2018-07-20 18:38 | カテゴリ:未分類

A先生「森さん昭和16年(1941)生まれでしょう? 僕もそうなんだ。最近思うんだけど、僕らの世代が戦争の体験記憶を持った最後の世代なんじゃないか? 昭和20年の8月終戦の時に満で3-4歳だったから。それより後の世代は全く戦争が記憶にないはずだ」

 

小生「空襲を覚えてるよ。高知にいたから。真夜中に東の空が真っ赤にいつまでも燃えていたんだ。防空壕から見えたよ。かなり年取って後から調べると7月4日の真夜中未明にB-29の120機以上の編隊による絨毯(じゅうたん)爆撃だったんだ。焼夷弾を1千トン以上落としたということだ。高知市の中心街は火災で灰燼に帰したね。死者400人以上、1万戸以上の家が全焼した。たった一時間で今回の西日本激甚豪雨の死者200名以上の被害だ。僕のところは少し西の旭駅前町というところだったので、からくも助かったんだ。坂本竜馬の家も全焼したとずっと後になって知ったんだ」

 

A先生「僕は鹿児島の実家に居たんだけど、昭和20年の4月ごろから連日のごとく頻繁に米軍の爆撃機が沖縄から飛んできて爆弾を落としていったんだ。このまえ偶然テレビで見たんだ。アメリカ軍の記録フィルムで、丁度僕の町の海岸の上を飛んで上から写真を撮っているのが写っていた。人々が逃げまどっている。あんな風に我々の姿が丸見えだったんだね。あの中に僕もいたのかもしれないと思うと、僕も機銃掃射でやられていたかもしれないと思うと、いまさらながらぞーとしたよ。8月には長崎に原爆が落とされたといううわさを聞いたな。広島原爆のことは知らなかった。歴史的に言っても九州では長崎が中枢だったので情報伝達がはやかったのでもしれないね」

 

小生「僕は広島も長崎も原爆投下の話を聞いたのは、高知から兵庫県の芦屋の小学校に転校してからだ。「原爆の子」という映画を見てからかな? 時代が錯綜しているけれど。高知の片田舎ではそういうことには全く奥手だったんだね」

 

A先生「アメリカのトランプ大統領はとにかく朝鮮で戦争はやりたくないと言っているのは、なんのかんの言われていても彼の判断は賢明だと思うなー。日本政府の世論工作はおかしいよ。北朝鮮の脅威ばかりあおって、自衛隊のミサイル装備を充実すべきだと言ってるけれど、みんなそんなに戦争をやりたいのかね。今の若い人たちにはいったん戦争になったら、みんなどうなるか、想像力があるのかね」

 

小生「ぼくの親父は山本五十六による真珠湾攻撃があった時に、日本国中が歓喜で湧いていたけれど「この戦争は負ける」と直ちに判断して、僕が生まれてから一年後に家族全員を郷里の高知の旭駅前町に引き揚げさせたそうだ。技術屋としてアメリカの物量作戦にいずれ負けると考えたのは当然の判断だったんだね。1歳になったばかりの僕の記憶にはないんだけれど、親父は、1945年までいて終戦直後帰ってきたようだ。そこらへんの引き上げ時の苦労話は残念ながら親父からはいっさい聞いていない。母も小生にはいっさいゃべらずに亡くなったな。そうだ、兄や姉が生きているうちに、彼らが間接的に親父から聞いているかもしれないので、今のうちに聞いておかなくっちゃ、兄姉らも平均寿命が過ぎているのでそろそろ死んじゃうからね」

 

A先生「ぼくの母の兄が終戦後朝鮮から引き揚げて鹿児島の実家に帰ってきたときのことをよーく覚えているよ。駅に迎えに行ったんだ。現地で、理由は言わなかったけれど奥さんに死なれて、小さな女の子を一人連れて軍服軍帽姿で帰ってきたんだ。憔悴しきっていた。みすぼらしい姿だったなー(涙)。戦争は絶対にしちゃいけないよ。僕はボランテイアでやってる子供たちへの授業で、それだけは声を大にしていつも話をしているんだ。これこそが僕ら戦争を知る最後の世代の任務だと思ってるんだ」

