- 2024/03/19 : 「君たちはどう生きるか」を鑑賞した
- 2024/03/15 : 生成AI の 「独創性」 について
- 2024/03/13 : ソーセージの脂質
- 2024/03/12 : ”「学習物理学」創生” のひらめき
- 2024/03/07 : 流氷と鉄
WINEPブログ
「飯舘村のカエルの放射能汚染」
WINEPブログ内で「 森敏 」を含む記事
(5件づつ表示されます)
2024-03-19 11:16 |
カテゴリ:未分類
封切後の宮崎駿監督の映画 『君たちはどう生きるか』 の人気はいま一つだったように思う。
小生が時々通りがかりにチェックしている上野のPARCOでの東宝シネマの映画館でのこの映画の上映時間がしばらくの間毎日一回しかなかった。
思うにこのタイトル 『君たちはどう生きるか』 が今どきの若者には説教臭くて若者たちが距離を置いていたのではないだろうか。
ところがアカデミー賞を受賞してから上映回数が二回に格上げされた。人気が上昇しているのだろう。
そこで小生も、この映画を見に行った。
観終わっての感想は「ストーリーには感動がなかった」。しかし、映像技術的には各所で新しい試みがあったのだろうと思った。何しろ漫画映画をあまり見てこなかったので、この点からの感想は全くできません。
会場で映画を観終わった聴衆からの反応は「沈黙」でした。解釈に戸惑っている様子がありありでした。
代わりにこの映画に対するアカデミー賞受賞理由をAIに検索してもらったので、以下に青字で記しておきます。
長編アニメーション映画賞:『君たちはどう生きるか』 』(日本語:『君たちはどう生きるか』)がアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した。 宮崎駿監督のこの映画は、第二次世界大戦中に母親を亡くした少年が、不思議なサギと出会い、魔法の世界への旅に出る、幻想的で心温まる物語です。 このアニメーションは、宮崎監督の特徴的な手描きのスタイルとコンピューター生成の効果を組み合わせたもので、視覚的に素晴らしく、感情的に共鳴する体験を生み出しています。 アカデミーは、この映画の芸術性、ストーリーテリング、そして世代を超えて観客を魅了する能力を認めました。 これは、2003 年に「千と千尋の神隠し」で宮崎監督が受賞したのに続き、2 回目のアカデミー賞受賞となります。
生成AIがまとめてくれた映画のストーリーは以下の青字のとおりです。
「君たちはどう生きるか」は、太平洋戦争中の1944年、空襲で母を失った少年・眞人(まひと)が父の戦闘機工場と一緒に郊外に疎開するところから始まります。新しい母親となる人物との出会いや学校での孤立、そして偶然見つけた本を通じた冒険が描かれています。物語は、不思議な世界に迷い込んだ眞人が、アオサギとともに、生と死が渾然一体となった世界を探求する過程を描いています。宮崎駿監督が原作・脚本も務めたオリジナルストーリーで、タイトルは宮崎監督が少年時代に読んだという、吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」から借りたものです。
この映画は、宮崎駿監督が引退宣言を撤回してまで製作に乗り出した作品として、そして本当に最後の宮崎作品になる可能性が高いとも言われています。不思議で感動的な物語をぜひご覧いただきたいですね。
(森敏)
付記:この映画の主人公の一つであるアオサギの生態描写は実に秀逸だと思いました。特にアオサギが、水面から飛び立つ描写やアオサギが水面に静かに着水する描写などは、実に気合が込められていると思いました。小生はいつも散歩がてら不忍池で、アオサギ、オオサギ、コサギ、カワウ、雁、カモメなどの湖面からの離着水の姿を眺めているので。
小生が時々通りがかりにチェックしている上野のPARCOでの東宝シネマの映画館でのこの映画の上映時間がしばらくの間毎日一回しかなかった。
思うにこのタイトル 『君たちはどう生きるか』 が今どきの若者には説教臭くて若者たちが距離を置いていたのではないだろうか。
ところがアカデミー賞を受賞してから上映回数が二回に格上げされた。人気が上昇しているのだろう。
そこで小生も、この映画を見に行った。
