学の技術の研究に取り組む。
★先端技術
(19)海洋環境の立体的な監測技術
統合的海洋観測の技術とは、空中・海岸・海面・水中等から同時に海洋環境を観測する技術である。特に、海洋リモートセンシング技術、アコースティックエミッション計測法、海洋観測ブイ、遠距離海洋レーダーシステムの研究を行い、海洋情報の処理・応用技術を発展させる。
(20)大洋海底パラメーターの高速測定技術
統合的な深海調査技術は地球物理学・地球化学・生物化学等多くの面から海底の各パラメーターを同時に測定し、情報のリアルタイム伝送を実現する技術である。特に、異常な環境においてのセンサー技術、センサー自動的識別技術、海底情報伝送技術等を研究する。
(21)天然ガスハイドレート開発技術
天然ガスハイドレートは深海または地下にある炭化水素である。特に天然ガスハイドレートの探査理論と開発技術、地球物理学的・地球化学的な天然ガスハイドレートの探査と評価技術、天然ガスハイドレートの掘削と安全的な採掘の技術をブレークスルーする。
(22)深海作業技術
深海作業技術は深海海底の作業と鉱産の採掘の基盤となる水中技術である。特に大深度海底の輸送技術,生命維持システム技術,高エネルギー動力装置の技術,信憑性の高いサンプリングと情報の遠距離伝送技術、深海作業の設備の製造技術と深海ステーションの技術を研究する。
7.レーザー技術
8.航空宇宙技術


六.基礎研究


基礎研究は、自然現象を分析し、自然の法則を解明し、新知識、新原理及び新方法を獲得するとともに、レベルの高い創新的な人材の育成を基本使命としており、ハイテクの発展の原動力であり、人材育成の土台であり、先進的な文化の基礎である。基礎研究は、国家目標への奉仕と自由探求の奨励とを同時に達成し、科学発展の規律を順守し、科学者の探求心を大切にし、科学の長期的な価値を明確にし、一貫した支援と早期の取り組みを行い、科学の新たな動向に応じて随時に調整することが必要である。本綱要は、学術分野の発展、科学の先端的な課題、国家の重大な戦略ニーズに対応した基礎研究、重大科学研究計画の4点について定める。


1.学術分野の発展

基礎研究は、積重ねが大事、未知のものを探求することが多く、進捗が予測しがたい。基礎的な学科については、全般的な配置を行い、学際的な融合と浸透を強調し、新しい学科を育成していく。長期的な積み重ねによって、基盤を固め、オリジナルな創造力を向上させ、多分野間の均衡的な発展を図る。

(1)基礎的な分野
基本理論と学科の建設を重要視し、数学・物理学・化学・天文学・地球科学・生物学等の基礎的な学科の全般的な発展を図る。

(2)多分野に関わる科目及び新興分野
基礎学科の間、基礎学科と応用学科、科学技術、自然科学と人文社会科学等の相互浸透・融合は、常に大きな科学発見と新興科学の誕生をもたらし、科学研究においても最も活発であるため、特別な注意と重点的な配置を与える必要がある。

2.科学の先端的課題

マイクロとギガとの統合、還元主義と全体主義との統一、多分野間の相互浸透、数学等基礎学科の他分野への浸透、先進的な技術と手段の利用等は科学発展最先端の主な特徴であり、科学面の大きなブレークスルーをもたらし、人類の世界に対する認識を絶えず深めている。我が国は以下の原則に基づいて、最先端の科学課題を選び、取り組んでいく:基礎科学の発展に促進的な役割を持つこと、基盤がしっかりしていること、我が国の強みと特色を現すことが出来ること、基礎科学分野においての我が国の国際的地位の向上に有利すること。

(1)生命プロセスの定量研究と系统整合
主な研究方向:遺伝子の発見と制御、機能ゲノム科学、バイオロジー、エピジェネティックとノンコーディングRNA、生命体の構造機能とその制御ネットワーク、生命体の再構築、生物情報学、計算生物学、系統生物学、極限の環境においての生物学的特徴、生命の起源と生物進化、系統進化と進化生物学等。
(2)凝縮系の物質及び新規効果
主な研究方向:強相関系とソフト凝縮系、量子学的なソフト凝縮系と新規効果、スーパー・オープンシステムと複雑なシステムの課題、ボース=アインシュタイン凝縮、超伝導メカニズム、極限の条件下の凝縮系の構造変化・電子的構造と多数の励起プロセス等。
(3)物質の深次元構造と宇宙次元の物理的法則
主な研究方法:マイクロとギガ及び高エネルギー・高密度・超高圧・超強磁場等極限の状態下においての物質構造と物理的規則、すべての物理的規則を統一できる理論、粒子物理学の先端課題、ダークエネルギーとダークマターの本質、宇宙の起源と変化、ブラックホール及び各天体・各構造の形成と変化、地球環境や災害への太陽活動の影響及びその感知・警報等。
(4)コアとなる数学及び学際的な応用
主な研究方向:基礎数学の重要な課題、数学と他の学科との相互浸透及び科学研究と実際応用から出てきた新たな数学課題、例えば:離散・ランダム・量子及び非線形等の問題においての数学的理論・方法論等。
(5)地球システムのプロセス、資源、環境及び災害効果
主な研究方向:地球システムの各圏(大気圏、水圏、生物圏、地殻、マントル、地核)の間の相互影響、地球の深部ボーリング、地球システムにおいての物理的・化学的・生物的プロセス及びその資源・環境・災害への影響、鉱産形成理論、Ground-based、Sea Based、Space-Basedの地球観察・探測システム及び地球シミュレーションシステム、地球システムの科学理論等。
(6)新物質の創造・転化における化学プロセス
主な研究方向:新規特定構造の機能分子、凝縮系分子の機能システムの設計・制御可能な合成・調製と反応、環境に優しい新規化学的システムの構築、時空間スケールの異なった物質の形成と反応プロセス及び生物的プロセスと生態環境等の複雑なシステムにおいての、化学的本質、性能と構造との関係及び反応規則等。
(7)脳科学及び認知科学
主な研究方向:脳の働きにおける細胞・分子のメカニズム、重大な脳疾病の発生・変化においてのメカニズム、脳の発育・可塑性と人類の知力との関係、学習においての記憶・思考等の高級な認知機能のプロセスとその神経的基盤、脳の情報処理機能の発見、脳と同様な情報処理システム、人間の脳とコンピュータとのコミュニケーション等。
(8)科学実験及び観測方法、技術及び設備の創新
主な研究方向:動的・リアルタイム・非破壊・高感度・高解像度等の特徴を持ち合わせた生命科学的検査・画像形成・分析及び操作の方法、物質の形成・機能・構造情報の解析及び特徴表現の技術、地球科学と空間科学の研究においての新たな観測手段と情報獲得方法等。


3.国家の重大な戦略ニーズに対応した基礎研究


科学知識を基盤とする社会は科学発展を求め、綜合的国力の競争は既に基礎研究までその範囲を広げている。急速な発展にある我が国では、基礎研究は国家目標の実現を目的とし、未来の発展にとって要となり、ネットとなる課題の解決を図らなければならない。研究方向を決める基準は以下となる。経済社会の発展と国家安全に、戦略的・全般的・長期的な意義を持つ;現在ではまだ弱みとなるが、国の発展には極めて重要な役割を果たす;基礎科学と技術科学の融合を促進し、未来のハイテクの発展をもたらす。

