- 2018/04/27 : 英語版字幕の NHKスペシャル『被曝の森 2018 ~見えてきた”汚染循環”~』 の放映予定です
- 2018/04/24 : (再論) ビワの葉の外部被ばく: 山火事による外部被ばくの可能性が大である
- 2018/04/15 : メジロの巣材の高濃度放射能汚染(双葉町)
- 2018/04/03 : 写真家加賀谷雅道さんの写真展『放射線像』が広島のテレビ局2局のニュースで紹介されました!
- 2018/03/19 : 帯化タンポポ 第一号を発見
WINEPブログ
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字幕を英語にしたものが 【NHKワールドテレビ】で全世界に放映されます。
4/29(日)
日本時間
午前0:10~1:00
午前6:10~
12:10~
18:10~
の4回。
同時にインターネットでも視聴可能です。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/live/
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とのことです。
(森敏)
付記1:ぜひ海外の友人たちにも紹介ください。
付記2:受験生や大学の教養課程の学生には、貴重な環境教育の英語版教材になると思います。
昨年浪江町の十万山(じゅうまんやま、標高448.4m)で4月29日に起きた山火事は12日間燃え続け、5月10日午後にようやく鎮火した。焼失面積は50ヘクタール以上。人が立ち入れない区域だけに消火活動も難航した。
この時、福島県やマスコミは、放射能の拡散を危惧する人たちの意見に対して、大したことはないと、風評被害を恐れてか汚染を打ち消すのに躍起だった。我々は、山火事の鎮火後この現場に入ろうとしたのだが、とても入り口から遠くて、日帰りでは危険が伴うので、あきらめた。そのかわりに後日普段採取しているビワの木の葉を採取して、外部付着被ばくがないかどうかを放射線像で確かめてみた。
山火事当時、役場が開示している浪江町小丸地区のやすらぎ荘にある定点観測地点での空間線量は明らかに若干ではあるが上昇していたので、その近傍の民家のビワの葉を採取したのである。ガイガーカウンターでは、さほどの測定値ではなかったのだが、放射線像では、わずかではあるが外部の放射能付着が明らかであった。
図2では1番目の新葉が内部被ばくだけれども、2番,3番,4番の3枚の葉はいずれも外部付着を受けており、この間にどこかから飛んできた放射能があったことを示している。実際に放射能濃度は高くなっている。通常は新葉(図1の写真の一番左の葉)のほうが放射能が高いのであるがここではそうなっていない。

図1.左から、1,2,3,4番と考えてください。それが表1の1,2,3,4番と対応しています。

図2.図1の放射線像 一番左の最新葉以外は汚染スポットがその後の雨などの影響で左の2番目の葉からは順次葉の脇に流れているように見られる(2番目は右側端、3番目は中央から左側に向けて、4番目は左側端)

図3.図2のネガテイブ画像
表1.ビワの葉の放射能。 No.1 の葉は最新葉であり、山火事の当時はまだ出葉していなかったと思われる。

(森敏)
昨年(2017)末に双葉町の空間線量毎時10マイクロ シーベルトの畑の木が、葉が散って枝だけになっていたのだが、よく見ると地上数メートルの枝に鳥の巣が一つかかっていた(後で野鳥の会の山本裕氏にこの写真を見せて同定してもらったところ、これはメジロの巣だということであった)。鳥がいなかったので、アームが長い枝切ばさみで枝を切って、巣を回収した。卵もなかった。周りの空間放射線量が毎時10マイクロ シーベルトとべらぼーに高いので、この巣材自身の放射能がどれくらい高いのかが持参したβ線専用のガイガーカウンターではわからなかった。大学に持ち帰って測ると毎分1100カウント( cpm)であった。これはIPプレートで丸一日感光すれば十分な放射線量であった。放射能を測定すると Cs-134とCs-137の合量で 毎時342800ベクレル/乾物重 と非常に高い濃度であった(表1)。
図3,4,6,7はこの巣を裏表の両面からオートラジオグラフに撮像したものである。枝の部分は放射線量が相対的に低いことがわかる。それに比べて巣材に使われた緑色のコケ類は、放射線量が高い。
この巣の中で卵が孵(かえ)って雛(ひな)になってしばらく経て巣立つまでの全3週間ももし居ると想像すると、積算での被ばく線量は確率的に多分染色体異常などが発生する領域になるはずである。果たしてメジロの雛は無事に飛び立ったであろうか?