観終わっての感想は「ストーリーには感動がなかった」。しかし、映像技術的には各所で新しい試みがあったのだろうと思った。何しろ漫画映画をあまり見てこなかったので、この点からの感想は全くできません。
会場で映画を観終わった聴衆からの反応は「沈黙」でした。解釈に戸惑っている様子がありありでした。
代わりにこの映画に対するアカデミー賞受賞理由をAIに検索してもらったので、以下に青字で記しておきます。
長編アニメーション映画賞:『君たちはどう生きるか』 』(日本語:『君たちはどう生きるか』)がアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した。 宮崎駿監督のこの映画は、第二次世界大戦中に母親を亡くした少年が、不思議なサギと出会い、魔法の世界への旅に出る、幻想的で心温まる物語です。 このアニメーションは、宮崎監督の特徴的な手描きのスタイルとコンピューター生成の効果を組み合わせたもので、視覚的に素晴らしく、感情的に共鳴する体験を生み出しています。 アカデミーは、この映画の芸術性、ストーリーテリング、そして世代を超えて観客を魅了する能力を認めました。 これは、2003 年に「千と千尋の神隠し」で宮崎監督が受賞したのに続き、2 回目のアカデミー賞受賞となります。
生成AIがまとめてくれた映画のストーリーは以下の青字のとおりです。
「君たちはどう生きるか」は、太平洋戦争中の1944年、空襲で母を失った少年・眞人(まひと)が父の戦闘機工場と一緒に郊外に疎開するところから始まります。新しい母親となる人物との出会いや学校での孤立、そして偶然見つけた本を通じた冒険が描かれています。物語は、不思議な世界に迷い込んだ眞人が、アオサギとともに、生と死が渾然一体となった世界を探求する過程を描いています。宮崎駿監督が原作・脚本も務めたオリジナルストーリーで、タイトルは宮崎監督が少年時代に読んだという、吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」から借りたものです。
この映画は、宮崎駿監督が引退宣言を撤回してまで製作に乗り出した作品として、そして本当に最後の宮崎作品になる可能性が高いとも言われています。不思議で感動的な物語をぜひご覧いただきたいですね。
(森敏)
付記:この映画の主人公の一つであるアオサギの生態描写は実に秀逸だと思いました。特にアオサギが、水面から飛び立つ描写やアオサギが水面に静かに着水する描写などは、実に気合が込められていると思いました。小生はいつも散歩がてら不忍池で、アオサギ、オオサギ、コサギ、カワウ、雁、カモメなどの湖面からの離着水の姿を眺めているので。
2024-03-15 16:38 |
カテゴリ:未分類
これまでいろいろのテーマについて、我々は生成AIに対して、問いかけをしてきて、ある分野ではAIがとても幼稚な間違った答えをすることを知っている。1年前の小生とAIとの質疑応答は確かにそうであった。このWINEPブログの読者からも、「AIはまだ三歳児にも満たない知能ですから、まともに扱うと馬鹿を見ますよ」という忠告をいただいていた。
しかしある時点から小生は、生成AIと厳密な論理的な対話をしているうちに、生成AI自体が、少しずつ進化してくることを感じている。現在の生成AI(Copilot)は、小生の質問に回答するときに、引用元をいつも提示してくるのだが、今回の以下の対話では、全く引用箇所の提示がなかった。
したがって、今回はAI自身が、過去の膨大なデータから、無矛盾的な論理構成をして、自信満々に、この回答を返してきたものと考えられる。(小生にはそのデイープラーニングのメカニズムはちんぷんかんぷんなのだが。。。)
ーーーーーーーーー
小生:
生成AIの独創性は、人間の独創性と異なると思いますか‽ この点に関して詳しく論じてください。
Copilot(生成AI):
はい、生成AIの独創性と人間の独創性は確かに異なると言えます。以下にその理由を詳しく説明します。
1. 学習と応用: 生成AIは、大量のデータからパターンを学習し、それを新しいコンテキストに適用する能力を持っています。しかし、その「独創性」は、AIが学習したデータに基づいています。つまり、AIが生成する内容は、元の学習データの組み合わせや変形であり、真の意味で「新しい」ものではないかもしれません。