(1)人類の健康及び疾病の生物学的基盤

特に、重大疾病の発生プロセス及びその悪影響の分子・細胞的基盤、健康や重大疾病の発生における神経・免疫・内分泌の働き、病原体の伝播・変異規則・病原メカニズム、分子・細胞及び全体の制御レベルにおける医薬品の作用メカニズム、生理的プロセスに対する環境の影響、漢方医学の理論システム等を研究する。

(2)農業生物の遺伝改良及び農業の持続可能な発展のための科学的な課題

特に、重要な農業生物の遺伝子と機能ゲノム及びその関係技術、生物の多様性と新規品種の栽培の遺伝学的基盤、植物の抵抗力及び水分・栄養分・光エネルギーの高効率な利用メカニズム、農業生物と生態環境との相互影響、農業バイオセーフティと主な病虫害の制御メカニズム等を研究する。

(3)人類活動が地球システムに影響を与えるメカニズム

特に、資源の探査・開発プロセスにおいての災害・リスクの予測、重要流域の大規模な人類活動の生態系への影響・適応性及び地域生態安全、重要な生態システムのエネルギー物質のリサイクルの法則とその制御、多様化した生物への保護方式、土地の利用と土地被覆の変化、地域の用水の規則と生態バランス、環境汚染と制御のメカニズム、持続可能な海洋資源の利用、海洋の生態系への保護等を研究する。

(4)地球の変化及び地域の変化

特に、地球的な気候変動から中国が受けた影響、地球変動によった大規模な水の循環の変化と地球変動が地域の水資源に与えた影響、人類の活動と季節風との相互影響、海・陸・気流の間の相互影響とアジアの季節風システムの変異及びその予測、中国の臨海陸上の生態系の炭素リサイクルのプロセス、地球変動の影響を受けたチベット高原と極地の変化、及びその気候的・環境的効果、気候システムの形成及びそれのシミュレーション予測、温室効果のメカニズム、エアロゾルの形成・変化メカニズム及び気候変動への影響とその制御を研究する。

(5)複雑系システム、異変の形成及び予測制御

特に、自然及び社会経済の複雑なシステムにあるマイクロ・メカニズムとマイクロ現象との関係、複雑なシステムにおける構造形成のメカニズムと変化法則・構造・システム行為の間の関係、複雑なシステムの運動法則、システムの突如変化及びその制御等を研究し、複雑なシステムの違ったスケールの行為間の関連性を研究し、複雑なシステムの関係理論と方法論を発展させる。

(6)エネルギーの持続可能な発展における重要科学課題

特に、化石燃料の高効率・クリーンな利用と転化の物理的・化学的な基礎、高性能な熱・エネルギー転換及び高効率・省エネなエネルギー貯蔵における要となる科学課題、再生可能なエネルギーの大量利用原理と新たなルート、電気ネットの安全・安定かつ経済的な運行の理論、大規模な原子力エネルギーの基本技術と水素エネルギー技術の科学基礎等を研究する。

(7)材料設計及び調製の新原理及び新方法

特に、基礎材料の最適化の物理的・化学的な基礎、相の変化と組織制御のメカニズム、複合化による強化を図ることの原理、新素材の物理的・化学的特性、人工的な構造化とスケールダウン、多機能集積化等の物理的な新規メカニズム・新効力と新素材設計、材料調製の新たな原理・工程及び構造・性能特徴表現の新たな原理、材料作用と環境との相互影響・性能変化・失効メカニズム及び寿命予測の原理等の研究を行う。

(8)極限環境下における製造の科学基礎

特に、マイクロ世界の物質・エネルギーの相互作用法則、高密度エネルギーと物質のマイクロスケール的な伝送、マイクロ構造態の精確な表現と計量、製造体の成形、成性及びシステム集積のスケール効果とインタフェース科学、複雑システム形成における安定した運動の確実性と製造体の唯一性の法則等を研究する。

(9)航空・宇宙の重要な力学課題

特に、超音速推進システムと超高速衝突の力学問題、マルチ動力システム及び複雑運動制御理論、圧縮性乱流の解析、高温気体熱力学、磁流体及びプラズマ動力学、微流体及びマイクロシステム動力学、新素材構造学等の研究を行う。

(10)情報技術の発展を支える科学基礎

特に、新しい計算方式とソフトウェア基礎理論、仮想計算環境のメカニズム、超高速情報処理とデータマイニング及び知識発見の理論と方法、人間-コンピュータ・インタラクション(HCI)、ネットワークのセキュリティーと信頼性・管理性の持つ情報安全理論等を研究する。


4. 重大科学研究計画

世界的な科学発展の動向及び我が国の戦略上のニーズに応じ、優秀な創新チームからなっており、未来の発展方向を導き、科学技術の発展に先導的な役割を果たし、我が国の創新能力を迅速で持続的に伸ばすことのできる、という研究方向に向かい、四つの重大な科学研究計画に力点を置いている。これらの研究方向におけるブレークスルーは、我が国の国際的な競争力を顕著に高め、持続的な発展を確実に促進し、重点的な飛躍を遂げる可能性を与える。

(1)蛋白質の研究
蛋白質は最も主要な生命活動の担体と機能の執行者である。蛋白質の複雑多様な構造機能、相互作用及び動向変化に対する研究は、分子や細胞、生物体等多くの領域における生命現象の本質を全面的に解明することができ、それが遺伝子時代の主な使命になる。また、蛋白質の研究成果は一シリーズのバイオテクノロジーの誕生に新たな道を開拓し、医薬、農業と環境保全産業の発展を速め、生物経済における未来の方向を引導する見込みである。従って、蛋白質科学は、現在生命科学の領域において、各先進国の最も注目を集める焦点となっている。
重点的な研究課題は重要生物体系の転写グループ学、蛋白質グループ学、代謝グループ学、構造生物学、蛋白質生物学の機能及びその相互作用、蛋白質に関係する計算生物学と系統生物学、蛋白質研究の方法学、相関する基礎的な応用研究等である。

(2)量子制御の研究
微電子を基礎とした情報技術は物理の極限に行き詰まり、それが情報科学技術の発展に深刻な挑戦を提出し、人類が新たな道を探さなければならなくなる。量子の応用に基づいた新しい情報手段の登場は、各先進国が争いあって研究する焦点になってくる。量子制御とは、新しい量子現象を探索し、量子情報学、関連電子学、量子通信、限定された小量子システム及び人工バンドギャップシステムを発展させることにより、未来の情報技術の理論基礎を築くことである。明るい将来性をもっており、今後20―30年のうちに、人間社会の経済発展に大きな影響を与える可能性がある。
重点的な研究課題は量子通信の担体と制御原理及びその方法、量子計算、電荷―自転―位相―軌道等に関連する規律及び新しい量子の制御方法、限定された小量子システムの新量子効用、人工バンドギャップ材料の巨視的な量子効用、量子制御の特徴や測量の新原理と新技術の基礎等である。