   


2018-06-08 13:13 | カテゴリ:未分類

シンガポールでの米朝首脳会談について,北朝鮮政府には外貨がなく、ホテルへの滞在費が支払えないのでシンガポール政府に泣きついたら、平和のために少しでも貢献したいと、シンガポール政府はこれを受諾しそうだという。昨日はわざわざシンガポールの外相がピョンヤンに呼ばれて(というより平和のためにならと、シンガポールが自分から滞在資金の保証に出かけてあげたのだと思う。えらいよね!)。ノーベル平和賞受賞団体ICANも協力したいとのことである。

     

米朝の複雑な駆け引き(トランプのデイ―ル外交)の思惑がどうあれ、世界が朝鮮半島の和平を望んであるということがわかる。

    

それにしても、ソ連のお古のおんぼろ飛行機でピョンヤンから直行便で行ったり、ホテルの滞在費をおねだりしたりして、恥も外聞もない外交をせざるを得ないほど、北朝鮮は困窮しきっているということである。本来がプライドの高い民族であるのだが、背に腹は代えられないわけである。

       

しかし世界は北朝鮮がなぜそういう外貨資金の困窮事態になったのかの根本原因を理解すべきだろう。虚勢を張って「アメリカがこちらに顔を向けてくれるために」核やミサイルの開発に国家予算を無駄使いしているからばかりではないのである。

       

もともと共産主義時代には北朝鮮はソ連邦の属国としてバーター貿易(物々交換)で物資のやり取りを共産圏の域内でしていたので現金のやり取りが必要でなかったのだ。つまり外貨なんか必要なかったのだ。域内貿易で自給自足できていたのである。金日成主席の1970年代は、地下資源の豊富なこの国はむしろ韓国よりも繁栄をしていたのである。しかし1989年にソ連邦が崩壊して、共産圏国家が個々に独立し、すべての国家間の貿易が現金決済になってから、それまで全く外貨の蓄積がなかった北朝鮮は、旧共産圏ばかりでなく資本主義圏との売買取引ができなくなったのである。諸外国からの物流が急速に細ったのである。日用品さえ困窮し始めたのである。当然食料が一番困窮しているし、今もしている。

       

  ピョンヤン近郊の400万人の金王朝一族以外は食料困窮の極みにあると思われる。テレビで映像を見る限り、相対的に優遇されていた軍人さえも国境の川の向こう岸では食糧不足で腹ペコのようである。戦争なんかできっこないのである。

     

だから各国の駐在北朝鮮大使館が、偽(にせ)札を大量に発行して外国銀行でマネーロンダリングをして外貨(米ドル)をねつ造したりしてきたのである。最近はそれも監視が厳しくなっているので、外交官の外国出張などには本当に困窮しているのだろう。今回,金正恩が相変わらずの虚勢を張って一泊65万円のホテルへの宿泊を要求しているというのも、どこまでが真実のデマか知らないが、彼らは何かにつけて親切な人にお金を要求することを当たり前のように思うようになっていると思う。「俺たちが貧乏なのはお前たち資本主義圏が俺たちを収奪しつづけているからだ」という特有のマルクス主義の論理で。

         

特に日本政府に対しては「第2次世界大戦でお前たちは何をやったのだ、まだ全く謝罪していないではないか」という恫喝の論理で金日成・金正日・金正恩は一貫している。

    

だから、今回「駆け引き好き」のトランプ大統領の代になってやっとアメリカがこちら(北朝鮮)側に顔を向けてくれて、北朝鮮との首脳会談を受諾してくれたのをきっかけに、金正恩は一気に金正日の「先軍政治」から抜け出して、経済を正常化して国民生活の向上に強力に政治の舵を切り始めたように見える。そうしないと本当に自分自身の政治基盤が危ないのだろう。

     