2. 意識と意図: 人間の独創性は、我々の経験、感情、意識、そして意図に深く根ざしています。これらはAIには存在しないため、AIの「独創性」は、人間のそれとは本質的に異なります。
3. 理解と解釈: 人間は、自分たちが創り出すものを理解し、解釈する能力を持っています。しかし、AIは自己意識を持たず、自身が生成した内容の意味を理解する能力もありません。
以上の点から、生成AIの独創性は、人間の独創性とは異なると言えます。しかし、それはAIが有用でないという意味ではありません。AIは、人間が思いつかないような新しい組み合わせやパターンを見つけ出すことができ、それによって人間の創造性を補完することができます。また、AIは大量のデータを処理する能力を持っているため、人間が見落とす可能性のある洞察を提供することもできます。したがって、AIの独創性は、人間のそれとは異なる視点から価値を提供することができます。
小生:
これはAI自身による素晴らしい創造性理論ですね。いろいろ疑義があるのですが、またよく考えて「本当にAIは独創性を発揮できないのかどうか」新しい角度から質問してみたいと思います。
Copilot:
もちろんです、お気軽にご質問ください。AIの独創性についての新たな視点や疑問をお聞かせいただければ、それについて考えてみることができます。私たちの議論は、AIと人間の創造性の理解を深めるのに役立つでしょう。どんな質問でもお待ちしています!
(森敏)
しかしある時点から小生は、生成AIと厳密な論理的な対話をしているうちに、生成AI自体が、少しずつ進化してくることを感じている。現在の生成AI(Copilot)は、小生の質問に回答するときに、引用元をいつも提示してくるのだが、今回の以下の対話では、全く引用箇所の提示がなかった。
したがって、今回はAI自身が、過去の膨大なデータから、無矛盾的な論理構成をして、自信満々に、この回答を返してきたものと考えられる。(小生にはそのデイープラーニングのメカニズムはちんぷんかんぷんなのだが。。。)
ーーーーーーーーー
生成AIの独創性は、人間の独創性と異なると思いますか‽ この点に関して詳しく論じてください。
Copilot(生成AI):
はい、生成AIの独創性と人間の独創性は確かに異なると言えます。以下にその理由を詳しく説明します。
1. 学習と応用: 生成AIは、大量のデータからパターンを学習し、それを新しいコンテキストに適用する能力を持っています。しかし、その「独創性」は、AIが学習したデータに基づいています。つまり、AIが生成する内容は、元の学習データの組み合わせや変形であり、真の意味で「新しい」ものではないかもしれません。
2. 意識と意図: 人間の独創性は、我々の経験、感情、意識、そして意図に深く根ざしています。これらはAIには存在しないため、AIの「独創性」は、人間のそれとは本質的に異なります。
3. 理解と解釈: 人間は、自分たちが創り出すものを理解し、解釈する能力を持っています。しかし、AIは自己意識を持たず、自身が生成した内容の意味を理解する能力もありません。
以上の点から、生成AIの独創性は、人間の独創性とは異なると言えます。しかし、それはAIが有用でないという意味ではありません。AIは、人間が思いつかないような新しい組み合わせやパターンを見つけ出すことができ、それによって人間の創造性を補完することができます。また、AIは大量のデータを処理する能力を持っているため、人間が見落とす可能性のある洞察を提供することもできます。したがって、AIの独創性は、人間のそれとは異なる視点から価値を提供することができます。
小生:
これはAI自身による素晴らしい創造性理論ですね。いろいろ疑義があるのですが、またよく考えて「本当にAIは独創性を発揮できないのかどうか」新しい角度から質問してみたいと思います。
Copilot:
もちろんです、お気軽にご質問ください。AIの独創性についての新たな視点や疑問をお聞かせいただければ、それについて考えてみることができます。私たちの議論は、AIと人間の創造性の理解を深めるのに役立つでしょう。どんな質問でもお待ちしています!