(3)ナノテクノロジー研究
物質がナノメートルのレベルで現れた奇異な現象と規律は、関係理論に基づいた現有の枠を変え、物質世界に対する人間の認識を新たな段階に導き、技術の新革命を育てることにより、材料、情報、植物製造、生物と医学等の領域において発展のスペースを広げている。ナノメートル技術は多くの国において、既に競争力を向上させる中心的な位置に付けられ、我が国が飛躍的な発展を遂げる可能性の高い領域でもある。
重点的な研究課題はナノ材料の可制御設備、組み立てと機能化、ナノ材料の構造、特性及びその制御構造、ナノ加工と集積原理、概念性と原理性ナノトランジスター、ナノ電子学、ナノ生物学とナノ医学、分子集積体と生物分子の光、電磁学性質及び情報輸送、単分子行為と実践、分子機械の設計、組み立てと制御、ナノ基準特徴と度量学、ナノ材料とナノ技術がエネルギー、環境、情報、医薬といった領域における応用である。

(4)発育及び生殖の研究
動物クローン、幹細胞等の領域で収めた成果は、世界の注目を集め、生命科学と医学の今後の発展に大きな機会をもたらした。ところが、これらの成果のほとんどは直接人類に使うことができず、主な原因は生殖と発育の過程及びその原理に系統的な認識が足りないからである。我が国は人口の成長が速く、障害者に生まれる比率が高いため、移植する器官がひどく不足である。老齢化ピークの到来にあたり、生殖と発育科学理論のブレークスルー及び技術の創新的な発展が至急に求められている。
重点的な研究課題は幹細胞の増殖、分化と制御、生殖細胞の発生、成熟と受精、胚胎発育の制御構造、体細胞分化の抑制と動物クローン原理、人体の生殖機能の衰退と退行性病理変化の構造、及び生殖と幹細胞技術を支援するセキュリティーと倫理等である。


七、科学技術体制改革及び国家創新体制の構築


改革開放以来、我が国の科学技術システムにおける改革は、科学技術と経済の相互の結合をめぐり、科学技術創新の強化、技術成果の転化と産業化を促すことを目指し、システムの構造調整と転換を重点として一連の重要な改革を実施し、大きな発展を確実に遂げてきた。一方、我が国の現在の科学技術システムには、社会主義市場経済システム及び経済や科学技術の発展のニーズに合致できないところが多く存在しているため、それを正確に見通さなければならない。一、企業はまだ技術創新を担う真の主体ではなく、自主創新の能力が強くない。二、各領域における科学技術の研究は、それぞれ独立した体系となっており、分散かつ重複な部分が多くあり、全体的な運営効率が低く、社会公益分野における科学技術の創新能力が特に弱い。三、科学技術のマネージメントに当たって自部門の政策を優先的な地位に置いており、科学技術資源の配置方式、評価制度等が科学技術の新動向と政府の機能改革の要求に対応することができていない。四、優秀な人材を励まし、改革と創新を奨励するシステムがまだ完備されていない。このような問題が、国家全体の創新能力の向上を著しく束縛している。
科学技術システムの改革の深化を図るに当たっての指導的な方針は次のとおりである。国家的な目標の達成を確保し、科学技術者の能動性と創造性を高めることを出発点として、重点を全社会における科学技術資源の効率的な配置と総合能力の向上に置く。企業を主体とし、生産、開発、研究を結びつけた技術創新システムの育成を突破口とし、中国の特色ある国家創新システムの建設を全面的に推進し、国家の自主創新能力の大幅な向上に努める。
今後の科学技術の体制改革に関する重点的な任務は、次のとおり。

1.企業を技術創新の主体とすることの推進

市場競争は技術の創新を推進する重要な動力であり、技術の創新は企業自身の競争力を高めるための基本的な道である。改革開放の推進につれて、我が国の企業は技術創新の分野においてますます重要な役割を果たすようになった。今後は、競争環境の改善と改革の深化を一層促進し、技術創新における企業の生命力の強化に確実に励む。第一、経済と科学技術政策の指導的な役割を発揮させ、企業を研究開発の主体とする。市場の経済環境を、統一的、開放的、競争的かつ秩序的なものに整え、財政税制や金融等の政策に基づき、企業の研究開発に対する投入を奨励し、企業、特に大手企業において、研究開発部門の設立を促進する。開発の技術や実力のある研究部門又は大企業と連携し、大学や研究院の力を借り、国家エンジニアリング実験室と業界エンジニアリングセンターを設立する。企業と大学や研究院等の間に技術創新の専門機構を設立し、技術創新の能力を強めるようにする。第二、科学技術計画による支援の方式を改革し、国家の研究開発の課題を企業が担当することを支援する。国家的な科学技術計画については、企業側の技術に対するニーズをより多く反映させ、企業の参加を更に促すことが必要である。市場応用の将来性が高い分野において、企業が率先的な役割を果たし、大学と研究部門がその実施に協力するという効率的なシステムを構築するように努力する。第三、技術移転に関する政策を整備し、企業への技術の集中と応用を促進する。知的財産権の奨励と取引に関する制度の整備を更に進める。企業に科学技術の情報を提供する各種のサービス部門の発展を支持し、企業と企業の間、又は企業と大学や専門の研究部門との間で行われた知識の交流と技術の移転を促し、国家重点実験室やエンジニアリング(技術研究)センター等を企業に開放する必要がある。第四、近代化企業制度の改革を速め、企業における技術創新の内在力を強化する。技術創新の能力を、国有企業を評価する時の重要な基準とし、技術的な要素を配分の一要因とすることはハイテクベンチャーの所有権制度改革の重要な内容とする。応用・開発関係の研究部門を企業化するという改革方向を貫き、企業化の際の研究部門の所有権に関する改革を深め、ハイテク技術の産業化と技術の創新に寄与するように、完備した管理システムと合理的、効率的な奨励制度の形成を図る。第五、創新に相応しい環境を作り、中小企業が行う技術創新を支援する。中小企業、特に科学技術を中核とした中小企業は、創新の生命力を持っているが、創新のリスクに耐える能力が相対的に弱い。従って、中小企業にとってより有利な政策を作り、市場参入や不当競争の面において中小企業に有利な法律と政策を制定し、中小企業の科学研究に関する融資システムとリスク投資システムの発展を支え、中小企業の技術創新にサービスを提供するために、科学技術に関係する仲介部門の完備を速めることに努める。

