2018-04-24 19:49 | カテゴリ:未分類
   

  昨年浪江町の十万山(じゅうまんやま、標高448.4m)で4月29日に起きた山火事は12日間燃え続け、5月10日午後にようやく鎮火した。焼失面積は50ヘクタール以上。人が立ち入れない区域だけに消火活動も難航した。
 
     この時、福島県やマスコミは、放射能の拡散を危惧する人たちの意見に対して、大したことはないと、風評被害を恐れてか汚染を打ち消すのに躍起だった。我々は、山火事の鎮火後この現場に入ろうとしたのだが、とても入り口から遠くて、日帰りでは危険が伴うので、あきらめた。そのかわりに後日普段採取しているビワの木の葉を採取して、外部付着被ばくがないかどうかを放射線像で確かめてみた。

     山火事当時、役場が開示している浪江町小丸地区のやすらぎ荘にある定点観測地点での空間線量は明らかに若干ではあるが上昇していたので、その近傍の民家のビワの葉を採取したのである。ガイガーカウンターでは、さほどの測定値ではなかったのだが、放射線像では、わずかではあるが外部の放射能付着が明らかであった。

     図2では1番目の新葉が内部被ばくだけれども、2番,3番,4番の3枚の葉はいずれも外部付着を受けており、この間にどこかから飛んできた放射能があったことを示している。実際に放射能濃度は高くなっている。通常は新葉(図1の写真の一番左の葉)のほうが放射能が高いのであるがここではそうなっていない。

 
 
 



 
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 図1.左から、1,2,3,4番と考えてください。それが表1の1,2,3,4番と対応しています。



 

 
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図2.図1の放射線像 一番左の最新葉以外は汚染スポットがその後の雨などの影響で左の2番目の葉からは順次葉の脇に流れているように見られる(2番目は右側端、3番目は中央から左側に向けて、4番目は左側端)
 
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 図3.図2のネガテイブ画像





 表1.ビワの葉の放射能。 No.1 の葉は最新葉であり、山火事の当時はまだ出葉していなかったと思われる。
 

 
ビワの葉外部被ばくjpeg 


(森敏)
 

 
 
2018-04-15 08:33 | カテゴリ:未分類

  昨年(2017)末に双葉町の空間線量毎時10マイクロ シーベルトの畑の木が、葉が散って枝だけになっていたのだが、よく見ると地上数メートルの枝に鳥の巣が一つかかっていた(後で野鳥の会の山本裕氏にこの写真を見せて同定してもらったところ、これはメジロの巣だということであった)。鳥がいなかったので、アームが長い枝切ばさみで枝を切って、巣を回収した。卵もなかった。周りの空間放射線量が毎時10マイクロ シーベルトとべらぼーに高いので、この巣材自身の放射能がどれくらい高いのかが持参したβ線専用のガイガーカウンターではわからなかった。大学に持ち帰って測ると毎時1100カウント( cpm)であった。これはIPプレートで丸一日感光すれば十分な放射線量であった。放射能を測定すると Cs-134とCs-137の合量で 毎時342800ベクレル/乾物重 と非常に高い濃度であった(表1)。
         
 

  図3467はこの巣を裏表の両面からオートラジオグラフに撮像したものである。枝の部分は放射線量が相対的に低いことがわかる。それに比べて巣材に使われた緑色のコケ類は、放射線量が高い。 
           
  この巣の中で卵が孵(かえ)って雛(ひな)になってしばらく経て巣立つまでの全3週間ももし居ると想像すると、積算での被ばく線量は確率的に多分染色体異常などが発生する領域になるはずである。果たしてメジロの雛は無事に飛び立ったであろうか?
 
 
 




 スライド1
図1。 メジロの巣 枝切ばさみで高い枝から回収して、巣の真上から見たもの
 
 
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図2。 メジロの巣 樹皮の繊維、コケ、ビニールなどでできていることがわかる。オートラジオグラフにかけるときに平らにつぶした状態 
 
 
 
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図3。 図2のオートラジオグラフ。木の小枝はあまり汚染していないが(むしろ小枝でその下の巣材からくる放射線が遮断されていることがわかる)、巣材のコケ類の汚染のされ方が濃淡さまざまであることがわかる。 黒い部分はコケの根についた泥と思われる。
 
 

 
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図4。 図3のネガテイブ画像
 
 
 
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図5。 図2の巣材を裏側から見たもの
 
 

 
 
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図6。 図5のオートラジオグラフ 
 
 
   
   
 
 
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図7。 図6のネガテイブ画像

 
   

   
 
表1 メジロの巣材の放射能

メジロの巣材jpeg
 
 
2018-03-26 12:32 | カテゴリ:未分類
 

  昨年(2017年)の春、帰還困難区域に指定されている浪江町津島地区で、車を転がしていると、道路端に水たまりがあり、そこにタンポポが生えていた。水に永く浸かると、たぶんタンポポは枯れると思われるのだが、ここは、雨が降った時は5センチぐらいの水たまりになり、天気になると、蒸発して水が引けるので、地面が乾湿を繰り返していると思われた。それゆえにタンポポ種子は、前年度の2016年の秋ごろに発芽後も、真冬を生きながらえて、何とか、けなげにも花が3輪咲くところまで生長していったのだと思われた。(図1) 
  