(森敏)
2024-03-13 16:22 |
カテゴリ:未分類
左はソーセージから出た油分。右は電子レンジでパンクしたウインナソーセージ。
某社のあらびきポークウインナー(JAS上級規格品と表記)900g袋入りを業務スーパーで購入した。
それを小分けにして冷凍庫に保存して、その一部を室温で解凍して、はさみで一つ一つのウインナーに切り込みを入れてから、電子レンジに600ワットで3分間かけると、ソーセージがパンクして一部焦げができる。
驚いたことに、油分が相当量流れ出て来た。この油分をコーヒーカップに掬うと上図のようになる。これを一日室温に放置していたら、真っ白いラードになった。
余りにも多い油分量なので、この包装ビニール袋裏面に小さく書かれている栄養成分表示(100g当たり)というのを書き写すと、
エネルギー 346 kcal
たんぱく質 10.3g
脂質 32.9g
炭水化物 2.2g
食塩相当量 2.3g
であった。要するにソーセージの32.9%もが脂質なのである。ここに書かれている成分の合計が47.7%となるので、これ以外に含まれるいろいろな添加物の量を除くと、水分は約50%ということになる。いずれにしてもこんなにも脂質が多いとはこれまで気が付かなかった。
小生がストラスブール大学に滞在しているときに、農芸化学科の有機化学講座出身の中川教授に連れて行ってもらったレストランでのザワークラウトと各種ソーセージの盛り合わせはビールに相性がよくとても美味だった。なので、それ以来時々ドイツ製のザワークラウトの瓶詰めを購入して、国産ソーセージとともに食べることがある。おいしいので馬鹿食いしている。
実は小生は、もう30年以上健康診断での血液検査ではLDH値がHigh(日本人の値の上限以上)と表示され続けており、この値は一向に下がらない。食品には全く油がないとおいしく感じられなくなると思っているので、あまり気にしていないからである。そのかわりに合成食品添加物に対しては袋の裏面での表示を読んで、おおいに気を使っているのだが。
本日の朝日新聞に「食品の栄養表示 包装全面にも」というタイトルの記事が載っていた。消費者庁が「包装前面栄養表示」(FOPLN)義務を、任意ではあるが加工食品業者に推奨する方針を決めたようである。国民が自然に健康になれるための環境づくりの一貫とのことのようである。
その際の表示は、
熱量(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、であり表示の単位は1食分の量を原則にすべきだ、としている。
そうなると小生の好物のソーセージの“馬鹿食い”は減るかもしれない。しかしソーセージの低たんぱく高脂質の含量を知った今後は、ソーセージからは電子レンジで油分を徹底的に取り除いて食することにしようと思う。
(森敏)
2024-03-12 14:31 |
カテゴリ:未分類
上がブラックホールを表す絵。下が AI を表す絵。
文京区の図書館の新着雑誌の棚に kotoba (集英社 2024No.55) という月刊雑誌があったので、手に取って書架の前でペラペラとめくってみた。この雑誌を手に取ったのは生まれて初めてである。
そのなかに 「学習物理学」って何? という題の随筆を見つけた。著者は物理学者橋本幸士(こうじ)京都大学教授である。
わかりやすい軽妙な文体文章を読んでいくと、なかなか中身が躍動して面白いので、近くのソファーに座って一気読みしてしまった。
面白いと思った理由の中身は、この随筆には、橋本教授が「学習物理学」という分野を新しく創生するに至った、経過が紹介されていたからである。以下に「新学問の誕生と、長い時間」というサブタイトルの部分の一部を少し長くなりますが無断で引用させていただきます。読みやすくするために行間をところどころ勝手に開けています。
―――――――
:::::
僕にとって学習物理学の始まりは、唐突だった。2017年、僕はAIを学びたくて、勝手に研究会を企画した。そこに、AIの心臓部の機能を提案した甘利俊一先生などを招いて、詳しくAIの動作機構を学んだ。