2.科学研究機構の改革、近代的な科学研究機構の制度の確立

基礎研究、先端技術研究と社会公益研究を担当する科学研究機関は、我が国の科学技術創新上の重要な力である。国家的目標の達成と科学技術の研究に努める科学研究者の育成は、我が国の科学技術の発展に決定的な意味を持っている。部門構造の調整と人材の有効的な利用等、長年の改革を通じ、我が国には優れた科学研究機関が多く設立されており、それに対して、国家は安定的な政策支援を提供する。科学研究機関の役割を充分に発揮させるため、創新能力の向上を目指し、体制や制度の整備に重点を置き、管理システムの改革を更に深め、「明確な責任、科学的な評価、秩序的な開放、規範的な管理」のある近代的な科学研究制度の実現を促進する必要がある。第一、国の与えた職責を確実に守り、科学研究機関の整備を強める。今までの責任不明や研究力分散、創新能力不足等の状況を確実に改善し、研究の資源を効率に配置し、優勢のある学科と専門的な研究機関を築くため、研究の資源を集中するようにする。社会公益に関連する科学研究機関は、技術上の優勢を発揮し、科学技術の創新とサービスの能力を向上することによって、社会の発展に伴って起きる重大な技術問題を解決し、基礎科学や先端技術を研究する部門は、学科の優勢を発揮し、研究のレベルを高め、理論と技術を創新することによって、重大な科学技術問題の解決を図る。第二、技術創新を確保するための資金投入制度を安定させ、積極的に支援する。学科と研究者のチームの建設、及び創新上で獲得した大きな成果は、長年の努力の結晶である。基礎研究、先端技術研究と社会公益研究を担当する科学研究機関に対して、国家から研究資金を提供し、安定的な支援を与える。科学研究機関の現状に従い、一人当たりの研究費を増やし、長期研究の必要がある学科、研究施設及び研究者を支えるようにする。第三、自主的な技術創新を確保するために、有利な施策を立てる。研究課題の自主的選択は、科学研究機関自身の創新能力の向上、及び研究者の育成において重要である。科学研究機関による研究課題の自主的選択を支え、研究機関の責任を明確にする制度を整備し、科学技術の研究費や人事制度等の面において、所属する研究機関の決定権を拡大し、部門内部の資源の集中を可能にして、技術創新の能力を向上させる。第四、科学研究機関の創新能力を全体的に評価する制度を立てる。科学的かつ全面的な評価システムを作り、研究成果の質、研究者の育成、組織運営等の面から全体的な創新能力を評価し、科学研究機関のマネージメント水準と創新能力の向上に努める。研究機関の間で自由に連携できるような政策を実施する。正職員だけでなく、非常勤職員も適宜採用することができる人事制度を実施する。雇用制の実行とポスト毎に管理を行い、社会に向かって科学研究とマネージメントの人材を公開募集する。この政策を実施することによって、科学研究機関と企業や大学との協力関係を結びつけ、知識の交流や人材の育成及び資源の共有を促進する。
大学は我が国がハイテク人材を育成するための重要な基地として、基礎研究とハイテクの創新をリードする力であり、国民経済における技術問題を解決し、技術の応用と研究成果の転化を実現させる主導役である。高水準大学、特に世界的に知られる研究型の大学の建設は、我が国の技術創新の深化と創新システムの構築にとって必要である。我が国には、相当な規模を持ち、学科と人材の資源を備える高水準の大学が多く建てられており、科学技術の創新にその役割が果たせるようにする。基礎研究や、先端技術研究、社会公益研究等の分野における大学の創新を支援し、大学と企業や研究機関との提携を進め、国家や地域、産業の発展を更に促進することに努める。重点学科の発展と科学技術の創新のプラットホームを構築し、各学門分野において世界をリードしている水準を持つ人材の育成と募集に努め、学力、創造力と競争力の強い大学レベルの教師の育成に力を入れる。大学の内部で実施されている管理体制の改革を進めるようにする。大学内部における教育と研究のバランスを調整し、運営方式と管理制度を革新し、科学的かつ全面的な評価システムを作り、人材の素質と創新能力を向上させるような人事運営システムを構築して、中国の特色ある近代的な大学制度の発展に努める。

3.科学技術管理体制の改革の推進

我が国が現在科学技術の管理に存在している問題点を目安として、科学技術管理システムの改革を推進する。国家レベルの科学技術政策の決定制度を改善し、制度や体制上の欠陥を取り除き、機関の間、地域の間、又は機関と地域の間、軍事と国民の間の関係を調和し、技術資源の分配水準及び大型研究活動の組織力を高めるようにする。それが改革の重点である。具体的な計画として、第一、国家レベルの科学技術政策の決定制度を確立する。国家レベルの研究課題や政策を決定する際の審査過程を改善し、情報提供、政策の決定を標準化とする。国は科学技術の発展に対する全体的な配置と管理を強化し、重要な政策の制定や重大な科学技術に関する計画の実施及び基礎施設の建設について計画案配を強める。第二、国家レベルの科学技術の制御システムを確立する。国の公共政策における科学技術政策の基礎的な地位を確立し、技術創新の促進と創新能力の向上という目標に基づき、科学技術政策と経済政策を調和的に結びつけた政策システムを作り、各機関の間でも研究資源の配置に関する制御システムを立てるようにする。国の行政管理機関の機能を変更し、法律に従って政策を行い、全体的な管理能力とサービスレベルを高める。計画管理の方式を改善し、計画管理と実施管理における各機関や各地域の役割を果たす。第三、科学技術プロジェクトの審査と評価に関する制度を改革する。科学技術プロジェクトの審査は、公正、公平、公開と創新の奨励という原則を守るべきであり、また各分野の人材、特に若い人材の登用に適合した環境を構築する。重大プロジェクトを評議し審査する時、国の目標を体現したものでなければならない。同業での専門家より審議を行う制度を改善し、審議に参加する専門家への信頼を向上させる制度を作り、同業の外国人専門家でも評価に参加できるようにする制度を作成し、評価と審査の過程に対する監督を強め、評価実施の公開度を上げ、評価参加者の影響力を拡大する。創造力の高い小プロジェクト、異議のあるプロジェクト及び学際的なプロジェクトに対して、特別な注目と支持を与え、科学技術の研究者と研究チームの素質、能力、研究レベルに評価の重点を置き、独創的な創新を奨励する。国家レベルの科学技術プロジェクト、知識創新プロジェクト、自然科学基金支援計画等に対し、実施状況を評価する制度を特別に構築する。第四、研究成果の評価と奨励の制度を改革する。各創新活動の特徴に基づき、公開公正、科学規範、節約効率という原則に従い、研究成果の評価制度と評価基準を整え、評価の回数が多過ぎるという現象を修正し、目先の利益ばかりを求めたり、又は将来性のない研究を排除するようにする。市場向けの応用研究や実験開発の創新活動については、独自の知財権の獲得及び産業競争力の向上を評価のポイントとする。公益的な科学研究は、公衆のニーズと社会的な効果を評価のポイントとする。基礎研究と先端的な研究は、科学上の意義と学術上の価値を評価のポイントとする。研究分野や性質がそれぞれ異なった研究者に対応するような評価システムを作り、国の科学技術研究に対する奨励制度を改革し、奨励の数量と名目を削減し、政府の奨励項目の重点を突出させる。研究プロジェクトに奨励を与えると共に、優秀な人材に対する奨励も重視する必要があり、また、民間に対して、社会行為を規範化にすることを目指し、奨励を与える。

