2016-03-14 22:47 | カテゴリ:未分類
  2013年春から放射線障害との関連があるかどうかについて、毎年奇形タンポポの発生地の生育調査を行っている。
       
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図1.ふっくらとした土塊に覆われた奇形タンポポの中心部  
    
  実は2014年以来の奇形タンポポ調査で気になっていたことがある。それは、奇形タンポポの株の中心部分にこんもりとしたやわらかい土塊のようなものが形成されている場合が結構あるのだが(図1)、なぜそういうものができるのかまったく原因がわからなかったのである。
       
  いつ見ても土塊が形成されているのみで、その途中経過みたいなものがよくわからなかった。
       
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図2.この奇形タンポポの株の中心部は土塊に覆われていない。
              
  タンポポがつぼみを形成して立ち上がるときに、ツクシンボウのように周辺の土を持ち上げるのかと思ったが、どうもそうではないらしい。この土塊成分とタンポポの奇形の関係があるのかとも思ったのだがどうもそうでもないらしい。奇形タンポポでもこの土塊がまったく見出されない株があったからである(図2)。また、正常タンポポの株でも土塊がかぶさっているのが結構見受けられたからである。
       
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図3.刈り取ったタンポポの茎52本分が容器保存中に全部土塊に変身!
                    
  2014年に上野の谷中の墓地で正常タンポポと奇形タンポポの花茎部を採取してゲルマニウム半導体で放射能を測定するために、200mLのふた付きプラスチックカップに採取した。放射能を測定後、サンプルをそのまま今日まで室内に放置していた。ほかのサンプルもたまってきたので、中身を廃棄処分にしよう思って、カップをあけてみた。実に驚いたことに、中身がタンポポの片りんもなく全部例のふわふわの土塊に変身していたのである(図3)。
    
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図4.図3の土塊の中から出てきた1ミリ弱の甲殻類とその糞 
     
     
   微生物で分解されたにしては土塊の微粒子の直径が大きそうなのである。そこで肉眼でよーく見ると、なんときらきら光る生き物がいる。しかしすでに全部身動きしていない。容器を密閉していたので酸素不足で死んでしまったらしい。スプーンでよーくかき分けると、直径1ミリ弱の甲殻類がぞろぞろ浮き出てきた(図4)。昆虫は完全にこの一種類である。しかもその他の大部分の有機物は全部この昆虫の糞のようで均一な大きさである。
    
   この現象は、この甲殻類がタンポポを特別に好む生物であることを意味している。ニッチ(生物の種が、生息する環境において果たしている生態的な役割あるいは地位)という言葉を思い出した。この虫はタンポポに特化して食料を得ているのかもしれない。逆にタンポポはこの虫によって分解されて土にかえるという物質循環の中に繰り込まれていくのだろう。偶然測定容器の中で放置している間に事態が顕著に進行して、中味を廃棄処分にしようと蓋を開けたら小生の目に事態が顕在化したのである。生命現象では、なにが発見の契機になるかもわからないという、ささやかな一例、として今回このブログで報告しておきたい。
 
 
(森敏)
付記1:どなたかお気づきの方はこの虫の学名を教えてください。
 
付記2:みなさま、タンポポの奇形観察お忘れなく。
2016/03/10 : タンポポの奇形をお見逃しなく :観察次第ご連絡ください
 
追記1:読者によれば

「シバンムシ(タバコシバンムシand/orジンサンシバンムシ)だと思います。貯蔵食品害虫です。
残念ながら、タンポポに特異的に集まったのではなく、保存中にたかられたのだと思います。」

とのことです。すばやい読者の反応に感嘆しています。


  
 
 
 
 
 
 
 
 

 
   
 


  
 
 

 

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