先日、金正恩が中国の地方都市(どこだか忘れたが)に多人数の北朝鮮の首長を派遣して、農業視察を行わせていた映像がテレビで15秒ほど流れたのだが、「これが小麦です」という中国側の農業技術者の説明に、首長たちがうなずいていたのには少し驚いた。北朝鮮はイネは作っているが、小麦は作っていなくて、主要な食料はトウモロコシ(しかも生産性が高いが、食用としては「まずい」飼料用品種のとうもろこし)なのである。だから首長たちは小麦を知らないのだ。実際庶民はトウモロコシしか食べられていない。ピョンヤン以外ではコメを食べるのは夢のまた夢なのだ。だからトウモロコシにはない必須アミノ酸のトリプトファンなどの欠乏で子供たちはみな背が低い。小生が北朝鮮を訪問した時にはこのことを北朝鮮の人たちもしっかりと認識していた。時々報道で登場する北朝鮮のこどもたちはおしなべて脚が短く背が低いのである。

        

  栄養欠乏で背が低いのは戦後の小生が体験したことでもある。学校給食でアメリカの(バターを取った後の)脱脂粉乳や小麦のコッペパンが提供されから、小生はどんどん背が伸びて朝礼の時は当初小学2年生の頃はクラスの最前列にいたのだが、6年生の頃は列の後ろの方から数えたほうが早い位置にまで背が伸びていったのである。だからいまでも小生は1951年に結ばれたアメリカのMSAによる農産物食料援助には感謝している。芦屋の小学校の同級生たちは「こんなまずいミルク飲めるか!」などと贅沢なことをいっていたのだが、小生は友達の分までがぶがぶ飲んでいたので今があると思っている。。

         

それにしても、拉致問題の解決のために、トランプに安倍がわざわざワシントンにまで懇願に行かなければならないほど、日本政府と北朝鮮政府とは外交ルートの人脈が途絶えてしまっているのだろうか。実にヘタな外交をしてきたものだと思う。現在でも在日朝鮮人は3万人もいる。だからその数倍の親類が北朝鮮にいるだろうに。

           

「ああ分かった、米朝首脳会談では拉致問題は取り上げるよ。その代りに日本はふんだんにアメリカの物資を通した経済援助をしてやれよ」、とトランプには言い含められているのではないか。昨日の 会談後の日米両首脳の記者会見では、トランプ大統領は、横にいる安倍首相の事を、決して「シンゾー」とファーストネームで呼ばなかった、「プライムミニスター・アべ」と冷ややかだった。明らかに距離を置き始めたと思われる。
     
  
トランプの頭は、いかにして今年のノーベル平和賞にちかずくべきかのタクテイックスで、いっぱいなのかもしれない。とちゅうからG7サミットをトンずらして、早めにシンガポールに飛ぶらしいから。(本日午後7時のニュース)

     
 
      
 
(森敏)
2018-05-06 13:05 | カテゴリ:未分類

MBC NEWS

稲盛氏 「京都賞」賞金を1億円に増額へ [04/12 19:32]

京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが創設した国際賞「京都賞」について、稲盛財団は12日、賞金を5000万円から1億円に増額すると発表しました。

「京都賞」は、鹿児島市出身で京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが200億円を拠出し、1984年に創設しました。

先端技術、基礎科学、思想・芸術の3部門があり、科学や文明の発展に貢献した人に贈っているものです。

これまでに世界中で105人が受賞。ノーベル賞を受賞したiPS細胞の山中伸弥さん(2010年)や、青色発光ダイオードの赤崎勇さん(2009年)もノーベル賞の前に京都賞を受けています。

京都賞を運営する稲盛財団は、創立記念日となる12日、賞金を5000万円から1億円に増額すると発表しました。

今年で86歳になった稲盛さんは、「京都賞は社会への恩返しであると同時に私の利他の哲学の実践でもあります。今後さらに、受賞者の方々が世界に向け燦然と輝き続けることを願い賞金額を1億円に増額することにしました」とコメントを発表しています。

