2015-11-04 08:10 | カテゴリ:未分類

         浪江町の空間線量が20マイクロシーベルトのスギ林でキノコをさがしていたら、30メートル向こうの民家の庭に男性の人影がした。向こうもこちらに気がついたらしくて、大声で話しかけてきた。

 

男「なにしてるんですか? 大学か国の研究者なの?」

 

私「はい、大学です。キノコをさがしているんですが」

 

男「ここらへんにはキノコは生えていないよ。あるとすればもう少し200メートルばかし坂を上った山の向こうだよ。ところで放射線量どれくらいあるの?ここらへん。このまえ弘前大学の研究者が来て、アカネズミのトラップを設置していたら、そんなものここに置くなって誰かにいわれたと言っていたよ」

 

私「ここで、いま毎時20マイクロシーベルトですが、気になるようでしたらもう少し高い危険なところをご紹介しますので、こちらに来てみませんか?ご自分で確認して頂いて、今後お気を付けください」

 

  手持ちのポケット線量計で道路脇の放棄水田が毎時100マイクロシーベルトであることを紹介した。またアスファルト道路の脇に延々続く枯れ葉と土砂の吹きだまりが毎時60マイクロシーベルトを示したのを紹介した。

 

男「マイクロシーベルトってミリシーベルトでいくらになるんだっけ? わたし原発の廃炉作業に出ているんだけれど、あちらはミリシーベルトの単位で言うんだよね。コンガラガッチャッてさ。100マイクロシーベルトって高いんでしょうね?」

 

私「0.1ミリシーベルトです。むちゃくちゃ高いですよ。あまり長く居ない方が良いです」

 

男「我々現発作業員は原発事故当初は床に板一枚敷いて寝泊まりしてたんだけどさ。そこはネズミがちょろちょろでるんだよね。そいで誰かがつかまえて内蔵を測ったら何百万ベクレルだったそうなんだ。ネズミはよっぽど付近の汚染したたべものを食べて内部被曝してるんだよね。そんな生き物がうろちょろしているところに、我々が寝転がって休憩したりして良いんだろうかといまでも不安なんだ。わざわざ ”Jヴィリッジ”に休憩に行くまでにはけっこう時間がかかるしさ」

   

私「今日は日曜日なので、ご帰宅なんですか?」

 

男「そーなんだけど、なにもやることなくて。いつかここに帰ってきて住めるわけでもないんだろうなー。姉も時々帰ってくるんだけど、二人とも今後どうしたらいいのかさっぱりわかんない」
      
  そこで、坂の上まで行ってみたが、電気柵のロープが張ってあり通行禁止で、耳にタグをつけた数頭の牛がいっせいにこちらを見ている。先が急斜面になっているらしくて、見えない。どうやら牧場らしいが、踏み込むと、牛がいっせいに突っかかってきそうなのでやめた。空間線量が毎時10マイクロシーベルトである。ここも「牛が数十頭いる」と、先ほどの男性がいっていた。ここも「放射線被曝大動物実験牧場」になっているのだろう。付近の植物を採取して、おそれをなして退散した。 
          
(森敏)

秘密

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