2018-01-11 15:46 | カテゴリ:未分類

  昨年以下のニュースが流れた。
  
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政府 地上配備型の迎撃ミサイルシステム 導入決定NHKニュース&スポーツ モバイルニュース) 

北朝鮮の核・ミサイル開発が新たな段階の脅威となる中、政府は19日の閣議で、弾道ミサイルによる攻撃に備えて防衛能力を高める必要があるとして、地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基を導入することを決めました。

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イージス・アショアは、日本とアメリカが共同で開発している新型の迎撃ミサイルを搭載し、2基で日本全域をカバーできるとされ、配備先の候補地には秋田市と山口県萩市にある陸上自衛隊の演習場が検討されています。

また、1基当たりの価格は現時点で1000億円弱になる見通しで、政府は今年度の補正予算案にアメリカから技術支援を受ける費用などとして28億円、来年度予算案に基本設計などの費用として7億円余りをそれぞれ盛り込むことにしています。::::

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  現役の大学の研究者なら、イージス・アショアたった1基で1000億円という、その高額さにため息をつくところであろう。この2基の合計金額2000億円は下図1に示すように、全国の大学の研究者が毎年10万人強も応募している、文部科学省の「科学研究費」の年間予算と同額なのである。この研究費は彼らの研究の生命線である。しかも採択率は4人に一人しかない。(図1は文科省ホームページからの転載)
   
    

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  別の観点からであるが、このミサイル1基1000億円の予算があれば、現在約1万5000人以上いると思われる、日本の大学の臨時雇用のポスドク(博士研究員)の、約1万人の再雇用が成就でき、彼らは人生をあと1年間生き延びられる!   
    
  現時点での政府による防衛予算案であるから、常套手段として「北朝鮮」との軋轢をあおりたてて、防衛相がイージス・アショアの単価をここぞとばかり増額させるであろうことは目に見えている。元々兵器の予算などはどんぶり勘定だろうから。かくて安倍政権下での防衛省長官を筆頭に防衛官僚はざるのようにアメリカのトランプ政権に税金を垂れ流す政策を創作し続けている。彼らはイケイケどんどんで笑いが止まらない。
    
  一方で毎年多くのポスドクは失業して、研究断念を余儀なくさせられている。
     
  保険会社第一生命の毎年行っている、「将来何になりたいか」の昨年の児童に対する希望調査で、男児では、「博士・研究者」が一位なんだそうである。一昨年は「学者」が2位だった。
        
  国は、できもしない実害無益の戦(いくさ)の準備なんか止めて「子供が希望する未来に投資しろ!」と何度でも言いたい。
           
                   
(森敏)
追記1.以下の記事のように、この国では、せっかく意気に燃えて研究の世界に飛び込んできた人材を、経済的不安に陥れている。若手研究者はかくして研究不正を行うことになる。かくて、日本のサイエンスの世界が自分で首を絞めることになっていきつつある。
     

山中所長が当分 給与全額を寄付へ 京大iPS論文不正で

125 1507

京都大学iPS細胞研究所の助教が発表した論文にデータのねつ造などの不正があった問題を受けて、研究所の山中伸弥所長は、今月から当分の間、みずからの給与の全額を研究所の基金に寄付することがわかりました。

この問題は、京都大学iPS細胞研究所の36歳の助教が去年発表したiPS細胞に関係する論文に、ねつ造と改ざんの不正が見つかったもので、この研究には研究所が一般から集めた寄付金およそ230万円が使われたことがわかっています。

こうしたことから、山中所長はNHKの取材に対し、今月から当分の間、みずからの給与を全額、研究所が集めた寄付金で作った基金に寄付することを明らかにしました。

その理由として山中所長は、今回の不正の検証や再発防止策の検討、それに、これまで寄付した人への説明のためにiPS細胞の研究開発などの本来の仕事ができないため、責任を感じていることをあげています。

山中所長は「不正のあった研究に使われた寄付金の補填(ほてん)を意味するものではないが、自分自身の気持ちを納得させるためにも給与を寄付することにした」としています。

 


 

追記2.日本の科学論文数の低下は目を覆うばかり。
       
    
   
世界の趨勢を無視した科学技術戦略と全部連動していることである。長期にわたる科学研究人材育成へ投資への無視が、ボデイーブローとして一気に顕在化してきたのである。これから再建し始めても回復には10年以上かかるだろう。

  

     

科学論文数、日本6位に低下米抜き中国トップ

20180125 1513分 毎日新聞


論文数の推移jpeg    

    