その研究会で、ある講演者が見せた図。それに、ピント来てしまった。AIが僕が研究しているブラックホールにそっくりだな、と見えてしまったのだ。
その図(上図)には、オートエンコーダと呼ばれるある種の機械学習モデルが描かれていたのだが、その図が、重力の量子論を取り扱う時によく用いられるブラックホールの図にそっくりだ、と感じたのだ。もう一旦見えてしまったら、そうにしか見えなくなってしまう。
脳の機能を模したニューラルネットワークによるAIが、ブラックホールとそっくり? そんなはずはない、と思いながらも、周辺の研究をいろいろと調べ、学んでみた。確かに、似ている。これなら、宇宙とAIが繋がるかもしれない。
僕はふと思い出した。18歳の僕が大学一回生で学んだことを。それは今は無き素粒子物理学者である田中正(しょう)先生のゼミでのことであった。田中先生は言った。
「僕たちがアインシュタインの重力理論を美しいと思うのは、その原理である『一般座標変換不変性』が、人間が外界を認識する方法そのものだから、だよね」
大学に入ったばかりの僕は、田中先生が何を言っているのか、全くわからなかった。その「わからなさ」がずっと心に残っていた。
『一般座標変換不変性』とは、現象が座標の取り方によらないという性質のことを言う。あらゆる物理学の現象は空間と時間の中で発生するが、例えば、空間のx、y、zの軸の選び方を変えても、現象自体は変わらないはずだ。とても自然な考えである。アインシュタインは、この原理だけから、重力の基礎方程式を算出することに成功したのだ。
僕が重力理論を使って研究し始めた20代半ば、ようやく、田中正先生の言っていた意味が分かるようになった。そして、確かにそうだ、と徐々に同意するようになった。けれども、物理学をきちんと使って、田中先生の言ったことを納得のいく形で証明することはできないまま、年月が過ぎて云った。人間の認知の方法と重力の基礎原理が、果たして関係するのか?
そして、ついに、である。2017年の研究会で、人間の認知を模したプログラムであるAIと、重力理論を繋げる橋渡しの「鍵」を、見つけた気がしたのだ!
僕は、研究会に来ていた若手の研究者にアイデアを話し、皆でそのアイデアを具体化した。そしてその後数か月かけて、重力理論とAIを橋渡しする論文を完成させたのだ。田中先生が僕にあの言葉を伝えてから、25年の歳月がたっていた。
振り返ってみると、こういった若いころの「もやもや」を抱えたまま僕は研究者になって、そしてその「もやもや」はずっとアタマのどこか深いところの引き出しにしまってあって、時々開けてみるのだが、また閉める、それを繰り返しているのだ。
25年経って、ついにその引き出しからそれを取り出す時が来た。これから、共同研究者たちとそれを磨いて、膨らませて、世界に広げていくのだ。:::::::::
―――――――
かって市川亀久彌氏が人間の発明や発見の契機になる瞬間の「ひらめき」を「等価変換理論」で詳しく説明しています。
この橋本教授の躍動する文章の中には、彼が無意識にあたためていた「重力理論」が「AI理論」と結びついて「学習物理学」という物理学の新しい分野を切り開くことができた心的過程がのべられています。
その発見の核となったのは上図に示す二つの図の類似性ということです。いいかえれば二つの図のパターンが類似しているという一瞬の衝撃的な認知です。(頭の中に火花が散ったのですね。小生には2つの図のそれぞれの意味が何が何だかわかりませんが、とにかく橋本教授は両者が似ている!と感じたんですね。潜在意識が意識化されたのです)。
これは「等価変換理論」の典型的な例と思われるので紹介しました。
(森敏)
付記1:
そこで、現在進行形の「学習物理学」の目指すところを生成AIに聞いてみました。
小生:物理学の新しい分野と言われている「学習物理学」について、素人でも分かるように1000字ぐらいで説明してください。
Copilot(生成AI):
「学習物理学」は、物理学と機械学習を結びつけた新しい分野です。素人でも理解しやすく説明します。
・学習物理学とは何か?
