2016-01-01 00:02 | カテゴリ:未分類

さあ、新しい年が始まりました。
  今年はなにか楽しいことがありますように。
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  イラクサ(棘草:Urtica thunbergianaは道路端に生えている日常茶飯事の草である。トゲがあるので素手で触るとちくちくする。油断するとトゲの傷口から刺激物質(ヒスタミン? サルチル酸?)が皮膚に食い込むので、そのあと、痒みが取れなくてイライラする。雑草として駆除しようとして素手でつかんで「しまった!」と思っても手遅れであったことが幾度かある。けっこうイライラが長引くのでつらい。だから俗名イラクサと呼ぶらしい。浪江町で道路わきの地面からの土ぼこりによる被曝がないと思われる部位をサンプリングしてきた。実験室に持ち帰ってガイガーカウンターで調べると、この草はシソのように葉が薄いにも拘わらず他の野草に比べて、確実に葉の放射能が高いように思われた。そこでオートラジオグラフを取ってみた。
 

  irakusa_1024px----.jpg 

図1.イラクサのオートラジオグラフ
  
 

 
DSC05709--------.jpg 
 図1。の原画
  
  
  図1に示すように、茎の最先端の新芽や茎からの脇芽が強く内部被曝していることがわかる。根から吸収された放射性セシウムが道管や師管を通って全身に移行しているわけである。カリウムの膜輸送体を使って放射性セシウムは移行しているのだろう。放射能は危険だけれどもこの放射線像は、妖しくも美しい。
 
    
(森敏)
付記:
  実は、30年ほど前にベルリンの壁が崩壊するまえに、小生は西ドイツのHohenheim大学に短期滞在していた。ある日曜日の朝に屋根裏部屋のドアをノックする者がいた。Prof.Horst Marschnerが「いまから散歩に行かないか?」とわざわざ小生を誘いに来てくれたのだった。車で高速道路アウトバーンを時速120kmで30分ばかり飛ばして古城に行って、車をとめて、用意しておいた彼の息子の登山靴を貸してくれて、そこからの4時間の山歩き(ワンダーフォーゲル)をMarschnerと一緒に満喫した。
     
  その時に、付近の草花をいろいろ説明してくれたのだが、このイラクサだけは良く覚えている。日本ではそこら中に生えているのだが、「ドイツではこれが最近森林に侵入してきており、この植物が森林が富栄養化している事の一つの『指標植物』になっているのだ」と言うことであった。「森林にふりそそぐ雨にふくまれる極微量の窒素酸化物(NOx)のために、土壌が徐々に富栄養化してきて、貧栄養で育つ野生の雑草が駆逐されて、イラクサが繁茂している。そのNOxや硫黄酸化物(SOx)は排煙脱硫装置をもたない東ドイツや東欧諸国の工場からの大気汚染気流が西ドイツに流れてくるためである。また自動車による排気ガスに含まれるNOx、作物への施肥窒素の脱窒によるNOxの空気中へ揮散も無視できない」「ドイツでは自動車産業が主力なのでなかなか世界に先がけた自動車の排ガス規制が進まない」とのことであった。
     
  NOxの種々の排出源に関してはこれらの知見は今では常識であるが、当時はこの、大気から降りそそぐ窒素による土壌の富栄養化説 は小生には半信半疑であった。また森林の富栄養化が森林の植生の遷移を促しているという説も初耳であった。しかし、つい最近の nature誌で、「土壌が貧栄養の方が生物の多様性が維持される」という論文が出たので、やっと納得している。目に見えない森林土壌微生物レベルではさらに深刻な生態系異変を引き起こしているものと思われる。自然界のほとんどの土壌微生物は貧栄養でこそ健全に生育できて自然界の物質循環に貢献しているからである。この貧栄養微生物生態学のことは、前々回のブログで紹介した本『見えない巨人 微生物』(別府輝彦著)にも書かれている。

   
秘密

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