【ワシントン=三井誠】科学技術の研究論文数で中国が初めて米国を抜いて世界トップになったとする報告書を、全米科学財団(NSF)がまとめた。

 中国を始めとする新興勢力が研究開発費を大幅に増やして力をつける一方、日本はインドにも抜かれ、存在感を低下させている。

 報告書は各国の科学技術力を分析するため、科学分野への助成を担当するNSFが2年ごとにまとめている。2016年に発表された中国の論文数は約43万本で、約41万本だった米国を抜いた。日本は15年にインドに抜かれ、16年は中米印、ドイツ、英国に続く6位。昨年、文部科学省の研究機関が公表した13~15年の年平均論文数では、日本は米中独に次ぐ4位だった。
   


   
追記3.またどぶに金を捨てた。(2018年2月2日 記)
  

米、ミサイル迎撃実験失敗 SM3ブロック2A 日本と共同開発 (産経ニュース)
    

【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省ミサイル防衛局は1月31日、日米で共同開発している弾道ミサイル防衛用の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の迎撃実験を行ったと発表した。実験の結果については明らかにしなかったが、米CNNテレビなど主要メディアは「実験は失敗した」と報じた。

 国防総省やCNNによると、実験は、ハワイ沖の航空機から発射された標的を、同州カウアイ島にあるミサイル訓練施設から発射されたSM3で迎撃するものだったが、標的を撃墜できなかったとみられる。

 失敗が事実とすれば、SM3ブロック2Aの実験失敗は、昨年6月に続いて2回連続となる。

 実験結果を公表しない理由について、国防総省はCNNに対し、北朝鮮が韓国・平昌五輪に参加するなどの微妙な情勢に配慮したためだと説明した。

 SM3ブロック2Aは北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗するため、海上自衛隊のイージス護衛艦や陸上配備型システム「イージス・アショア」に配備される予定。米国務省は今月、日本に同ミサイル4発などを総額1億3300万ドルで売却することを議会に通告していた。

    

     

2017-12-11 07:58 | カテゴリ:未分類

先日、全国のテレビや新聞紙上で取り上げられたのが、以下のTBS Newsの「鶏むね肉」料理である。これらの記事ではすべて「鶏むね肉」が “高たんぱく”かつ “低カロリー” で「ヘルシー」だという理由で評価されていた。

 

実は、今年の初頭のWINEPブログでは、今年が鶏(とり)年であることにかこつけて、「鶏むね肉」の紹介を少し詳しくしておいた。もう11か月が経過しているが、記事の中身は古くないと思います。

  

「鶏の胸肉」は脳の老化を防ぐ: 酉(とり)年にちなんで

http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-2125.html

 

その時は、この「鶏むね肉」に1%も含まれているジペプチドである「カルノシン」や「アンセリン」が、活性酸素の消去剤として、激しい運動のあとの筋肉の疲労回復ばかりでなく、過酷な知的労働での脳などでも発生する活性酸素による脳の老化予防に効く可能性が高いと思われる(久恒辰博・東大新領域創成研究科准教授)という説を紹介しておいた。残念ながら、今回の「今年の一皿料理」の表彰理由には「脳の老化防止」は強調されなかったようだが。
    

 
 最も世相を映した料理、今年の一皿は「鶏むね肉」

41539分 TBS News

グルメサイトが決める世相を最も映した料理、“今年の一皿”。去年は「パクチー」でしたが、今年選ばれたのは、ヘルシーさが人気の、あの料理でした。そのヒットのきっかけは、まさかの「発想の転換」でした。

 ランナーたちで賑わう都内の公園。向かいのこのレストランでランナーに人気の料理には、ある食材が欠かせません。

 「ヘルシーです」(ランナー)

 「タンパク質がとりたい」(ランナー)

 大手グルメサイトが発表した、今年、最も世相を表した料理に贈られる“今年の一皿”。去年は流行にもなった「パクチー」が受賞しましたが、今年は・・・

 「鶏むね肉料理です」

 ランナーたちに人気のメニューも、真空パックを使って低温で茹でることでしっとりと仕上げた「鶏むね肉のコンフィ」です。

 「(売り上げは)右肩上がりで伸びている」(グランミール 松井聡 社長)

 低カロリーで、脂質や糖質が少ない「鶏むね肉」。健康志向の高まりとともに、需要は急拡大しました。

 けん引役となったのは、鶏むね肉が原料の、コンビニでおなじみ、「サラダチキン」でした。セブンイレブンでの販売をきっかけにブームに火がつき、各社とも毎年、売上記録を更新し続けています。ただ、このサラダチキン、生みの親は、実はコンビニではありません。

