2015-10-27 03:43 | カテゴリ:未分類

千葉県「幕張メッセ」で「農業資材EXPO」,「次世代農業EXPO」,「フラワーEXPO」,「ガーデンEXPO」,「道工具・作業用品EXPO」 という農業関連5展の展示会を見てきた。全部で大・中・小の1960企業も参加していた(図1)。このEXPOは企業間の交流や契約の場であるので、小生はひっそりと2日間にわたって見て回ったのだが、いろんな意味で参考になった。以下に、全くざっくばらんに、個人的興味があったいくつかの事例を紹介したい。長くなりますが。。。。。
         
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図1.農業EXPO会場風景(会場全体の5分の一しか映っていません) 

        

  農業のIT化、ダイオード光による清浄野菜工場や、室内野菜の栽培(癒しも含めて)、花の多角的利用など、大体予想される展開だった。革命的技術というものが小生のアンテナには全くひっかかかってこなかった。展示では中国・台湾・インドネシアなどの企業が2割ぐらいは参加していたと思う。西欧系企業はすくなかったが、国際色が豊かであった。しかし小生には現時点ではどれもこれも日本の技術の亜流のように見えて仕方がなかった。でもアジア諸国は毎年目覚ましく発展しているので、奇想天外な技術が案外アジアの国からも出てくるのかもしれない。アジア諸国は確実に実力をつけてきていることは間違いなく、TPPで自由化されれば、「高品質」と「安価」で日本の零細企業がかなり駆逐されるのではないかと危惧した。
        

  炭酸ガス吸収や都市のヒートアイランド抑制のためのビルの屋上緑化や壁面緑化は、すでに技術が確立されたのか、これまでと比べて展示が激減していた。

         

  平場でのガラスハウスなどの施設農業への電力供給源として、太陽光パネルの併設の試みみたいなものが期待されていると思うのだが、23の例しかなかった。先日の「常総水害」で決壊した堤防わきに壮大な面積の太陽光パネルを設置したばかりだったのが無残にも洪水で一気に崩壊させられた負のイメージが、農業と太陽光発電の連携を気後れさせているのかもしれない。

         

  簡単なアリのトラップを考えた業者がいた(図2)。円形のトラップの中央部分に粉末の砂糖を入れる区分を設け、その周りに食用油を入れる区分を設けふたをする。アリは下から這い上がってきて、ふたと容器の隙間から侵入してドボンと食用油に落ち込み、身動きが取れなくなる、という仕組みである。なぜ砂糖をいれるのだ?と聞いたら、アリが砂糖のにおいを感じて寄ってくるのだろう、という返事であった。砂糖のにおいのセンサーをアリが持っているということになる。舐めて感じる甘味のセンサーはどんな生き物も持っているだろうと思うのだが、アリ固有のフェロモン以外に「砂糖の香りのセンサー」があるという可能性の指摘は新鮮だった。 ホントだろうか?「大きなアリは寄ってこない」というのも変な話であったのだが。アリは木の根元から樹幹を這い上がって木にいろいろな病原菌をばらまいて悪さをするので、木の根元を取り巻く大型のものを作成してトラップしたいとのことであった。当面は孫の教材に使えると思ったので3つばかりもらってきた。木造家屋の床下のシロアリのトラップに使えるか今後の課題だと思う。(小生の友人のシロアリ駆除業者は15年前からダウ・ケミカル社が開発した環境にやさしいフェロモントラップ容器を輸入して事業展開している。)。
            

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図2.アリのトラップ容器(外径10センチ)。中中央の白いのがお砂糖。その外側が食用油。

              

  いろいろな乾燥に強い観葉植物のブースがあった。根が鉢の土にあり鉢の底の穴から下に向かって本体がぶら下がっているのがユーモラスである。寄生植物のようであるが青々としているものもあるので、光合成をしているのは確実である。こういう植物は、重力にしたがって下方に垂れているので、柳の枝よりも極端にジベレリン含量が少ないのではないだろうか。重力刺激のトランス因子みたいなものが欠損しているのかも知れない。
 
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なぜ水耕栽培なのかは意味が不明なのだが、サボテンの水耕栽培があり根が観察できた(図3)。根粒がついているのだろうか? と観察したのだが根粒がある様でないようでよくわからなかった。サボテンは砂漠の乾燥土壌で育つものなので、水は通常はサボテンの針に夜温で凝結する水滴から来るのだろうが、窒素やリン酸は案外根粒菌や菌根菌から来るのではないだろうか?
     

