2015-11-18 07:13 | カテゴリ:未分類

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 南西 全面セイタカアワダチソウ群落。遠方左にセイタカアワダチソウ群落にススキが侵入し始めている。
 
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西 全面セイタカアワダチソウの群落。
   
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 北西 全面セイタカアワダチソウの群落。

  
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   全面セイタカアワダチソウの群落。

            
      原発事故の翌年は、飯舘村の農家は水田耕作が再開できるものとを期待して雑草を刈り込んでいたのだが、土壌の放射線量が高すぎて、国に耕作を全面禁止された。その後、この耕作放棄田には、セイタカアワダチソウやタンポポやオオマツヨイグサの群落が急速に蔓延した。しかし、最近はめっきり少なくなっている。除染でそういう種子が土と共に全部えぐり取られたからだと思われる。

        

現在、飯舘村では急速な除染が進み水田が「除染土壌入りの黒い1トンのフレコンバック」の仮置き場(集積場)になっているか、除染されて山土で客土された水田も耕作放置されたままになっている。そのせっかく客土された水田も農家の帰村がなされていないので、耕作されないでマツバイやカヤツリグサが侵入して土壌除染の年度が古い水田から順次雑草で見えなくなっている。すでに、ヨシ・アシがはびこっているところがある。
             
  その一方で浪江町など、いまだに住民が全く帰還していないで、ほぼ耕地の全面積が手つかずのママの水田や牧草地では、「人の手が加わった植生」から「自然の植生」への変遷(サクセッション)が見事に表現され、現在進行形である。浪江町の現状は、植物生態学者にとって、格好の植物遷移の研究のフィールドになっているのである。
 

         
  上に示す4枚の写真は、橋の袂から180度にわたって撮った全面がセイタカアワダチソウの水田である。すでにススキが侵入し始めている。これ以外にも山間部の常時湿田である田圃はオノエヤナギやイヌコリヤナギが3メートルを超える水田跡地の群落が散見される。これらの植物は比較的耐湿性であるので他の植生を駆逐して跋扈(ばっこ)しているのだと思われる。すでに樹下には太陽光線が当たらないので一年生の雑草を駆逐してしまっている。何もしないとそのままで安定した植物相でいくのだろう。
           
  昨年2014年と今年2015年には飯舘村ばかりでなく浪江町でもタンポポの調査を行った。飯舘村では除染が猛烈な勢いで行われ始めたので、水田や牧草地が山土で客土されてタンポポが急速に消滅し、調査にならなくなった。そこでより福島第一原発に近い浪江町にまで触手を伸ばして調査をしたところ、浪江町ではなぜかタンポポが非常にすくなかった。浪江町では水田の除染がほとんど手づかずであるにもかかわらずである。なぜだろうと考え続けているのだが、その疑問が徐々に解け始めている。
         
   タンポポはそもそも明るい空間を好む。原発暴発当初の2011年3月11日-20日は農家は地震や津浪で避難はしたが、水田自体は前年度に稲刈りをして、春先の田植えに備えて、一部では田んぼをすでに耕起していたところがあったのである。また、一部では田んぼの裏作にムギを植えており、まだムギを収穫していなかった。だから2011年当初の水田の植生は田んぼごとに区区であった。放射能汚染土壌での耕作は禁止され稲作は行われなかった。しかし、2011年の秋には農家は放射能汚染水田でも一応美観の為にも猛烈にびこった一年生の雑草刈りを行ったところが多い。そういう水田では、2012年には開放空間を好むタンポポ、セイタカアワダチソウ、おおまつよいぐさなどがいっせいに繁殖したのである。そのあとの年次からは、ヨモギ、ブタクサ、ヨシ、ススキなどが徐々に侵入してきた。すなわち2014年の時点では浪江町では明るい太陽のもとでしか生えないタンポポはすでに駆逐されつつあったのだと思われる。
           
  こいうところでも、もういちど雑草を刈り取り、さら地にして放置すると、またタンポポが繁殖してくるのだと思う。上図のような平場の水田では、いままさにセイタカアワダチソウからススキやヨシなどのイネ科の植生に代わりつつある。ヤナギなどの灌木は一本当たりの種子の数が一年生の雑草に比べて圧倒的に少なく、山から飛んでこなければいけないので、こういう平場では徐々に侵入してくるのだろうと思われる。

     
  以上のような理由で、われわれが2012年から追及している「タンポポの帯化」奇形 の発生率が飯舘村よりも浪江町のほうが高いのではないかという予想を証明する手がかりが、いまだにえられていない。
    
  生態調査は一筋縄ではいかない事を実感させられている。
   
    
(森敏) 
 
付記:タンポポの群落の写真は過去にたくさん撮っているが、WINEPブログでは 

タンポポの多様な奇形花房発見!! :植物に対する放射線の影響(II)

を参照ください。
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