 宮城県内の工場で作られているのは、もちろん「サラダチキン」。

 「南部どりのむね肉を味付けして蒸して焼いた商品をサラダチキンと命名したのが始まり」(アマタケ 井上彰 執行役員)

 岩手県に本社を置く、この食品メーカーでは、他社に先がけ、2001年に販売を始めました。元祖「サラダチキン」です。

 「むね肉は、ちょっと販売が苦戦」(アマタケ 井上彰 執行役員)

 今でこそ、「ヘルシー」のイメージですが、20年前は「鶏むね肉は、『パサついていて、おいしくない』」と人気がなかったと言います。鶏一羽からもも肉と同じ量が取れるにもかかわらず、安い値段でしか売れなかった「むね肉」。そこで、精肉売り場だけでなく、サラダコーナーでも置いてもらえるよう、調理いらずのサラダチキンを開発しました。ただ、当初売り上げの伸びは「そこそこ」。その後の爆発的なヒットのきっかけは、2014年に行った「ある改良」でした。

 「思い切って皮をはいで、販売しようかなと」(アマタケ 井上彰 執行役員)

 なんと、これまで肉にくっついていた「鶏の皮」をはいだのです。「鶏皮を取り除くとおいしさが失われる」というのが、当時の精肉業界の常識でした。しかし、皮をとることで、従来品より、およそ4割もカロリーをカットできたのです。この決断が大当たり。今では年間1100万パックを売り上げる看板商品となりました。

 「おいしいだけではなくて、(ヘルシーという)プラスアルファを求めた商品作りが、今のお客様に支持を受けたのかなと思います」(アマタケ 井上彰 執行役員)

 発想の転換が生んだ“今年の一皿”。来年はどんな料理が登場するのでしょうか。

 

   
付記:福島県川俣町も、原発事故で重大な放射能被害を受けて、住民が避難し、有名な川俣シャモの工場が数年閉鎖されていました。2015年ころから、このシャモ料理が復活して、飲食店でも提供され始めました(シャモをどこで飼育しているのかわからないですが)。先日放射能調査の帰りに、川俣町の道の駅で2頭の燻製川俣シャモを土産に買いました。もちろん「むね肉」の効用を意識してですが。ついでにシャモラーメンを付近の店で爺さんばあさんが調理している店で食べました。おいしかったです。(森敏)

2017-06-06 09:08 | カテゴリ:未分類
   
今回は少し難解ですが重要な発明ですので、どうか我慢して読んであげてください。
   
以下農研機構のホームページからの転載です
 
放射性セシウムを吸収しにくい水稲の開発に成功

- コメの放射性セシウム低減対策の新戦力 -

情報公開日:2017年5月31日 (水曜日)

農研機構
岩手生物工学研究センター


  1. 農地土壌から作物への放射性セシウムの移行を低減するために、水稲では、カリ肥料の増肥が効果的な対策として実施されています。一方、長期にわたって、省力的かつ低コストで行える新たな低減対策も生産現場から求められています。
  2. そこで農研機構は、イオンビーム照射による突然変異法により、放射性セシウムを吸収しにくいコシヒカリ(Cs低吸収コシヒカリ)を開発しました。Cs低吸収コシヒカリを、放射性セシウムを含む水田で栽培した場合、コメの放射性セシウム濃度はコシヒカリの半分に減少しました。
  3. Cs低吸収コシヒカリにおいて、コメの放射性セシウム濃度が低下したキー(鍵)となる遺伝子を岩手生物工学研究センターとの共同研究で特定しました。この遺伝子は、イネ根のナトリウム排出に関与するタンパク質リン酸化酵素遺伝子(OsSOS2;オーエスエスオーエスツー)が変異したものです。この変異が原因で、Cs低吸収コシヒカリは根のセシウム吸収がコシヒカリに比べて、抑制されていました。
  4. Cs低吸収コシヒカリの生育特性や収量はコシヒカリとほぼ同等で、コシヒカリと同じ方法で栽培できます。また食味もコシヒカリとほぼ同等です。
  5. セシウム吸収を抑制する遺伝子(OsSOS2の変異)を簡易に検出できるDNAマーカーを開発しました。このDNAマーカーの活用により、コシヒカリ以外の品種にも放射性セシウムを吸収しにくい性質を効率良く付与することができます。
  6. 本成果は英国科学雑誌「Scientific Reports」(2017年5月25日発行)のオンライン版に掲載されました。
        