ことしの京都賞は、6月15日に発表される予定です。

ーーーーー

   上記のニュースにあるように、稲盛財団が京都賞の金額をノーベル賞並みの1億円にこの6月から増額したそうだ。これは研究者にとっては実に楽しくうれしい話だと思う。稲盛和夫氏の「利他の哲学」からくる勇気ある大胆な行為に心から敬意を表したい。
    
    そこで、ちょっと京都賞の過去の科学研究部門の受賞者を調べてみたら、この賞を取ってから後にノーベル賞を受賞した人物は、上記の記事にもあるが、山中伸弥、赤崎勇、大隅良典の3名である。この賞の推薦人や選考委員達には先見の明があったというべきなのかもしれない。
      
    一方で科学部門での日本人のこの賞の受賞者の中には西塚泰美、林忠四郎、伊藤清、赤崎勇、根井正利、金出武雄、本庶佑、山中伸弥など、いずれもノーベル賞クラスの人物であるが、京都大学関連(必ずしも卒業生ではないが)の研究者が他大学関係者に比べれば圧倒的に多い。この点では少し選考に偏りを感じないこともない。それが「京都」賞の特色なのかな。
     
  ところで、おおざっぱだが、これまでのところ日本発の賞で受賞金額が1000万円を超えるのを調べたところ以下の表1のようになった。詳しく調べたわけではないが、他に1000万円未満200万円以上の金額の賞は全科学研究分野を入れれば20件以上はあるのではないだろうか。創設当時と比べて物価高の今日では、この1000万円という金額はさほど高額だとは思えない。実際諸外国にはノーベル賞以外に一億円よりもはるかに高額の賞が存在する。今回の稲盛財団の勇気ある社会貢献に見習って、日本のその他の賞も賞金額を2-3倍に増額することを期待したいものだ。現在の好景気のうちに企業は高額の「内部留保資金」から系列の受賞財団に寄付して、その財政基盤を2-3倍にすることはさほど困難ではないだろう、と経済に疎い小生は勝手に思うのだが。(追記を参照ください) 
       
  ところで、これら表1の賞の選考や審査過程に関わる人物をネットで開示されている限り調べてみると、一人で3つもの賞にかかわっている人物がいる。これはちょっと問題かもしれない。  
            
                  表1  
  日本の賞jpeg 

 
   

(森敏)
追記1:大企業の今期の利益は以下の記事のごとし!
  
これらの企業の今年の利益のわずか1-2%で
トヨタ賞(2億円)や
ソフトバンク賞(1億円)
の基金が創設できるのではないだろうか。
  
           

トヨタ、最終利益2兆4939億円最高更新

20180509 1344Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 トヨタ自動車が9日発表した2018年3月期連結決算(米国会計基準)は、売上高が前期比6・5%増の29兆3795億円、最終利益は36・2%増の2兆4939億円と、いずれも最高を更新して増収増益となった。

 本業のもうけを示す営業利益は20・3%増の2兆3998億円だった。為替レートが前期に比べ円安に推移したことや、米トランプ政権の法人減税の影響などが業績を押し上げた。

 19年3月期の業績予想は、売上高が前年同期比1・3%減の29兆円、営業利益が4・2%減の2兆3000億円、最終利益が15・0%減の2兆1200億円と、減収減益を見込む。円高傾向を想定していることが大きい。

     

 

ソフトバンク、2年連続で最終利益1兆円を突破

20180509 1528Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 ソフトバンクグループが9日発表した2018年3月期連結決算(国際会計基準)は最終利益が前期比27・2%減の1兆389億円で、2年連続で1兆円を突破した。

 売上高は同2・9%増の9兆1587億円、本業のもうけを示す営業利益は同27・1%増の1兆3038億円だった。トランプ米政権による大型減税などで米携帯子会社スプリントの利益が伸びたことなどが貢献した。
 
