2015-09-15 09:59 | カテゴリ:未分類

トヨタ、MITなどとAI研究自動運転車開発

 【ニューヨーク=越前谷知子】トヨタ自動車は4日、人工知能(AI)の研究で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)、スタンフォード大学と協力することで合意したと発表した。

 今後5年間で約5000万ドル(約60億円)を投じ、両大学に研究センターを設ける。自動運転車などの開発を加速させる狙いがある。

 両大学とは、物体認識や高度な状況判断、人と機械との協調などについて、自動車やロボットへの応用を目指す研究を進める。同日の記者発表で、トヨタの伊勢清貴専務役員は「まずは車の安全や渋滞緩和を目指し、究極的には人々の生活の質改善をゴールとしたい」と語った。

 自動運転車は、米グーグルなど他業種でも開発が進められている。伊勢専務は「あくまで運転手中心に自動運転を考えており、グーグルとは方向性が異なる。我々の研究の水準自体は十分高い」と説明した。路上での複雑な混雑状況や急な悪天候など、様々な状況に対応できる技術開発を進める方針だ。完全自動運転の実現には時間がかかるとの見通しも示した。

20150905 1441 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

      

  この記事を読んで、ほぞをかんでいる日本の大学研究者も多いことと思う。「自動運転車」の研究では、日本の大学の研究者達はそんなに研究水準が低いのだろうか? 絶対そんなことはないと思う。

      

  5年間で60億円の投資は工学研究部門ではたいした額ではないかも知れないが、こういう未知で先が見えにくい先端部門への高額投資は日本の文科省は及び腰である。だからこそ、トヨタのような余力のある企業が日本の大学にまず投資してもらいたいものだ。

      

米マサチューセッツ工科大学(MIT)、スタンフォード大学の有名教授との共同研究ということなのだろうが、トヨタはどういうルートで彼らが共同研究の最適の相手方だという目星を付けたのだろうか? まさか公募ではあるまい。世界に「自動運転車」のテーマで公募すれば日本の優秀な研究室が多数手を挙げたであろうことは間違いないだろう。トヨタはいろんな思惑で相手を決めたのだろうが、釈然としない。

     

企業には「利潤」という評価のインデックスが厳然としてあることは百も承知であるけれども、大企業は長期的な視野で日本の大学の底上げにも直接投資してもらいたいものだ。年々運営費交付金を減額されて厳しい段階に追い込まれている日本の大学研究者を尻目に、日本の大企業が外国の豊かな大学に資金投資する態度には少し違和感を覚える。悪しきグローバリズムだと思う。

      

  かつて20年まえに生物部門ではいくつかの食品企業がわざわざ外国大学に基礎研究の寄付講座を設けて多額の投資をしていたときがあったが、当時小生はこれには非常な違和感を覚えたことがある。これらの企業は国内の大学から優秀な学生を、よりどりみどりで獲得していたからである。日本の企業はまず日本の大学に投資して、良い研究をしてもらって、優れた研究成果を世界に発信し、その見返りに優秀な人材を獲得するという、日本国民の誰にもわかりやすい社会貢献をしてもらいたいものだ。食品系の会社は少し方針が変わって寄付講座として大学への直接投資をしているところが増えてきたが。
    
  しかし、大局的にみれば現実は真逆の傾向が進行している。大企業は産学連携と称して、大型プロジェクトを組織させ、国家予算を使って自分たちの製品開発に必要な部門に税金を投入させようとしている。そのために科学本来の「興味」(interest)に基づく基礎研究分野が細りに細っていく傾向を感じる。世界の科学界で近年あらゆる研究分野での日本人の投稿論文数と、被引用数が急速に低下していることが、先日の「科学新聞」でも紹介されている。約15年の長期にわたる運営費交付金を毎年1%削減し続けるという大学いじめのボデイーブロウが確実に効いてきているのである。
  
       
(森敏)
追記:たとえば、

平成26年から始まった安倍内閣の内閣府に新設された「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では「革新的燃焼技術」が採用され、杉山 雅則(トヨタ自動車() エンジン技術領域 が領域長に就任している。SIPのホームページでは

 

本課題「革新的燃焼技術」では、最大熱効率50%及びCO230%削減(2011年比)を実現するための革新的技術の研究開発を行うとともに、世界トップレベルの内燃機関研究者の育成と持続可能な産学連携体制の構築に取り組みます。この目標を達成するために、(1)高い熱効率を生み出す燃焼技術(ガソリンの場合は超希薄燃焼・高過給・大量EGR条件下の燃焼、ディーゼルの場合は急速静音燃焼・クリーン低温燃焼など)、(2)内燃機関の燃焼を自在に制御する技術、(3)損失を低減する技術の研究開発を行います。
 

とある。燃費効率が高く二酸化炭素の排出エンジン開発を、産官学の連携によって推進するのが狙いだが、これはいまや日本の自動車会社の各社が1兆円以上の収益を有する「豊かすぎる自動車産業」への屋上屋を重ねる多額の税金の無駄な投資である。そのために国立大学運営費交付金などほかの分野の研究費が削減させられていることは火を見るよりも明らかである。

秘密

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