      低Csイネjpeg

      


ホームページは

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/075645.html



投稿原著論文は
Satoru Ishikawa, Shimpei Hayashi, Tadashi Abe, Masato Igura, Masato Kuramata, Hachidai Tanikawa, Manaka Iino, Takashi Saito, Yuji Ono, Tetsuya Ishikawa, Shigeto Fujimura, Akitoshi Goto & Hiroki Takagi (2017) Low-cesium rice: mutation in OsSOS2 reduces radiocesium in rice grains. Scientific Reports, 7, 2432.
doi:10.1038/s41598-017-02243-9


(森敏)


付記1:

この研究は福島第一原発事故後の2年後ぐらいから農研機構の石川覚グループで行われていたもので、まさに画期的な成果です。小生は福島第一原発事故後の学術会議主催のシンポジウムで2回にわたって水稲根のセシウムの細胞内への膜輸送にはカリウムのトランスポーターが使われている可能性が高いので、カリウムのトランスポーターが働かなくなったイネの量子ビーム変異株をスクリーニングして低セシウム吸収イネを作出すべきことを提案していました。当初は皆さん「またモリビンがほらを吹いている」という冷たい雰囲気でしたが、日本土壌肥料学会では、その後石川覚グループが量子ビーム育種で、秋田県立大では頼泰樹グループが変異原(アジ化ナトリウムやMNU)を用いてスクリーニングを行って該当遺伝子を同定しています(これらの遺伝子破壊株はカドミウムの場合のようにほぼ100%セシウムを吸収抑制するわけではないということですが)。今回の農研グループの成果はカリウムトランスポーターの破壊株に関する発表ではないですが、先駆的な新種の発明であることは間違いありません。今後、カリウムトランスポーターであるHAKやAKT1などの破壊株の低セシウムコシヒカリの発表が続くものと大いに期待されます。(森敏 記)

 

付記2:

小生は今回の福島第一原発事故後の研究者の在り方として、単にチェリノブイリ原発事故で世界の研究者が明らかにしてきた事の追試的な研究ばかりでなく、サイエンスとして新しい観点からの発明や発見があるべきだとずっと主張し続けてきました。今回の農研機構・岩手生物工学センター・福島県農業総合センターの共同研究の成果は、まさに小生の提案に沿う成果であり、高く評価したいと思います。
 
付記3:過去の農研機構・東大との共同研究による「量子ビーム変異を用いた低カドミウム米の開発に成功」は以下のWINEPホームページとWINEPブログを参照ください。

  WINEPホームページ: http://www.winep.jp/news/153.html

  WINEPブログ:2014/05/14 : 中国の広大なカドミウム汚染土壌に、日本の無・カドミウム米「コシヒカリ環1号」を


2016-10-09 06:18 | カテゴリ:未分類

      現在、日本中の水田では、銀色に稲穂が頭を垂れて、収穫が始まっている。この、イネは下葉(したば)もきれいに銀色に枯れあがっている。これはどいうことかといえば、下葉に蓄積されていたミネラル分やタンパク質やデンプンが葉の細胞内で低分子に分解されて、葉の細胞から出て師管に入り、穂に転流して、種子にミネラルやデンプンやタンパクとして蓄積しているのである。このようにして最終的には穂以外は細胞壁成分のみによる「稲わら」になってしまうのである。

 

     この、作物の栄養成長から生殖成長への体制の質的転換のために、農家はいったん水を切ったり(中干し)するショックを与える。そうすると、葉の細胞の「オートファジー(自己消化、自食、貪食とか日本語に訳されている)」が起こるのである。葉の細胞の中では葉緑体やミトコンドリアや最後には核までが、ごっそりと液胞の中に取り込まれて構造が消失される。消失するということは分解酵素によって低分子になり顕微鏡下や電子顕微鏡下でも見えなくなるということである。

    

     低分子にまで分解された化合物は師管を通って、イネの種子に運ばれる。これが転流ということである。1950年代にすでにこの栄養成長から生殖成長へのイネの体制の質的変化の指標として、アスパラギン・テストというのが当時東大農芸化学科植物栄養・肥料学教室で開発されていた(尾崎清ら)。イネの茎の搾汁液をペーパークロマトグラフィーで1次元展開してアミノ酸の発色試薬であるニンヒドリンで定性的にアスパラギンを同定して、それが増えていればイネが登熟期に入ったという生化学的な栄養診断法であった。このアスパラギン(やグルタミン)は一分子中に抱える窒素(N)の数が多いので、N源の運び屋としてほかのアミノ酸より有利なのである。このときのN源は主として、葉の葉緑体の中の光合成機能を担う「Rubisco」というたんぱく質である。

