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2015-09-22 15:29 | カテゴリ:未分類

  (承前:相変わらずの論文調ですみません。。。)   
   
    これまでは、2011年4月以降から直近の2015年7月までのCs-137I-131のピークについて大まかにそのパターンを分析してきた。そこで見えてきたことは、Cs-137は(当然Cs-134も)、

1.       20129月と20249月に原発からの再放出があったと考えられる。

2.       放射性セシウムは大雨の降るたびに確実に表面流去されている。

3.       放射性セシウムは今でも土壌や樹木からの表面流去がつづいている。

ということであった。

 

しかしI-131に関しては詳しい法則性を指摘できていなかった。そこで今回はより詳細な解析を行った。ブログでの図の掲載容量が限られているので、この連載(6ー1)で県中浄化センターの2014-2015年の 図11 を掲載し、次回の連載(6-2)で県北浄化センターの2014-2015年の 図12 を掲載しておいた。両方の図11、図12にはこれまで別々に示してきた「Cs-137」、「I-131」、「降雨量」を今回は合体して直近の2014年1月1日~2015年7月末までの毎日のデータを棒グラフで再録した。

 

以下、主としてI-131のピークパターンに関して検討する。読者には煩雑だが両方の図11と図12を上下にスキャンしながら比較していただければと思う。

 

  以下検討したい。

1.       Cs-137と比べて、I-131の場合はピークの立ち上がる前日か当日に大雨が降って

いる例は図112014年5月16日、図122014年6月12日、10月22日、2015年5月19日、7月8日である。しかしそれ以外のピークは降雨とは全く関係がない。であるから、ほとんどの脱水汚泥におけるI-131の出現は雨水の表面流去水から下水に流れ込んでいるように見えない。雨水の流入と関係なくいきなり下水道にトイレやRI貯留槽などから流れて出ている様に見える。一見降雨の時期とI-131のピークの立ち上がり時期が同調しているように見えるのは偶然のように思われる。I-131のピークが立ち上がる時期から以降恒常的にCs-137のピークのバックグラウンドが上がったようにも見られないので、Cs-137I-131のピークは連動していると思えない。つまり原子炉から同じ時期に両放射性同位元素が新しく放出されたと思えない。もっとも、県北浄化センターのカバーする地域には原子炉から沸点が低いI-131だけが優先的に飛散降下したと考えることも完全には否定はできない。

2.          それぞれのI-131のピークについて、図11と図12のそれぞれのピーク面積は後者の方がおおむね高くでているが、図112015年7月下旬からのピーク以外は図11内あるいは図12内についてみると主なピークの面積がほぼ等しい値である(あるいは倍数である)。このことは、間歇的だが下水道にその都度同じ量のI-131が流れ込んでいることを意味している。どこかの特定の病院でI-131がバセドー氏病や甲状腺癌治療に1人または複数の患者に「規定量」使用されて、それが1人または複数の患者の体を通して系外に流去したのかも知れないと思わせる。

(「バセドウ病の放射性ヨード内用療法に関するガイドライン」は以下の通りである。

http://oncology.jsnm.org/files/pdf/pasedo-guideline09.pdf

他のガイドライン書にも、「外来患者の場合は500MBqを越えない投与量で治療する。500MBqを越える場合はアイソトープ病室に入院させ、これを実施する」、「病院での排水に関しては、I-131核種が濃度限度以下(I-131が排水中に0.04Bq/cm3以下)であることを確認して排水するとともに、その記録を作成する」などとある)

  

3.I-131の個々のピークを子細に見ると、ピークの立ち上がりがシャープではなく、2日目に最大ピーク高になってその後約2週間にわたって尾を引いている(テーリングしている)。このようなピークのパターンはCs-137のピークには見られない。Cs-137の場合は雨の後に最初から一番高いピークになり、雨が降らないとすぐにピークが底下している。これらのピークの形状は二つの可能性を示唆している。

つまりI-131の場合は、下水道を流れていくうちに徐々に流れやすいものと流れにくいものというヘテロな成分に分離してきているのではないだろうか(尿の次に糞とか)。もう一方の考え方は、I-131の物理的半減期が8日であるので、約2週間に亘って等量のI-131汚染水が半減期減衰しながら下水にだらだらと放出されて、下水処理場に流れ込み、活性汚泥に取り込まれて脱水汚泥に濃縮されているとも考えられる。後者の場合はRI貯留槽で法規で定められた取扱ガイドラインで定められた規定の0.04Bq/mL以下に減衰したI-131を流すという行為を2週間に亘って徐々にすると、このような尾を引いたピークパターンを取るはずである。

4.病院によってはI-131の取扱規程では、4月、7月、10月、1月という3ヶ月間隔の周期でI-131を使用すべきことが銘記されているところもある。図11と図12では、I-131の大きなピークについてはその間隔がかぶっているものは少なく、もおおむね法規に準じた間隔を保っている。このことは病院による治療が連続的に集中的に行われることを避けていることの反映かも知れない。

 

  さてここまで書いてきて、それでは福島県において、どこかの病院が実際にI-131をバセドウ氏病や甲状腺癌治療に使用しているのかである。そもそもI-131を国内で供給している責任団体は東京都文京区駒込にある「日本アイソトープ協会」である。そこでは過去の福島県の病院や大学など供給相手先の記録が残されているはずである。それをしらべて、どこの病院もI-131を使った事実がなければ、原子炉からの飛来しか考えられないということになる。情報開示請求すればアイソトープ協会はそれに答える義務がある。小生は探偵みたいなことはしたくないので、公的な機関が是非日本アイソトープ協会に問い合わせてもらいたいと思う。

      

 


                       図11
新しい画像 (6)
 

(連載6-2に続く)

 


(森敏)

  

付記1:なおこれまでにも篤志家によって日本各地でのI-131による汚泥汚染がインターネットで報告されている。

   

付記2:下水道事業団は福島県の県中浄化センターと県北浄化センターのデータをCs-134Cs-137について、とりまとめて図にしているが、何故か I-131のデータを無視して図示していない。当然気がついているはずだが知らぬ半兵衛を決め込んでいる。下水道事業団にとっては「活性汚泥の I-131の汚染」は日本全国の浄化センターで当たり前のことなので、気にも留めていないのかも知れない。あるいは事を荒立てたくないのかも知れない。厚労省官僚は当然知っていることだろう。











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