図1。 メジロの巣 枝切ばさみで高い枝から回収して、巣の真上から見たもの

図2。 メジロの巣 樹皮の繊維、コケ、ビニールなどでできていることがわかる。オートラジオグラフにかけるときに平らにつぶした状態

図3。 図2のオートラジオグラフ。木の小枝はあまり汚染していないが(むしろ小枝でその下の巣材からくる放射線が遮断されていることがわかる)、巣材のコケ類の汚染のされ方が濃淡さまざまであることがわかる。 黒い部分はコケの根についた泥と思われる。

図4。 図3のネガテイブ画像

図5。 図2の巣材を裏側から見たもの

図6。 図5のオートラジオグラフ

図7。 図6のネガテイブ画像
表1 メジロの巣材の放射能

東京電力福島第一原子力発電所の事故で被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、目に見えない放射線を写し出した写真の展示会が広島市で開かれています。
展示会は原発事故の影響について考えてもらおうと開かれ、会場には、被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、放射線を写し出した「放射線像」と呼ばれる写真30点が展示されています。
写真家の加賀谷雅道さんが放射能汚染の実態を数値以外で表現しようと、放射線を白く写し出す装置を使って撮影したもので、より強い放射線はより白く写ります。
このうち、浪江町の公園にあったサッカーボールは、濃淡の異なる白い斑点のような模様に覆われ、放射能に汚染された状況をはっきりと写し出しています。
また、福島第一原発からおよそ9キロの場所にあった長靴も、白く写し出された放射線にびっしりと覆われています。
主催したグループの代表の西村恵美子さんは「震災から7年がたち広島に住む私たちにとって、福島の問題はどこか遠い話しになっているように思う。多くの人に見えない放射線を見てもらい福島で何が起きているのか少しでも知ってほしい」と話していました。
展示会は広島市中区の旧日本銀行広島支店で、4月5日まで開かれています。
原発事故から7年余り、目に見えない『放射線』を特殊な技術を使って撮り続けている写真家の作品展が、広島市で開かれています。
福島県浪江町の屋外に放置されていた長靴の写真には、特殊な技術を使い放射性物質が付着した部分が白く映しだされています。
広島市中区の旧日本銀行広島支店で開かれている写真展『放射線像』は、加賀谷雅道さんが東日本大震災発生の後、被災地で集めた生活用品や植物などの写真およそ30点が展示されています。
エックス線写真の原理を用い、目に見えない放射性物質の分布や強弱がわかるように工夫されていて、放射能汚染の現状を静かに訴えています。
【写真家・加賀谷雅道さん】
「忘れてもいいんですよ、考えなきゃいけないことは過去を思い出すときは思い出して、やっぱり未来だと思うんですね、子どもたち次世代のためにあの事故を教訓として何をすべきかという…」
写真展は、来月5日まで開かれています。
図2.開花した東大農学部のシロバナタンポポ
図3 右の部分に帯化タンポポが湾曲して見える。極端に倭化した西洋タンポポである。
図4.図3の拡大図
図3.帯化タンポポを根元からむしり取った。まだ完全に開花していない。
文京区では東大農学部の南面石垣下の言問い通り側の道路沿いに、3月11日にタンポポの開花が認められた。この場所は、南に面していて石垣で温められるためか、いつも西洋タンポポの開花が早い。今年は例年になく開花が早かった(図1)
この日は詳細に観察すると農学部構内でもシロバナタンポポが開花し始めていた。(図2)
そこで、3月18日に、さっそく6時に起きて某所にタンポポの観察に出かけた。早朝にはあまり咲いていなかったのだが昼頃になると次々と咲き始めたので少し慌てた。
そして早くも今年の第一号の帯化タンポポを見つけた。(図3、図4、図5)。
WINEPの読者には毎年呼び掛けておりますが、身近に帯化タンポポを見つけたら、
あてに、発見場所、発見日、帯化タンポポや付近の写真を添付でお送りいただければ幸いです。心からお待ちしております。
タンポポといえども汲みつくせないものがあります。たかがタンポポ、されどタンポポ。
(森敏)
追記:タンポポの帯化(たいか)奇形については、もちろん放射線の影響かどうかを考えて、長期の観察を続けているものです。小生たちは、タンポポの帯化がエピジェネテイックな変異で次世代にも遺伝することを確かめて、一昨年の日本土壌肥料学会ですでに報告しております。
タンポポの帯化遺伝子は次世代に遺伝する
森敏・中西板井玲子・安彦友美・森淳・山川隆・丹羽勝・中西啓仁
土肥要旨集 第62集(2016)p151.
過去の以下のWINEPブログの記事をクリックしてご参照ください。
- 2017/04/27 : 二本松市の2箇所でタンポポの奇形集団を発見した
- 16/05/28 : 今年飯舘村で遭遇した奇形タンポポの群生地
- 2015/04/14 : 宇治平等院付近を散策した
- 2014/09/20 : 巨大イチゴと巨大タンポポは同じ機作の変異であると思われる
- 2014/06/10 : 読者による奇形タンポポ調査
- 2014/05/27 : 奇形タンポポの異常に高い発生率
- 2014/04/17 : 今年も東京でみられはじめた奇形タンポポ
- 2013/07/27 : ”ひまわる”と奇形タンポポの類似性
- 2013/06/17 : タンポポの不思議
- 2013/06/02 : (続報)東京の異常タンポポから福島の多様な奇形タンポポ発生の機序を考察する
- 2013/05/26 : タンポポの多様な奇形花房発見!! :植物に対する放射線の影響(II)
- 2011/05/17 : 放射能汚染タンポポの葉の放射線像