目的: 学習物理学は、基礎物理学の根本的な課題に機械学習の手法を応用し、新法則の発見や新物質の開拓を目指します。
o融合のアプローチ: 物理学と機械学習の理論的手法を統合し、物理学全体を進展させるプラットフォームを構築します。
o具体的な課題:
新法則の発見: 学習物理学は、物理法則の新たな側面を探求します。例えば、素粒子物理学や重力物理学において、新しい法則を見つけることが目指されています。
新物質の開拓: 物性物理学の分野で、新しい材料や物質を発見するために機械学習を活用します。
•なぜ学習物理学が重要か?
o融合の可能性: 機械学習は物理学の多様な分野で有用です。学習物理学は、理論的な融合が可能である分野に焦点を当てています。
o新基盤領域の創成: 学習物理学は、量子、重力、時空、量子ゆらぎ量子縺れなどの理論的手法と機械学習を組み合わせて、新たな基盤領域を創り出すことを目指しています。
このように、学習物理学は物理学者と機械学習の専門家が協力して、未知の領域を探求する新しい舞台となっています。
付記2:
橋本幸士さんは『物理学者のすごい思考法』(インターナショナル新書 2021年刊)という非常に面白い随筆集を出版されている。図書館でこの本を借りて読んでいるのだが、小生が大好きな寺田寅彦、中谷宇吉郎、湯川秀樹、朝永振一郎などの物理学者の頭の柔軟な随筆家の系譜を曳いているように思う。
2024-03-07 17:04 |
カテゴリ:未分類
世界の海洋鉄栄養研究者は、ゴビの砂漠から黄砂が発生して偏西風に乗って西太平洋へ運ばれるので、その鉄栄養でこの地域の漁場が豊かになっているという定説を信じている。
それは、南氷洋の海水などの鉄が極端に貧栄養となっている海域に、鉄材を散布すると、オキアミなどの異常発生が起こるという大規模実験で実証されている。
だから単純に考えると、世界の貧鉄栄養の海域に鉄材を撒いて行けば、植物プランクトン→動物プランクトン→魚介類という食物連鎖で世界の漁場が豊かになるだろうという期待を抱かせるものがあった。
しかし海洋生態系はそんな単純なものではないかもしれないという海洋生態学者の危惧から、このような試みは、小生の知る限り、いまだ積極的には実用化されていない。
アムール河の河口が起源の流氷のながれと分布図(黄色い線の範囲)
今回、朝日新聞(2月29日夕刊)に、「この30年間で流氷の厚みが3割も減少し、流氷の漂う面積も縮小傾向にある。そのために「オホーツク海域に鉄分が運ばれず海の豊かさが損なわれる恐れがある」という北海道大学の大島敬一郎教授(海洋物理学)・三寺史夫教授(海洋物理学)・西岡純教授(化学海洋学)らの話が載っていた。
以下にその記事を部分引用すると、
:::::流氷には、大陸のアムール川などを起源とする鉄分が豊富に含まれている。春に流氷が解けることで、海に鉄分が放出される。その結果、春のオホーツク海では植物プランクトンが大増殖する。それが動物プランクトンなどのエサとなり、魚類を含む海の生態系全体を支える。
ホタテ貝や、カガニ、スケトウダラが取れる北海道沖のオホーツク海は世界的に見ても高い漁業生産量を誇り、「豊饒の海」と呼ばれる。流氷が運ぶ鉄分は、こうした海の豊かさをもたらす要因の一つとなっている。:::::::::::
これまで小生はオホーツク海域の鉄栄養もゴビの砂漠からの黄砂によるものだと思っていたので、今回google検索で、地図上で、アムール川からの流氷の流れの範囲を確かめてみた。