4.中国の特色ある国家創新体系の構築の推進

科学技術体制改革を深化する目標は、国家創新システムの推進と向上である。国家創新システムとは、政府を主体に、市場の資源配分の基礎的役割や、各研究機関との連携と交流を効果的に果たせるような社会システムである。中国の特色ある国家創新システムの重点は次のとおり。一、企業を主体に、産学研の結合した技術創新システムを構築することに努め、それを国家創新システムの向上の突破口とする。技術創新の市場方向を捉まえ、産学研の力を効果的に集め、国の競争力を確実に強めるためには、企業を創新の主体としなければならない。産学研の結合は、研究資源の効果的な配分、研究機関の能動性の向上、及び企業側の創新能力の獲得に寄与する。従って、企業自身の創新能力を大幅にアップさせると同時に、研究機関や大学が企業を中心に技術上のサービスを提供する産学研が結合した新体制を構築する必要がある。二、科学研究と高等教育の結合した知識システムを構築する。開放的、自由的、競争と協力のある運営システムの形成を中心に、研究機関の間や、研究機関と大学との間の連携及び資源の集中を促進する。社会公益科学研究の発展を進め、研究型大学の建設を促し、高水準でかつ資源共有の基礎科学や先端研究を担当する専門機関の形成に努める。三、軍事と民間の力を結合した国防科学技術創新システムを構築する。全体的な管理、戦略と計画の発展、研究開発、科学技術の産業化といった面において、軍事と民間との科学技術の結合を促進し、軍民両用技術の開発を強め、全国の優れた科学技術の力を国防科学技術の創新へ提供し、国防科学技術の研究成果を速やかに民間に転化するという好循環を形成することに努める。四、特色と優勢のある地域創新システムを構築する。地域経済と社会発展の特色や優勢を結合し、地域創新システムの向上と創新能力の向上を統一して計画案配する。地方の科学技術システムの改革を深め、中央と地方の科学技術研究を効果的に結合させることに努める。大学、研究機関及び国家ハイテク産業開発区に、地域創新システムにおける重要な役割を発揮させ、科学技術の創新の地域経済社会の発展に対する影響力を強化する。中部、西部の地域にある科学技術の研究能力を向上させ、市町村における科学技術システムの整備を確実に実施する。五、ネットワークを利用し、科学技術サービスを提供する社会的な仲介システムを構築する。科学技術サービスの仲介部門は規模が小さく、機能が単一、サービスの能力が弱い。これらの問題を解決するために、科学技術サービスを提供する仲介機関の育成と発展に努める。大学、研究機関及び民間の各研究集団が、科学技術の仲介サービスにおける役割を発揮し、科学技術の仲介サービス機関を専業化、規模化、規範化という方向に引導して発展させる。


八、重要政策及び措置


本綱要の実現を確保するためには、体制及び制度上の問題を解決するだけでなく、より有効な政策及び措置の策定が必要である。自主創新能力を強化し、研究者の積極性と創造性を向上させ、国内外の科学技術資源の有効利用を可能とし、科学技術及び社会の発展をもたらす政策及び措置が必要とされる。本綱要に掲げた科学技術に関する政策及び措置は、現時点での主な矛盾と問題に対するものであり、社会の発展及び本綱要の実施状況に応じて、内容の追加と修正を加えることが必要である。

1.企業の技術創新を奨励する財政・税政の実施
研究開発の投入を増加し、技術創新の能力を強めようとする企業を支援する。消費型増値税の実施を進め、企業が設備を購入する際に払った税金を増値税の税金と取り替えることができるようにする。技術創新の促進並びに研究成果の実用化及び設備更新の加速等の税制優遇策を実施に移す基礎の上に、国家はさらに、企業による新製品、新工芸及び新技術の開発を積極的に支援し、研究開発支出の控除等によって政策インセンティブを強化し、ハイテク企業の発展を促進するための税制上の優遇を実施する。企業の所得税と財務制度の改革を結びつけ、企業による技術開発用の専門資金制度の設立を奨励する。研究設備の減価償却の加速を認め、先進的な研究機械設備の購入に税制上の優遇を与える。海外で研究機関を設立する場合、外国為替と融資による支援を実施し、対外投資に関する便利なサービスを提供する。
『中華人民共和国中小企業促進法』を全面的に貫き、多様な中小企業の設立を支援し、技術創新における中小企業の能動性を充分に発揮させる。中小企業による共同投資、共同委託等の方式による共同研究開発を支援し、創新成果の実用化に対して政策上の支援を与える。中小企業の技術創新を支援するために、優遇的な税収政策を策定する。

2.導入した技術の消化、吸収及び再創新の強化
国家産業技術政策を改善し、導入した技術の消化、吸収及び再創造を強化する。自主創新を支援し、盲目的な技術の重複導入を制限する政策を策定する。
政府の投資構造と重点を調整することによって、専門資金を設け、導入技術の消化・吸収・再創造、重大技術設備の研究、重要産業の共通的な重要技術の開発を支援する。積極的な政策を実施し、多くのルートからの投入を増加させ、企業を主体とした産学研が連携して導入技術の消化・吸収・再創造に努めることを支持する。
国家レベルの重大プロジェクトを、創新能力を向上させる重要な手段として利用する。国家レベルの重大プロジェクトの実施を通じ、先進的な技術を吸収し、国家の戦略的な利益となる重要技術をブレークスルーし、知的財産権のある重要設備と重要製品の開発を図る。

3.政府調達による自主創新の促進
農業技術の普及に対する支援を強化する。農村に先進的な技術の普及を行う新たなメカニズムを構築する。農業分野の科学技術を普及させることを科学技術奨励の重要な内容とする。農業技術普及人員向けの職業資格認証制度を構築し、多様な形式で農業生産の第一線に深く入り込んで技術の普及活動を展開するような科学技術者を支援する。農業科学技術の成果の実用化と普及のための特定プロジェクト資金を設立し、農村への先進的な技術の普及を促進して、農村の各種の人材の技術創新と発明創造を支援する。国家は農業科学技術の普及に対して分類指導・分類支持を実行し、多種の形態の農業技術の普及組織の発展を奨励して、多元的な農業技術普及体系を構築する。
業界の重要技術、共通性のある技術を普及することを支援する。有利な政策及び措置を策定して、競争前技術の研究開発と普及応用を支援する。特に電子情報、バイオ、製造業の情報化、新材料、環境保護、省エネ等の重要技術の普及促進を重点的に強化し、伝統産業の改革向上を促進する。技術エンジニアリングのプラットフォームの充実を図ることとし、産業化モデル基地と中間試験用の基地を建設する。

4.知的財産権戦略と技術標準戦略の実施
知的財産権を保護し、権利人の利益を守ることは、我が国の市場経済体制を改善し、自主創新を促進させるだけでなく、国際的な信用を樹立し、国際協力を展開する上で必要である。国の知的財産権制度を更に改善して、知的財産権を尊重し保護する法治環境を構築し、社会全体の知的財産権の意識と国の知的財産権の管理水準の向上を図り、知的財産権の保護レベルを強化し、法律に基づいて知的財産権の侵害行為を断固として取り締まる。同時に、企業の買収合併や、技術取引等の重大な経済活動について、自主知的財産権が流失することを避けるため、知的財産権の特別審査制度を創設する。知的財産権を濫用し正常な市場競争メカニズムに対して不当な制限をもたらし、科学技術創新と科学技術成果の応用を阻害することを防止する。知的財産権管理を科学技術管理の全過程に組み込んで、知的財産権制度を十分に利用して我が国の科学技術創新のレベルを高める。科学技術者と科学技術マネージメント人員の知的財産権意識を強化して、企業、科学研究機構、大学・高等専門学校が知的財産権の管理を重視し強化することを推進する。業界団体は、知的財産権保護の方面において重要な役割を果たすことが求められる。健全で、知的財産権保護に有益な、就労資格制度と社会信用制度を作り上げる。
国家戦略及び産業発展のニーズに基づき、自主知的財産権を形成することを目標として、経済、社会、科学技術等の発展にとって大きな意義がある発明・創造を生み出す。企業を主体とする産学研の共同研究チームを組織する場合には、特許出願、標準制定、国際貿易、国際協力等において支援する。
技術に関する標準の形成を国家科学技術計画の重要な目標とする。政府主管部門、業界団体等は重要技術標準の制定に当たっての協調を強化するとともに、技術標準を優先的に採用する。技術法規と技術標準体系の構築を推進し、標準制定と科学研究、開発、設計、製造との結合を促し、標準の先進性と効力の確保を図る。産学研の各方面を指導して、重要な国家技術標準の研究、制定及び優先採用を共同で推進する。積極的に国際標準の制定に参与して、我が国の技術標準が国際標準になることを推進する。技術性の貿易への対策の構築を強化する。

