2016-08-04 07:03 | カテゴリ:未分類

  公益財団法人矯正協会 刑務作業協力事業部 というのがあって、この組織は、受刑者の制作品を公共施設で巡回販売している。都内ばかりでなく、地方でのイベントに出かけたときに、偶然この展示にでくわすときがある。そういうときは必ず見学することにしている。作品は日本全国の各所の刑務作業所から来ているようだ。
 
  なぜそういうところに惹かれるのか自分でもわからない。思うに、多分暇な(?)刑務所内では、根が精勤な日本人は <なにかに打ち込まねば気がくるってしまう> のかもしれない。もちろん出所後の手仕事としてのキャリアを身に着けさせるのが刑務所の本当の狙いなんだろうが。

    

  今回つらつら見ていたら屋久杉で作った約5センチの厚さで一畳ぐらいの真っ平らな座卓があった。小生は若い頃屋久島に船で4時間ばかりかけて渡り(今は高速フェリーがあるようだが)、樹齢3000年以上と称する屋久杉を見に宮之浦岳を登山したことがあるので、懐かしくて、立ち止まってテーブルの年輪をじっと数えていた。じっと見つめているのを不審に思ったのか目つきのきつい販売員が近寄ってきて「300年以上の屋久杉ですね、すごいですね」と話しかけてきたので、「でもどうやら正目(まさめ)じゃないですね」といったら、きょとんとして、「この人は買うつもりがなく単なる冷やかしだ」と即断したのか、話が合わずに去っていった。定価は55万円ぐらいだったと思う。小生にはこれが高いのか安いのか皆目わからない。

     

  タンスなどはプロの指導を受けているためか、受刑者本人がプロなのかわからないぐらいすばらしいものが15万円から30万円と高価格でずらりと置いてあった。この催しではいつでもこんな芸術品に近い家具を売っているところからすると。結構その道の篤志家が恒常的に買いつけているのかもしれない。とても衝動的に買う人がいるとは思えない。衣類、靴、文具品など小間物では、いくつか魅力的なものがあった。これらは全般的に市価よりも安いのではないかと思った(何しろ受刑者は税金で生活しているのだから、労賃はただ同然に低いのは確実だろう)。だからか、けっこう わんさと大型の紙袋袋いっぱいに固め買いしている男女の見学者がいた。常連なのかもしれない。

 

  ポロシャツが目にとまったので商品の札を見ると、

DRY 

・給水速乾機能に優れるセオ・アルファ生地を使用

・スパークールビズに最適 (スーパークールビズの間違いか?)

・ボタンダウン

・シルケット

とある。詳しい単語の意味がよくわからなかったが、手触りが良かったので、淡緑色、赤色、紫色を3枚買った。別にこれらの色が好きなわけではなくLLサイズではこの3枚しかなかったのだ。レジの女性の話では、生産が追いつかないのだとか。定価2000円であった。
 
      
  先日、漫然とテレビを見ていたら、「C線」なる皮下の神経が評判になっていた。人の皮膚は絹織物での感触や、指での他人の皮膚へのソフトタッチなどの接触感触に対して非常に敏感で、このC線で気持ちよく感じる のだそうである。この刑務所製品のポロシャツもそれにすこし近いような気がした。
       
  後日33度の猛暑をこのポロシャツ一枚で歩いていたら10分もしないうちにもともと猛烈な汗かき体質の小生は、背中が汗びっしょりになった。皮膚からの発汗速度に対するこのポロシャツからの蒸散速度がとても追いつかないようだ。どんなに技術の粋を尽くしてもしてもそんな都合のいい布製品はないのだろう。猛暑日が始まった。
                      
(森敏)

秘密

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