2016-02-21 12:49 | カテゴリ:未分類

    



たけにぐさ_JPG-- 
図1.浪江町で採取したタケニグサのオートラジオグラフ。非常に濃く写っている左下の根は200cpm、右の薄い色の根は50cpm。 新葉の数枚は140cpm、ほかの葉は93 cpm、葉のなかでは丸くくるまっている未展開葉が一番濃い。右上の葉と真ん中あたりの葉の葉辺をよく見ると先端部分がぽつぽつと濃い。これはセシウムがここからもれ出ていることを示している。水孔とおもわれる。
 

 
  たけにぐさ 
   図2.図1(オートラジオグラフ)に用いた植物体。根が太く頑丈である。
 
 

 
表1.タケニグサの放射能値   

タケニグサの測定部位放射性セシウム含量
(Bq/kg乾物重)
新葉28422
旧い葉16126
旧い根(土が付着)57369

      
 
 
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図3.文京区の壊された民家の庭に繁茂するタケニグサ。コンクリートの瓦礫がアルカリ性で、タケ二グサ以外の雑草を寄せ付けていないように見える。

      

浪江町の道路端でタケニ草を採取した(図2)。これをオートラジオグラフにしたのが図1である。葉では旧葉が薄く、新葉が中くらいに濃く、最新葉である未展開葉が一番濃くセシウムで内部被爆していることがわかる。これらの葉の表面には外部被爆の黒点がまったく認められないので、放射能は全部根から吸収移行したものと考えられる。新葉ははげしく細胞が分裂伸張しているから、カリウムの要求性が非常に高いのである。放射性セシウムはカリウムと間違って取り込まれて新葉に転流しているのである。表1には各部位の総放射性セシウム値を示しておいた。新葉が旧い葉よりも高いことが分かる。土がついた根のセシウムの値の半分ぐらいの濃度で新葉にもあるということは、この植物がセシウムを地上部に移行しやすいものなのかもしれない。
 
        
      右上の葉と真ん中あたりの葉の葉辺をよく見ると先端部分がぽつぽつと濃い。これはセシウムがここからもれ出ていることを示している。水孔とおもわれる。これは水孔を通して水ばかりでなく体内無機成分が外部にいっぴつしていることを可視化した世界初の画像だと思う。
    
      一方で浅い地面を横に張っている太い根は放射能汚染土を付着しているので一番濃く外部汚染している。右側のその後に生えてきた新しい根は格段に低い汚染度でこれは内部被爆である。この根を
よく見ると分枝根が出ている節位と、特に根の先端が濃く映っている。これらは成長点であるから細胞の分裂や伸張のためにカリウムの要求性がたかいために、カリウムの変わりにセシウムを移行させたものと思われる。
        
    

以下少し横道にそれるが、このタケニ草について小生の専門分野である植物の鉄栄養について少し考察したい。          

  タケニ草はどこにでも生えてくる雑草である。家庭菜園では害草と思われている。小生らが昔、鉄系肥料の開発をするために、貝化石アルカリ土壌で圃場試験をしていたことは以前にこのブログでも述べたことがあるが、このアルカリ土壌でもタケニ草は鉄材無施用区でも非常に旺盛に生えてきたので、驚いたことがある。多少全体の色が淡くクロロシス気味ではあったのだが。
     
   アルカリ土壌では鉄がほとんど溶けていないので植物は鉄欠乏になりやすいのである。つまり、タケニ草は遺伝的に根の3価鉄の還元力が強く2価鉄に還元して、根の細胞膜の表層にある2価鉄の鉄輸送蛋白(IRT1)遺伝子が強く誘導されて、この膜輸送体を通して鉄を吸収していると思われたのである。いったん繁茂すると根が深く完全に掘り取るのが困難であった。この深根性もアルカリ土壌に少ししか溶けていない鉄イオンをまさぐる能力なのかもしれない。これもひとつの鉄欠乏耐性たるゆえんのひとつかもしれない。(WINEPのホームページ    http://www.winep.jp/   の動画 Strategy-1 をごらんください)
     
   タケニ草の茎はみずみずしくてぽきりと折ると、中の導管液の汁が橙色で、皮膚に触れると刺激痛がして少し薄気味悪い。この導管水に「クエン酸・鉄」のような「キレート・鉄」が含まれているのかもしれない、などと想像している。
            
(森敏)
付記:過去の以下の記事も参照ください。
  2013/11/04 : フキのオートラジオグラフ (クリックどうぞ)




 


        

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