5.金融政策による創新・創業の促進
ベンチャー企業への投資の仕組みを構築し、ベンチャー企業への投資を促進する法規及び関連政策を起草、制定する。積極的にベンチャー企業向けの株式市場の建設を進め、科学技術の産業化に向けた多層な資本市場システムを構築する。一定条件を満たすハイテク企業の、国内の一般株式市場及び中小企業株式市場への上場を奨励する。ハイテク中小企業の株式の海外上場のために便利な条件を作成するよう努力する。ハイテクベンチャーへの投資企業のために、国を跨る資金運用について、より一層自由度が高い金融、外国為替政策を創設する。国家ハイテク産業開発区内で、未上場のハイテク企業の株式の流通に対する試験的活動を展開する。技術財産権の取引市場を段階的に構築する。政府の財政資金を誘導措置として、政策性金融、商業性金融の資金を主とする方式を検討し、積極的な措置をとって、より多くの資本のベンチャー投資市場への投入を促進する。科学技術ベンチャー投資業界の全国的な自己規制組織を作り上げる。国家の重大な科学技術産業化プロジェクト、科学技術成果実用化プロジェクト等に対して優待的な信用供与を与えるよう、金融機関を奨励するとともに、中小企業の創新技術の知的財産権の信用担保制度及びその他の信用担保制度を作り、中小企業への融資のために良好な条件を創造する。多種形式の科学技術向けの金融協力プラットフォームを構築し、政府は各種の金融機関と民間資金が科学技術開発に参与するよう誘導する。ハイテク企業、特に科学技術型中小企業に対する金融サービスを改善し、強化するよう金融機関を奨励する。保険会社に対し商品及びサービス創新を強化することを奨励し、科学創新のための全面的なリスク保証を提供する。

6.ハイテクの産業化及び先端技術の普及の加速
ハイテクの産業化推進を、経済構造の調整、経済の成長転換方式の一つの重点とする。経済成長に対して重大な先導作用のあるハイテク産業を積極的に発展させる。
ハイテクの産業化の環境を優れたものにする。国家のハイテク産業開発区等の産業化の基地の建設を引き続き強化する。国家のハイテク産業開発区の発展に有益であり、周辺部の発展も促す政策を制定する。技術交流と技術取引情報プラットフォームを構築し、国家級大学サイエンスパーク、科学技術インキュベーター基地、生産力促進センター、技術転移センター等の科学技術仲介サービス機構による行われた技術開発とサービス活動に対して政策上の支援を行う。


農業技術の普及に対する支援を強化する。農村に先進的な技術の普及を行う新たなメカニズムを構築する。農業分野の科学技術を普及させることを科学技術奨励の重要な内容とする。農業技術普及人員向けの職業資格認証制度を構築し、多様な形式で農業生産の第一線に深く入り込んで技術の普及活動を展開するような科学技術者を支援する。農業科学技術の成果の実用化と普及のための特定プロジェクト資金を設立し、農村への先進的な技術の普及を促進して、農村の各種の人材の技術創新と発明創造を支援する。国家は農業科学技術の普及に対して分類指導・分類支持を実行し、多種の形態の農業技術の普及組織の発展を奨励して、多元的な農業技術普及体系を構築する。


業界の重要技術、共通性のある技術を普及することを支援する。有利な政策及び措置を策定して、競争前技術の研究開発と普及応用を支援する。特に電子情報、バイオ、製造業の情報化、新材料、環境保護、省エネ等の重要技術の普及促進を重点的に強化し、伝統産業の改革向上を促進する。技術エンジニアリングのプラットフォームの充実を図ることとし、産業化モデル基地と中間試験用の基地を建設する。
7.軍民結合、軍民転換メカニズムの実現(人民の中の軍)
軍民結合の全体の計画的な手配と調和を強化する。軍民分離の科学技術の管理体制を改革して、軍民が結合した新科学技術の管理体制を構築する。軍用の科学研究機関に民間用の科学技術任務を引き受けるよう奨励する。国防研究開発作業が民用の科学研究機関と企業に向って開放的となるように奨励する。軍需品の民用科学研究機関と企業に対する仕入れ範囲を拡大するよう奨励する。関連する管理体制と制度を改革して、民用科学研究の企業が、軍用の科学研究と生産競争に平等に参入することを確保する。軍民結合、軍民共用の科学技術の基礎条件のプラットフォームを構築する。
国防科学研究と軍民両用科学研究の特徴に適応した新たなメカニズムを構築する。軍民の基礎研究を計画的に手配して調和して、軍民のハイテク研究開発力を集中させることを強化し、軍民の有効な相互協力構造を作り上げ、軍用製品と民用製品の生産調和を実現して、科学技術において軍民の間に各分野での有効的な結合を促進する。

8.科学技術における国際的及び地域的な協力・交流の拡大
国家の自主創新能力を強め、対外開放による有利な条件を十分に利用することが必要であり、多様な形式での科学技術における国際的及び地域的な協力・交流を拡大する。
科学研究機構、大学・高等専門学校と、海外の研究開発機構との間で、実験室又は開発センターを共同で構築することを奨励する。二国間、多角的な科学技術の協力協議の枠組みの下で、国際協力プロジェクトの実施を支持する。内陸と香港、マカオ、台湾との科学技術協力構造を構築し、交流を強化する。
我が国の企業の“海外進出”を支援する。ハイテク及びその製品の輸出を拡大して、海外で研究開発機構又は産業化基地を設立するよう、企業を奨励し、支援する。
積極的に国際大科学的事業と国際学術組織に参与する。我が国の科学者及び科学研究機関が、国際的又は地域的な大科学的事業に参加しリード役を果たすことを支援する。育成訓練制度を構築、我が国の科学者の国際学術交流に参与する能力を高めて、我が国の科学者が重要な国際学術組織の中で指導的な職務を担当することを支援する。多国籍企業に、中国で研究開発機関を設立するよう奨励する。優遇条件を与え、我が国に重要な国際学術組織又は事務機構を設立する。