追記2.稲盛さんは母校の鹿児島大学にも、つい最近200億円を寄付している。頭が下がりますね。

稲盛和夫氏の快挙

 
追記3.稲盛財団によると、2018年の京都賞は以下の人物に決まった。
    
稲盛財団は本日、第34回(2018)京都賞の受賞者にカール・ダイセロス博士(先端技術部門)、柏原正樹 博士(基礎科学部門)、ジョーン・ジョナス氏(思想・芸術部門)の3名を決定しました。
なお、本年の授賞対象分野は先端技術部門がバイオテクノロジー及びメディカルテクノロジー、基礎科学部門が数理科学(純粋数学を含む)、思想・芸術部門が美術(絵画・彫刻・工芸・建築・写真・デザイン等)です。
先端技術部門のカール・ダイセロス博士(46)は、本賞史上、最年少での受賞となります。

 

2018-04-03 03:59 | カテゴリ:未分類
以下の2局のホームページをぜひご覧ください。
 


  
今朝7時に、NHK広島で展示のニュースが流れました。以下動画ご覧いただけます。
http://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20180402/0000359.html



東京電力福島第一原子力発電所の事故で被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、目に見えない放射線を写し出した写真の展示会が広島市で開かれています。

展示会は原発事故の影響について考えてもらおうと開かれ、会場には、被ばくした日用品などを特別な手法で撮影し、放射線を写し出した「放射線像」と呼ばれる写真30点が展示されています。
写真家の加賀谷雅道さんが放射能汚染の実態を数値以外で表現しようと、放射線を白く写し出す装置を使って撮影したもので、より強い放射線はより白く写ります。
このうち、浪江町の公園にあったサッカーボールは、濃淡の異なる白い斑点のような模様に覆われ、放射能に汚染された状況をはっきりと写し出しています。
また、福島第一原発からおよそ9キロの場所にあった長靴も、白く写し出された放射線にびっしりと覆われています。
主催したグループの代表の西村恵美子さんは「震災から7年がたち広島に住む私たちにとって、福島の問題はどこか遠い話しになっているように思う。多くの人に見えない放射線を見てもらい福島で何が起きているのか少しでも知ってほしい」と話していました。
展示会は広島市中区の旧日本銀行広島支店で、4月5日まで開かれています。


 

金曜日の夕方には新広島テレビのニュースで流れました。

原発事故から7年余り、目に見えない『放射線』を特殊な技術を使って撮り続けている写真家の作品展が、広島市で開かれています。

福島県浪江町の屋外に放置されていた長靴の写真には、特殊な技術を使い放射性物質が付着した部分が白く映しだされています。

広島市中区の旧日本銀行広島支店で開かれている写真展『放射線像』は、加賀谷雅道さんが東日本大震災発生の後、被災地で集めた生活用品や植物などの写真およそ30点が展示されています。
エックス線写真の原理を用い、目に見えない放射性物質の分布や強弱がわかるように工夫されていて、放射能汚染の現状を静かに訴えています。
【写真家・加賀谷雅道さん】
「忘れてもいいんですよ、考えなきゃいけないことは過去を思い出すときは思い出して、やっぱり未来だと思うんですね、子どもたち次世代のためにあの事故を教訓として何をすべきかという…」

写真展は、来月5日まで開かれています。

2018-03-31 10:49 | カテゴリ:未分類

「博士」でも任期付き若手研究者の雇用厳しく

20180301 1433分 読売

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学院の博士課程を修了して大学や研究機関に就職した若手研究者らの半数以上が、3年半後も任期付き雇用にとどまっているとの調査結果を発表した。

 同研究所は、2012年度に博士課程を修了した2614人について、3年半後の生活状況などをアンケートで調べた。60%が大学や国の研究機関などに就職していたが、そのうち52%は任期付きの不安定なポストにあることがわかった。

 また、15年度に博士課程を修了した人への別の調査では、4922人の回答者のうち、38%が返済義務のある奨学金などの借金を負っていることもわかった。

 若手研究者が厳しい環境に置かれていることから、文科省は、大学で若手にポストを用意できるような人事システムの改革など、若手研究者を育てるための新計画を6月末をめどに取りまとめる方針だ。