上図のように、気象庁などのが発表する毎日の流氷分布図を見ると、黄色い線の範囲に流氷が発生している。矢印のように流氷がアムール川河口からサハリン東岸に沿って南下して、北海道網走沖に張り出していくとのことである。
尚、別にgoogleで、黄砂について調べてみると、一年のうち、時には大陸から偏西風に乗っての黄砂が蛇行してオホーツク海に達するときもあるようだが、その頻度は高くはなさそうである。
したがってオホーツク海の鉄の主要な供給源が流氷であるというのは、信じられることと思われる。
一方で、地球温暖化によるアムール川の流量がどれくらい経年変動しているかも、オホーツク海への総鉄供給量として重要なファクターだと思われるのだが、その情報はこの朝日新聞の記事には記載されていない。
(森敏)
それは、南氷洋の海水などの鉄が極端に貧栄養となっている海域に、鉄材を散布すると、オキアミなどの異常発生が起こるという大規模実験で実証されている。
だから単純に考えると、世界の貧鉄栄養の海域に鉄材を撒いて行けば、植物プランクトン→動物プランクトン→魚介類という食物連鎖で世界の漁場が豊かになるだろうという期待を抱かせるものがあった。
しかし海洋生態系はそんな単純なものではないかもしれないという海洋生態学者の危惧から、このような試みは、小生の知る限り、いまだ積極的には実用化されていない。
アムール河の河口が起源の流氷のながれと分布図(黄色い線の範囲)
今回、朝日新聞(2月29日夕刊)に、「この30年間で流氷の厚みが3割も減少し、流氷の漂う面積も縮小傾向にある。そのために「オホーツク海域に鉄分が運ばれず海の豊かさが損なわれる恐れがある」という北海道大学の大島敬一郎教授(海洋物理学)・三寺史夫教授(海洋物理学)・西岡純教授(化学海洋学)らの話が載っていた。
以下にその記事を部分引用すると、
:::::流氷には、大陸のアムール川などを起源とする鉄分が豊富に含まれている。春に流氷が解けることで、海に鉄分が放出される。その結果、春のオホーツク海では植物プランクトンが大増殖する。それが動物プランクトンなどのエサとなり、魚類を含む海の生態系全体を支える。
ホタテ貝や、カガニ、スケトウダラが取れる北海道沖のオホーツク海は世界的に見ても高い漁業生産量を誇り、「豊饒の海」と呼ばれる。流氷が運ぶ鉄分は、こうした海の豊かさをもたらす要因の一つとなっている。:::::::::::
これまで小生はオホーツク海域の鉄栄養もゴビの砂漠からの黄砂によるものだと思っていたので、今回google検索で、地図上で、アムール川からの流氷の流れの範囲を確かめてみた。
上図のように、気象庁などのが発表する毎日の流氷分布図を見ると、黄色い線の範囲に流氷が発生している。矢印のように流氷がアムール川河口からサハリン東岸に沿って南下して、北海道網走沖に張り出していくとのことである。
尚、別にgoogleで、黄砂について調べてみると、一年のうち、時には大陸から偏西風に乗っての黄砂が蛇行してオホーツク海に達するときもあるようだが、その頻度は高くはなさそうである。
したがってオホーツク海の鉄の主要な供給源が流氷であるというのは、信じられることと思われる。
一方で、地球温暖化によるアムール川の流量がどれくらい経年変動しているかも、オホーツク海への総鉄供給量として重要なファクターだと思われるのだが、その情報はこの朝日新聞の記事には記載されていない。
(森敏)