WINEPブログ
図1.曲がりくねった傾斜地の道路で雨水とともに流されてきた土やワラや落ち葉や埃が滞留するところ
図1に見るように、傾斜があるコンクリート道路のカーブ地点には、上流から流れ込んできた枯れ葉や落ち葉やヘドロが集積している。水はけが悪いので、道路の表面を流れてきた汚染水がヘドロに濃縮している。そこには激しい乾燥や湿潤に適した地衣類が繁殖している。逆にこれらの地衣類ががっちりとヘドロを抱えて離さない。
図2に見るように、ポケット線量計で土壌表面は毎時49.7マイクロシーベルトと非常に高い。道路の中央部で地上1メートルの高さでは毎時6マイクロシーベルトであるのだが。
図1のように、コケを土ごと切り出してその根をほぐしていくと、図3のように、全部ランナーで連なったクローン組織であることがわかる。大学に持ち帰って絡み合った組織を徹底的にほぐしたのちに、徹底的に水洗して土を落として、完全に乾かしてからオートラジオグラフを取ると、図4になった。
図4.第3図のオートラジオグラフ
このように雨が降ると必ず傾斜地であるがゆえに水たまりができて土壌が集積する道路わきは、どこも尋常でない放射能濃度のホットスポットである。年に何度かある多雨で森林の表層土壌がえぐられて道路に流れ込んでそれが集積するのである。次回に述べるように現在では表層3センチ内に放射性セシウムは濃縮して固着している。それを自然現象がかき集めてこういうホットスポットがいまでも形成されつつあるのである。浪江町ではまだ除染に手を付けられていない、こういう道沿いの溜まり場も多い。
先日のNHKのBS1スペシャル『被曝の森』では、延々上方のコンクリートの道路を伝わってくる雨水が、土砂や枯れ落ち葉を流し込む田んぼでは、空間線量が毎時100マイクロシーベルトの映像が流れた。そこに生えている高濃度汚染雑草を夜間に出てきてイノシシが食べている映像も流れた。この田んぼはケモノ道にもなっているのである。もちろんわれわれもそこを定点調査地点として注目している。
(森敏)