9.国民の科学・文化面の素養の向上、科学技術の創新に資する社会環境の構築
国民全体の科学的素質に関する行動計画を実施する。人面的な発展を促進することを目標にして、国民全体の科学的な教養の程度を高める。全社会で強力に科学的な精神を発揚して、科学的な思想を宣伝して、科学的な方法を広めて、科学的な知識を普及させる。農村の科学普及活動を強化して、農民の技術と職業技能の育成訓練の体系の充実を段階的に構築する。多種の形式と系統的な学校の内外での科学探求・体験活動を組織的に展開し、創新教育を強化して、青少年の創新意識と能力を育成する。各層の幹部と公務員の科学技術育成訓練を強化する。
科学を普及させる能力の建設を強化する。科学普及施設を合理的に配置し、さらに適切な強化を行い、科学普及施設の運営品質を高める。科学研究機構、大学の定期的な社会公衆向けの開放制度を構築する。科学技術計画プロジェクトの実施中は社会公衆との交流を強化する。科学普及創作を盛んにし、優秀な科学普及銘柄を製造する。有名な科学者及びその他の専門家に科学普及創作に参与するよう奨励する。重大な科学普及作品に対する選抜推薦の計画を制定して、オリジナル性のある科学普及作品に支援を与える。大学で科学技術普及の学部を設立して、科学普及に対する基礎性理論研究を強化して、科学普及専門の人材を育成する。
科学普及事業の良好な運営の仕組みを構築する。政府部門、社会団体、大企業等各方面の優位性の集成を強化して、科学技術界、教育界と大衆メディア間の協力を促進する。ビジネスとしての科学普及文化産業の発展を奨励し、民間と海外資金の科学普及産業への参入制限を緩和して、優遇政策を制定し、科学普及事業の多元化構造を構築する。公益性科学普及事業体制と構造改革を進めて、活力を増し、サービス意識を高め、持続的発展が可能な能力を強める。


九、科学技術投入及び科学技術インフラ


科学技術投入及び科学技術インフラは科学技術創新の物理的な基礎であり、科学技術の持続的な発展の重要な前提である。今日の科学技術投入は、将来の国家競争力に対する投資である。改革開放から、我が国の科学技術投入は絶えず増大してきた。しかし、我が国の科学技術事業の大幅な発展と全面的小康社会の建設のための重大ニーズと比較すると、また先進国及び新興工業化国家と比較すると、我が国の科学技術投入の総量と強度には依然として不足がみられ、投入構造は全てが合理的とはなっておらず、科学技術の基礎条件は薄弱である。現在の先進国及び新興工業化国家は、科学技術投入の増加を国家競争力を高める戦略的措置とみなしている。我が国もこうした時代の趨勢に対応することが必要であり、国家の自主創新能力とコア競争力を増強するため、科学技術投入を大幅に増加し、科学技術インフラの建設を強化して、当綱要が提起した重大な任務を完成するために必要な環境を提供する。
1.多元化、多ルートの科学技術投入体系の構築
政府は、科学技術投入における牽引役となることが必要であり、財政の直接投入や、税収優遇等の多種の財政投入の方式を通して、科学技術投入を増加し、社会における科学技術資源の配分を調整する能力を増強することが必要である。国家の財政投入は、市場メカニズムでは解決できない基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、重要基盤技術等の公共科学技術活動に主に用いることとし、併せて企業と全社会からの科学技術への投入を促す。中央と各レベルの地方自治体は、《中華人民共和国科学技術進歩法》の要求に従い、年初予算の編成及び補正予算の編成に当たり、法定の増加要求を実現し、科学技術経費の伸び幅(伸び率)が明らかに財政の経常収入の伸び幅より高いことを保証し、徐々にGDPに対する国家の財政性科学技術投入の比率を高める必要がある。国家財力の情況をにらみつつ、本規画の実施に必要となる経費をバランスよく確保し、重大特定プロジェクトの順調な実施を確保する。国家は重大な科学技術インフラの建設に対する投入を引き続き強化して、中央と地方の建設投資の中で重点として支援を与える。政府が科学技術投入を増加すると同時に、企業の科学技術投入における主体的地位を強化する。要するに、多方面の努力を通して、国全体の科学技術投入のGDPに対する比率が年々高まるようにし、2010年までに2%、2020年までに2.5%以上を達成する。
2.資金投入体制の調整及び最適化、科学技術経費の使用効率の向上
基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、科学技術インフラ、科学技術普及に対する支援を強化する。科学研究機関(基地)を正常に運営する経費、科学研究プロジェクトの経費、科学技術インフラの経費等の割合を合理的に手配して、基礎研究及び社会公益に関する研究を行う研究機関に対する投資量を安定的に増大させ、科学普及経費を同クラスの財政予算に組み込み、徐々に科学普及への投入レベルを高める。科学研究に対する規則と科学技術作業の特徴に適応する科学技術の経費管理制度を建設、完備し、国家の予算管理規定に従って、財政資金使用に係る規範性、安全性、有効性を高める。国家の科学技術計画管理の公開性、透明性、公正性を高め、財政の科学技術予算の評価体系を段階的に構築し、健全で相応する評価監督管理システムを構築する。
3.科学技術インフラの建設の強化
科学技術インフラは、情報、ネットワーク等の技術の支えのもとで、研究実験基地、大規模科学施設・設備、科学データ・情報、自然科学技術資源等で構成され、効果的な配置と共有を通して、全社会の科学技術創新を支えるシステムとして機能する。科学技術インフラの建設の重点は、次のとおり。
国家研究実験基地。国の重大な戦略ニーズに基づき、新興の先端的かつ学際的な領域及び我が国の特色ある優位領域において、主に国の科学研究機構と研究型大学に委託して、精鋭が集い、高レベルな、学際的な国家実験室及びその他の科学研究実験基地を設立する。国家重点実験室の建設を強化するとともに、その運営と管理のレベルを高めるよう不断に努力する。国家野外科学観測研究ステーションのネットワーク体系を構築する。
大規模科学エンジニアリング施設。科学機器・設備が科学研究に及ぼす影響を重視して、科学機器・設備、検査・測定技術の自主研究開発を強化する。大規模科学エンジニアリング施設を建設する。これは、高性能計算、大規模空気動力研究試験及び極限条件用の科学実験等の大規模科学エンジニアリング又は大型インフラを含む。大規模科学器具、設備、施設の共有と建設を進めて、徐々に全国的な共有のネットワークを形成する。
科学データ•情報のプラットフォーム。近代的情報技術の手段を十分に利用して、科学技術資源の情報化の元となるデジタル科学技術プラットフォームを建設し、科学データと文献資源の共有を促進して、ネットワーク科学研究環境を構築し、全社会に向かってサービスを提供し、科学研究の手段、方式の変革を推進する。
自然科学技術資源のサービスのプラットフォーム。植物、動物の種苗資源、微生物菌種及び人類遺伝資源、並びに実験用材料、標本、鉱石、化石等の自然科学技術の資源の保護及び利用システムを構築する。
国家標準、計量・測定技術体系。高精度で高安定性の計量標準及び標準物質に関するシステム、重点領域における技術標準、検査・測定実験室システム、認証システム及び技術性貿易措置システムを研究し制定する。
4.科学技術インフラの共有システムの構築
効率的な共有制度は、科学技術インフラが有効に機能する鍵であり前提条件である。“統合、共有、完備、向上”の原則によって、国外の成功経験を参考にして、各類の科学技術資源の標準規範を制定し、科学技術資源の共有を促進する政策法規体系を構築する。異なるタイプの科学技術資源の特徴に対応して、柔軟で多様な共有方式を採用し、現在の相互に分断され、閉鎖的で、重複分散した構造を打破する。