    

     このようにして、根から吸収された窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)などの必須元素は、いったん葉に移行し、葉での光合成に寄与する。葉で炭酸同化した空気中の炭酸ガス由来の炭素(C)とともに、葉の中での機能を終えると、葉が自己消化を起こして、これらの諸元素は、再び新しい次世代組織(種子)に転流されることにより、植物は脈々と次世代に栄養を受け渡ししているのである。
      
  今回大隅良典氏による食用酵母の観察によるノーベル賞受賞が、「オートファジー」の意味を大衆に知らしめた意義は非常に大きいと思う。しかしすでに各所で解説されているように「オートファジー」は単なる「細胞の不要物質の掃除屋」なのではない。「オートファジー」はすべての生物にとって必須の栄養素の輪廻転生のための機能であることを、小生は植物栄養学の立場から強調しておきたい。

   
  実るほど 頭をたれる 稲穂かな 
  
とは、人は年を取るほど謙虚であれ ということらしいが、この現象の背景に潜むイネの栄養生理は、実は「オートファジー」なのである。
                  
  酵母ばかりでなく、高等植物にも学ぶことは非常に多いのである。
          
(森敏)

 

 

 


2016-08-21 12:05 | カテゴリ:未分類

          男子陸上400メートルリレーでは山本亮太・飯塚翔太・桐生祥秀・ケンブリッジ飛鳥が絶妙な連係プレーで「銀」を獲った。

 

        それぞれの構成員は選手としても超一流であるが、まだ100メートル走では9秒台の記録を持たぬ、世界のトップ一、二の記録を持つ選手ではない。

 

        スポーツは人間がやるものだから、リレー競技では個人ではなく複数の人間が行うことに伴う必要な技術(この場合はアンダーハンドのバトンタッチなど)の創造が絶対的に必要なことであろう。だから、この「銀」の成果は個々人の能力に加うるに選手たちの相互の努力による相乗効果が加わったものである。その技術の絶対的な成就のためにはお互いの選手間の尖った「個」を押さえた「和」の信頼関係が絶対的に必要だったものと思われる。

 

        まさにこの日本のリレー競技は現段階でのスポーツ技術水準の粋を極めた戦いであったというべきだろう。全国民が酔いしれた。

 

        しかし、今回の「銀」の結果は一方では、「和」の精神だけでは、リレー競技では決してトップにはなり得ないのでないのではないか?という疑問も投げかけるものであった。

 

        最終走者のジャマイカのボルト選手はケンブリッジ飛鳥選手とほとんど同時に左手でバトンを受け取り、それをわざわざ余裕で右手に持ち替えて、当初飛鳥と接触しながらも、最終的には、悠々と飛鳥を抜き去ってトップでゴールしている。

 

        小生は、この場面を見ながら、太平洋戦争で日本軍が当時の新鋭機種と称された「零式戦闘機」で真珠湾奇襲攻撃をし、緒戦で勝利を治めたかのごとくであったが、その4年後(昭和20年)にはアメリカは大型遠距離用爆撃機B29を開発し、日本全国土を絨毯(ジュータン)爆撃し焦土化した末に、原爆を落とし日本を敗戦に追い込んだパターンを思い浮かべていた。

 

        秀才の「和」による小細工は時として勝利するのであるが、勝利し続けることは至難の業である。天才の「個」による独創には所詮歯が立たないのである。

 

        あたりまえのことであるが、東京オリンピックまで、あくまでダントツの「オンリーワン」の選手を育てるべきなのである。

 

(森敏)
追記1:余談だが、昭和20年夏、我が郷里高知市はB29の焼夷弾で焼け野原になった。旭駅前町の我が家の防空壕から見た東の空は真っ赤だった。兄たちはその焼け跡にまだ煙にくすぶる焼夷弾の鉄筒を拾いに行って、それを鉄くずとして売ったのだった。戦争を知らない安倍総理には、4年後の東京オリンピックを「一億総何とか::!!」というスローガンでの国威高揚の材料にしてもらいたくないとつくづく思う。
 
追記2:以下は蛇足です。
ボルトによれば彼らのリレーグループは「バトンタッチの練習を1回しかやらなかった」と報じられている。「バトンタッチ」の創意工夫による時間短縮はもともとリレーの本質ではない、あくまで本質は構成メンバーである個々の選手の「走力」なんだ、という認識なんですね。

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