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 図3.サボテンの水耕栽培(画像が横向きになっています)。取り出してみないと根粒の有無がいまひとつわからなかった。
     
      

  室内鑑賞と実用を兼ねた白色光のLEDを用いた水耕栽培の植物育成器が展示されていた(図4)。12万円から5万円だということである。幼稚園や保養施設やで毎日眺めて、育ったら収穫するというのも一興で、これは意外に安い高踏趣味として広まるかもしれない。デパートやホテルなどではより大型の人工気象器みたいなモノが数年前からすでに実用化されている。今回はそのミニチュア版である。書斎の机の上に飾って鑑賞するのも一興かもしれない。
     

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図4.幻想的な癒しの野菜栽培装置。レタスを栽培している。
       

  木槌で立木をたたいて、その音波を iPhonで拾って、波長分布を描かせて、心材が100%充実している場合に比べて何パーセント空洞化が起こっているかを調べる、という研究が紹介されていた。空洞化率が高い木を切り倒すためである。車両点検で鉄道の作業員がハンマーであちこちたたいてひび割れなどを音で検知するのと同じ原理である。音波の発生には木の種類による樹皮のちがいや心材の強度の違い、木槌でたたく場所、木槌の種類などいろいろ複雑な要因が絡むと思われた。しかしこれは、いわゆる樹木医がもつ「勘(技能)」を誰でもが行使できる「技術」に転換しようとする試みであり、小生にはとても好ましい試みと思われた。複雑系の中でまず「一次近似の解」を発出することがすべての新しい学問の出発点であると思うからである。案の定、専門職の「樹木医」さんからは「そんなもの必要ない」という反発を受けているとのことである。既得権益を侵されると思うのかもしれない。
        
  かぼちゃのような大きさのゴーヤがあった。我が家もベランダで育てているからわかるのだが、ゴーヤは収穫適期が短くすぐ熟してしまうので収穫後の日持ちが非常に悪い。だから、本物を展示出来ないので、プラスチック模型の白色(アルビノ)と緑色のゴーヤが展示しているとのことだった。実際の栽培の様子がビデオで紹介されていた。ウリ科ではどんな野菜にも巨大から最少まで遺伝的変異があるのが本当に面白い。
これを展示していた企業の本命の展示物は「花屋さんが切り花を店頭で長く鮮度よく保っておくために、紫外線殺菌した水を、濾過しながら循環させている装置」である。これを見ながら35年ほど前に有名な三重県の的矢での「的矢カキ」が同じように紫外線殺菌水に浸して洗浄されている先駆的な現場を思い出した。的矢から冷蔵便で東京のホテルオークラなどに徹夜便で直送されて、「高級生ガキ」として食されている。今でもそうしているだろうか。
                
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図5.ジャンボゴーヤ(直径15センチほど)
              
  
  いくつかの県が農業者の就労支援のコーナーを設けていた。県内の人口が減っている上に、さらに少子高齢化で農業の後継者がますますいなくて困っているのだそうである。しかしこういうコーナーでは、県庁からの出向者ばかりでなく、実際に農業をやって成功している元気な人たちを説明要員にたてないと、全く迫力がないと思ったことである。実に地域は厳しい現実だ。一組の中年のご夫婦が相談していたようだが。
            
  余りにも展示企業数が多いので展示ブースでは、植物やスクリーンの動画にまず人々の目が行き、そこから気分がむけばポスターや説明員の説明を受けたい、というプロセスに移っていくということになる。よほど特化した課題をもった人以外はポスター展示だけだとまず人は寄ってこないだろうと思った。気が付くと手元に集められた30冊ばかりのパンフレットの半分以上が外資系の企業のものであった。彼らはなにがなんでもまずブースから出てパンフレットを積極的に渡しに来るのであった。それに比べて日本の企業は受け身感(待ちの姿勢)が強い。
    
  アイスクリーム、トマトジュース、バウムクーヘン、洋菓子のコーナーでは、全部試食した。広い会場を回ると足が棒のようになった。VIPの招待券をもらっていたので、2日間見学して6回もVIPルームに出入りして、卑しくもコーヒーとジュースとウーロン茶を何杯も飲み干した。老人には非常に助かった。アー疲れた!
                       
(森敏)
追記:小生が専門である植物の栄養に関しては、最近になって少しずつ有機栄養成分に関心が高まっていることを感じた。完全非無機化学肥料とか、δアミノレブリン酸やアルギニンなどの有機成分を添加した水耕液が売られていた。しかし、愛知製鋼以外のどの業者も植物の鉄栄養成分がどのように吸収されるのかに関して、いまだにあまり勉強していないのには驚かされた。小生らのホームページ(WINEP:植物鉄栄養研究会)に鉄の動画とその解説を掲げてすでに10年になるというのに。全ての肥料業者には、せめて植物の鉄獲得機構の Strategy-I, Strategy-II ぐらいはきちんと説明できるようにしてもらいたいと思ったことである。

秘密

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