十、人材の育成


科学技術の創新において、人材が基本である。人材資源は元々最も重要な戦略資源である。人材強国戦略を実施し、科学技術人材の人員育成を強化を着実に進め、本綱要を実施するため必要となる人材の確保を図ることが必要である。
1.世界最前線レベルの高度な専門家の育成の加速
重要科学研究、その設立プロジェクト、重点学科、科学研究基地、及び国際的な学術交流・協力プロジェクトの実施を通じて、学術分野のリーダーの育成に力を入れ、積極的に創新人材グル-プを組織する。戦略科学者、科学技術のマネージメント専門家の発掘、育成を重点的に進める。重要コア技術領域の高級専門家に対して特別な政策を実行する。科学研究における年功序列と目先の利益を追う現象の排除を更に進め、中青年の高級専門家を迅速に育成する。職名制度、院士制度、政府特殊手当制度、ポスドク制度等の高レベルの人材制度を改善、改革を進め、高級専門家を育成・選抜する制度体系の構築を更に進めて、優秀な人材を大量に発掘する。
2.創新人材の育成に資する教育体系の構築
科学技術の創新と人材育成の有機的な結合を強化して、科学研究機構と大学・高等専門学校の協力を奨励し、研究型人材を育成する。大学院生が科学研究プロジェクトに参画又は担当することを支援して、本科生に科学研究の仕事に従事するよう奨励し、創新実践の中で彼らの探求の興味と科学精神を育成する。大学・高等専門学校は、国家の科学技術の発展戦略と市場の創新人材に対するニーズに適応して、時宜にかなった意義のある学際的な学科、新興学科を設け、専門構造を調整する。職業教育、継続教育、育成訓練を強化して、経済社会発展ニーズに適応する各種の実用技術専門の人材を育成する。小中学校の教育内容と方法の改革を深化させ、素質教育を全面的に推進し、科学文化の素養を高める。
3.企業による科学技術人材の育成及び確保の支援
国家は、企業に、高レベルの科学技術人材を雇用し、優秀な科学技術人材を育成することを奨励し、これを政策的に支援する。科学研究機構と大学・高等専門学校の科学技術者が、実ビジネスに身を投じ、創新創業することを奨励し、引導する。大学・高等専門学校と科学研究機構の科学技術者が、企業に籍を置き、兼業として技術開発を行うことを許可する。大学・高等専門学校の卒業生が企業に就業するよう引導する。企業と大学・高等専門学校、科学研究機構が、共同して技術人材を育成することを奨励する。多様な方式、多様なルートで企業の高レベルエンジニアリング技術人材を育成する。国有ハイテク企業が、中核技術人材及びマネージメント人材に対してストックオプション等のインセンティブ政策を実施することを許可し、知識、技術、マネージメント等の要素の参与と分配に関する具体的な方法を検討し設定する。企業が外国籍の科学者とエンジニアを招聘し受け入れることを支援する。
4.留学生及び海外の高レベル人材の誘引力の強化
優秀な留学人材の帰国を促進し、国の仕事に従事させるための計画を制定し、実施し、高レベルの人材と不足している人材を重点的に誘引する。多様な方式により、海外留学生の特徴に合わせて誘引のメカニズムを構築する。高レベルな留学人材の帰国に係る資金を支援する制度の充実を図る。海外留学生の創業基地建設を強化する。留学人材を国の仕事に従事させる健全な政策措施を完備させる。高レベルな人材向けの公開招聘に力を入れる。実験室の主任、重点科学研究機関の学術リーダーとその他の高級科学研究機構は、徐々に国内外での公開招聘を実施する。誘引力のある政策措置を実行して、海外の高レベルの優秀な科学技術人材が中国を訪れ仕事に従事するように誘引する。
5.創新人材を育む文化環境の構築
一生懸命に頑張って向上しようと努力や自己献身的な愛国精神、事実に基づいて正しく行動し勇敢に新機軸を打ち出そうとする科学的な精神、団結して協力し名誉や利益に無関心な集団精神を提唱する。理性的な懐疑と批判、個性の尊重、失敗に対する寛容を提唱し、学術の自由と民主を提唱し、思い切った探求と勇敢な突出を奨励し、新しい理論と学説が大胆に提出されることを期待する。創新思想を奮い立たせて、学術の雰囲気を活発にさせて、努力してゆったりと調和がとれていて、健康の向上する創新文化の雰囲気を形成する。科学研究に係る職業道徳の構築を強化し、科学技術の研究の中の浮ついた気風と学術の不良な気風を抑制する。
国家中長期科学技術発展規画綱要は、対象範囲が広く、対象時間が長く、要求内容が高いため、その実施に当たっては、組織指導と全体統制を強化し、有効な措置を的確に採用し、次の各任務の実行を確保することが必要である。一、本綱要と“十一五”国民経済社会の発展計画の接続を強化することが必要である。綱要の可操作性を強めるため、当面綱要の関連内容を軽重と緩急に応じて、“十一五”国民経済社会の発展計画との結びつけをしっかりと行う。優先課題、重大特定プロジェクト、先端技術、基礎研究、科学技術インフラの建設と科学技術の体制改革等が対象であり、その中から緊急のもの、あるいは“十一五”の期間に解決が必要とされる重点事項を選択し、“十一五”国民経済社会の発展計画の中で具体的に手配し措置することが必要である。二、パッケージで政策を制定することが必要である。綱要が定めた発展目標、重点任務、政策措置に方向性と指導性を持たせるため、確実かつ実行可能な実用性の強い政策パッケージを制定することが必要である。これには、次のことを含む。企業が技術創新の主体となるのを支援する政策。輸入技術の消化、吸収、再創新を促進する政策。自主創新を奨励するような政府調達政策。科学技術への投入を増大し、投入資金の使用効率を向上させる政策。科学技術の体制改革を深化させ国家の創新体系の構築を推進する政策。ハイテクの産業化を加速する政策。科学技術人材の育成を進める政策。軍民結合、軍民転換を促進する政策等。上述の政策は関連部門が先導し、関連部門が参加するように責任を課して、十分な調査、検討の基礎の上で、科学技術政策と産業、金融、財政税制等の経済政策とを相互に強調させ、緊密に結合させて、可及的速やかに実現させることが必要である。三、綱要の実施のためのダイナミックな調整メカニズムを構築すること。世界の科学技術の発展は急激であり、国内の経済社会の発展は絶えず変化しているため、経済社会分析、技術予測及び定期的な評価の基礎の上で、綱要の実施のためのダイナミックな調整メカニズムを構築する。綱要が設定した発展目標、重点任務は、国内外の科学技術発展の新たな趨勢、ブレークスルー及び我が国の経済社会の発展の新たなニーズに応じて、適時適切に必要な調整を行い、あるものは充実・強化し、あるものは適切に調整することが必要である。四、綱要の実施のための組織指導を強化すること。党中央、国務院の統一した指導者の下で、存分に各地方、各部門、各社会の団体が積極性と主動性を発揮し、大いに協力して、共に綱要の実施を推進することが必要である。特に国家科学技術管理部門、発展改革部門、財政部門等の総合管理部門は密接に協力して、適切に責任を負って、具体的な指導を強化する。各省、自治区、直轄市は当地の実情に応じて、綱要を徹底的に実行する。
本綱要の実施は、全面的小康社会を建設する目標の実現に関係し、社会主義現代化建設の成功に関係し、中華民族の偉大な復興に関係するものである。胡錦涛同志を総書記とする党中央の指導の下で、我々は、小平理論と「三つの代表」の重要な思想を指導理念として仰ぎ、信念を固め、発奮し、創新型国家建設のために、我が国の科学技術の発展の雄大な青写真が実現するよう奮闘しようではないか!(完)
秘密

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