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  こういう若手研究者の深刻な身分の不安定さは、インパクトファクターの高い論文への掲載を狙った若手の研究者によるデータの偽造(フェイクデータ)の、温床になっている。、結果的に日本発の研究論文の信用の失墜に確実につながる可能性が非常に高い。実際論文の被引用度でもボデイーブローのように効いてきているのではないか。
           
  話が横道にそれるが、先日某国立大学の研究者に会って久しぶりに話を聞いていたら、この大学ではすでに研究者一人当たりの光熱水料を差し引いた研究費は年間たった10万円だということで、これには心底驚愕した。
          
  科学技術の人材育成と財政支援の両面が国立大学では崩壊しつつある。
 
   

論文の引用件数や、専門分野ごとの上位1%に入る重要論文の件数が、日本が米、中国、EU諸国にもおいぬかれて、ここ数年にわたって確実に低下しているという指摘が各種の調査機関でなされている。また、日本では国立大学よりも、国立研究法人(理化学研究所、物質材料研究所、生理学研究所、原子力機構などなど)のほうが質の良い論文を出している、などとも報道されている。後者の方が投入予算に対する研究成果が高い、すなわち投資効率が高い、との指摘もなされている。「国立大学は研究マネージメントが悪い」、と日経連や経済同友会に集まる民間会社の社長クラスが国の科学技術政策を論じる会議に参加してしきりにのたまう。
  

しかしこれらの指摘は、大学の有する特質を無視しているものと言わざるを得ない。大学は研究ばかりでなく教育の場である。国立大学の教員が有する教育の負担は甚大なものがある。研究ということがどういうことなのかに全くと言ってよいぐらい無知な新入生を一人前の研究者に人格的にも研究能力的にも気合を入れて真面目に育する苦労は筆舌に尽くしがたい。
  

極論すれば、上記の国立研究機関は、国立大学の教員たちが苦労して育て上げた研究者たちを、ポスドクなどの有給で雇用して、彼らの能力を研究成果として短期間で搾り取る(収奪する)機関なのである。苦労した学生たちを送り出す大学教員たちには、何の見返りもないと言っていいだろう。また、優秀な大学生を就職時に雇用する民間会社も、優秀な学生を育てろと大学側に文句はつけても、教員たちに対する研究資金面での見返りは、多くの場合、何もない。それどころか国立大学は毎年文科省からの「運営費交付金」を減額され続けている。国立大学の教員たちは、研究費を教育費に転用しないと真面目な教育ができない状態に貶められている。だからすでに述べたように教員一人頭10万円しか研究費がないという国立大学の研究室も出てきているのである。
  

大学では自分たちが育てた優秀な修士や博士研究者をポスドクやパーマネントの助教などに継続して昇格雇用できるシステムがいまでは壊滅的に崩壊している。ごくごく少数の有名教授たちが外部資金の大金を獲得して、それらの恩恵に浴しているにすぎない。そのためにほかの零細分野の多くの教員たちはますます研究費が細り、毎日が金欠病でひーひー言っている。研究室間での貧富の差が激しくなっている。好き勝手にやる、数十年後には、ブレークスルーに結び付く研究の種(構想)が貧困化している。本当に危機だと思う。
  

こんなことを言うと「それはお前が無能だからだ」という声が直ちに返ってくるだろう。無能だからかもしれないけれど、最低限の研究費は保証して下さいよ、と現役の研究者を代弁していいたい。年間10万円の研究費で何ができますか? 
    
       
(森敏)
付記:「日本の大学は、一見して企業投資を喚起するような革新をもたらす魅力的な構想がかけているため、日本の大企業が米国の大学に投資をしている。」(科学新聞 3月30日号 「日本の研究力低下に歯止め」 ピーターグル―ス沖縄科学技術大学院大学学長 談)。日本の企業は大学から優秀な人材だけをかっさらって、日本の大学の研究はだめだからと言って、アメリカの大学に研究投資して、そこで得られた特許を、商品として世界中に売りまくる、という資産運用循環を形成しているわけだ。これが企業のグローバル化の実態だ。日本の国立大学の育成人材の活躍の成果である企業の儲けが日本の大学の研究者に還流していない。あったとしても微々たるものだ。


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