  タンポポを根の際で根を切断して地上部のみを採取して、新聞紙を何回も取り換えて、植物体を完全に乾かして、オートラジオグラフを撮像すると、高濃度に放射能が全身にいきわたっていた。採取時に根の部分を掘り出すのは困難だったので、根は写っていない。根のすぐ上の茎の付けねの部分は、20年ほど前に小生が高崎の原子力研究所で見出し discrimination center (デイスクリーミネイションセンター)と命名したのだが、オートラジオグラフではこの部分が非常に濃く撮像され(図2、図3)、泥のコンタミもあってか放射能が非常に高いことがわかる(表1)。

    


  

 
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図1.水浸タンポポ
  


  

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図2.図1のオートラジオグラフ

  
  


  
 
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図3.図2のネガテイブ画像 花器の基部の種子が形成されつつある部分が強く写っているように見える。
  


   
   

表1.水浸タンポポの放射能

放射能水浸タンポポのjpeg   
 
  


(森敏)


付記:Discrimination Center (D.C.)は師管と導管が複雑に入り組んでおり、この部分で、根で吸収された必須元素が、いったんとどまっていろいろな地上部の組織に分配移行する。また、光合成産物は、この部分にいったん転流してきて、ほかの部分に分配(discriminate)されていく。このD.C.という、小生の発明した生理学的「機能」を意味する造語は、残念ながら最近では、その複雑な微細形態学的な「構造」がポピュラーになったので、植物関連の論文では使われなくなったようだ。

 
 
 

 
2018-01-17 08:42 | カテゴリ:未分類
     双葉町で空間線量毎時10.5マイクロシーベルトのコンクリートの道の、地震でできた割れ目に生えていた1メートル離れて隣接する2株から、2本ずつおおまつよいぐさの枝をサンプリングしてきた。
  
    オオマツヨイグサは茎に沿って成長に従って連綿と花を咲かせ、一つの莢の中には2-300個の種子を含んでいる。
   
  これまでの漠然とした経験から、おおまつよいぐさの放射能はそれほど高くないのではないかと、高をくくっていたのだが、今回これを実験室に持ち帰って測ると、図1に示すように、この右の株からの分枝はむちゃくちゃ放射能が高くて驚いた(表1)。種子の放射能も非常に高い。

  コンクリートの割れ目には、コンクリート表面にふりそそいだ原発からのフォールアウトが、その後の雨で流れ込んで、濃縮されたものと思われる。
 
  同じコンクリートの割れ目に1メートル離れて生えている2つの株だが、こんなにもお互いの放射能が桁違いである(図2、図3、表1)。フォールアウトがコンクリートに降り注いだ直後の、雨の表流水の流れた方向によるのだろう。

     
    
     
スライド1 
 図1.おおまつよいぐさの連綿とつづく莢と、そこからこぼれ落ちた種子。左二つと右二つの分枝はそれぞれ別の株からのものです。ガイガーカウンターで右の株二つは440 cpm. セロテープに張り付けた種子は右2つの分枝からこぼれ落ちたものです。
 

 
 
 
 
 
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 図2.図1のオートラジオグラフ像。莢ばかりでなく、こぼれ落ちた種子やテープにぎっしり貼り付けた種子も濃厚に放射能汚染していることがわかる。全部内部被ばくである。
 
 

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 図3.図2のネガテイブ画像 細かい点々も種子。
 
 
 
 
    

 表1.オオマツヨイグサの放射能
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 (森敏)
付記:上記のオオマツヨイグサのサンプリングは、秋のすでに枯れている時期なので、昨年の浪江町の津島地区でのオオマツヨイグサの写真を以下に示します。ただしこの写真を撮影した付近のオオマツヨイグサはすべて頭頂部が虫にやられてなのか、放射線にやられてなのかわかりませんが、房状に花が凝集して咲いて(帯化?)莢が着いていました。

     
スライド1 
 
   
追記1.図1に「セロテープに張り付けているオオマツヨイグサの種子」の部分の拡大写真が出てきたので、下図に示します。
 
オオマツヨイグサの種子
 
 
 

2017-12-04 06:21 | カテゴリ:未分類

クサレダマはアキノキリンソウに似ていたが、小生には全く同定できなかった植物なので、若林芳樹さん(株 アスコット)にお手数を煩わせて同定してもらった。(図1)
   
「クサレダマ サクラソウ科オカトラノオ属
マメ科のレダマに似ていて草本であることからついた名前といわれていますが、マメ科のレダマにはあまり似ていません。やや湿った場所を好み群生することが多く黄色の花はよく目立ちます」ということです。
      
  この植物の場合放射線像では花器が強く汚染して見えます(図2、図3)。しかし実際の放射能濃度は葉や茎とあまり違いがありません(表1)。花器は花弁・がく・未熟種子などが重なって乾燥されているので、強く汚染しているように見えるのです。 しかし、生殖器に放射能が移行していることはほかの植物の場合と変わりないと思われます。この時点では種子をまだ採取できなかったのですが。
     
 
スライド1  
 
(図1) クサレダマ
       
 
スライド2
 
(図2) クサレダマのオートラジオグラフ
 
        
 
スライド3 
 
(図3) 図2のネガテイブ画像。神社の神殿で巫女が手にもって舞う鈴飾り物のように美しい。
 
       
 (表1) クサレだまの部位別放射能

クサレダマの放射能jpeg
      
     
(森敏)


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